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三角関数の3倍角の公式と関連する入試問題【三重大・岐阜大】

三角関数の3倍角の公式と関連する入試問題数学IAIIB
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三角関数の3倍角の公式の導出について,関連する入試問題を用いて説明します。

数学において,公式を覚えて正しく使うことができる能力は重要です。しかし,様々な公式がどのようにして導き出されたかを知ることも重要です。

特に,3倍角の公式については,問題文に書かれている場合があり,その場合は,公式を正しく使うことができるかどうかを問われます。公式が問題文に書かれていない場合は,公式を証明することができるかどうかを問われることが多いです。

3倍角の公式を導出できない人で,この記事を読んでいる人は,ここでしっかり学んで3倍角の公式を導出できるようにしましょう。

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【2013年 三重大】正弦・余弦の3倍角の公式

2013年 三重大$\theta$ を $0<\theta<\dfrac{\pi}{6}$ となる実数とし,平面上に3点 $\mathrm{O}(0,~0)$, $\mathrm{P}(\cos\theta,~\sin\theta)$, $\mathrm{Q}(\cos3\theta,~-\sin3\theta)$ をとる。さらに線分PQと $x$ 軸との交点をRとする。以下の問いに答えよ。
(1) 加法定理を用いて $\cos3\theta$ を $\cos\theta$ だけで表す式を導け。同様に $\sin3\theta$ を $\sin\theta$ だけで表す式を導け。
(2) $\mathrm{PR:RQ}=5:11$ のとき,$\sin\theta,~\cos\theta$ の値を求めよ。
(3) (2)の条件下で $\sankaku{POR}$ の面積を求めよ。
ヒロ
ヒロ

(1)は加法定理から3倍角の公式を導く問題。しっかりできるようにしておこう。

丁寧に計算を進めるだけですね。

【(1)の解答】
\begin{align*}
\cos3\theta&=\cos(2\theta+\theta) \\[4pt]
&=\cos2\theta\cos\theta-\sin2\theta\sin\theta \\[4pt]
&=(2\cos^2\theta-1)\cos\theta-2\sin\theta\cos\theta\cdot\sin\theta \\[4pt]
&=2\cos^3\theta-\cos\theta-2(1-\cos^2\theta)\cos\theta \\[4pt]
&=4\cos^3\theta-3\cos\theta
\end{align*}
$\sin3\theta$ も同様に考えると
\begin{align*}
\sin3\theta&=\sin(2\theta+\theta) \\[4pt]
&=\sin2\theta\cos \theta+\cos2\theta\sin \theta \\[4pt]
&=2\sin \theta\cos^2\theta+(1-2\sin^2\theta)\sin \theta \\[4pt]
&=2\sin \theta(1-\sin^2\theta)+\sin \theta-2\sin^3\theta \\[4pt]
&=3\sin \theta-4\sin^3\theta
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(2)は図を描いて状況を把握しよう。

【(2)の解答】
点Qの座標は $(\cos(-3\theta),~\sin(-3\theta))$ と表すことができ,$0<\theta<\dfrac{\pi}{6}$ のとき,$-\dfrac{\pi}{2}<-3\theta<0$ であるから,点Qは原点を中心とする単位円周上の第4象限の部分にある。よって,下図のようになる。図1
2013年 三重大 三角関数
2点P, Qから $y$ 軸に下ろした垂線の足をそれぞれS, Tとすると,$\mathrm{SO:OT}=5:11$ となる。図2
2013年 三重大 三角関数
したがって,符号に注意すると
\begin{align*}
&\sin\theta:\sin3\theta=5:11 \\[4pt]
&5\sin3\theta=11\sin\theta
\end{align*}
(1)の結果を用いると
\begin{align*}
&5(3\sin\theta-4\sin^3\theta)=11\sin\theta \\[4pt]
&20\sin^3\theta-4\sin\theta=0 \\[4pt]
&\sin\theta(5\sin^2\theta-1)=0
\end{align*}
$0<\theta<\dfrac{\pi}{6}$ のとき,$0<\sin\theta<\dfrac{1}{2}$ であるから
\begin{align*}
\sin\theta=\dfrac{1}{\sqrt{5}}
\end{align*}
また,$\cos\theta>0$ より
\begin{align*}
\cos\theta&=\sqrt{1-\sin^2\theta} \\[4pt]
&=\sqrt{1-\left(\dfrac{1}{\sqrt{5}}\right)^2} \\[4pt]
&=\dfrac{2}{\sqrt{5}}
\end{align*}

工夫しないと大変ですね。

ヒロ
ヒロ

そうだね。線分の長さの比が与えられているからといって,線分の長さを求めて,方程式を立てると大変なことになる。座標軸と平行になっていない線分の長さの比を,座標軸と平行な線分の長さの比に変換して考えることができるようにしよう。

ヒロ
ヒロ

最後の(3)はどうやって解く?

(3)の $\sankaku{POR}$ の面積を求める方法として,2つの方法が考えられます。

ヒロ
ヒロ

その2つの方法はどんなの?

1つはORの長さを求めて $\sankaku{POR}$ を求める方法で,もう1つは $\sin4\theta$ を求めて $\sankaku{POQ}$ の面積を経由する方法です。

まずは1つ目の解法で解いてみます。

【(3)ORの長さを求める解法】
点RはPQを $5:11$ に内分するから
\begin{align*}
\Vec{OR}=\dfrac{11}{16}\Vec{OP}+\dfrac{5}{16}\Vec{OQ}
\end{align*}
ORの長さは $\Vec{OR}$ の $x$ 成分であるから
\begin{align*}
\mathrm{OR}&=\dfrac{1}{16}(11\cos\theta+5\cos3\theta) \\[4pt]
&=\dfrac{1}{16}\{11\cos\theta+5(4\cos^3-3\cos\theta)\} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{4}(5\cos^3\theta-\cos\theta) \\[4pt]
&=\dfrac{1}{4}\left\{5\left(\dfrac{2}{\sqrt{5}}\right)^3-\dfrac{2}{\sqrt{5}}\right\} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{4}\Cdot\dfrac{6}{\sqrt{5}} \\[4pt]
&=\dfrac{3}{2\sqrt{5}}
\end{align*}
したがって
\begin{align*}
\sankaku{POR}&=\dfrac{1}{2}\Cdot\mathrm{OP}\Cdot\mathrm{OR}\sin\theta \\[4pt]
&=\dfrac{1}{2}\Cdot\dfrac{3}{2\sqrt{5}}\Cdot\dfrac{1}{\sqrt{5}} \\[4pt]
&=\dfrac{3}{20}
\end{align*}

次に,もう1つの解法で解きます。

【(3)$\sin4\theta$ を求める解法】
(2)の結果より
\begin{align*}
\sin4\theta&=2\sin2\theta\cos2\theta \\[4pt]
&=4\sin\theta\cos\theta(\cos^2\theta-\sin^2\theta) \\[4pt]
&=4\Cdot\dfrac{1}{\sqrt{5}}\Cdot\dfrac{2}{\sqrt{5}}\left\{\left(\dfrac{2}{\sqrt{5}}\right)^2-\left(\dfrac{1}{\sqrt{5}}\right)^2\right\} \\[4pt]
&=\dfrac{8}{5}\Cdot\dfrac{3}{5} \\[4pt]
&=\dfrac{24}{25}
\end{align*}
となるから
\begin{align*}
\sankaku{OPQ}&=\dfrac{1}{2}\Cdot\mathrm{OP}\Cdot\mathrm{OQ}\sin4\theta \\[4pt]
&=\dfrac{1}{2}\Cdot\dfrac{24}{25} \\[4pt]
&=\dfrac{12}{25}
\end{align*}
$\mathrm{PR:RQ}=5:11$ より
\begin{align*}
\sankaku{POR}&=\dfrac{5}{16}\sankaku{OPQ} \\[4pt]
&=\dfrac{5}{16}\Cdot\dfrac{12}{25} \\[4pt]
&=\dfrac{3}{20}
\end{align*}

労力としては,それほど変わらなかったみたいです。

ヒロ
ヒロ

今回の問題のように,$\mathrm{PR:RQ}$ が与えられていれば,その比を利用する解法を選択する人が多いだろうね。

そう思います。ベクトルを利用しなかったらORの長さを求めるのに苦労しそうです。

ヒロ
ヒロ

そうだね。あと数年経てば,ベクトルは理系専用になってしまうから,解くための道具が少なくなって,文系生は苦労するかもしれない。

恐ろしい時代がやってきますね・・・

【2015年 岐阜大】正接の3倍角の公式

2015年 岐阜大(1) $\alpha,~\beta$ を $\alpha$, $\beta\neq n\pi+\dfrac{\pi}{2}$ ($n$は整数)とする。$\alpha$, $\beta$ が $\tan\alpha\tan\beta=1$ を満たすとき,ある整数 $k$ があって,$\alpha+\beta=k\pi+\dfrac{\pi}{2}$ となることを示せ。
(2) $-\dfrac{\pi}{6}<x<\dfrac{\pi}{6}$ とし,$t=\tan x$ とおく。$\tan3x$ を $t$ の式で表せ。
(3) $c$ を実数とする。$-\dfrac{\pi}{6}<x<\dfrac{\pi}{6}$ のとき,2曲線 $y=c\tan x$ と $y=\tan3x$ の共有点の個数を求めよ。

まずは(1)を解いていきます。

【(1)の解答】
$\alpha,~\beta\neq n\pi+\dfrac{\pi}{2}$ で,$\tan\alpha\tan\beta=1$ のとき
\begin{align*}
&\dfrac{\sin\alpha}{\cos\alpha}\Cdot\dfrac{\sin\beta}{\cos\beta}=1 \\[4pt]
&\sin\alpha\sin\beta=\cos\alpha\cos\beta \\[4pt]
&\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta=0 \\[4pt]
&\cos(\alpha+\beta)=0
\end{align*}
よって,
\begin{align*}
\alpha+\beta=k\pi+\dfrac{\pi}{2}
\end{align*}
となる整数 $k$ が存在する。
ヒロ
ヒロ

次のことを覚えておこう。

存在証明「Aが存在することを示せ」と言われた場合は,具体的なAを見つけよう。1つでも条件を満たすAを見つけることができれば,Aが存在することを示したことになる。
ヒロ
ヒロ

(2)は正接の3倍角の公式の導出だね。

加法定理を利用するだけですね。

【(2)の解答】
\begin{align*}
\tan3x&=\tan(2x+x) \\[4pt]
&=\dfrac{\tan2x+\tan x}{1-\tan2x\tan x} \\[4pt]
&=\dfrac{\dfrac{2\tan x}{1-\tan^2x}+\tan x}{1-\dfrac{2\tan x}{1-\tan^2x}\Cdot\tan x} \\[4pt]
&=\dfrac{2\tan x+\tan x(1-\tan^2x)}{(1-\tan^2x)-2\tan^2x} \\[4pt]
&=\dfrac{3\tan x-\tan^3x}{1-3\tan^2x}
\end{align*}
$t=\tan x$ より
\begin{align*}
\tan3x=\dfrac{3t-t^3}{1-3t^2}
\end{align*}

(3)は $c$ の値によって,共有点の個数が変わるんだろうと予想できますね。

【(3)の解答】
$t=\tan x$とおくと,$-\dfrac{\pi}{6}<x<\dfrac{\pi}{6}$のとき,
$-\dfrac{1}{\sqrt3}<t<\dfrac{1}{\sqrt3}$であるから,連立方程式
\begin{align*}
\begin{cases}
y=ct \\[4pt]
y=\dfrac{3t-t^3}{1-3t^2}
\end{cases}~\cdots\cdots①
\end{align*}
の $-\dfrac{1}{\sqrt3}<t<\dfrac{1}{\sqrt3}$ を満たす解の個数を調べる。
①より,$y$を消去すると,
\begin{align*}
&ct=\dfrac{3t-t^3}{1-3t^2} \\[4pt]
&ct(1-3t^2)=3t-t^3 \\[4pt]
&t\{c(1-3t^2)-(3-t^2)\}=0 \\[4pt]
&t\{(3c-1)t^2-(c-3)\}=0 \\[4pt]
&t=0~\cdots\cdots②~または~(3c-1)t^2-(c-3)=0~\cdots\cdots③
\end{align*}
②より,$x=0$

ここまでで,$c$ の値によらず,①を満たす実数 $t$ が1個存在することが分かりました。あとは③の解を調べていきます。

【(3)の解答の続き】
次に,③の $t\neq0$ を満たす解の個数を調べる。
(i) $c=\dfrac13$ のとき
③は,$0t^2+\dfrac83=0$ となり,これを満たす実数 $t$ は存在しない。
(ii) $c\neq\dfrac13$ のとき
③より,$t^2=\dfrac{c-3}{3c-1}$
$-\dfrac{1}{\sqrt3}<t<\dfrac{1}{\sqrt3}$, $t\neq0$ だから,
\begin{align*}
0<\dfrac{c-3}{3c-1}<\dfrac13~\cdots\cdots④
\end{align*}
となるとき,③を満たす $t$ は2個存在する。1つの $t$ に対して,1つの $x$ が存在するから $x$ は2個存在する。④の左側より
\begin{align*}
&(c-3)(3c-1)>0 \\[4pt]
&c<\dfrac{1}{3},~3<c~\cdots\cdots⑤
\end{align*}
④の右側より
\begin{align*}
&\dfrac{c-3}{3c-1}-\dfrac{1}{3}<0 \\[4pt]
&\dfrac{-8}{3(3c-1)}<0 \\[4pt]
&3c-1>0 \\[4pt]
&c>\dfrac{1}{3}~\cdots\cdots⑥
\end{align*}
⑤かつ⑥より
\begin{align*}
c>3
\end{align*}
以上より,求める共有点の個数は
\begin{align*}
\begin{cases}
c>3~のとき &3個 \\[4pt]
c\leqq3~のとき &1個
\end{cases}
\end{align*}

$t^2$ の係数が $3c-1$ となっているから,0になるときと0でないときで場合分けしないといけないことに注意しないとダメですね。

ヒロ
ヒロ

そうだね。あと,$x$ の個数と $t$ の個数の対応もしっかり考えることができているのはいいね。

④を解くときに,辺々に $(3c-1)^2$ をかける方法が良いって聞いたことがあるんですけど,実際どうなんですか?

ヒロ
ヒロ

実際にその方法で④を解いてみようか。

はい,お願いします。

【分数式を含む不等式】
$0<\dfrac{c-3}{3c-1}<\dfrac13$ の辺々に $3(3c-1)^2~(>0)$ をかけると
\begin{align*}
&\begin{cases}
0<3(c-3)(3c-1)<(3c-1)^2 \\[4pt]
3c-1\neq0
\end{cases} \\[4pt]
&\begin{cases}
(c-3)(3c-1)>0 \\[4pt]
(3c-1)\{(3c-1)-3(c-3)\}>0 \\[4pt]
3c-1\neq0
\end{cases} \\[4pt]
&\begin{cases}
c<\dfrac13,~3<c \\[4pt]
8(3c-1)>0 \\[4pt]
3c-1\neq0
\end{cases} \\[4pt]
&c>3
\end{align*}

分数式じゃなくなるけど,分母が0でない条件をしっかり考えておかないといけないんですね。

ヒロ
ヒロ

今回はその条件を忘れてても影響がないけど,影響がある不等式もあるからね。安田亨先生はこの解き方は反対派で,最初の解法を推奨しているね。

そうなんですね。$\dfrac{g(x)}{f(x)}>0$ だったら,$f(x)$ と $g(x)$ が同符号っていうことだから,$f(x)g(x)>0$ に直せるから,最初の解法で良いかもしれないですね。

三角関数の3倍角の公式のまとめ

ヒロ
ヒロ

3倍角の公式を覚えるかどうかはどっちでも良いかもしれないけど,証明問題が出たときのために,加法定理から3倍角の公式を導けるようにしておこう。

三角関数の3倍角の公式
  1. $\displaystyle
    \cos3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta
    $
  2. $\displaystyle
    \sin3\theta=3\sin \theta-4\sin^3\theta
    $
  3. $\displaystyle
    \tan3\theta=\dfrac{3\tan\theta-\tan^3\theta}{1-3\tan^2\theta}
    $
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