大小関係を表す不等式そのものは中学校で学習します。
しかし未知数 $x$ に関する不等式を解く問題は高校数学で学習します。
不等式の解は,ある値の範囲になることが多いのですが,不等式に未知数 $x$ とは異なる文字があるときに,何の文字の範囲を考えているのか訳が分からなくなる人がいます。
何を考えているのかしっかり把握することが大切です。
1次不等式の解が値を含むとは?
それでは次の問題を考えよう。
まず不等式の解を求めよう。
$3x+5>x-a$より,$x>\dfrac{-a-5}{2}$
この範囲が $x=3$ を含むから,次の図のようになればよい。
したがって
&\dfrac{-a-5}{2}<3~\cdots\cdots① \\[4pt]
&-a-5<6 \\[4pt]
&a>-11
\end{align*}
このような問題で最も注意すべきことは等号の有無。
\dfrac{-a-5}{2}<3~~,~~\dfrac{-a-5}{2}\leqq3
\end{align*}
実際に $\dfrac{-a-5}{2}=3$ として考えると,判別できる。
上図において,$\dfrac{-a-5}{2}<x$ の範囲に $x=3$ が入っているかどうかを考える。
別の解法も吸収しよう。
不等式の解の意味を考えると次のように解くことができる。
$x=3$ が不等式の解ということは,不等式の $x$ に3を代入すると,その不等式が成り立つということ。
次のポイントをしっかり理解しておこう。
- 1次不等式の解 $x\geqq a$ が $x=b$ を含むとき,$a\leqq b$が成り立つ。
- 1次不等式の解 $x>a$ が $x=b$ を含むとき,$a<b$ が成り立つ。
このようにポイントをまとめているが,これは形式上そうしているだけで,丸暗記しろとは言ってない。
1次不等式の解が値を含まないとは?
それでは次の問題を考えてみよう。
今度は「含まない」となっているけど,問題1の解法を理解できていたら,それほど難しくないだろう。
解が $x=-2$ を含まないとき,下の図のようになればよい。
したがって
&-2\leqq a+4~\cdots\cdots\cdots① \\[4pt]
&a\geqq-6
\end{align*}
$-2=a+4$ のときに,$-2$ は $x\geqq a+4$ の範囲に含まれないことを理解しよう。
「$x=-2$ を含まない」条件を満たすから $-2=a+4$ すなわち $a=-6$ のときも $a$ が取り得る値の範囲に含めなければならない。
否定の形で書かれているとややこしいけど,しっかり考えて答えるようにしよう。
特に,不等式の解の不等号の向きと,$a$ の値の範囲を表す不等式の不等号の向きとは別物であることをしっかり理解しないといけない。
それでは別の方法でも解いておこう。
$x=-2$ が不等式の解でないから,
&3\Cdota(-2)-4\leqq 2\Cdota(-2)+a \\[4pt]
&-10\leqq a-4 \\[4pt]
&a\geqq-6
\end{align*}
先程と同様,次のことを理解しておこう。
- 1次不等式の解 $x\geqq a$ が $x=b$ を含まないとき,$a>b$ が成り立つ。
- 1次不等式の解 $x>a$ が $x=b$ を含まないとき,$a\geqq b$ が成り立つ。
1次不等式の解が一致するとは?
それでは次の問題を考えることにしよう。
まずは与えられた不等式を解こう。
$5x-3>x+a$ より,
&4x>a+3 \\[4pt]
&x>\dfrac{a+3}{4}
\end{align*}
また,指定されている解 $x>2$ を数直線で表すと次のようになる。
2つの図で表した範囲が一致する条件を考えると,
&\dfrac{a+3}{4}=2 \\[4pt]
&a+3=8 \\[4pt]
&a=5
\end{align*}
1次不等式の解 $x>a$ が $x>b$ となるとき,$a=b$ が成り立つ。
1次不等式の解が含まれるとは?
それでは次の問題を考えよう。
「不等式の解が与えられた範囲に含まれる」の意味を理解しよう。
与えられた不等式の解を求めたあと,どう考えれば良いのかを先に考えておこう。
- 1次不等式の解 $x\geqq a$ が $x\geqq b$ に含まれるとき,$a\geqq b$ が成り立つ。
- 1次不等式の解 $x>a$ が $x>b$ に含まれるとき,$a\geqq b$ が成り立つ。
- 1次不等式の解 $x\geqq a$ が $x>b$ に含まれるとき,$a>b$ が成り立つ。
-
1次不等式の解 $x>a$ が $x\geqq b$ に含まれるとき,$a\geqq b$ が成り立つ。
安易に「不等式の解の等号があるから $a$ がみたす不等式にも等号をつける」とならないようにしよう。
上のことをしっかり理解することができていれば問題4も解けるはず。
間違っても上のポイントを丸覚えしようなんて思ってはいけない。
$5x+a<3x-2a$ より,$x<-\dfrac32a$ これが $x<2$ に含まれる条件は,$-\dfrac32a\leqq2$ これを解いて,$a\geqq\dfrac43$