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漸化式パターン11:分数型($a_{n+1}=(pa_n+q)/(ra_n+s)$)の解法

漸化式パターン11 数学IAIIB
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パターン10に変形する誘導

2012年 東海大・医次の条件によって定められる数列 $\{a_n\}$ がある。
\begin{align*}
a_1=0,~a_{n+1}=\dfrac{1}{1+a_n}~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
$n\geqq3$ のとき,$a_n$ を $a_n=\dfrac{c_n}{b_n}$ と表す。ここで,$b_n,~c_n$ は互いに素な自然数である。$n=1$ のとき,$b_1=1,~c_1=0$,$n=2$ のとき,$b_2=1,~c_2=1$ と定める。
(1) $b_{n+1},~c_{n+1}$ を $b_n,~c_n$ で表すと $b_{n+1}=\myhako,~c_{n+1}=\myhako$ である。
(2) $p$ を定数とする。$n\geqq2$ のとき,数列 $\{c_n\}$ において,漸化式 $c_{n+1}=p(c_n+c_{n-1})$ が成り立つならば,$p=\myhako$ である。この漸化式から $n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
&c_{n+1}-\alpha c_n=\beta(c_n-\alpha c_{n-1}) \\[4pt]
&c_{n+1}-\beta c_n=\alpha(c_n-\beta c_{n-1})
\end{align*}
を満たす定数 $\alpha,~\beta$ が定まる。$\alpha>\beta$ であるとき,$\alpha=\myhako$,$\beta=\myhako$ である。
(3) $\alpha,~\beta$ を(2)で求めたものとする。一般項 $c_n$ を $\alpha,~\beta,~n$ で表すと $c_n=\myhako$ である。また,一般項 $a_n$ を $\alpha,~\beta,~n$ で表すと $a_n=\myhako$ である。したがって,数列 $\{a_n\}$ は収束し,$\dlim{n\to\infty}a_n=\myhako$ である。
ヒロ
ヒロ

分母と分子を別々の数列として定める誘導。$b_{n+1}$ と $c_{n+1}$ はそれぞれ $a_{n+1}$ の分母と分子だから,$a_{n+1}$ がどんな分数式になるかを計算していこう。

【(1)の解答】
$a_n=\dfrac{c_n}{b_n}$ と表すとき
\begin{align*}
a_{n+1}=\dfrac{1}{1+\dfrac{c_n}{b_n}}=\dfrac{b_n}{b_n+c_n}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

ここですぐに $b_{n+1}=b_n+c_n,~$$c_{n+1}=b_n$ とすることはできない。$b_n$ と $c_n$ は互いに素な自然数と定められているから。よって,$b_n+c_n$ と $b_n$ が互いに素であることを示しておこう。

互いに素であることの証明

ユークリッドの互除法,背理法などを利用して証明しよう。

ユークリッドの互除法

2つの数 $a,~b$ の最大公約数を $g(a,~b)$ と表すことにする。また,$a$ を $b$ で割ったときの商を $q$ とし,余りを $r$ とすると

\begin{align*}
a=bq+r~(b>r)
\end{align*}
が成り立ち,
\begin{align*}
g(a,~b)=g(b,~r)
\end{align*}
となる。

背理法

ある命題 $P$ を証明したいとき,$P$ が偽であると仮定して,そこから矛盾を導くことによって,$P$ が偽であるという仮定は誤りであり,$P$ は真であると結論付ける証明方法。

ヒロ
ヒロ

ここではユークリッドの互除法を利用して証明する。丁寧に書いておくよ。

【(1)の解答の続き】
2つの数 $a,~b$ の最大公約数を $g(a,~b)$ と表すことにすると,$b_n$ と $c_n$ は互いに素な自然数であるから $g(b_n,~c_n)=1$ である。$b_n+c_n=b_n\Cdot1+c_n$ であるから,ユークリッドの互除法より
\begin{align*}
g(b_n+c_n,~b_n)=g(b_n,~c_n)=1
\end{align*}
となるから,$b_n+c_n$ と $b_n$ は互いに素である。よって,
\begin{align*}
b_{n+1}=b_n+c_n,~c_{n+1}=b_n
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

これでパターン10の連立漸化式になった。パターン10をしっかり学習している人にとっては誘導など必要ないのであるが,今回は隣接三項間漸化式へ誘導されているので,それに従おう。

ヒロ
ヒロ

固有方程式を利用して,先に $p$ の値を求めておこう。

$\begin{pmatrix}
1 & 1 \\
1 & 0
\end{pmatrix}$ の固有方程式 $x^2-x-1=0$ を解くと,$x=\dfrac{1\pm\sqrt{5}}{2}$
$\alpha>\beta$ より
\begin{align*}
(\alpha,~\beta)=\left(\dfrac{1+\sqrt{5}}{2},~\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}\right)
\end{align*}
となり,$p=\alpha+\beta=1$
※ $p$ だけを求めるなら2次方程式を解かずに,解と係数の関係を利用すれば $p=1$ とすぐに分かる。
ヒロ
ヒロ

この問題は空欄を埋める試験なので,知識がある人は,上のようにすればすぐに空欄が埋まることになる。これは俗に言う「裏技解法」で,予備校講師に答えだけを聞いたときに,あり得ない速さで返ってくる理由の1つだよ。

ヒロ
ヒロ

この問題が記述式の場合は次のように解答を書いていこう。

【(2)の解答】
(1)の結果より,$b_n=c_{n+1}$,$b_{n+1}=c_{n+2}$ であるから,$b_{n+1}=b_n+c_n$ に代入して
\begin{align*}
c_{n+2}=c_{n+1}+c_n
\end{align*}
よって,$n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
c_{n+1}=c_n+c_{n-1}~\cdots\cdots①
\end{align*}
が成り立つ。したがって,$c_{n+1}=p(c_n+c_{n-1})$ が成り立つならば,$p=1$ である。
ヒロ
ヒロ

次は $\alpha,~\beta$ を求めよう。

【(2)の解答の続き】
次に,
\begin{align*}
&c_{n+1}-\alpha c_n=\beta(c_n-\alpha c_{n-1}) \\[4pt]
&c_{n+1}-\beta c_n=\alpha(c_n-\beta c_{n-1})
\end{align*}
はともに
\begin{align*}
c_{n+1}=(\alpha+\beta)c_n-\alpha\beta c_{n-1}
\end{align*}
となるから①と係数比較をして,$\alpha,~\beta$ は
\begin{align*}
\alpha+\beta=1~~かつ~~\alpha\beta=-1
\end{align*}
を満たす。よって,$\alpha,~\beta$ は
\begin{align*}
x^2-x-1=0
\end{align*}
の2解であり,これを解くと,$x=\dfrac{1\pm\sqrt{5}}{2}$ となる。
$\alpha>\beta$ より,$\alpha=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}$,$\beta=\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}$ である。
ヒロ
ヒロ

(2)を利用して一般項 $c_n$ を求めよう。

【(3)の解答】
(2)の結果より,数列 $\{c_{n+1}-\alpha c_n\}$ は公比 $\beta$ の等比数列となるから
\begin{align*}
&c_{n+1}-\alpha c_n=(c_2-\alpha c_1)\beta^{n-1} \\[4pt]
&c_{n+1}-\alpha c_n=\beta^{n-1}~\cdots\cdots②
\end{align*}
同様に,数列 $\{c_{n+1}-\beta c_n\}$ は公比 $\alpha$ の等比数列となるから
\begin{align*}
&c_{n+1}-\beta c_n=(c_2-\beta c_1)\alpha^{n-1} \\[4pt]
&c_{n+1}-\beta c_n=\alpha^{n-1}~\cdots\cdots③
\end{align*}
$\dfrac{③-②}{\alpha-\beta}$ より
\begin{align*}
c_n=\dfrac{\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}}{\alpha-\beta}
\end{align*}
$b_n=c_{n+1}$ より
\begin{align*}
a_n&=\dfrac{c_n}{c_{n+1}} \\[4pt]
&=\dfrac{\dfrac{\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}}{\alpha-\beta}}{\dfrac{\alpha^n-\beta^n}{\alpha-\beta}} \\[4pt]
&=\dfrac{\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}}{\alpha^n-\beta^n}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

最後は極限の問題。基本を理解していれば大丈夫だろう。

【(3)の解答の続き】
$\abs{\dfrac{\beta}{\alpha}}=\abs{\dfrac{1-\sqrt{5}}{1+\sqrt{5}}}<1$ より,$\dlim{n\to\infty}\left(\dfrac{\beta}{\alpha}\right)^n=0$ であるから
\begin{align*}
\dlim{n\to\infty}a_n&=\dlim{n\to\infty}\dfrac{\dfrac{1}{\alpha}-\dfrac{1}{\alpha}\left(\dfrac{\beta}{\alpha}\right)^{n-1}}{1-\left(\dfrac{\beta}{\alpha}\right)^n} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{\alpha}=\dfrac{2}{1+\sqrt{5}} \\[4pt]
&=\dfrac{\sqrt{5}-1}{2}
\end{align*}

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