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底の変換公式を理解しよう
ヒロ
それでは底の変換公式の理解を深めよう。
【底を変えよう】
1つの整数を色々な底の対数で表すことで,その変化を調べてみよう。例えば,2を色々な底の対数で表してみる。底が2の場合は $2=\log_24$ となる。これがサクサク出てこないと話にならないので,「対数の性質と計算」の記事を読んでから戻ってきて欲しい。
底が4や8,16の場合も考えると,次のようになる。
1つの整数を色々な底の対数で表すことで,その変化を調べてみよう。例えば,2を色々な底の対数で表してみる。底が2の場合は $2=\log_24$ となる。これがサクサク出てこないと話にならないので,「対数の性質と計算」の記事を読んでから戻ってきて欲しい。
底が4や8,16の場合も考えると,次のようになる。
\begin{align*}
&2=\log_24,~~2=\log_416 \\[4pt]
&2=\log_864,~~2=\log_{16}256
\end{align*}
底が2から,$2^2=4$,$2^3=8$,$2^4=16$ と変化すると,それに伴って真数も4から,$4^2=16$,$4^3=64$,$4^4=256$ と変化していることが分かる。このことは,対数の定義を考えると当たり前に感じることができるだろう。&2=\log_24,~~2=\log_416 \\[4pt]
&2=\log_864,~~2=\log_{16}256
\end{align*}
ヒロ
この結果,次の公式が得られる。
底の変換公式I$a$ を1でない正の数,$b$ を正の数,$m,n$ を実数とすると
\begin{align*}
\log_{a^m}b^n=\dfrac{n}{m}\log_ab
\end{align*}
が成り立つ。特に $m=n$ のとき\log_{a^m}b^n=\dfrac{n}{m}\log_ab
\end{align*}
\begin{align*}\log_ab=\log_{a^n}b^n\end{align*}
ヒロ
上の公式も利用価値は高いが,累乗数ではない数に底を変えたいときもあるだろう。
【底を自由に変える】
例えば2を底が2の対数で表すと $2=\log_24$ となるが,底を3に変えたいとする。さっきの考え方を利用すると,底を2から3に変えるには,「2を何乗すると3になるか」を考えればよい。対数の性質から $2^{\log_23}=3$ であることが分かり,底の変換公式I「$\log_ab=\log_{a^n}b^n$ 」より
例えば2を底が2の対数で表すと $2=\log_24$ となるが,底を3に変えたいとする。さっきの考え方を利用すると,底を2から3に変えるには,「2を何乗すると3になるか」を考えればよい。対数の性質から $2^{\log_23}=3$ であることが分かり,底の変換公式I「$\log_ab=\log_{a^n}b^n$ 」より
\begin{align*}
\log_24&=\log_{2^{\log_23}}4^{\log_23} \\[4pt]
&=\log_34^{\log_23}
\end{align*}
となり,底を2から3に変えることができる。さらに対数の性質を利用して変形すると,次のようになる。\log_24&=\log_{2^{\log_23}}4^{\log_23} \\[4pt]
&=\log_34^{\log_23}
\end{align*}
\begin{align*}
\log_24=\log_23\Cdota\log_34
\end{align*}
\log_24=\log_23\Cdota\log_34
\end{align*}
ヒロ
底の変換公式を導く途中であるが,別の公式が得られる。
対数のリレー公式$a,~b$ を1でない正の数とし,$c$ を正の数とすると
\begin{align*}
\log_ab\Cdota\log_bc=\log_ac
\end{align*}
が成り立つ。真数と底が等しいときは,連結することができる公式である。これは3つでも4つでも連結することができる。ちなみに3つの場合は次のようになる。次の式では,$a,~b,~c$ は1でない正の数であり,$d$ は正の数とする。\log_ab\Cdota\log_bc=\log_ac
\end{align*}
\begin{align*}
\log_ab\Cdota\log_bc\Cdota\log_cd=\log_ad
\end{align*}
また,循環する場合は1となることも知っておこう。\log_ab\Cdota\log_bc\Cdota\log_cd=\log_ad
\end{align*}
\begin{align*}
&\log_ab\Cdota\log_ba=1 \\[4pt]
&\log_ab\Cdota\log_bc\Cdota\log_ca=1
\end{align*}
&\log_ab\Cdota\log_ba=1 \\[4pt]
&\log_ab\Cdota\log_bc\Cdota\log_ca=1
\end{align*}
ヒロ
個人的に「対数のリレー公式」と呼んでいるだけであり,一般的な呼称ではない。
ヒロ
さて,底の変換公式の話に戻ろう。
【底の変換公式の導出へ】
先程計算した $\log_24=\log_23\Cdot\log_34$ から
先程計算した $\log_24=\log_23\Cdot\log_34$ から
\begin{align*}
\log_34=\dfrac{\log_24}{\log_23}
\end{align*}
と変形することができる。底を2から3に変えようと変形したら,逆に「底を3から2に変換する公式」が得られた。文字を使った式でも考えておこう。リレー公式から $\log_ca\Cdot\log_ab=\log_cb$ が成り立つから\log_34=\dfrac{\log_24}{\log_23}
\end{align*}
\begin{align*}
\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}
\end{align*}
となる。\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}
\end{align*}
ヒロ
これで底の変換公式の導出ができたことになる。
底の変換公式II$a,~b,~c$ を1でない正の数とするとき
\begin{align*}
\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}
\end{align*}
が成り立つ。特に $c=b$ とすると\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}
\end{align*}
\begin{align*}
\log_ab=\dfrac{1}{\log_ba}
\end{align*}
となる。これは底と真数を入れ換えると逆数になることを表している。\log_ab=\dfrac{1}{\log_ba}
\end{align*}
ヒロ
入試問題で「底の変換公式を証明せよ」と出題された場合は,次のように書くのが良いだろう。
【底の変換公式の証明】
$a^{\log_ab}=b$ の両辺に対して,底を $c$ とする対数をとると
$a^{\log_ab}=b$ の両辺に対して,底を $c$ とする対数をとると
\begin{align*}
&\log_ca^{\log_ab}=\log_cb \\[4pt]
&\log_ab\Cdota\log_ca=\log_cb \\[4pt]
&\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}
\end{align*}
&\log_ca^{\log_ab}=\log_cb \\[4pt]
&\log_ab\Cdota\log_ca=\log_cb \\[4pt]
&\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}
\end{align*}