共通接線について説明します。
大学入試では,共通接線に関する様々な問題が出題されます。
共通接線を求める方法は色々あるため,様々な解法を知っておくと良いこともあるでしょう。
どんな問題が出題されても対応できるようにしておきましょう。
Contents
共通接線とは
ヒロ
共通接線とはどのような直線かを知ろう。
共通接線2つの曲線 $C_1:y=f(x),~C_2:y=g(x)$ の両方に接する直線を2曲線の共通接線という。
次の図では,共通接線と2曲線 $C_1,C_2$ との接点の $x$ 座標をそれぞれ $s,~t$ としている。
次の図では,共通接線と2曲線 $C_1,C_2$ との接点の $x$ 座標をそれぞれ $s,~t$ としている。
ヒロ
共通接線は大きく2つのタイプに分けることができる。
共通接線の2つのタイプ
- 2つの曲線が接している場合,2曲線の接点における接線が2曲線の共通接線となる。
- 2つの曲線が接していないが,1つの曲線上の点における接線がもう1つの曲線と接する場合,その接線が2曲線の共通接線となる。
共通接線を求める方法
ヒロ
共通接線の方程式を求める方法を知ろう。
ヒロ
まずは2曲線が接するときを考えよう。
【2曲線が接するとき】
問題文に2曲線が接することが書かれていて,その接点における接線として共通接線を求める場合は簡単である。2曲線が接する条件を考えて,2曲線の接点の $x$ 座標を求めればよい。接点の座標が分かれば,接線の方程式も求めることができる。
問題文に2曲線が接することが書かれていて,その接点における接線として共通接線を求める場合は簡単である。2曲線が接する条件を考えて,2曲線の接点の $x$ 座標を求めればよい。接点の座標が分かれば,接線の方程式も求めることができる。
ヒロ
次に2曲線が接しないときを考えよう。
【2曲線が接しないとき】
2曲線 $C_1,~C_2$ が接しないことが分かっていることは少なく,実際には接するかどうかが分からない問題が多いだろう。2つの曲線がともに放物線であれば,接しているかどうかを調べるのは簡単である。しかし,そうでない場合は,接しているかどうかを調べるより,共通接線を求めることを考えた方が良い。
そして,共通接線を求める方法としては,主に2つの方法が考えられる。
1つは曲線 $C_1$ 上の $x$ 座標が $t$ の点における接線が $C_2$ と接するときの $t$ を求める方法である。この解法の場合,直線と曲線が接する条件を考える必要があるため,$C_2$ が放物線であれば判別式を考えることで比較的楽に $t$ の値を求めることができる。また,$C_2$ が円であれば円の中心と直線との距離が半径と等しくなる条件を考えることで接線の方程式を求めることができる。しかし $C_2$ が放物線や円以外の曲線の場合,接する条件を考えることが難しくなるだろう。
もう1つは共通接線と2曲線の接点の $x$ 座標を $s,~t$ として,それぞれで接線の方程式を求め,その2つの接線が一致する条件を考える方法である。この解法の場合,曲線の種類によらず接線の方程式を求めることができるため,傾きと切片が一致する条件から得られた連立方程式を解けるかどうかが問題となる。
曲線 $y=f(x)$ 上の点 $(s,~f(s))$ における接線が $y=g(x)$ 上の点 $(t,~g(t))$ で接しているとき,$y=f'(s)(x-s)+f(s)$ と $y=g'(t)(x-t)+g(t)$ が一致するから,
2曲線 $C_1,~C_2$ が接しないことが分かっていることは少なく,実際には接するかどうかが分からない問題が多いだろう。2つの曲線がともに放物線であれば,接しているかどうかを調べるのは簡単である。しかし,そうでない場合は,接しているかどうかを調べるより,共通接線を求めることを考えた方が良い。
そして,共通接線を求める方法としては,主に2つの方法が考えられる。
1つは曲線 $C_1$ 上の $x$ 座標が $t$ の点における接線が $C_2$ と接するときの $t$ を求める方法である。この解法の場合,直線と曲線が接する条件を考える必要があるため,$C_2$ が放物線であれば判別式を考えることで比較的楽に $t$ の値を求めることができる。また,$C_2$ が円であれば円の中心と直線との距離が半径と等しくなる条件を考えることで接線の方程式を求めることができる。しかし $C_2$ が放物線や円以外の曲線の場合,接する条件を考えることが難しくなるだろう。
もう1つは共通接線と2曲線の接点の $x$ 座標を $s,~t$ として,それぞれで接線の方程式を求め,その2つの接線が一致する条件を考える方法である。この解法の場合,曲線の種類によらず接線の方程式を求めることができるため,傾きと切片が一致する条件から得られた連立方程式を解けるかどうかが問題となる。
曲線 $y=f(x)$ 上の点 $(s,~f(s))$ における接線が $y=g(x)$ 上の点 $(t,~g(t))$ で接しているとき,$y=f'(s)(x-s)+f(s)$ と $y=g'(t)(x-t)+g(t)$ が一致するから,
\begin{align*}
\begin{cases}
f'(s)=g'(t) \\[4pt]
f(s)-sf'(s)=g(t)-tg'(t)
\end{cases}
\end{align*}
が成り立つ。あとはこの連立方程式を解いて $s,~t$ を求めることで接線の方程式を求めることができる。\begin{cases}
f'(s)=g'(t) \\[4pt]
f(s)-sf'(s)=g(t)-tg'(t)
\end{cases}
\end{align*}
2020年 立命館大
2020年 立命館大2つの放物線 $F_1:y=x^2+12x+2$ と $F_2:y=x^2-6x+11$ がある。$F_1$ と $F_2$ の両方に接する直線 $l$ は $y=\myhako\,x-\myhako$ である。このとき,放物線 $F_1$ と直線 $l$ は点 $\left(\myhako,~\myhako\right)$ で接しており,放物線 $F_2$ と直線 $l$ は点 $\left(\myhako,~\myhako\right)$ で接している。
判別式を利用する解法
ヒロ
まずは判別式を利用する解法で解いてみよう。
ヒロ
実際には,初めから判別式を利用することが分かっているわけではないため,その解法選択に至る過程も含めて解答と考え方を書くことにする。
【解答と考え方】
この問題で与えられている2つの放物線はともに下に凸であり,$x^2$ の係数が等しいから接していないことが分かる。つまり,共通接線 $l$ と2つの放物線 $F_1,~F_2$ との接点は異なる点である。
2つの曲線が放物線であるから,$F_1$ 上の $x$ 座標が $t$ の点における接線が $F_2$ に接する条件を考えることにしよう。
この問題で与えられている2つの放物線はともに下に凸であり,$x^2$ の係数が等しいから接していないことが分かる。つまり,共通接線 $l$ と2つの放物線 $F_1,~F_2$ との接点は異なる点である。
2つの曲線が放物線であるから,$F_1$ 上の $x$ 座標が $t$ の点における接線が $F_2$ に接する条件を考えることにしよう。
\begin{align*}
f(x)=x^2+12x+2,~g(x)=x^2-6x+11
\end{align*}
とすると,f(x)=x^2+12x+2,~g(x)=x^2-6x+11
\end{align*}
\begin{align*}
f'(x)=2x+12,~g'(x)=2x-6
\end{align*}
となるから,点 $(t,~f(t))$ における接線の方程式はf'(x)=2x+12,~g'(x)=2x-6
\end{align*}
\begin{align*}
y=(2t+12)x-t^2+2~\cdots\cdots①
\end{align*}
これと $F_2$ の式から $y$ を消去するとy=(2t+12)x-t^2+2~\cdots\cdots①
\end{align*}
\begin{align*}
&x^2-(2t+18)t+t^2+9=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
直線①が $F_2$ と接するとき,②は重解をもつから判別式を $D$ とすると $D=0$ である。&x^2-(2t+18)t+t^2+9=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
\begin{align*}
&(t+9)^2-(t^2+9)=0 \\[4pt]
&18t+72=0 \\[4pt]
&t=-4
\end{align*}
よって,求める接線 $l$ は&(t+9)^2-(t^2+9)=0 \\[4pt]
&18t+72=0 \\[4pt]
&t=-4
\end{align*}
\begin{align*}
y=4x-14
\end{align*}
$t=-4$ よりy=4x-14
\end{align*}
\begin{align*}
f(-4)=16-48+2=-30
\end{align*}
となるから,$F_1$ と $l$ の接点は $(-4,~-30)$ である。また,②の重解はf(-4)=16-48+2=-30
\end{align*}
\begin{align*}
x=t+9=-4+9=5
\end{align*}
でありx=t+9=-4+9=5
\end{align*}
\begin{align*}
g(5)=25-30+11=6
\end{align*}
したがって,$F_2$ と $l$ の接点は $(5,~6)$ である。g(5)=25-30+11=6
\end{align*}
接点の座標を設定する解法
ヒロ
2つの放物線 $F_1,~F_2$ が接していないことが分かるから,共通接線と $F_1,~F_2$ との接点の $x$ 座標をそれぞれ $s,~t$ として考えよう。
ヒロ
また,最初の解法と同じように $f(x),~g(x)$ とおく。
【解答と考え方】
$f'(x)=2x+12$ であるから,点 $(s,~f(s))$ における接線の方程式は
これを④に代入すると
$f'(x)=2x+12$ であるから,点 $(s,~f(s))$ における接線の方程式は
\begin{align*}
y=(2s+12)x-s^2+2~\cdots\cdots①
\end{align*}
また $g'(x)=2x-6$ であるから,点 $(t,~g(t))$ における接線の方程式はy=(2s+12)x-s^2+2~\cdots\cdots①
\end{align*}
\begin{align*}
y=(2t-6)x-t^2+11~\cdots\cdots②
\end{align*}
①と②が一致する条件はy=(2t-6)x-t^2+11~\cdots\cdots②
\end{align*}
\begin{align*}
\begin{cases}
2s+12=2t-6 &~\cdots\cdots③ \\[4pt]
-s^2+2=-t^2+11 &~\cdots\cdots④
\end{cases}
\end{align*}
が成り立つことである。③より $t=s+9$\begin{cases}
2s+12=2t-6 &~\cdots\cdots③ \\[4pt]
-s^2+2=-t^2+11 &~\cdots\cdots④
\end{cases}
\end{align*}
これを④に代入すると
\begin{align*}
&-s^2=-(s+9)^2+9 \\[4pt]
&18s=-72 \\[4pt]
&s=-4
\end{align*}
このとき,$t=5$ となる。&-s^2=-(s+9)^2+9 \\[4pt]
&18s=-72 \\[4pt]
&s=-4
\end{align*}
ヒロ
これで接点の $x$ 座標を求めることができたから,接線の方程式と接点の座標を求めることができる。
放物線の性質を利用する解法
ヒロ
2つの放物線の共通接線は放物線の性質を利用することで楽に求めることができる場合がある。
【解答と考え方】
$x^2$ の係数が等しいから,共通接線は2つの放物線の頂点を結んだ直線と平行である。$F_1,~F_2$ の頂点はそれぞれ $(-6,~-34)$, $(3,~2)$ であるから,2つの頂点を結んだ直線の傾きは
共通接線と $F_1$ との接点の $x$ 座標を $s$ とする。$f'(x)=2x+12$ より
$l$ と $F_2$ との接点の $x$ 座標を $t$ とすると,$g'(x)=2x-6$ より
$x^2$ の係数が等しいから,共通接線は2つの放物線の頂点を結んだ直線と平行である。$F_1,~F_2$ の頂点はそれぞれ $(-6,~-34)$, $(3,~2)$ であるから,2つの頂点を結んだ直線の傾きは
\begin{align*}
\dfrac{2-(-34)}{3-(-6)}=\dfrac{36}{9}=4
\end{align*}
となる。したがって,共通接線の傾きは4であることが分かる。\dfrac{2-(-34)}{3-(-6)}=\dfrac{36}{9}=4
\end{align*}
共通接線と $F_1$ との接点の $x$ 座標を $s$ とする。$f'(x)=2x+12$ より
\begin{align*}
&f'(s)=4 \\[4pt]
&2s+12=4 \\[4pt]
&s=-4
\end{align*}
$f(-4)=-30$ より,求める共通接線 $l$ の方程式は&f'(s)=4 \\[4pt]
&2s+12=4 \\[4pt]
&s=-4
\end{align*}
\begin{align*}
&y=4(x+4)-30 \\[4pt]
&y=4x-14
\end{align*}
であり,$l$ と $F_1$ との接点は $(-4,~-30)$ である。&y=4(x+4)-30 \\[4pt]
&y=4x-14
\end{align*}
$l$ と $F_2$ との接点の $x$ 座標を $t$ とすると,$g'(x)=2x-6$ より
\begin{align*}
&g'(t)=4 \\[4pt]
&2t-6=4 \\[4pt]
&t=5
\end{align*}
$g(5)=6$ より,$l$ と $F_2$ との接点は $(5,~6)$ である。&g'(t)=4 \\[4pt]
&2t-6=4 \\[4pt]
&t=5
\end{align*}
ヒロ
上の解法で疑問点がある人は,次の記事を読むことで疑問点がなくなるだろう。
2019年 愛知学院大
2019年 愛知学院大3次関数 $y=x^3+1$ のグラフの接線で放物線 $y=-x^2+\dfrac{8}{9}x+\dfrac{65}{81}$ に接するものをすべて求めなさい。
【解答と考え方】
$t=-\dfrac{4}{3}$ のとき,$y=\dfrac{16}{3}x+\dfrac{155}{27}$
$t=\dfrac{4}{9}$ のとき,$y=\dfrac{16}{27}x+\dfrac{601}{729}$
\begin{align*}
f(x)=x^3+1,~g(x)=-x^2+\dfrac{8}{9}x+\dfrac{65}{81}
\end{align*}
とする。$f'(x)=3x^2$ であるから,$y=f(x)$ 上の点 $(t,~f(t))$ における接線の方程式はf(x)=x^3+1,~g(x)=-x^2+\dfrac{8}{9}x+\dfrac{65}{81}
\end{align*}
\begin{align*}
&y=3t^2(x-t)+t^3+1 \\[4pt]
&y=3t^2x-2t^3+1~\cdots\cdots①
\end{align*}
これと $y=g(x)$ から $y$ を消去すると&y=3t^2(x-t)+t^3+1 \\[4pt]
&y=3t^2x-2t^3+1~\cdots\cdots①
\end{align*}
\begin{align*}
&x^2+\left(3t^2-\dfrac{8}{9}\right)x-2t^3+\dfrac{16}{81}=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
直線①が放物線 $y=g(x)$ と接するとき,②は重解をもつから判別式を $D$ とすると $D=0$ が成り立つ。よって&x^2+\left(3t^2-\dfrac{8}{9}\right)x-2t^3+\dfrac{16}{81}=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
\begin{align*}
&\left(3t^2-\dfrac{8}{9}\right)^2-4\left(-2t^3+\dfrac{16}{81}\right)=0 \\[4pt]
&9t^4+8t^3-\dfrac{16}{3}t^2=0 \\[4pt]
&t^2(27t^2+24t-16)=0 \\[4pt]
&t^2(3t+4)(9t-4)=0 \\[4pt]
&t=0,~-\dfrac{4}{3},~\dfrac{4}{9}
\end{align*}
①より,$t=0$ のとき,$y=1$&\left(3t^2-\dfrac{8}{9}\right)^2-4\left(-2t^3+\dfrac{16}{81}\right)=0 \\[4pt]
&9t^4+8t^3-\dfrac{16}{3}t^2=0 \\[4pt]
&t^2(27t^2+24t-16)=0 \\[4pt]
&t^2(3t+4)(9t-4)=0 \\[4pt]
&t=0,~-\dfrac{4}{3},~\dfrac{4}{9}
\end{align*}
$t=-\dfrac{4}{3}$ のとき,$y=\dfrac{16}{3}x+\dfrac{155}{27}$
$t=\dfrac{4}{9}$ のとき,$y=\dfrac{16}{27}x+\dfrac{601}{729}$
ヒロ
入試問題だから,答えは「キレイな式」になると思うかもしれないが,それほどキレイとは言えない式になることもある。
ヒロ
自分の計算に自信を持てるようにすることも重要だろう。