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特殊解を求めることで等比型に変形する
その1
ヒロ
前回のパターン2と同様に,特殊解を求める解法があるので,それも身に付けよう。
ヒロ
$a_{n+1}=2a_n+n$ において $a_n$ に $pn+q$ を代入したときに,$n$ が1つずれて,$a_{n+1}$ が $p(n+1)+q$ と表されるような $n$ の1次式 $pn+q$ が特殊解となる。
$a_{n+1}=2a_n+n$ に $a_n=pn+q,~a_{n+1}=p(n+1)+q$ を代入すると
\begin{align*}
&p(n+1)+q=2(pn+q)+n \\[4pt]
&pn+p+q=(2p+1)n+2q
\end{align*}
この等式がすべての自然数 $n$ で成り立つように $p,q$ を定めたいから,$n$ の恒等式とみて&p(n+1)+q=2(pn+q)+n \\[4pt]
&pn+p+q=(2p+1)n+2q
\end{align*}
\begin{align*}
&\begin{cases}
p=2p+1 \\[4pt]
p+q=2q
\end{cases} \\[4pt]
&\therefore p=-1,~q=-1
\end{align*}
&\begin{cases}
p=2p+1 \\[4pt]
p+q=2q
\end{cases} \\[4pt]
&\therefore p=-1,~q=-1
\end{align*}
ヒロ
これで特殊解が $a_n=-n-1$ と求まったね。つまり,$a_n$ から特殊解を引いたものを $b_n$ とおくと,数列 $\{b_n\}$ が基本形の数列になるっていうこと。実際に計算すると次のようになるよ。
$a_n+n+1=b_n$ とおくと,$a_{n+1}=b_{n+1}-n-2$ となるから,$a_{n+1}=2a_n+n$ に代入すると,
\begin{align*}
&b_{n+1}-n-2=2(b_n-n-1)+n \\[4pt]
&b_{n+1}=2b_n
\end{align*}
&b_{n+1}-n-2=2(b_n-n-1)+n \\[4pt]
&b_{n+1}=2b_n
\end{align*}
なるほど。確かに基本形の等比型になりましたね。
ヒロ
あとは $b_1$ を求めて終わりだね。
任せて下さい。
\begin{align*}
b_1&=a_1+2 \\[4pt]
&=1+2 \\[4pt]
&=3
\end{align*}
数列 $\{b_n\}$ は初項3,公比2の等比数列であるから,b_1&=a_1+2 \\[4pt]
&=1+2 \\[4pt]
&=3
\end{align*}
\begin{align*}
b_n=3\Cdota2^{n-1}
\end{align*}
$a_n=b_n-n-1$ より,b_n=3\Cdota2^{n-1}
\end{align*}
\begin{align*}
a_n=3\Cdota2^{n-1}-n-1
\end{align*}
a_n=3\Cdota2^{n-1}-n-1
\end{align*}
$n=1$ のときを確かめると,$a_1=3-1-1=1$ となるから大丈夫です。
ヒロ
$f(n)=pn+q$ と表されるタイプは誘導なしで出題されることが多いから,誘導なしでも解ける実力を身に付けよう。
その2
ヒロ
実際によく見る解法でもやっておこう。
$a_{n+1}=pa_n+qn+r$ の $qn+r$ を適当に分けて
ここで $(\ast)$ を展開して整理すると,$\spadesuit$ は $a_n$ の係数だと分かるから,通常は初めから $\spadesuit=p$ としている。つまり,
\begin{align*}
a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=\spadesuit(a_n+\alpha n+\beta)~\cdots\cdots(\ast)
\end{align*}
と変形できれば,$a_n+\alpha n+\beta=b_n$ とおくと,左辺が $b_{n+1}$ となるからa_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=\spadesuit(a_n+\alpha n+\beta)~\cdots\cdots(\ast)
\end{align*}
\begin{align*}
b_{n+1}=\spadesuit b_n
\end{align*}
となり,数列 $\{b_n\}$ が公比 $\spadesuit$ の等比数列となる。b_{n+1}=\spadesuit b_n
\end{align*}
ここで $(\ast)$ を展開して整理すると,$\spadesuit$ は $a_n$ の係数だと分かるから,通常は初めから $\spadesuit=p$ としている。つまり,
\begin{align*}
a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=p(a_n+\alpha n+\beta)
\end{align*}
を満たす $\alpha,~\beta$ を求めることを考える。a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=p(a_n+\alpha n+\beta)
\end{align*}
ヒロ
今回の問題では次のようになる。
\begin{align*}
a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=2(a_n+\alpha n+\beta)
\end{align*}
と変形できたとする。これを展開・整理するとa_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=2(a_n+\alpha n+\beta)
\end{align*}
\begin{align*}
a_{n+1}=2a_n+\alpha n-\alpha+\beta
\end{align*}
となる。これが元の漸化式と一致するのはa_{n+1}=2a_n+\alpha n-\alpha+\beta
\end{align*}
\begin{align*}
\alpha=1~~かつ~~-\alpha+\beta=0
\end{align*}
を満たすとき,すなわち\alpha=1~~かつ~~-\alpha+\beta=0
\end{align*}
\begin{align*}
\alpha=1,~\beta=1
\end{align*}
のときである。このとき\alpha=1,~\beta=1
\end{align*}
\begin{align*}
a_{n+1}+(n+1)+1=2(a_n+n+1)
\end{align*}
となるから,数列 $\{a_n+n+1\}$ は公比2の等比数列となる。$a_1+1+1=3$ よりa_{n+1}+(n+1)+1=2(a_n+n+1)
\end{align*}
\begin{align*}
&a_n+n+1=(a_1+1+1)\Cdota2^{n-1} \\[4pt]
&a_n=3\Cdota2^{n-1}-n-1
\end{align*}
&a_n+n+1=(a_1+1+1)\Cdota2^{n-1} \\[4pt]
&a_n=3\Cdota2^{n-1}-n-1
\end{align*}