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インボリュート曲線【伸開線】(曲線の長さ・接線)

インボリュート曲線(伸開線)数学III
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インボリュート曲線(伸開線)とは,与えられた曲線に巻きつけられた糸を弛まないように引っ張りながら剥がしていくときの端点が描く曲線である。

例えば,円の伸開線は次のようになる。
円の伸開線

また,別の例として,カテナリーの伸開線は次のようになる。
カテナリーの伸開線

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円の伸開線に関する入試問題

2018年 順天堂大原点を中心とする半径1の円Oがある。伸び縮みしない長さ $2\pi$ の糸が一端を点 $\mathrm{A}(1,~0)$ に固定され,点Aから時計回りに円Oに巻き付けられている。はじめ,糸のもう一方の端点Pは点Aにある。糸を張ったままほどくと,糸の一部は円Oの円周上にあり,糸の残りの部分は直線状になる。下図のように少しほどいたときの円周上の部分と直線状の部分の境の点を $\mathrm{Q}(\cos\theta,~\sin\theta)$ とする。このとき
\begin{align*}
\Vec{OP}&=(x(\theta),~y(\theta)) \\[4pt]&=(\cos\theta,~\sin\theta)+\theta(\cos(\theta+a\pi),~\sin(\theta+a\pi))
\end{align*}
と表すことができ,$-1<a\leqq1$ とすると $a=\dfrac{\myBox{アイ}}{\myBox{ウ}}$ である。$\theta$ が $\alpha$ となるまでほどいたとき,点Pのえがく曲線の長さは
\begin{align*}
\dint{0}{\alpha}\!\!\!\sqrt{(x'(\theta))^2+(y'(\theta))^2}\;d\theta=b\alpha^c
\end{align*}
となる。ここで
\begin{align*}
b=\dfrac{\myBox{エ}}{\myBox{オ}},~c=\myBox{カ}
\end{align*}
である。
したがって,糸がちょうどほどき終わるまでに点Pのえがく曲線の長さを $d\pi^f$ とすると,
\begin{align*}
d=\myBox{キ},~f=\myBox{カ}
\end{align*}
である。
2018年 順天堂大 円の伸開線
ヒロ
ヒロ

1つのベクトルに垂直なベクトルをすぐに作れるようにしよう。

垂直なベクトル$\vec{p}=(a,~b)$ を始点のまわりに $\dfrac{\pi}{2}$ だけ回転させたベクトルを $\vec{q}$ とすると
\begin{align*}
\vec{q}=(-b,~a)
\end{align*}
と表すことができる。特に,$\vec{p}=(\cos\theta,~\sin\theta)$ のときは角のみを考えるだけで良いため,
\begin{align*}
\vec{q}=\left(\cos\left(\theta+\dfrac{\pi}{2}\right),~\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{2}\right)\right)
\end{align*}
となり,楽に垂直なベクトルを作ることができる。
ヒロ
ヒロ

$x$ 成分と $y$ 成分のどちらにマイナスを付けるのか覚えられない人は,複素数平面で考えると良いかもね。

複素数平面上で原点のまわりに $\dfrac{\pi}{2}$ だけ回転するときは
\begin{align*}
\cos\dfrac{\pi}{2}+i\sin\dfrac{\pi}{2}=i
\end{align*}
を掛ければ良いから,複素数平面上の点 $\mathrm{P}(a+bi)$ を原点のまわりに $\dfrac{\pi}{2}$ だけ回転させた点Qを表す複素数は
\begin{align*}
(a+bi)i=-b+ai
\end{align*}
となる。これは元の $xy$ 平面上では,点 $(a,~b)$ が点 $(-b,~a)$ に移されることを意味する。
ヒロ
ヒロ

符号を変えるのを使うか,角を変えたものを使うかは問題によって変えれば良いね。

【アイウ】
QPの長さは $\ko{\mathrm{AQ}}$ の長さに等しく,扇形OAQの半径は1で,中心角は $\theta$ であるから
\begin{align*}
\mathrm{QP}=\ko{\mathrm{AQ}}=\theta
\end{align*}
また,$\Vec{QP}$ の方向は $\Vec{OQ}$ をOのまわりに $-\dfrac{\pi}{2}$ だけ回転させた方向だから
\begin{align*}
\Vec{OP}&=\Vec{OQ}+\Vec{QP} \\[4pt]&=(\cos\theta,~\sin\theta)+\theta\left(\cos\left(\theta-\dfrac{\pi}{2}\right),~\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)\right)
\end{align*}
よって,$a=\dfrac{-1}{2}$ である。
ヒロ
ヒロ

次は曲線の長さを求めよう。

【エオカ】
\begin{align*}
\begin{cases}
x(\theta)=\cos\theta+\theta\sin\theta \\[4pt]y(\theta)=\sin\theta-\theta\cos\theta
\end{cases}
\end{align*}
より
\begin{align*}
x'(\theta)&=-\sin\theta+\sin\theta+\theta\cos\theta \\[4pt]&=\theta\cos\theta \\[4pt]y'(\theta)&=\cos\theta-\cos\theta+\theta\sin\theta \\[4pt]&=\theta\sin\theta
\end{align*}
となるから
\begin{align*}
(x'(\theta))^2+(y'(\theta))^2=\theta^2
\end{align*}
よって,求める曲線の長さ $L$ は
\begin{align*}
L&=\dint{0}{\alpha}\sqrt{(x'(\theta))^2+(y'(\theta))^2}\;d\theta \\[4pt]&=\dint{0}{\alpha}\theta\;d\theta \\[4pt]&=\Tint{\dfrac{1}{2}\theta^2}{0}{\alpha} \\[4pt]&=\dfrac{1}{2}\alpha^2
\end{align*}
したがって,$b=\dfrac{1}{2},~c=2$ である。
これより,糸がちょうどほどき終わるまでに点Pのえがく曲線の長さは $\alpha=2\pi$ を代入して
\begin{align*}
\dfrac{1}{2}(2\pi)^2=2\pi^2
\end{align*}
となるから,$d=2,~f=2$ である。

カテナリーの伸開線に関する入試問題

2017年 名古屋市立大$xy$ 平面上の曲線 $C:y=f(x)$ に関し,以下の問いに答えよ。ただし,
\begin{align*}
f(x)=\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}
\end{align*}
である。
(1) $f(x)$ は以下の関係式を満たすことを示せ。
 (i) $\{f(x)\}^2-\{f'(x)\}^2=1$
 (ii) $f^{\prime\prime}(x)=f(x)$
ただし,$f'(x)$ および $f^{\prime\prime}(x)$ は,それぞれ,$f(x)$ の $x$ に関する1階および2階の導関数を表す。
(2) 曲線 $C$ 上の点 $\mathrm{A}(a,~f(a))$ と点 $\mathrm{B}(0,~f(0))$ の間の曲線の長さ $L$ を求めよ。ただし,$a$ は $a\geqq0$ を満たす定数である。
(3) 点Aにおける曲線 $C$ の接線上に点 $\mathrm{P}(X,~Y)$ をAPの距離が $L$ に等しくなるようにとる。ただし,$X\leqq a$ とする。このとき,$X$ および $Y$ を,$a$ を用いて表せ。
(4) 点Aを動かしたときに点Pの描く曲線を $D$ とする。$a>0$ のとき,曲線 $C$ の点Aにおける接線と曲線 $D$ の点Pにおける接線は常に直交することを示せ。
ヒロ
ヒロ

$f(x)$ を見てカテナリーだと気付けるようにしよう。

ヒロ
ヒロ

(1)(i)は左辺を計算して1になることを示そう。

【(1)(i)の解答】
$f(x)=\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}$ より
\begin{align*}
f'(x)=\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
\{f(x)\}^2-\{f'(x)\}^2&=\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}\right)^2-\left(\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}\right)^2 \\[4pt]
&={\color[named]{RoyalBlue}\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}+\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}\right)\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}-\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}\right)} \\[4pt]
&=e^{x}\Cdota e^{-x} \\[4pt]
&=1
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

青字部分は $(\quad)^2-(\quad)^2$ の因数分解を利用して計算している。

ヒロ
ヒロ

(1)(ii)も左辺を計算して右辺になることを示そう。

【(1)(ii)の解答】
$f'(x)=\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}$ より
\begin{align*}
f^{\prime\prime}=\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}
\end{align*}
であるから,$f^{\prime\prime}(x)=f(x)$ が成り立つ。
ヒロ
ヒロ

カテナリーの記事では触れていなかったが,(1)の等式はカテナリーの非常に有名な性質。

【双曲線関数】
\begin{align*}
\sinh x=\dfrac{e^x-e^{-x}}{2},~\cosh x=\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}
\end{align*}
と定義される $\sinh,~\cosh$ はそれぞれ双曲線正弦関数(ハイパボリックサイン),双曲線余弦関数(ハイパボリックコサイン)と呼ばれる関数である。また,双曲線正接関数(ハイパボリックタンジェント)は
\begin{align*}
\tanh x=\dfrac{\sinh x}{\cosh x}
\end{align*}
と定義されている。これらの定義から,次のように三角関数の相互関係と似たような関係式が得られる。
\begin{align*}
&\cosh^2x-\sinh^2x=1 \\[4pt]
&1-\tanh^2x=\dfrac{1}{\cosh^2x} \\[4pt]
&\dfrac{1}{\tanh^2x}-1=\dfrac{1}{\sinh^2x}
\end{align*}
さらに,導関数を考えると,次のように三角関数の導関数と似たような結果が得られる。
\begin{align*}
&\dfrac{d}{dx}\sinh x=\cosh x,~~\dfrac{d}{dx}\cosh x=\sinh x \\[4pt]
&\dfrac{d}{dx}\tanh x=\dfrac{1}{\cosh^2x},~~\dfrac{d}{dx}\dfrac{1}{\tanh x}=-\dfrac{1}{\sinh^2x}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

このような高校数学を超えた範囲も知っておくと,入試問題が簡単なものであるように感じるだろう。

ヒロ
ヒロ

曲線の長さの公式を考えたときに,「(1)(i)を再利用できる!」と気付ければ計算量を減らすことができるね。

【(2)の解答】
(1)(i)の結果より
\begin{align*}
1+\{f'(x)\}^2=\{f(x)\}^2
\end{align*}
であり,$f(x)>0$ であるから,求める曲線の長さ $L$ は
\begin{align*}
L&=\dint{0}{a}\sqrt{1+\{f'(x)\}^2}\;dx \\[4pt]
&=\dint{0}{a}f(x)\;dx \\[4pt]
&=\dint{0}{a}\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}\;dx \\[4pt]
&=\Tint{\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}}{0}{a} \\[4pt]
&=\dfrac{e^a-e^{-a}}{2}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(3)の問題文から伸開線だと分かるね。

【(3)の解答】
点Aにおける接線の単位方向ベクトルを $\vec{d}$ とすると
\begin{align*}
\vec{d}&=\dfrac{1}{\sqrt{1+\{f'(a)\}^2}}(1,~f'(a)) \\[4pt]
&=\dfrac{1}{f(a)}(1,~f'(a))
\end{align*}
であり,$L=f'(a)$ であるから,
\begin{align*}
\Vec{OP}&=\Vec{OA}-L\vec{d} \\[4pt]
&=(a,~f(a))-\dfrac{f'(a)}{f(a)}(1,~f'(a))
\end{align*}
となる。
2017年 名古屋市立大 カテナリーの伸開線
したがって
\begin{align*}
X&=a-\dfrac{f'(a)}{f(a)} \\[4pt]
&=a-\dfrac{e^a-e^{-a}}{e^a+e^{-a}} \\[4pt]
Y&=f(a)-\dfrac{f'(a)}{f(a)}f'(a) \\[4pt]
&=\dfrac{\{f(a)\}^2-\{f'(a)\}^2}{f(a)} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{f(a)} \\[4pt]
&=\dfrac{2}{e^a+e^{-a}}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(3)をベクトルで考えていれば,(4)もベクトルで考えるはずで,内積が0になることを示せば良いんだなと思えるね。

ヒロ
ヒロ

$X,~Y$ が $a$ の関数になっているため,(3)で表した式は曲線 $D$ の媒介変数表示だと捉えることができる。ベクトルの各成分を微分して傾きを表すベクトルを求めよう。

【(4)の解答】
曲線 $D$ 上の点Pにおける接線の方向ベクトルを $\vec{m}$ とすると
\begin{align*}
\vec{m}=\left(\dfrac{dX}{da},~\dfrac{dY}{da}\right)
\end{align*}
となる。ここで
\begin{align*}
\dfrac{dX}{da}&=1-\dfrac{f^{\prime\prime}f(a)-\{f'(a)\}^2}{\{f(a)\}^2} \\[4pt]
&=1-\dfrac{\{f(a)\}^2-\{f'(a)\}^2}{\{f(a)\}^2} \\[4pt]
&=\dfrac{\{f'(a)\}^2}{\{f(a)\}^2} \\[4pt]
\dfrac{dY}{da}&=-\dfrac{f'(a)}{\{f(a)\}^2}
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
\vec{m}&=\dfrac{f'(a)}{\{f(a)\}^2}(f'(a),~-1)
\end{align*}
よって
\begin{align*}
\vec{d}\Cdota\vec{m}&=\dfrac{1}{f(a)}(1,~f'(a))\Cdota\dfrac{f'(a)}{\{f(a)\}^2}(f'(a),~-1) \\[4pt]
&=0
\end{align*}
となるから,曲線 $C$ の点Aにおける接線と曲線 $D$ の点Pにおける接線は常に直交する。

まとめ

ヒロ
ヒロ

インボリュート曲線(伸開線)は入試問題によく出るわけではないが,出題されたときに全く手が出ないということがない状態にしておこう。

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