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相加平均・相乗平均の不等式の証明から学ぶこととは?

相加平均・相乗平均の不等式 相加相乗平均の関係数学IAIIB
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ここでは不等式の証明について説明します。「不等式の証明なんて大きい方から小さい方を引いて0以上,あるいは,正であることを示すだけでしょ」って言われそうですが,それが分かっていても解けない問題ってありますよね?

しっかりとした考え方を身に付けることで,様々な問題に対応することができます。

題材として,相加平均・相乗平均の不等式の証明が出題されている2011年新潟大の問題を使いますが,(3)はそのままだと面白くないので変えました。

2011年 新潟大(改)$\,a,~b,~c,~d\,$ を正の実数とする。このとき,次の不等式を証明せよ。
\begin{align*}
&(1)\ \sqrt{ab}\leqq\frac{a+b}{2} \\[4pt]&(2)\ \sqrt[4]{abcd}\leqq\frac{a+b+c+d}{4} \\[4pt] 
&(3)\ \sqrt[3]{abc}\leqq\frac{a+b+c}{3}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

これらは「相加平均と相乗平均の不等式」と呼ばれる有名な不等式で,関連する問題は毎年どこかの大学で出題されているよ。

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不等式 $\,A\geqq B\,$ の証明方法

ヒロ
ヒロ

まずは軽く不等式の証明方法について復習しておこうか。

はい,お願いします。

ヒロ
ヒロ

不等式の証明の基本はこれだね。

不等式 $\,A\geqq B\,$ を証明するときは $\,A-B\geqq0\,$ を証明しよう。

そうですね!

ヒロ
ヒロ

ただ実際に色々な問題を解いてみると,中々うまくいかないことが多いよね?

そうなんですよね・・・

ヒロ
ヒロ

だから,他にも基本的な証明方法を知っておこう。

不等式 $\,A\geqq B\,$ の証明方法
  1. $\,A-B\geqq0\,$ を証明する。
  2. $\,A\geqq0,~B\geqq0\,$ のときは,$A^2-B^2\geqq0$ を証明しても良い。
  3. 既に知られている不等式を利用する。
  4. $\,A\geqq C\,$ かつ $\,C\geqq B\,$ となりそうな $C$ を見つける。
ヒロ
ヒロ

平方根や絶対値を含む不等式の証明では,2番目の証明方法が良く使われるね。3番目は「相加平均と相乗平均の不等式」や「コーシー・シュワルツの不等式」などを利用する証明方法だね。

4番目は見たことないです。

ヒロ
ヒロ

不等式の証明方法として,4番目を習うことはないかもしれないけど,かなり重要な考え方だよ。だから今日は4番目の考え方について重点的に説明していくよ。

よろしくお願いします。

$\displaystyle\,\sqrt{ab}\leqq\frac{a+b}{2}\,$ の正体とは?

ヒロ
ヒロ

それでは(1)を証明していこう。

$\sqrt{ab}\leqq\dfrac{a+b}{2}$ を証明せよ。

これは $\,(右辺)^2-(左辺)^2\geqq0\,$ を証明するんですよね?

【(1)の証明】
$\,a\geqq0,~b\geqq0\,$ のとき,$\,\displaystyle\sqrt{ab}\geqq0,~\frac{a+b}{2}\geqq0\,$ であるから,$\,(右辺)^2-(左辺)^2\geqq0\,$ を証明する。
\begin{align*}
&(右辺)^2-(左辺)^2=\left(\frac{a+b}{2}\right)^2-(\sqrt{ab})^2 \\[4pt]&=\frac{1}{4}(a^2+2ab+b^2)-ab \\[4pt]&=\frac{1}{4}(a^2-2ab+b^2) \\[4pt]&=\frac{1}{4}(a-b)^2 \\[4pt]&\geqq0
\end{align*}
よって,$\displaystyle\,\sqrt{ab}\leqq\frac{a+b}{2}\,$ が成り立つ。また,等号が成り立つのは,$\,(a-b)^2=0\,$のとき,すなわち,$\,a=b\,$ のとき。
ヒロ
ヒロ

平方根があるからって,常に2乗して差をとる必要はないよ?次のようにしても構わない。

【(1)の証明Ⅱ】
\begin{align*}
&(右辺)-(左辺)=\frac{a+b}{2}-\sqrt{ab} \\[4pt]&=\frac{1}{2}(a-2\sqrt{ab}+b) \\[4pt]&=\frac{1}{2}(\ssqrt{a}-\ssqrt{b})^2 \\[4pt]&\geqq0
\end{align*}
よって,$\displaystyle\,\sqrt{ab}\leqq\frac{a+b}{2}\,$ が成り立つ。また,等号が成り立つのは,$\,(\ssqrt{a}-\ssqrt{b})^2=0\,$ のとき,すなわち,$\,a=b\,$ のとき。

確かにそうですね。

ヒロ
ヒロ

この証明からも分かるように,(1)の相加平均と相乗平均の不等式は,$\,(\ssqrt{a}-\ssqrt{b})^2\geqq0\,$ を展開しただけなんだ。だから,次のような証明でも構わない。

【(1)の証明Ⅲ】
$\,a\geqq0,~b\geqq0\,$ のとき,$\,\ssqrt{a},~\ssqrt{b}\,$ はともに実数であるから,
\begin{align*}
(\ssqrt{a}-\ssqrt{b})^2\geqq0
\end{align*}
が成り立つ。(等号は $\,a=b\,$ のときに成り立つ)
これを展開して整理すると,$\displaystyle\,\sqrt{ab}\leqq\frac{a+b}{2}\,$ となる。

前問を利用する

ヒロ
ヒロ

次は(2)だね。

$\sqrt[4]{abcd}\leqq\dfrac{a+b+c+d}{4}$ を証明せよ。

4乗すると4乗根を外せるけど右辺が大変なことになります。

ヒロ
ヒロ

(2)は3番目の証明方法でいこう。

4乗根が出てくる有名な不等式なんて知らないです。

ヒロ
ヒロ

有名な不等式を利用するとは言ってないよね?既に知られている不等式を利用するんだ。今回の場合は(1)の不等式が,その「既に知られている不等式」になるんだ。

入試問題では前問が誘導になっていることがある。

同じ形の式を作る

ヒロ
ヒロ

そして,ここからがかなり重要!

左辺と右辺のどちらの辺でも良いから,同じ形を作れ!

どうやって同じ形にするんですか?

ヒロ
ヒロ

(1)は2文字に対して,(2)は4文字あるよね?文字を置き換えることで,全く同じ式を作ることを考えよう。

左辺と右辺のどっちの式を作っても良いんですか?

ヒロ
ヒロ

考えやすい方でいいよ。どうせ両方説明するから(笑)

右辺を作る場合

じゃあ右辺にします。$a$ を $\displaystyle\frac{a+b}{2}$ に,$b$ を $\displaystyle\frac{c+d}{2}$ に置き換えれば同じ式になります。

ヒロ
ヒロ

いいね!

$\,a,~b,~c,~d\,$ は正の実数であるから,$\,\displaystyle\frac{a+b}{2},~\frac{c+d}{2}\,$ も正の実数である。
よって,(1)の結果より,次の不等式が成り立つ。
\begin{align*}
&\sqrt{\frac{a+b}{2}\cdot\frac{c+d}{2}}\leqq\frac{\frac{a+b}{2}+\frac{c+d}{2}}{2} \\[4pt]
&\sqrt{\frac{a+b}{2}\cdot\frac{c+d}{2}}\leqq\frac{a+b+c+d}{4}\ \cdots\cdots ①
\end{align*}
等号が成り立つのは,$\displaystyle\,\frac{a+b}{2}=\frac{c+d}{2}\,$ のとき,すなわち,$\,a+b=c+d\,\cdots\cdots\,$②のとき。
ヒロ
ヒロ

ここで,$\,\displaystyle A=\frac{a+b+c+d}{4}\,$ ,$\,B=\sqrt[4]{abcd}\,$ ,$\,\displaystyle C=\sqrt{\frac{a+b}{2}\cdot\frac{c+d}{2}}\,$ とおくと,$\,B\leqq A\,$ を証明しようとして,$\,C\leqq A\,$ が証明できたことになるね。これで4番目の考え方で言う $C$ が見つかったことになる。多くの人は一発で両辺を証明するべき式にしようとするからうまくいかない。片方ずつ処理する考え方を身に付けよう。あとは,$\,B\leqq C\,$ を証明すればいいね。

$\,a,~b,~c,~d\,$ は正の実数であるから,(1)の結果より,
\begin{align*}
\frac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab},~\frac{c+d}{2}\geqq\sqrt{cd}
\end{align*}
が成り立つ。したがって,
\begin{align*}
&\sqrt{ab}\sqrt{cd}\leqq\frac{a+b}{2}\cdot\frac{c+d}{2} \\[4pt]
&\sqrt{abcd}\leqq\frac{a+b}{2}\cdot\frac{c+d}{2} \\[4pt]
&\sqrt[4]{abcd}\leqq\sqrt{\frac{a+b}{2}\cdot\frac{c+d}{2}}\ \cdots\cdots③
\end{align*}
等号が成り立つのは,$\,a=b\,$ かつ $\,c=d\,\cdots\cdots$ ④のとき。

これで $\,B\leqq C\,$ が証明できたんですね。

ヒロ
ヒロ

そういうこと。

①,③より,
\begin{align*}
\sqrt[4]{abcd}\leqq\frac{a+b+c+d}{4}
\end{align*}
が成り立つ。また,等号が成り立つのは,②かつ④のときだから,$\,a=b=c=d\,$ のとき。

左辺を作る場合

ヒロ
ヒロ

次は,(1)の不等式で文字を置き換えることで左辺を作ってみよう。

$a$ を $\sqrt{ab}$ に,$b$ を $\sqrt{cd}$ に置き換えれば同じ式になりますね。

$\,a,~b,~c,~d\,$ は正の実数であるから,$\,\sqrt{ab},~\sqrt{cd}\,$ も正の実数である。
よって,(1)の結果より,次の不等式が成り立つ。
\begin{align*}
&\sqrt{\sqrt{ab}\cdot\sqrt{cd}}\leqq\frac{\sqrt{ab}+\sqrt{cd}}{2} \\[4pt]
&\sqrt[4]{abcd}\leqq\frac{\sqrt{ab}+\sqrt{cd}}{2}\ \cdots\cdots ⑤
\end{align*}
等号が成り立つのは,$\,\sqrt{ab}=\sqrt{cd}\,$ のとき,すなわち,$\,ab=cd\,\cdots\cdots\,$⑥のとき。

$\,\displaystyle C=\frac{\sqrt{ab}+\sqrt{cd}}{2}\,$ とおくと,$\,B\leqq C\,$ が証明できたんですね!あとは,$\,C\leqq A\,$ を証明すれば終わりです。

【何を証明すれば良いのかを確認するためのメモ】
$\,C\leqq A\,$ すなわち, $\,\displaystyle\frac{\sqrt{ab}+\sqrt{cd}}{2}\leqq\frac{a+b+c+d}{4}\,$ を証明したい。つまり,
\begin{align*}
\sqrt{ab}+\sqrt{cd}\leqq\frac{a+b+c+d}{2}
\end{align*}
を証明したい。

これでもう出来ますね!

$\,a,~b,~c,~d\,$ は正の実数であるから,(1)の結果より,
\begin{align*}
\frac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab},~\frac{c+d}{2}\geqq\sqrt{cd}
\end{align*}
が成り立つ。したがって,
\begin{align*}
&\sqrt{ab}+\sqrt{cd}\leqq\frac{a+b}{2}+\frac{c+d}{2} \\[4pt]
&\frac{\sqrt{ab}+\sqrt{cd}}{2}\leqq\frac{a+b+c+d}{4}\ \cdots\cdots⑦
\end{align*}
等号が成り立つのは,$\,a=b\,$ かつ $\,c=d\,\cdots\cdots$ ⑧のとき。

これで $\,C\leqq A\,$ が証明できたので結論を書いて終わりです。

⑤,⑦より,
\begin{align*}
\sqrt[4]{abcd}\leqq\frac{a+b+c+d}{4}
\end{align*}
が成り立つ。また,等号が成り立つのは,⑥かつ⑧のときだから,$\,a=b=c=d\,$ のとき。
ヒロ
ヒロ

完璧だね!

出来ました!

既に成り立つことが分かっている不等式を利用する場合は,左辺と右辺のどちらでも良いので,文字を置き換えることで一致させるようにしよう。

前問をさらに応用させる

ヒロ
ヒロ

さぁ,ラストの(3)だね!

$\sqrt[3]{abc}\leqq\dfrac{a+b+c}{3}$ を証明せよ。

はい!

ヒロ
ヒロ

色々な証明方法があるが,練習のために(2)を利用することを考えよう。

ということは,4文字から3文字に減らすんですね?

ヒロ
ヒロ

考え方によっては,文字を減らす方が楽な場合があるよ。

右辺を作る場合

ヒロ
ヒロ

まずは右辺を作る場合からやってみよう。

$d$ を何かに置き換えることを考えるんですか?

ヒロ
ヒロ

そうだね。単純に等号で結ぶだけで,どう置き換えれば良いかが分かるよ。

【置き換え方を調べるためのメモ】
$\,\displaystyle \frac{a+b+c+d}{4}=\frac{a+b+c}{3}\,$ とすると,
\begin{align*}
&a+b+c+d=\frac{4}{3}(a+b+c) \\
&d=\frac{a+b+c}{3}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

これで準備終了だね。

(2)において,$\,\displaystyle d=\frac{a+b+c}{3}~(>0)\,$ とおくと,
\begin{align*}
&\sqrt[4]{abc\cdot\frac{a+b+c}{3}}\leqq\frac{1}{4}\left(a+b+c+\frac{a+b+c}{3}\right) \\[4pt]&\sqrt[4]{abc\cdot\frac{a+b+c}{3}}\leqq\frac{a+b+c}{3}
\end{align*}
等号が成り立つのは,$\,\displaystyle a=b=c=\frac{a+b+c}{3}\,$ のとき,すなわち,$\,a=b=c\,$ のとき。両辺を4乗すると,
\begin{align*}
&abc\cdot\frac{a+b+c}{3}\leqq\left(\frac{a+b+c}{3}\right)^4
\end{align*}
両辺を $\,\displaystyle\frac{a+b+c}{3}~(>0)\,$ で割ると,
\begin{align*}
&abc\leqq\left(\frac{a+b+c}{3}\right)^3
\end{align*}
よって,$\,\displaystyle \sqrt[3]{abc}\leqq\frac{a+b+c}{3}\,$ が成り立つ。等号が成り立つのは,$\,a=b=c\,$ のとき。

左辺を作る場合

ヒロ
ヒロ

今度は左辺を作ることで証明しよう。

やってみますね。

【置き換え方を調べるためのメモ】
$\,\sqrt[4]{abcd}=\sqrt[3]{abc}\,$ として,両辺を 12 乗すると,
\begin{align*}
&(abcd)^3=(abc)^4 \\[4pt]&d^3=abc
\end{align*}
よって,$d$ は正の実数だから,$d=\sqrt[3]{abc}$ となる。

これで置き換え方が分かりました!

(2)において,$d=\sqrt[3]{abc}~(>0)$ とおくと,
\begin{align*}
&\sqrt[4]{abc\sqrt[3]{abc}}\leqq\frac{a+b+c+\sqrt[3]{abc}}{4} \\[4pt]&4\sqrt[3]{abc}\leqq a+b+c+\sqrt[3]{abc} \\[4pt]&3\sqrt[3]{abc}\leqq a+b+c \\[4pt]&\sqrt[3]{abc}\leqq\frac{a+b+c}{3}
\end{align*}
等号が成り立つのは,$\,a=b=c=\sqrt[3]{abc}\,$ のとき,すなわち,$\,a=b=c\,$ のとき。
ヒロ
ヒロ

完璧だね!

これは得意かもしれないです!

まとめ

ヒロ
ヒロ

不等式の証明で注意することをまとめておくよ。

不等式の証明で注意すること
  1. 2本の不等式の和や積によって,新しく不等式を作った場合は等号が成り立つ条件をしっかり考えよう。
  2. 既に成り立つことが分かっている不等式を利用する場合は,左辺と右辺のどちらでも良いので,文字を置き換えることで一致させるようにしよう。
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