休校だからこそ重要な自宅学習

定積分と不等式の証明の入試問題【広島大・京都工芸繊維大】

定積分を含む不等式の証明数学III
スポンサーリンク

ここでは定積分を含む不等式の証明について説明します。大学入試問題を通して,定積分を含む不等式の証明を考える際の不等式の扱い方や考え方を身に付けましょう。

スポンサーリンク

定積分を含む不等式の証明問題1【2018年 広島大】

2018年 広島大次の問いに答えよ。
(1) すべての実数 $t$ に対し,$1+t\leqq e^t$ が成り立つことを示せ。
(2) 定積分 $\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\dfrac{1}{1+\sin x}\;dx$ の値を求めよ。
(3) 次の不等式を示せ。
\begin{align*}
\dfrac{\pi}{4}-1+\dfrac{\sqrt{2}}{2}\leqq\dint{0}{\frac{\pi}{4}}e^{-\sin x}\;dx\leqq2-\sqrt{2}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(1)は右辺から左辺を引いた関数の増減を考えよう。

【(1)の解答】
$f(t)=e^t-(1+t)$ とおくと
\begin{align*}
f'(t)=e^t-1
\end{align*}
$f'(t)=0$ とすると $t=0$ となるから,$f(t)$ の増減は次のようになる。
\begin{align*}
\begin{array}{|c||c|c|c|}\hline
t & \cdots & 1 & \cdots \\\hline
f'(t) & – & 0 & + \\\hline
f(t) & \searrow & 0 & \nearrow \\\hline
\end{array}
\end{align*}
増減表より,すべての実数 $t$ に対して,$f(t)\geqq0$ が成り立つ。
よって,すべての実数 $t$ に対して $1+t\leqq e^t$ が成り立つ。
ヒロ
ヒロ

(2)は頑張って積分計算しよう。

【(2)の解答】
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\dfrac{1}{1+\sin x}\;dx&=\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\dfrac{1-\sin x}{(1+\sin x)(1-\sin x)}\;dx \\[4pt]
&=\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\dfrac{1-\sin x}{\cos^2x}\;dx \\[4pt]
&=\Tint{\tan x-\dfrac{1}{\cos x}}{0}{\frac{\pi}{4}} \\[4pt]
&=2-\sqrt2
\end{align*}
定積分と不等式$a\leqq x\leqq b$ において,$f(x)\geqq g(x)$ のとき,
\begin{align*}
\dint{a}{b}f(x)\;dx\geqq\dint{a}{b}g(x)\;dx
\end{align*}
が成り立つ。等号は $a\leqq x\leqq b$ において,$f(x)=g(x)$ であるときに限って成り立つ。
ヒロ
ヒロ

(1)と(2)の結果を利用することを考えよう。特に(2)の定積分の結果が(3)の最右辺と一致している点は見逃せない。

【(3)の解答】
(1)の結果より,
\begin{align*}
e^{-t}\leqq\dfrac{1}{1+t}
\end{align*}
が成り立つから,$t=\sin x$ として
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{4}}e^{-\sin x}\;dx\leqq\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\dfrac{1}{1+\sin x}\;dx
\end{align*}
(2)の結果より
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{4}}e^{-\sin x}\;dx\leqq2-\sqrt2~\cdots\cdots①
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

あとは左側を証明すれば終わり。変形する方法のみで考えてはいけない。

左辺の $\dfrac{\pi}{4}$ は
\begin{align*}
\dfrac{\pi}{4}=\tint{x}{0}{\frac{\pi}{4}}
\end{align*}
から来てるのかなと考えることができる。
ヒロ
ヒロ

$t$ は実数であればよいから,$-\sin x$ にすればうまくいくかもしれないと考えよう。

【(3)の解答の続き】
(1)の結果より
\begin{align*}
1-\sin x\leqq e^{-\sin x}
\end{align*}
が成り立つから
\begin{align*}
&\dint{0}{\frac{\pi}{4}}(1-\sin x)\;dx\leqq\dint{0}{\frac{\pi}{4}}e^{-x}\;dx
\end{align*}
が成り立つ。ここで
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{4}}(1-\sin x)\;dx&=\tint{x+\cos x}{0}{\frac{\pi}{4}} \\[4pt]
&=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{\sqrt2}{2}-1
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
\dfrac{\pi}{4}-1+\dfrac{\sqrt2}{2}\leqq\dint{0}{\frac{\pi}{4}}e^{-x}\;dx~\cdots\cdots②
\end{align*}
①,②より
\begin{align*}
\dfrac{\pi}{4}-1+\dfrac{\sqrt{2}}{2}\leqq\dint{0}{\frac{\pi}{4}}e^{-\sin x}\;dx\leqq2-\sqrt{2}
\end{align*}

定積分を含む不等式の証明問題2【2014年 京都工芸繊維大】

2014年 京都工芸繊維大次の問いに答えよ。
(1) $x>0$ のとき,不等式 $2-x<(2+x)e^{-x}$ が成り立つことを証明せよ。
(2) 定積分 $\dint{0}{\frac12}(2-x)\;dx$ および $\dint{0}{\frac12}(2+x)e^{-x}\;dx$ の値を求めよ。
(3) (1)と(2)を用いて,不等式 $\dfrac{3}{5}<e^{-\frac12}<\dfrac{17}{28}$ が成り立つことを証明せよ。
ヒロ
ヒロ

(1)は問題1と同じように考えよう。

【(1)の解答】
$f(x)=(2+x)e^{-x}-(2-x)$ とおくと
\begin{align*}
f'(x)&=e^{-x}-(2+x)e^{-x}+1 \\[4pt]
&=-(x+1)e^{-x}+1 \\[4pt]
f^{\prime\prime}(x)&=-e^{-x}+(x+1)e^{-x} \\[4pt]
&=xe^{-x}
\end{align*}
$x>0$ のとき,$f^{\prime\prime}(x)>0$ であるから,$x>0$ において $f'(x)$ は単調に増加する。
よって,$x>0$ において,$f'(x)>f'(0)=0$ となる。したがって,$x>0$ において,$f(x)$ も単調に増加する。
したがって,$x>0$ において $f(x)>f(0)=0$ となるから
\begin{align*}
2-x<(2+x)e^{-x}
\end{align*}
が成り立つ。
ヒロ
ヒロ

$f'(x)$ だけで増減が分からない場合は,$f^{\prime\prime}(x)$ を考えよう。

ヒロ
ヒロ

(2)は正確に計算しよう。

【(2)の解答】
\begin{align*}
\dint{0}{\frac12}(2-x)\;dx&=\Tint{2x-\dfrac{1}{2}x^2}{0}{\frac12} \\[4pt]
&=1-\dfrac{1}{8} \\[4pt]
&=\dfrac{7}{8} \\[4pt]
\dint{0}{\frac12}(2+x)e^{-x}\;dx&=\tint{-(3+x)e^{-x}}{0}{\frac12} \\[4pt]
&=-\dfrac{7}{2}e^{-\frac12}+3
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

2つ目の積分は「瞬間部分積分法」で暗算で求めている。知らない人はマスターしておこう。

ヒロ
ヒロ

(3)は誘導通り,(1)と(2)の結果を利用する方法を考えよう。

ヒロ
ヒロ

(1)の結果の式の $x$ にどんな値を代入したら,$e^{-\frac12}$ が現れるかを考えよう。

【(3)の解答】
(1)の結果より,$2-x<(2+x)e^{-x}~\cdots\cdots①$ が成り立つから,$x=\dfrac{1}{2}$ を代入すると
\begin{align*}
&2-\dfrac{1}{2}<\left(2+\dfrac{1}{2}\right)e^{-\frac12} \\[4pt]
&\dfrac{3}{2}<\dfrac{5}{2}e^{-\frac12} \\[4pt]
&\dfrac{3}{5}<e^{-\frac12}~\cdots\cdots②
\end{align*}
また,①の両辺を0から $\dfrac{1}{2}$ まで積分すると
\begin{align*}
\dint{0}{\frac12}(2-x)\;dx<\dint{0}{\frac12}(2+x)e^{-x}\;dx
\end{align*}
が成り立つ。さらに(2)の結果より
\begin{align*}
&\dfrac{7}{8}<-\dfrac{7}{2}e^{-\frac12}+3 \\[4pt]
&\dfrac{7}{2}e^{-\frac12}<\dfrac{17}{8} \\[4pt]
&e^{-\frac12}<\dfrac{17}{28}~\cdots\cdots③
\end{align*}
②,③より
\begin{align*}
\dfrac{3}{5}<e^{-\frac12}<\dfrac{17}{28}
\end{align*}

定積分を含む不等式の証明問題3

問題3次の不等式を証明せよ。
\begin{align*}
\dint{0}{1}e^x\sin x\;dx<e-1
\end{align*}
不等式の証明における定積分定積分を含む不等式の証明では,両辺が同じ積分区間になる定積分を考える。
$\dint{a}{b}f(x)\;dx\leqq k$ を証明するためには,$k=\dint{a}{b}g(x)\;dx$ となる $g(x)$ を見つけよう。$g(x)$ を見つけることができれば,証明するべき不等式は
\begin{align*}
\dint{a}{b}f(x)\;dx\leqq\dint{a}{b}g(x)\;dx
\end{align*}
と変形できる。つまり,$a\leqq x\leqq b$ において $f(x)\leqq g(x)$ であることを証明することで,元の不等式が成り立つことを証明できる。
ヒロ
ヒロ

今回の問題では,$\dint{0}{1}f(x)\;dx=e-1$ となる関数 $f(x)$ を見つけることを考える。左辺に $e^x$ と $\sin x$ があることも考えないといけない。

ヒロ
ヒロ

$e-1$ を見て,すぐに $e-1=\dint{0}{1}e^x\;dx$ と思った人は,証明のほとんどが終わったことになる。

ヒロ
ヒロ

すぐに気付かなかった人は,既に分かっている不等式から変形していこう。

【証明】
$\sin x\leqq1$ であるから,両辺に $e^x~(>0)$ をかけると
\begin{align*}
e^x\sin x\leqq e^x
\end{align*}
となる。常には等号は成り立たないから
\begin{align*}
&\dint{0}{1}e^x\sin x\;dx<\dint{0}{1}e^x\;dx
\end{align*}
が成り立つ。ここで
\begin{align*}
\dint{0}{1}e^x\;dx&=\tint{e^x}{0}{1} \\[4pt]
&=e-1
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
\dint{0}{1}e^x\sin x\;dx<e-1
\end{align*}
が成り立つ。

定積分を含む不等式の証明 問題4

問題4次の不等式を証明せよ。
\begin{align*}
\dfrac{\pi}{6}<\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{x+1}{2+\cos x}\;dx<\dfrac{\pi^2+4\pi}{16}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

この問題では $\dfrac{\pi}{2}$ を意識しよう。

最左辺の $\dfrac{\pi}{6}$ は
\begin{align*}
\dfrac{\pi}{6}=\dfrac{1}{3}\Cdota\dfrac{\pi}{2}
\end{align*}
と表すことができる。中央の式の形から,
\begin{align*}
\dfrac{\pi}{6}&=\Tint{\dfrac{1}{3}x}{0}{\frac{\pi}{2}} \\[4pt]
&=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{1}{3}\;dx
\end{align*}
となれば都合が良い。
これを実現するためには,分母の $2+\cos x$ を3にして,分子の $x+1$ を1にすればよく,実際,分母を大きくして分子を小さくしていて,全体が小さくなるから不等式の証明ができる見通しが立つ。
ヒロ
ヒロ

次は最右辺を考えよう。

最右辺の $\dfrac{\pi^2+4\pi}{16}$ は
\begin{align*}
\dfrac{\pi^2+4\pi}{16}&=\dfrac{1}{4}\left(\dfrac{\pi}{2}\right)^2+\dfrac{1}{2}\Cdota\dfrac{\pi}{2} \\[4pt]
&=\Tint{\dfrac{1}{4}x^2+\dfrac{1}{2}x}{0}{\frac{\pi}{2}} \\[4pt]
&=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{x+1}{2}\;dx
\end{align*}
となれば都合が良い。
これを実現するためには,分母の $2+\cos x$ を2にすればよく,実際,分母を小さくしているから,全体としては大きくなるから,この時点で,上の考えと合わせて「解けた」という感覚になる。
ヒロ
ヒロ

あとは答案になるように仕上げるだけ。

【証明】
$0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{2}$ において $0\leqq\cos x\leqq1$ であるから
\begin{align*}
\dfrac{1}{3}\leqq\dfrac{x+1}{2+\cos x}\leqq\dfrac{x+1}{2}
\end{align*}
が成り立つ。よって
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{1}{3}\;dx<\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{x+1}{2+\cos x}\;dx<\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{x+1}{2}\;dx
\end{align*}
が成り立つ。ここで
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{1}{3}\;dx&=\Tint{\dfrac{1}{3}x}{0}{\frac{\pi}{2}} \\[4pt]
&=\dfrac{\pi}{6} \\[4pt]
\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{x+1}{2}\;dx&=\Tint{\dfrac{1}{4}x^2+\dfrac{1}{2}x}{0}{\frac{\pi}{2}} \\[4pt]
&=\dfrac{\pi^2+4\pi}{16}
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
\dfrac{\pi}{6}<\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\dfrac{x+1}{2+\cos x}\;dx<\dfrac{\pi^2+4\pi}{16}
\end{align*}
が成り立つ。

不等式の証明をするときの考え方

ヒロ
ヒロ

不等式の証明では,成り立つこと自体は既に分かっているため,解答には,成り立つことの理由を書けば良いだけ。

ヒロ
ヒロ

そのためには,不等式を見て何がどうなれば良いのかを考えることは非常に有効である。

ヒロ
ヒロ

優秀な講師ほど,上で説明した見通しの立て方を授業でうまく説明しているはず。

ヒロ
ヒロ

そうでない講師は予め解答を見た上で説明し,「こうすればうまくいくよ」とか「うまくいくように作られている」などと答えありきの後付けの解説をしている。そんな説明を聞いても,自分で解けるようにならないのは当たり前。ただ答えを聞いて納得してるだけだから。

ヒロ
ヒロ

自分で解けるようになるためには,解けるようになるための考え方を身に付けることが重要。

タイトルとURLをコピーしました