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漸化式パターン11:分数型($a_{n+1}=(pa_n+q)/(ra_n+s)$)の解法

漸化式パターン11 数学IAIIB
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漸化式パターン11 $a_{n+1}=\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}$ 型の解法

ヒロ
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それぞれの問題では,基本的に簡単になるように誘導されているが,置き方には何らかの秘密があるはずだね。それを暴いていこう。

ヒロ
ヒロ

まずはパターン1へ変形する方法から。

漸化式 $a_{n+1}=\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}$ において,$b_n=\dfrac{a_n-\beta}{a_n-\alpha}$$~(\alpha\neq\beta)$ とおいたときに,数列 $\{b_n\}$ が等比数列になるような $\alpha,~\beta$ を考える。
\begin{align*}
b_{n+1}&=\dfrac{a_{n+1}-\beta}{a_{n+1}-\alpha} \\[4pt]
&=\dfrac{\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}-\beta}{\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}-\alpha} \\[4pt]
&=\dfrac{(pa_n+q)-\beta(ra_n+s)}{(pa_n+q)-\alpha(ra_n+s)} \\[4pt]
&=\dfrac{(p-r\beta)a_n+q-s\beta}{(p-r\alpha)a_n+q-s\alpha} \\[4pt]
&=\dfrac{p-r\beta}{p-r\alpha}\Cdot\dfrac{a_n+\dfrac{q-s\beta}{p-r\beta}}{a_n+\dfrac{q-s\alpha}{p-r\alpha}}
\end{align*}
ここで
\begin{align*}
-\alpha=\dfrac{q-s\alpha}{p-r\alpha}~~かつ~~-\beta=\dfrac{q-s\beta}{p-r\beta}
\end{align*}
となるように $\alpha,~\beta$ を定めれば
\begin{align*}
b_{n+1}&=\dfrac{p-r\beta}{p-r\alpha}\Cdot\dfrac{a_n-\beta}{a_n-\alpha} \\[4pt]
&=\dfrac{p-r\beta}{p-r\alpha}b_n
\end{align*}
となり,数列 $\{b_n\}$ は等比数列になる。したがって,$\alpha,~\beta$ は
\begin{align*}
-x=\dfrac{q-sx}{p-rx}
\end{align*}
の2解とすればよい。これを変形すると
\begin{align*}
&-x(p-rx)=q-sx \\[4pt]
&rx^2-(p-s)x-q=0
\end{align*}
これを特性方程式と呼ぶことにする。
ヒロ
ヒロ

この特性方程式を漸化式から直接立てることができれば,誘導がなくても自力で等比型に変形できるね。

漸化式 $a_{n+1}=\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}$ において,$a_{n+1}$ と $a_n$ を $x$ にすると
\begin{align*}
&x=\dfrac{px+q}{rx+s} \\[4pt]
&x(rx+s)=px+q \\[4pt]
&rx^2-(p-s)x-q=0
\end{align*}
となって特性方程式が得られる。
ヒロ
ヒロ

パターン1に変形する場合は,最初に $\alpha\neq\beta$ と定めたように,特性方程式が重解をもつときには,この置き方を利用することはできない。

ヒロ
ヒロ

ここで,一方の解だけを利用して $b_n=a_n-\alpha$ とおくとどうなるか計算してみよう。

漸化式 $a_{n+1}=\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}$ において,$b_n=a_n-\alpha$ とおくと
\begin{align*}
b_{n+1}&=a_{n+1}-\alpha \\[4pt]
&=\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}-\alpha \\[4pt]
&=\dfrac{(p-r\alpha)a_n+q-s\alpha}{ra_n+s} \\[4pt]
&=\dfrac{(p-r\alpha)\left(a_n+\dfrac{q-s\alpha}{p-r\alpha}\right)}{ra_n+s}
\end{align*}
ここで $\dfrac{q-s\alpha}{p-r\alpha}=-\alpha$ であるから
\begin{align*}
b_{n+1}&=\dfrac{(p-r\alpha)(a_n-\alpha)}{r(a_n-\alpha)+s+r\alpha} \\[4pt]
&=\dfrac{(p-r\alpha)b_n}{rb_n+s+r\alpha}~\cdots\cdots(\ast)
\end{align*}
となり,パターン4になる。
ヒロ
ヒロ

一方の解だけを利用した場合は,パターン4に帰着できることが分かったね。パターン4の解法は「両辺の逆数をとる」だったから,初めから $b_n=\dfrac{1}{a_n-\alpha}$ とおいてもよい。

漸化式 $a_{n+1}=\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}$ において,$b_n=\dfrac{1}{a_n-\alpha}$ とおくと(*)において分母と分子を入れ替えて $b_n$ を $\dfrac{1}{b_n}$ にしたものになるから
\begin{align*}
b_{n+1}&=\dfrac{\dfrac{r}{b_n}+s+r\alpha}{\dfrac{p-r\alpha}{b_n}} \\[4pt]
&=\dfrac{r+(s+r\alpha)b_n}{p-r\alpha} \\[4pt]
&=\dfrac{s+r\alpha}{p-r\alpha}b_n+\dfrac{r}{p-r\alpha}
\end{align*}
となり,パターン2になる。
ヒロ
ヒロ

以上をまとめると,次のようになる。

ヒロ
ヒロ

次の解法は特性方程式が異なる2つの解をもつときに使える。

漸化式パターン1(等比型)に変形する解法
  1. 特性方程式を解いて,$x=\alpha,~\beta$ を得る。
  2. $a_n\neq\alpha$ を証明する。
  3. $b_n=\dfrac{a_n-\beta}{a_n-\alpha}$ とおくと,$\{b_n\}$ が等比数列になる。
  4. $b_n$ を求める。
  5. $a_n=\dfrac{\alpha b_n-\beta}{b_n-1}$ より $a_n$ を求める。
ヒロ
ヒロ

次の2つの解法は特性方程式が異なる2つの解をもつときと重解をもつときの両方の場合で使える。

漸化式パターン2に変形する解法
  1. 特性方程式を解いて,$x=\alpha,~\beta$ を得る。
  2. $a_n\neq\alpha$ を証明する。
  3. $b_n=\dfrac{1}{a_n-\alpha}$ とおくと,パターン1(等差型)かパターン2になる。
  4. $b_n$ を求める。
  5. $a_n=\dfrac{1}{b_n}+\alpha$ より $a_n$ を求める。
漸化式パターン4に変形する解法
  1. 特性方程式を解いて,$x=\alpha,~\beta$ を得る。
  2. $b_n=a_n-\alpha$ とおくと,パターン4になる。
  3. $b_n\neq0$ を証明する。
  4. $b_n$ を求める。
  5. $a_n=b_n+\alpha$ より $a_n$ を求める。
ヒロ
ヒロ

次の解法は $a_{n+1}=p+\dfrac{q}{a_n}$ のときに有効。

漸化式パターン6に変形する解法
  1. 漸化式の両辺に $a_na_{n-1}\cdots a_2a_1$ を掛ける。
  2. $a_na_{n-1}\cdots a_2a_1=b_n$ とおくと $b_{n+2}=pb_{n+1}+qb_n$ となる。
  3. パターン6になるから,$b_n$ を求める。
  4. $a_n=\dfrac{b_n}{b_{n-1}}$ より $a_n$ を求める。
ヒロ
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次に,パターン10の連立漸化式に帰着させる方法を考える。

漸化式 $a_{n+1}=\dfrac{pa_n+q}{ra_n+s}$ において,$a_n=\dfrac{b_n}{c_n}$ とおくと
\begin{align*}
&a_{n+1}=\dfrac{p\Cdot\dfrac{b_n}{c_n}+q}{r\Cdot\dfrac{b_n}{c_n}+s} \\[4pt]
&\dfrac{b_{n+1}}{c_{n+1}}=\dfrac{pb_n+qc_n}{rb_n+sc_n}
\end{align*}
よって,
\begin{align*}
\begin{cases}
b_{n+1}=pb_n+qc_n \\[4pt]
c_{n+1}=rb_n+sc_n
\end{cases}
\end{align*}
と定めると,パターン10に帰着できる。
【注意】$b_n$ と $c_n$ が互いに素でなければ,分母と分子に分離することはできない。簡単な例を挙げると,$\dfrac{b}{a}=\dfrac{3}{2}$ から $a=2,~b=3$ とすることはできないのと同じ。$a$ と $b$ が互いに素でなければ,$a=4,~b=6$ でも $\dfrac{b}{a}=\dfrac{3}{2}$ を満たす。
漸化式パターン10に変形する解法
  1. $a_n=\dfrac{b_n}{c_n}$ とおいて,$a_{n+1}=\dfrac{pb_n+qc_n}{rb_n+sc_n}$ を得る。
  2. $b_n$ と $c_n$ が互いに素であることを示す。
  3. $b_{n+1},~c_{n+1}$ を $b_n,~c_n$ で表す。
  4. パターン10の連立漸化式を好きな解法で解いて,$b_n,~c_n$ を求める。
  5. $a_n=\dfrac{b_n}{c_n}$ より $a_n$ を求める。

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