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等式の証明における対称な式の扱い方とは?

等式の証明 対称な式の扱い方 数学IAIIB

前回の記事では,証明問題の4つのパターンについて書きました。また,「少なくとも」「または」で表された内容を1本の等式で表す方法の説明をしました。今回はその第二弾となります。

等式の証明において,その等式や与えられている条件式が対称式である場合は,「あること」に気を付けなければなりません。多くの方がそのことを知らないまま,入試問題の難問を目の前にすると,手を出せずに白紙解答となってしまいます。そうならないためにも,対称式を見たときに何に気を付けるのかを身に付けましょう。

問題$x,~y$ は実数で,$\displaystyle x^2+y^2+\frac{1}{2}=x+y$ ならば,$\displaystyle x=y=\frac{1}{2}$ であることを証明せよ。
ヒロ
ヒロ

まずは考えてみよう!

プリントを次のリンクからダウンロードできます。

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問題を簡単化する

ヒロ
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まずは結論部分の「$\,\displaystyle x=y=\frac{1}{2}\,$」を1本の等式で表すことを考えよう!

まずは「$\displaystyle \,x=\frac{1}{2}~\text{かつ}~y=\frac{1}{2}\,$」とするんですね!

ヒロ
ヒロ

そうだね!ここで問題を簡単にするために,$\displaystyle \frac{1}{2}$ を0にして考えよう。

問題「$\,x=0~\text{かつ}~y=0\,$」を1本の等式で表せ。
ヒロ
ヒロ

さぁ,しっかり考えよう!

「$\,xy=0\,$」ではないし・・・

ヒロ
ヒロ

よくある誤答は「$\,x+y=0\,$」だけど,これだと「$\,x=3\,$,$y=-3\,$」でも成り立つから違うよね。

今「$\,x+y=0\,$」と答えようとしてたとは言えないな・・・

ヒロ
ヒロ

すぐに答えを言うのも微妙だから,ちょっと説明していこうか。

ヒロ
ヒロ

今回は問題文に「実数」とあるね?

ありますけど,そんなの気にしたことありません。

ヒロ
ヒロ

普通はそうだろうね。ちなみに実数ってどんな数?

実数ですか・・・$\displaystyle 2,~\frac{1}{3},~\sqrt{5}$ とか色々ありますね。

ヒロ
ヒロ

そうだね。ちなみに分数で表せる数を何って言うんだっけ?

有理数です。

ヒロ
ヒロ

逆に分数で表せない数は?

無理数です。

ヒロ
ヒロ

そうだね。その有理数と無理数を合わせたものが実数ってことだね。

ヒロ
ヒロ

じゃあ,ちなみに実数ではない数は?

虚数です。

ヒロ
ヒロ

そうだね。虚数単位は $i$ だけどその定義は?

$i=\sqrt{-1}$ です!

ヒロ
ヒロ

別の言い方をすれば,$i^2=-1$ となるね。つまり,純虚数を2乗すると負になるよね?ということは実数は・・・?

実数は2乗すると0以上になる数ってことですか?

実数とは,有理数と無理数の総称であり,2乗すると0以上になる数のことである。
ヒロ
ヒロ

そうだね!今は $x$ が実数と書かれているから,$x^2\geqq0$ が成り立つ。この不等式の等号が成り立つときの $x$ の値は何?

$x=0$ です。

ヒロ
ヒロ

今分かったことは,「$\,x^2=0\,$ ならば $\,x=0\,$」だよ。これで 「$\,x=0~\text{かつ}~y=0\,$」を1本の等式で表せるかな?

なるほど!「$\,x^2+y^2=0\,$」ですね。

ヒロ
ヒロ

そうだね!

\begin{align*}「\,x=0\,かつ\,y=0\,」\!\!\!\iff\!\!\!「\,x^2+y^2=0\,」\end{align*}

何を示せば良いかを明確に!

ヒロ
ヒロ

これで「$\displaystyle \,x=\frac{1}{2}~\text{かつ}~y=\frac{1}{2}\,$」を1本の等式で表せるね。

まず,$\displaystyle \,x-\frac{1}{2}=0\,~\text{かつ}~y-\frac{1}{2}=0\,$ にします。

ヒロ
ヒロ

いいね。公式は0を基準に書かれているんだったね。

「$\displaystyle \,\left(x-\frac{1}{2}\right)^2+\left(y-\frac{1}{2}\right)^2=0\,$」ですね!

ヒロ
ヒロ

あとは $\displaystyle x^2+y^2+\frac{1}{2}=x+y$ を利用して証明すれば良いね。

やってみます!

\begin{align*}
\left(x-\frac{1}{2}\right)^2+\left(y-\frac{1}{2}\right)^2
=x^2+y^2-x-y+\frac{1}{2}
\end{align*}
与えられた条件より,$\displaystyle x^2+y^2+\frac{1}{2}-x-y=0$ であるから,
\begin{align*}
\left(x-\frac{1}{2}\right)^2+\left(y-\frac{1}{2}\right)^2=0
\end{align*}
よって,$\displaystyle x=y=\frac{1}{2}$ である。
ヒロ
ヒロ

何を証明すればよいかが分かれば,結構簡単でしょ?

そうですね!

対称な式を扱うときの注意点

ヒロ
ヒロ

この調子でもう1問やってみよう。

問題$\,a,~b,~c\,$ が実数で,$\,a^2+b^2+c^2=ab+bc+ca\,$ ならば $\,a=b=c\,$ であることを証明せよ。

まずは $\,a=b=c\,$ を「$\,a=b\,$ かつ $\,b=c\,$」として,「$\,(a-b)^2+(b-c)^2=0\,$」を証明すれば良いんですね!

\begin{align*}
(a-b)^2+(b-c)^2&=a^2+2b^2+c^2-2ab-2bc
\end{align*}

うまくいきません。どうすれば良いんですか?

ヒロ
ヒロ

$\,a=b=c\,$ を「$\,a=b\,$ かつ $\,b=c\,$」としたのは内容としては間違ってはいない。ただし,対称な式を変形するときはあることを意識した方がいいね。

その「あること」って何ですか?

ヒロ
ヒロ

対称な式を変形するときは,対称性を崩してはいけないんだ。

どういう意味・・・?

ヒロ
ヒロ

最初の問題も,$\,x,~y\,$ について対称だったけど,2文字だったから特に意識する必要はなかったんだ。でも今回は3文字になったから,注意が必要なんだ。

ヒロ
ヒロ

3文字が対称のときは,平等に扱わないといけない。例えば「$\,a=b\,$ かつ $\,b=c\,$」とした場合は,意識はしてないと思うけど結果的に $b$ に偏って変形してることになるよね?

じゃあどうすれば良いんですか?

ヒロ
ヒロ

もう1つ付け加えて「$\,a=b\,$ かつ $\,b=c\,$ かつ $\,c=a\,$」としよう。

なるほど!それだと偏りはないですね。

対称な式を扱うときは対称性を崩さないようにする。
ヒロ
ヒロ

これで証明できるかな?

頑張ります。

\begin{align*}
&(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2 \\[4pt]
&=2(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca) \\[4pt]
&=0\quad (\because a^2+b^2+c^2=ab+bc+ca)
\end{align*}
よって,
\begin{align*}
&a=b\ \ \text{かつ}\ \ b=c\ \text{かつ}\ \ c=a \\[4pt]
&a=b=c
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

完璧だね!

よし!

まとめ

ヒロ
ヒロ

「かつ」で表された条件を1本の等式で表す方法を覚えておこう!

対称な式は対称性を崩さないように変形することも重要ですね!

ヒロ
ヒロ

そうだね。使いこなせるようにして,レベルアップしよう!

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