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漸化式パターン12:3つの数列の連立漸化式の解法

漸化式パターン12 数学IAIIB

漸化式パターン12は3つの数列の連立漸化式ですが,最初から漸化式が与えられて,一般項を求める問題はあまり出題されません。

しかし,点が移動する確率に関する問題などでは,問題文から自分で漸化式を立てる場合があり,2つの数列の連立漸化式になることが良くあります。時には3つ以上の数列の連立漸化式になることもあります。仮に自分で漸化式を立てることができたとしても,それが解けなければ意味がありません。そうならないために,まずは3つの数列の連立漸化式を解くことで,式変形のコツなどをつかみましょう。

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例題1

2016年 香川大・医3つの数列 $\{a_n\}$,$\{b_n\}$,$\{c_n\}$ を次のように定める。
\begin{align*}
&a_1=3,~b_1=2,~c_1=1, \\[4pt]
&a_{n+1}=\dfrac{b_n+c_n}{4}, \\[4pt]
&b_{n+1}=\dfrac{c_n+a_n}{4}, \\[4pt]
&c_{n+1}=\dfrac{a_n+b_n}{4}~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
このとき,次の問に答えよ。
(1) $a_n+b_n+c_n$ を $n$ を用いて表せ。
(2) $a_n-b_n,~a_n-c_n$ をそれぞれ $n$ を用いて表せ。
(3) $a_n,~b_n,~c_n$ をそれぞれ $n$ を用いて表せ。
ヒロ
ヒロ

何度も言うが,例えば「$a_n$ を $n$ を用いて表せ。」とあれば,「数列 $\{a_n\}$ の漸化式を立てて,それを解くことによって $a_n$ を $n$ を用いて表せ。」と読むようにしよう。したがって,(1)は $a_{n+1}+b_{n+1}+c_{n+1}$ を計算していくことになる。

【(1)の解答】
3つの漸化式を加えると
\begin{align*}
a_{n+1}+b_{n+1}+c_{n+1}&=\dfrac{b_n+c_n}{4}+\dfrac{c_n+a_n}{4}+\dfrac{a_n+b_n}{4} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{2}(a_n+b_n+c_n)
\end{align*}
となるから,数列 $\{a_n+b_n+c_n\}$ は公比 $\dfrac{1}{2}$ の等比数列である。$a_1+b_1+c_1=6$ より
\begin{align*}
a_n+b_n+c_n=6\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(2)も(1)と同様に漸化式を作って解こう。

【(2)の解答】
与えられた漸化式より
\begin{align*}
a_{n+1}-b_{n+1}&=\dfrac{b_n+c_n}{4}-\dfrac{c_n+a_n}{4} \\[4pt]
&=-\dfrac{1}{4}(a_n-b_n)
\end{align*}
となるから,数列 $\{a_n-b_n\}$ は公比 $-\dfrac{1}{4}$ の等比数列である。$a_1-b_1=1$ より
\begin{align*}
a_n-b_n=\left(-\dfrac{1}{4}\right)^{n-1}
\end{align*}
同様にして
\begin{align*}
a_{n+1}-c_{n+1}&=\dfrac{b_n+c_n}{4}-\dfrac{a_n+b_n}{4} \\[4pt]
&=-\dfrac{1}{4}(a_n-c_n)
\end{align*}
となるから,数列 $\{a_n-c_n\}$ は公比 $-\dfrac{1}{4}$ の等比数列である。$a_1-c_1=2$ より
\begin{align*}
a_n-c_n=2\left(-\dfrac{1}{4}\right)^{n-1}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(1),(2)は(3)の誘導になっていると考えよう。$a_n+b_n+c_n$,$a_n-b_n$,$a_n-c_n$ の3つから $a_n$,$b_n$,$c_n$ を求める方法が分かれば終わり。

【(3)の解答】
(1),(2)の結果より
\begin{align*}
a_n&=\dfrac{1}{3}\{(a_n+b_n+c_n)+(a_n-b_n)+(a_n-c_n)\} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{3}\left\{6\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}+\left(-\dfrac{1}{4}\right)^{n-1}+2\left(-\dfrac{1}{4} \right)^{n-1}\right\} \\[4pt]
&=\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-2}+\left(-\dfrac{1}{4}\right)^{n-1} \\[4pt]
b_n&=\dfrac{1}{3}\{(a_n+b_n+c_n)-2(a_n-b_n)+(a_n-c_n)\} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{3}\left\{6\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}-2\left(-\dfrac{1}{4}\right)^{n-1}+2\left(-\dfrac{1}{4} \right)^{n-1}\right\} \\[4pt]
&=\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-2} \\[4pt]
c_n&=\dfrac{1}{3}\{(a_n+b_n+c_n)+(a_n-b_n)-2(a_n-c_n)\} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{3}\left\{6\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}+\left(-\dfrac{1}{4}\right)^{n-1}-4\left(-\dfrac{1}{4} \right)^{n-1}\right\} \\[4pt]
&=\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-2}-\left(-\dfrac{1}{4}\right)^{n-1}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

ここではパズルのように組み合わせを考えて3つとも求めたけど,$a_n$ が求まった後は,既に分かっている $a_n-b_n$ を用いて $b_n$ を求めても良い。

ヒロ
ヒロ

ただ,個人的にはこれくらいの計算は,すぐに出来るようにしておいた方が良いと思う。

例題2

2013年 筑波大3つの数列 $\{a_n\}$,$\{b_n\}$,$\{c_n\}$ が
\begin{align*}
&a_{n+1}=-b_n-c_n~(n=1,2,3,\cdots) \\[4pt]
&b_{n+1}=-c_n-a_n~(n=1,2,3,\cdots) \\[4pt]
&c_{n+1}=-a_n-b_n~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
および $a_1=a$,$b_1=b$,$c_1=c$ を満たすとする。ただし,$a,~b,~c$ は定数とする。
(1) $p_n=a_n+b_n+c_n$$~(n=1,2,3,\cdots)$ で与えられる数列 $\{p_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ を求めよ。
(2) 数列 $\{a_n\}$,$\{b_n\}$,$\{c_n\}$ の一般項を求めよ。
(3) 省略
ヒロ
ヒロ

(1)は $p_n$ の漸化式を立てて,それを解いて $p_n$ を求めてから $S_n$ を計算すれば良いね。

【(1)の解答】
与えられた3本の漸化式を加えて
\begin{align*}
p_{n+1}&=a_{n+1}+b_{n+1}+c_{n+1} \\[4pt]
&=(-b_n-c_n)+(-c_n-a_n)+(-a_n-b_n) \\[4pt]
&=-2(a_n+b_n+c_n) \\[4pt]
&=-2p_n
\end{align*}
となるから,数列 $\{p_n\}$ は公比 $-2$ の等比数列である。$p_1=a_1+b_1+c_1=a+b+c$ より
\begin{align*}
p_n=(a+b+c)\Cdota(-2)^{n-1}
\end{align*}
したがって
\begin{align*}
S_n&=\Sum{k=1}{n}p_k \\[4pt]
&=(a+b+c)\Sum{k=1}{n}(-2)^{k-1} \\[4pt]
&=(a+b+c)\Cdota\dfrac{1-(-2)^n}{1-(-2)} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{3}(a+b+c)\{1-(-2)^n\}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(2)は(1)で求めた $S_n$ の理由を考えよう。和と一般項の2つから連想されるものを考えると「階差数列」が出てくるのではないだろうか。

$a_{n+1}=-b_n-c_n$ から $a_{n+1}-a_n$ を考えると
\begin{align*}
a_{n+1}-a_n=-a_n-b_n-c_n=-p_n
\end{align*}
となるため,(1)で $S_n$ を求めた理由が理解できる。
【(2)の解答】
$a_{n+1}=-b_n-c_n$ より
\begin{align*}
a_{n+1}-a_n=-a_n-b_n-c_n=-p_n
\end{align*}
となるから,$n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
a_n&=a_1-\Sum{k=1}{n-1}p_k \\[4pt]
&=a-S_{n-1}
\end{align*}
(1)の結果より
\begin{align*}
a_n=a-\dfrac{1}{3}(a+b+c)\{1-(-2)^{n-1}\}
\end{align*}
これは $n=1$ のときも成り立つ。
ヒロ
ヒロ

残りの $b_n,~c_n$ については,与えられている漸化式が対称であることから,全く同じようにできるのはちょっとした計算ですぐに分かる。したがって,解答はガッツリ書かずに軽く書けば良いだろう。

$b_{n+1}=-c_n-a_n,~$$c_{n+1}=-a_n-b_n$ より
\begin{align*}
&b_{n+1}-b_n=-a_n-b_n-c_n=-p_n \\[4pt]
&c_{n+1}-c_n=-a_n-b_n-c_n=-p_n
\end{align*}
【(2)の解答の続き】
同様にして
\begin{align*}
&b_n=b-\dfrac{1}{3}(a+b+c)\{1-(-2)^{n-1}\} \\[4pt]
&c_n=c-\dfrac{1}{3}(a+b+c)\{1-(-2)^{n-1}\}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

減点されるのが怖いと感じる場合は,MEMOで書いた部分を書いておけば良い。

練習問題

2008年 金沢医科大三つの数列 $a_n,~b_n,~c_n$ が任意の $n=1,2,3,\cdots$ に対して,$a_n+b_n+c_n=1$ を満たしていて,$a_1=1,~$$b_1=c_1=0$ とする。また,$a_{n+1},~b_{n+1},~c_{n+1}$ は $a_n,~b_n,~c_n$ により
\begin{align*}
&a_{n+1}=\dfrac{1}{2}(b_n+c_n) \\[4pt]
&b_{n+1}=\dfrac{1}{2}(a_n+c_n)  \\[4pt]
&c_{n+1}=\dfrac{1}{2}(a_n+b_n) 
\end{align*}
と表されている。このとき,$a_n$ は $a_n=\dfrac{1}{\myhako}\left(1-\left(-\dfrac{\myhako}{\myhako}\right)^{n-2}\right)$ となる。さらに,$b_n$ は $b_n=\dfrac{\myhako}{\myhako}+\dfrac{1}{\myhako}\left(-\dfrac{\myhako}{\myhako}\right)^{n-2}$ となる。
ヒロ
ヒロ

空欄を埋めるタイプだけど,これといった誘導はない。漸化式をうまく利用して,1つの数列の漸化式を立てよう。

【解答】
$a_n+b_n+c_n=1$ より $b_n+c_n=1-a_n$ であるから,$a_{n+1}=\dfrac{1}{2}(b_n+c_n)$ より
\begin{align*}
&a_{n+1}=\dfrac{1}{2}(1-a_n) \\[4pt]
&a_{n+1}-\dfrac{1}{3}=-\dfrac{1}{2}\left(a_n-\dfrac{1}{3}\right)
\end{align*}
数列 $\left\{a_n-\dfrac{1}{3}\right\}$ は公比 $-\dfrac{1}{2}$ の等比数列であるから
\begin{align*}
&a_n-\dfrac{1}{3}=\left(a_1-\dfrac{1}{3}\right)\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1} \\[4pt]
&a_n=\dfrac{2}{3}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}+\dfrac{1}{3} \\[4pt]
&a_n=\dfrac{1}{3}\left\{1-\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-2}\right\}
\end{align*}
同様にすると
\begin{align*}
&b_{n+1}-\dfrac{1}{3}=-\dfrac{1}{2}\left(b_n-\dfrac{1}{3}\right)
\end{align*}
となるから
\begin{align*}
&b_n-\dfrac{1}{3}=\left(b_1-\dfrac{1}{3}\right)\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1} \\[4pt]
&b_n=\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{3}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1} \\[4pt]
&b_n=\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{6}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-2}
\end{align*}

まとめ

ヒロ
ヒロ

3つの数列の連立漸化式が最初に与えられて,一般項を求める問題はあまり出題されない。しかし,確率の問題では問題文から自力で連立漸化式を立てることになる。このような確率漸化式と呼ばれる問題では,自分で漸化式を立てた上で,それをノーヒントで解かなければならない。また,確率漸化式の問題では,4つ以上の数列の連立漸化式になることもある。

ヒロ
ヒロ

このパターン12は,そのための準備となるため,しっかり練習しておこう。

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