Contents
- ページ1
- 1 積和公式
- ページ2
- 1 和積公式
- 2 積和公式の導出
- ページ3
- 1 和積公式の導出
- ページ4
- 1 2019年 北見工業大
- 2 2019年 首都大学東京
2019年 北見工業大
2019年 北見工業大$0\leqq\theta\leqq\pi$ とする。方程式 $\sin\theta+\sin2\theta+\sin3\theta=0$ の解は $\myhako$ である。
【考え方と解答】
三角関数の方程式や不等式の基本的な考え方として「角を統一する」がある。今回の場合なら,2倍角の公式や3倍角の公式を用いることで $\theta$ に統一することができる。ただし,$\cos\theta$ が含まれてしまうため,その処理をどうするかを考えなければならないだろう。
他の考え方として「因数分解」がある。つまり,和で表されている左辺を積で表すことができれば,右辺が0であるから,比較的簡単に解けるだろうと予想できる。項が3つあるから,どの2つを組み合わせるかを考えるが,どの組み合わせでも解ける。和積公式を利用すると,角は「和の半分」か「差の半分」になるから,$\sin\theta+\sin3\theta$ を積に変形する人が多いかもしれない。
$\sin\theta+\sin2\theta+\sin3\theta=0$ より
三角関数の方程式や不等式の基本的な考え方として「角を統一する」がある。今回の場合なら,2倍角の公式や3倍角の公式を用いることで $\theta$ に統一することができる。ただし,$\cos\theta$ が含まれてしまうため,その処理をどうするかを考えなければならないだろう。
他の考え方として「因数分解」がある。つまり,和で表されている左辺を積で表すことができれば,右辺が0であるから,比較的簡単に解けるだろうと予想できる。項が3つあるから,どの2つを組み合わせるかを考えるが,どの組み合わせでも解ける。和積公式を利用すると,角は「和の半分」か「差の半分」になるから,$\sin\theta+\sin3\theta$ を積に変形する人が多いかもしれない。
$\sin\theta+\sin2\theta+\sin3\theta=0$ より
\begin{align*}
&(\sin3\theta+\sin\theta)+\sin2\theta=0 \\[4pt]
&2\sin2\theta\cos\theta+\sin2\theta=0 \\[4pt]
&\sin2\theta(2\cos\theta+1)=0 \\[4pt]
&\sin2\theta=0,~\cos\theta=-\dfrac{1}{2}
\end{align*}
$0\leqq\theta\leqq\pi$ のとき,$0\leqq2\theta\leqq2\pi$ であるから $\sin2\theta=0$ より&(\sin3\theta+\sin\theta)+\sin2\theta=0 \\[4pt]
&2\sin2\theta\cos\theta+\sin2\theta=0 \\[4pt]
&\sin2\theta(2\cos\theta+1)=0 \\[4pt]
&\sin2\theta=0,~\cos\theta=-\dfrac{1}{2}
\end{align*}
\begin{align*}
&2\theta=0,~\pi,~2\pi \\[4pt]
&\theta=0,~\dfrac{\pi}{2},~\pi
\end{align*}
また,$\cos\theta=-\dfrac{1}{2}$ より&2\theta=0,~\pi,~2\pi \\[4pt]
&\theta=0,~\dfrac{\pi}{2},~\pi
\end{align*}
\begin{align*}
\theta=\dfrac{2}{3}\pi
\end{align*}
したがって,\theta=\dfrac{2}{3}\pi
\end{align*}
\begin{align*}
\theta=0,~\dfrac{\pi}{2},~\dfrac{2}{3}\pi,~\pi
\end{align*}
\theta=0,~\dfrac{\pi}{2},~\dfrac{2}{3}\pi,~\pi
\end{align*}
2019年 首都大学東京
2019年 首都大学東京(2) $N$ を自然数とする。次の等式を示しなさい。
\begin{align*}
(\cos x+\cos2x+\cdots+\cos Nx)\times2\sin\dfrac{x}{2}=\sin\left(Nx+\dfrac{x}{2}\right)-\sin\dfrac{x}{2}
\end{align*}
(3) $0<x<2\pi$ の範囲で (\cos x+\cos2x+\cdots+\cos Nx)\times2\sin\dfrac{x}{2}=\sin\left(Nx+\dfrac{x}{2}\right)-\sin\dfrac{x}{2}
\end{align*}
\begin{align*} \cos x+\cos2x+\cos3x+\cos4x=0 \end{align*}
をみたす $x$ をすべて求めなさい。ヒロ
(1)は積和公式の証明なので,省略している。
【(2)の考え方と解答】
(1)を省略しているが,(2)のヒントになっているため,(1)で証明するべき式を載せておく。
(1)を省略しているが,(2)のヒントになっているため,(1)で証明するべき式を載せておく。
\begin{align*} \cos\alpha\sin\beta=\dfrac{1}{2}\{\sin(\alpha+\beta)-\sin(\alpha-\beta)\} \end{align*}
この等式と(2)で示すべき等式を見比べると考え方も分かるかもしれない。(2)で示すべき等式の左辺は次のようになっている。 \begin{align*} &(\cos x+\cos2x+\cdots+\cos Nx)\times2\sin\dfrac{x}{2} \\[4pt] &2\cos x\sin\dfrac{x}{2}+2\cos2x\sin\dfrac{x}{2}+\cdots+2\cos Nx\sin\dfrac{x}{2} \end{align*}
それぞれの項において,(1)の積和公式を利用して和に変形しよう。$x$ の係数が1から $N$ まで変化しているが,1つずつ書くのは面倒なので,$x$ の係数を $k$ として,変形後に $k=1,~2,~\cdots,~N$ としよう。 \begin{align*} 2\cos kx\sin\dfrac{x}{2}&=\sin\left(kx+\dfrac{x}{2}\right)-\sin\left(kx-\dfrac{x}{2}\right) \\[4pt] &=\sin\dfrac{2k+1}{2}x-\sin\dfrac{2k-1}{2}x~\cdots\cdots① \end{align*}
①において,$k=1,~2,~\cdots,~N$ として辺々を加えると \begin{align*} &(\cos x+\cos2x+\cdots+\cos Nx)\times2\sin\dfrac{x}{2} \\[4pt] &=\left(\sin\dfrac{3}{2}x-\sin\dfrac{x}{2}\right)+\left(\sin\dfrac{5}{2}x-\sin\dfrac{3}{2}x\right)+\cdots+\left(\sin\dfrac{2N+1}{2}x-\sin\dfrac{2N-1}{2}x\right) \\[4pt] &=\sin\dfrac{3}{2}x+\sin\dfrac{5}{2}x+\cdots+\sin\dfrac{2N-1}{2}x+\sin\dfrac{2N+1}{2}x \\[4pt] & -\left(\sin\dfrac{x}{2}+\sin\dfrac{3}{2}x+\sin\dfrac{5}{2}x+\cdots+\sin\dfrac{2N-1}{2}x\right) \\[4pt] &=\sin\dfrac{2N+1}{2}x-\sin\dfrac{x}{2} \\[4pt] &=\sin\left(Nx+\dfrac{x}{2}\right)-\sin\dfrac{x}{2} \end{align*}
(3) $0<x<2\pi$ の範囲で
\begin{align*} \cos x+\cos2x+\cos3x+\cos4x=0 \end{align*}をみたす $x$ をすべて求めなさい。
【(3)の考え方と解答】
(2)の等式をうまく利用しよう。与えられた方程式の両辺に $2\sin\dfrac{x}{2}$ をかけると
(2)の等式をうまく利用しよう。与えられた方程式の両辺に $2\sin\dfrac{x}{2}$ をかけると
\begin{align*} &2(\cos x+\cos2x+\cos3x+\cos4x)\sin\dfrac{x}{2}=0 \\[4pt] &\sin\left(4x+\dfrac{x}{2}\right)-\sin\dfrac{x}{2}=0 \\[4pt] &\sin\dfrac{9}{2}x-\sin\dfrac{x}{2}=0 \\[4pt] &\cos\dfrac{5}{2}x\sin2x=0 \\[4pt] &\cos\dfrac{5}{2}x=0,~\sin2x=0 \end{align*}
$0<x<2\pi$ のとき,$0<\dfrac{5}{2}x<5\pi$ であるから,$\cos\dfrac{5}{2}x=0$ より \begin{align*} &\dfrac{5}{2}x=\dfrac{\pi}{2},~\dfrac{3}{2}\pi,~\dfrac{5}{2}\pi,~\dfrac{7}{2}\pi,~\dfrac{9}{2}\pi \\[4pt] &x=\dfrac{\pi}{5},~\dfrac{3}{5}\pi,~\pi,~\dfrac{7}{5}\pi,~\dfrac{9}{5}\pi \end{align*}
また $0<2x<4\pi$ であるから,$\sin2x=0$ より \begin{align*} &2x=\pi,~2\pi,~3\pi \\[4pt] &x=\dfrac{\pi}{2},~\pi,~\dfrac{3}{2}\pi \end{align*}
以上より,求める $x$ の値は \begin{align*} x=\dfrac{\pi}{5},~\dfrac{\pi}{2},~\dfrac{3}{5}\pi,~\pi,~\dfrac{7}{5}\pi,~\dfrac{3}{2}\pi,~\dfrac{9}{5}\pi \end{align*}