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パターン10に変形する誘導
a_1=0,~a_{n+1}=\dfrac{1}{1+a_n}~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
(1) $b_{n+1},~c_{n+1}$ を $b_n,~c_n$ で表すと $b_{n+1}=\myhako,~c_{n+1}=\myhako$ である。
(2) $p$ を定数とする。$n\geqq2$ のとき,数列 $\{c_n\}$ において,漸化式 $c_{n+1}=p(c_n+c_{n-1})$ が成り立つならば,$p=\myhako$ である。この漸化式から $n\geqq2$ のとき
&c_{n+1}-\alpha c_n=\beta(c_n-\alpha c_{n-1}) \\[4pt]
&c_{n+1}-\beta c_n=\alpha(c_n-\beta c_{n-1})
\end{align*}
(3) $\alpha,~\beta$ を(2)で求めたものとする。一般項 $c_n$ を $\alpha,~\beta,~n$ で表すと $c_n=\myhako$ である。また,一般項 $a_n$ を $\alpha,~\beta,~n$ で表すと $a_n=\myhako$ である。したがって,数列 $\{a_n\}$ は収束し,$\dlim{n\to\infty}a_n=\myhako$ である。
分母と分子を別々の数列として定める誘導。$b_{n+1}$ と $c_{n+1}$ はそれぞれ $a_{n+1}$ の分母と分子だから,$a_{n+1}$ がどんな分数式になるかを計算していこう。
$a_n=\dfrac{c_n}{b_n}$ と表すとき
a_{n+1}=\dfrac{1}{1+\dfrac{c_n}{b_n}}=\dfrac{b_n}{b_n+c_n}
\end{align*}
ここですぐに $b_{n+1}=b_n+c_n,~$$c_{n+1}=b_n$ とすることはできない。$b_n$ と $c_n$ は互いに素な自然数と定められているから。よって,$b_n+c_n$ と $b_n$ が互いに素であることを示しておこう。
ユークリッドの互除法,背理法などを利用して証明しよう。
2つの数 $a,~b$ の最大公約数を $g(a,~b)$ と表すことにする。また,$a$ を $b$ で割ったときの商を $q$ とし,余りを $r$ とすると
a=bq+r~(b>r)
\end{align*}
g(a,~b)=g(b,~r)
\end{align*}
ある命題 $P$ を証明したいとき,$P$ が偽であると仮定して,そこから矛盾を導くことによって,$P$ が偽であるという仮定は誤りであり,$P$ は真であると結論付ける証明方法。
ここではユークリッドの互除法を利用して証明する。丁寧に書いておくよ。
2つの数 $a,~b$ の最大公約数を $g(a,~b)$ と表すことにすると,$b_n$ と $c_n$ は互いに素な自然数であるから $g(b_n,~c_n)=1$ である。$b_n+c_n=b_n\Cdot1+c_n$ であるから,ユークリッドの互除法より
g(b_n+c_n,~b_n)=g(b_n,~c_n)=1
\end{align*}
b_{n+1}=b_n+c_n,~c_{n+1}=b_n
\end{align*}
これでパターン10の連立漸化式になった。パターン10をしっかり学習している人にとっては誘導など必要ないのであるが,今回は隣接三項間漸化式へ誘導されているので,それに従おう。
固有方程式を利用して,先に $p$ の値を求めておこう。
1 & 1 \\
1 & 0
\end{pmatrix}$ の固有方程式 $x^2-x-1=0$ を解くと,$x=\dfrac{1\pm\sqrt{5}}{2}$
$\alpha>\beta$ より
(\alpha,~\beta)=\left(\dfrac{1+\sqrt{5}}{2},~\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}\right)
\end{align*}
※ $p$ だけを求めるなら2次方程式を解かずに,解と係数の関係を利用すれば $p=1$ とすぐに分かる。
この問題は空欄を埋める試験なので,知識がある人は,上のようにすればすぐに空欄が埋まることになる。これは俗に言う「裏技解法」で,予備校講師に答えだけを聞いたときに,あり得ない速さで返ってくる理由の1つだよ。
この問題が記述式の場合は次のように解答を書いていこう。
(1)の結果より,$b_n=c_{n+1}$,$b_{n+1}=c_{n+2}$ であるから,$b_{n+1}=b_n+c_n$ に代入して
c_{n+2}=c_{n+1}+c_n
\end{align*}
c_{n+1}=c_n+c_{n-1}~\cdots\cdots①
\end{align*}
次は $\alpha,~\beta$ を求めよう。
次に,
&c_{n+1}-\alpha c_n=\beta(c_n-\alpha c_{n-1}) \\[4pt]
&c_{n+1}-\beta c_n=\alpha(c_n-\beta c_{n-1})
\end{align*}
c_{n+1}=(\alpha+\beta)c_n-\alpha\beta c_{n-1}
\end{align*}
\alpha+\beta=1~~かつ~~\alpha\beta=-1
\end{align*}
x^2-x-1=0
\end{align*}
$\alpha>\beta$ より,$\alpha=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}$,$\beta=\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}$ である。
(2)を利用して一般項 $c_n$ を求めよう。
(2)の結果より,数列 $\{c_{n+1}-\alpha c_n\}$ は公比 $\beta$ の等比数列となるから
&c_{n+1}-\alpha c_n=(c_2-\alpha c_1)\beta^{n-1} \\[4pt]
&c_{n+1}-\alpha c_n=\beta^{n-1}~\cdots\cdots②
\end{align*}
&c_{n+1}-\beta c_n=(c_2-\beta c_1)\alpha^{n-1} \\[4pt]
&c_{n+1}-\beta c_n=\alpha^{n-1}~\cdots\cdots③
\end{align*}
c_n=\dfrac{\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}}{\alpha-\beta}
\end{align*}
a_n&=\dfrac{c_n}{c_{n+1}} \\[4pt]
&=\dfrac{\dfrac{\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}}{\alpha-\beta}}{\dfrac{\alpha^n-\beta^n}{\alpha-\beta}} \\[4pt]
&=\dfrac{\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}}{\alpha^n-\beta^n}
\end{align*}
最後は極限の問題。基本を理解していれば大丈夫だろう。
$\abs{\dfrac{\beta}{\alpha}}=\abs{\dfrac{1-\sqrt{5}}{1+\sqrt{5}}}<1$ より,$\dlim{n\to\infty}\left(\dfrac{\beta}{\alpha}\right)^n=0$ であるから
\dlim{n\to\infty}a_n&=\dlim{n\to\infty}\dfrac{\dfrac{1}{\alpha}-\dfrac{1}{\alpha}\left(\dfrac{\beta}{\alpha}\right)^{n-1}}{1-\left(\dfrac{\beta}{\alpha}\right)^n} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{\alpha}=\dfrac{2}{1+\sqrt{5}} \\[4pt]
&=\dfrac{\sqrt{5}-1}{2}
\end{align*}