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練習問題
ヒロ
練習として次の問題を解いてみよう。実際には(1)~(3)の3問構成だけど,ここでは(1)だけをやってみよう。
2015年 東京工業大数列 $\{a_n\}$ を
\begin{align*}
a_1=5,~a_{n+1}=\dfrac{4a_n-9}{a_n-2}~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
で定める。数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。a_1=5,~a_{n+1}=\dfrac{4a_n-9}{a_n-2}~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
ヒロ
さすが東工大という感じで,誘導がない。自分の好きな解法で解こう。とりあえず特性方程式を解いてみよう。
特性方程式 $x=\dfrac{4x-9}{x-2}$ を解くと
\begin{align*}
&x(x-2)=4x-9 \\[4pt]
&x^2-6x+9=0 \\[4pt]
&(x-3)^2=0 \\[4pt]
&x=3
\end{align*}
&x(x-2)=4x-9 \\[4pt]
&x^2-6x+9=0 \\[4pt]
&(x-3)^2=0 \\[4pt]
&x=3
\end{align*}
ヒロ
重解のときは,パターン2へ帰着させる解法が良いだろう。
【解答】
ある自然数 $n$ に対して $a_{n+1}=3$ であると仮定すると
$b_n=\dfrac{1}{a_n-3}$ とおくと
ある自然数 $n$ に対して $a_{n+1}=3$ であると仮定すると
\begin{align*}
&3=\dfrac{4a_n-9}{a_n-2} \\[4pt]
&3(a_n-2)=4a_n-9 \\[4pt]
&a_n=3
\end{align*}
これを繰り返すことによって,$a_1=3$ となるが,これは $a_1=5$ であることに矛盾する。よって,すべての自然数 $n$ について $a_n\neq3$ が成り立つ。&3=\dfrac{4a_n-9}{a_n-2} \\[4pt]
&3(a_n-2)=4a_n-9 \\[4pt]
&a_n=3
\end{align*}
$b_n=\dfrac{1}{a_n-3}$ とおくと
\begin{align*}
b_{n+1}&=\dfrac{1}{a_{n+1}-3} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{\dfrac{4a_n-9}{a_n-2}-3} \\[4pt]
&=\dfrac{a_n-2}{(4a_n-9)-3(a_n-2)} \\[4pt]
&=\dfrac{(a_n-3)+1}{a_n-3} \\[4pt]
&=b_n+1
\end{align*}
数列 $\{b_n\}$ は公差1の等差数列となりb_{n+1}&=\dfrac{1}{a_{n+1}-3} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{\dfrac{4a_n-9}{a_n-2}-3} \\[4pt]
&=\dfrac{a_n-2}{(4a_n-9)-3(a_n-2)} \\[4pt]
&=\dfrac{(a_n-3)+1}{a_n-3} \\[4pt]
&=b_n+1
\end{align*}
\begin{align*}
b_1=\dfrac{1}{a_1-3}=\dfrac{1}{2}
\end{align*}
であるからb_1=\dfrac{1}{a_1-3}=\dfrac{1}{2}
\end{align*}
\begin{align*}
b_n=n-\dfrac{1}{2}=\dfrac{2n-1}{2}
\end{align*}
$a_n=\dfrac{1}{b_n}+3$よりb_n=n-\dfrac{1}{2}=\dfrac{2n-1}{2}
\end{align*}
\begin{align*}
&a_n=\dfrac{2}{2n-1}+3 \\[4pt]
&a_n=\dfrac{6n-1}{2n-1}
\end{align*}
&a_n=\dfrac{2}{2n-1}+3 \\[4pt]
&a_n=\dfrac{6n-1}{2n-1}
\end{align*}
まとめ
ヒロ
漸化式パターン11は分数式で表された漸化式で,漸化式パターン4と形は似ていて分子に0以外の定数項があるだけなのに,かなり難しくなる。そのため,誘導付きで出題されることが多いが,誘導方法が色々あるため,様々な解法を知っておくことが重要だろう。
ヒロ
また,「推測して数学的帰納法で証明せよ」と出題される場合もある。しかし,サクッと一般項を求められるなら,あれこれ悩んで推測する必要などなくなる。あたかも推測したかのように一般項を書いて証明すれば良いだけ。
ヒロ
一部の大学では,容赦なく誘導なしで出題してくる。特性方程式を知らない場合は,$a_2,~a_3$ と求めて,一般項を推測して数学的帰納法で証明するという解法に頼らざるを得ない。そんなことをしたくない場合は,誘導なしで解ける実力を身に付けよう。