ここでは整数を並べてできる3の倍数の個数を求める問題について説明します。
まず,3の倍数の見分け方を知っておこう。
3の倍数各位の数字の和が3の倍数のとき,元の数は3の倍数である。
上の記事でも3の倍数を作る問題の説明をしましたが,扱う整数が多くなると結構大変です。
扱う整数が多くなっても,楽に解ける方法を知っておきましょう。
Contents
3の倍数を作る問題
ヒロ
実際に学校の定期テストで出題された次の問題を考えてみよう。
問題6個の数字0, 1, 2, 3, 4, 5がある。異なる3個の数字を用いてできる3桁の3の倍数の個数を求めよ。
各位の数字の和に着目した解法
ヒロ
まずは各位の数字の和に着目して解いてみよう。
ヒロ
各位の数字の和の最小は3で最大は12だから,3, 6, 9, 12の4つに場合分けをすれば良いね。
【考え方と解答】
各位の数の和を $N$ とする。
(i) $N=3$ のとき
$(0,~1,~2)$を用いてできる数であり,百の位は0以外でなければならないから
$(0,~1,~5),~(0,~2,~4),~(1,~2,~3)$を用いてできる数である。
$(0,~1,~5),~(0,~2,~4)$ のときは0を含んでいるから百の位に注意して,それぞれ
したがって,
$(0,~4,~5),~(1,~3,~5),~(2,~3,~4)$を用いてできる数だから,同様にして
$(3,~4,~5)$を用いてできる数だから,$3!=6$ 個
以上より,
各位の数の和を $N$ とする。
(i) $N=3$ のとき
$(0,~1,~2)$を用いてできる数であり,百の位は0以外でなければならないから
\begin{align*}
2\times2\times1=4~個
\end{align*}
(ii) $N=6$のとき2\times2\times1=4~個
\end{align*}
$(0,~1,~5),~(0,~2,~4),~(1,~2,~3)$を用いてできる数である。
$(0,~1,~5),~(0,~2,~4)$ のときは0を含んでいるから百の位に注意して,それぞれ
\begin{align*}
2\times2\times1=4~個
\end{align*}
$(1,~2,~3)$のときは異なる3個のものを並べるから $3!=6$ 個2\times2\times1=4~個
\end{align*}
したがって,
\begin{align*}
4\times2+3!=14~個
\end{align*}
(iii) $N=9$のとき4\times2+3!=14~個
\end{align*}
$(0,~4,~5),~(1,~3,~5),~(2,~3,~4)$を用いてできる数だから,同様にして
\begin{align*}
2\Cdota2\Cdota1+3!\times2=16~個
\end{align*}
(iv) $N=12$のとき2\Cdota2\Cdota1+3!\times2=16~個
\end{align*}
$(3,~4,~5)$を用いてできる数だから,$3!=6$ 個
以上より,
\begin{align*}
4+14+16+6=40~個
\end{align*}
4+14+16+6=40~個
\end{align*}
3で割った余りに着目した解法
ヒロ
6個の数字を3で割った余りで分類して考えよう。
【3で割った余りで分類して考える利点】
3で割った余りに着目することで,すべての自然数は次のように3つに分類できる。
\begin{align*}
&A=\{3k\mid k~は0以上の整数\} \\[4pt]
&B=\{3k+1\mid k~は0以上の整数\} \\[4pt]
&C=\{3k+2\mid k~は0以上の整数\}
\end{align*}
と表される。3つの数字の和が3の倍数になるのは次の4つのタイプに限られる。&A=\{3k\mid k~は0以上の整数\} \\[4pt]
&B=\{3k+1\mid k~は0以上の整数\} \\[4pt]
&C=\{3k+2\mid k~は0以上の整数\}
\end{align*}
(i) $A$ から3つの数字を選ぶ。
(ii) $B$ から3つの数字を選ぶ。
(iii) $C$ から3つの数字を選ぶ。
(iv) $A,~b,~C$ それぞれから1つずつ数字を選ぶ。
$k,~l,~m$ を整数として確認しておこう。
(i)のとき,選ぶ3つの数を $3k,~3l,~3m$ とすると
\begin{align*}
3k+3l+3m=3(k+l+m)
\end{align*}
となり3の倍数になる。3k+3l+3m=3(k+l+m)
\end{align*}
(ii)のとき,選ぶ3つの数を $3k+1$, $3l+1$, $3m+1$ とすると
\begin{align*}
(3k+1)+(3l+1)+(3m+1)=3(k+l+m+1)
\end{align*}
となり3の倍数になる。(3k+1)+(3l+1)+(3m+1)=3(k+l+m+1)
\end{align*}
(iii)のとき,選ぶ3つの数を $3k+2$, $3l+2$, $3m+2$ とすると
\begin{align*}
(3k+2)+(3l+2)+(3m+2)=3(k+l+m+2)
\end{align*}
(iv)のとき,選ぶ3つの数を $3k$, $3l+1$, $3m+2$ とすると(3k+2)+(3l+2)+(3m+2)=3(k+l+m+2)
\end{align*}
\begin{align*}
3k+(3l+1)+(3m+2)=3(k+l+m+1)
\end{align*}
となり3の倍数になる。3k+(3l+1)+(3m+2)=3(k+l+m+1)
\end{align*}
もっと楽に確認する方法として,余りの0, 1, 2だけに着目する方法がある。
0, 1, 2の3つの数字から重複を許して3つの数字を選び,その和が3の倍数になる組み合わせを探そう。
同じ数字を3つ選ぶか,0, 1, 2の3つの数字を選ぶかの全部で4パターンしかないことが分かるだろう。
このように,扱う数字が増えても,最大でも4つの場合分けしか存在しないから楽になるのである。
ヒロ
3で割った余りに着目して,問題を解いていこう。
6個の数字0, 1, 2, 3, 4, 5がある。異なる3個の数字を用いてできる3桁の3の倍数の個数を求めよ。
【考え方と解答】
0から5の6つの数字を次の3つのグループA, B, Cに分ける。
0は百の位では使えないため,$A$ から0を選ぶときと選ばないときで場合分けをして考える。
(i) $A$ から0を選ぶとき
$B,~C$ から1つずつ数字を選ぶ方法は,それぞれ2通りあるから,数字の選び方は $2\times2=4$ 通り。
また,その選んだ2つの数字と0を並べて3桁の整数を作る方法は,百の位に0を使えないことに注意して
$B,~C$ から1つずつ数字を選ぶ方法は,それぞれ2通りあるから,数字の選び方は $2\times2=4$ 通り。
また,その選んだ2つの数字と0を並べて3桁の整数を作る方法は,$3!=6$ 通り。
したがって,3桁の3の倍数は
0から5の6つの数字を次の3つのグループA, B, Cに分ける。
\begin{align*}
&A=\{0,~3\} \\[4pt]
&B=\{1,~4\} \\[4pt]
&C=\{2,~5\}
\end{align*}
3の倍数となるのは,A,~B,~Cの3つのグループからそれぞれ1つずつ数字を選ぶときである。&A=\{0,~3\} \\[4pt]
&B=\{1,~4\} \\[4pt]
&C=\{2,~5\}
\end{align*}
0は百の位では使えないため,$A$ から0を選ぶときと選ばないときで場合分けをして考える。
(i) $A$ から0を選ぶとき
$B,~C$ から1つずつ数字を選ぶ方法は,それぞれ2通りあるから,数字の選び方は $2\times2=4$ 通り。
また,その選んだ2つの数字と0を並べて3桁の整数を作る方法は,百の位に0を使えないことに注意して
\begin{align*}
2\Cdota2\Cdota1=4~通り
\end{align*}
したがって,3桁の3の倍数は2\Cdota2\Cdota1=4~通り
\end{align*}
\begin{align*}
4\times4=16~個
\end{align*}
(ii) $A$ から3を選ぶとき4\times4=16~個
\end{align*}
$B,~C$ から1つずつ数字を選ぶ方法は,それぞれ2通りあるから,数字の選び方は $2\times2=4$ 通り。
また,その選んだ2つの数字と0を並べて3桁の整数を作る方法は,$3!=6$ 通り。
したがって,3桁の3の倍数は
\begin{align*}
4\times6=24~個
\end{align*}
(i), (ii)より4\times6=24~個
\end{align*}
\begin{align*}
16+24=40~個
\end{align*}
16+24=40~個
\end{align*}
ヒロ
最初の解法では4通りに場合分けをしたが,この解法では2通りの場合分けで済んだ。
ヒロ
扱う数字が0から9の10個になると,より楽に感じるだろう。
3の倍数を作る問題2
ヒロ
それでは次の問題を解いてみよう。
問題10個の数字0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9がある。異なる3個の数字を用いてできる3桁の3の倍数の個数を求めよ。
各位の数字の和に着目した解法
ヒロ
まずは各位の数字の和に着目して解いてみよう。
ヒロ
各位の数字の和の最小は3で最大は24だから,3, 6, 9, 12, 15, 18, 21, 24の8つに場合分けをすれば良いね。
ヒロ
これは大変だけど,誰もやらないだろうから,ここでやっておくことにする。
【考え方と解答】
各位の数字の和を $N$ として,3つの数字の組み合わせを考える。
① $N=3$ のとき,$\{0,~1,~2\}$
② $N=6$ のとき,$\{0,~1,~5\}$, $\{0,~2,~4\}$, $\{1,~2,~3\}$
③ $N=9$ のとき,$\{0,1,8\}$, $\{0,2,7\}$, $\{0,3,6\}$, $\{0,4,5\}$, $\{1,2,6\}$, $\{1,3,5\}$, $\{2,3,4\}$
④ $N=12$ のとき,$\{0,3,9\}$, $\{0,4,8\}$, $\{0,5,7\}$, $\{1,2,9\}$, $\{1,3,8\}$, $\{1,4,7\}$, $\{1,5,6\}$, $\{2,3,7\}$, $\{2,4,6\}$, $\{3,4,5\}$
⑤ $N=15$ のとき,$\{0,6,9\}$, $\{0,7,8\}$, $\{1,5,9\}$, $\{1,6,8\}$, $\{2,4,9\}$, $\{2,5,8\}$, $\{2,6,7\}$, $\{3,4,8\}$, $\{3,5,7\}$, $\{4,5,6\}$
⑥ $N=18$ のとき,$\{1,8,9\}$, $\{2,7,9\}$, $\{3,6,9\}$, $\{3,7,8\}$, $\{4,5,9\}$, $\{4,6,8\}$, $\{5,6,7\}$
⑦ $N=21$ のとき,$\{4,8,9\}$, $\{5,7,9\}$, $\{6,7,8\}$
⑧ $N=24$ のとき,$\{7,8,9\}$
0を含まない組み合わせについては,3つの数字の並べ方は
各位の数字の和を $N$ として,3つの数字の組み合わせを考える。
① $N=3$ のとき,$\{0,~1,~2\}$
② $N=6$ のとき,$\{0,~1,~5\}$, $\{0,~2,~4\}$, $\{1,~2,~3\}$
③ $N=9$ のとき,$\{0,1,8\}$, $\{0,2,7\}$, $\{0,3,6\}$, $\{0,4,5\}$, $\{1,2,6\}$, $\{1,3,5\}$, $\{2,3,4\}$
④ $N=12$ のとき,$\{0,3,9\}$, $\{0,4,8\}$, $\{0,5,7\}$, $\{1,2,9\}$, $\{1,3,8\}$, $\{1,4,7\}$, $\{1,5,6\}$, $\{2,3,7\}$, $\{2,4,6\}$, $\{3,4,5\}$
⑤ $N=15$ のとき,$\{0,6,9\}$, $\{0,7,8\}$, $\{1,5,9\}$, $\{1,6,8\}$, $\{2,4,9\}$, $\{2,5,8\}$, $\{2,6,7\}$, $\{3,4,8\}$, $\{3,5,7\}$, $\{4,5,6\}$
⑥ $N=18$ のとき,$\{1,8,9\}$, $\{2,7,9\}$, $\{3,6,9\}$, $\{3,7,8\}$, $\{4,5,9\}$, $\{4,6,8\}$, $\{5,6,7\}$
⑦ $N=21$ のとき,$\{4,8,9\}$, $\{5,7,9\}$, $\{6,7,8\}$
⑧ $N=24$ のとき,$\{7,8,9\}$
0を含まない組み合わせについては,3つの数字の並べ方は
\begin{align*}
3!=6~通り
\end{align*}
0を含む組み合わせについては,3つの数字の並べ方は3!=6~通り
\end{align*}
\begin{align*}
2\Cdota2\Cdota1=4~通り
\end{align*}
よって,全部で2\Cdota2\Cdota1=4~通り
\end{align*}
\begin{align*}
30\times6+12\times4=228~個
\end{align*}
30\times6+12\times4=228~個
\end{align*}
ヒロ
これは疲れるね・・・
3で割った余りに着目した解法
ヒロ
10個の数字を3で割った余りで分類して考えよう。
【考え方と解答】
0から9の10個の数字を次の3つのグループA, B, Cに分ける。
(i) $A$ から3つの数字を選ぶとき
(ii) $B$ から3つの数字を選ぶとき
(iii) $C$ から3つの数字を選ぶとき
(iv) A,~B,~Cの3つのグループからそれぞれ1つずつ数字を選ぶときである。
(i)のとき
0を選ぶとき,残り2つの数字の選び方は,$\{3,~6\}$, $\{6,~9\}$, $\{6,~9\}$ の3通りある。
百の位は0以外であることに注意して
(ii)のとき
3桁の3の倍数の個数は,1, 4, 7の3つの数字を並べる方法と等しく $3!=6$ 個
(iii)のとき
3桁の3の倍数の個数は,2, 5, 8の3つの数字を並べる方法と等しく $3!=6$ 個
(iv)のとき
$B,~C$ から数字を選ぶ方法がそれぞれ3通りある。
$A$ から0を選ぶとき,百の位が0以外であることに注意して,3の倍数は
0から9の10個の数字を次の3つのグループA, B, Cに分ける。
\begin{align*}
&A=\{0,~3,~6,~9\} \\[4pt]
&B=\{1,~4,~7\} \\[4pt]
&C=\{2,~5,~8\}
\end{align*}
3の倍数となるのは,次の4つのときである。&A=\{0,~3,~6,~9\} \\[4pt]
&B=\{1,~4,~7\} \\[4pt]
&C=\{2,~5,~8\}
\end{align*}
(i) $A$ から3つの数字を選ぶとき
(ii) $B$ から3つの数字を選ぶとき
(iii) $C$ から3つの数字を選ぶとき
(iv) A,~B,~Cの3つのグループからそれぞれ1つずつ数字を選ぶときである。
(i)のとき
0を選ぶとき,残り2つの数字の選び方は,$\{3,~6\}$, $\{6,~9\}$, $\{6,~9\}$ の3通りある。
百の位は0以外であることに注意して
\begin{align*}
3\times2\Cdota2\Cdota1=12~個
\end{align*}
0を選ばないとき,3, 6, 9を選ぶから,3桁の3の倍数は $3!=6$ 個3\times2\Cdota2\Cdota1=12~個
\end{align*}
(ii)のとき
3桁の3の倍数の個数は,1, 4, 7の3つの数字を並べる方法と等しく $3!=6$ 個
(iii)のとき
3桁の3の倍数の個数は,2, 5, 8の3つの数字を並べる方法と等しく $3!=6$ 個
(iv)のとき
$B,~C$ から数字を選ぶ方法がそれぞれ3通りある。
$A$ から0を選ぶとき,百の位が0以外であることに注意して,3の倍数は
\begin{align*}
3\Cdota3\times2\Cdota2\Cdota1=36~個
\end{align*}
$A$ から0を選ばないとき,$A$ から数字を選ぶ方法は3通りある。よって,3の倍数は3\Cdota3\times2\Cdota2\Cdota1=36~個
\end{align*}
\begin{align*}
3\Cdota3\Cdota3\times3!=162~個
\end{align*}
以上より3\Cdota3\Cdota3\times3!=162~個
\end{align*}
\begin{align*}
12+6+6+6+36+162=228~個
\end{align*}
12+6+6+6+36+162=228~個
\end{align*}
ヒロ
3の倍数であるためには,各位の数の和が3の倍数であることを知っておくべきであるが,3で割った余りで分類する考え方や解法も身に付けておくと良いだろう。