よく「予習することが重要だ」と言われています。授業を受ける前に予習しておくことで,授業の内容を理解しやすいという人がいますが,本当にそうでしょうか?
個人的には,数学の授業を受ける前に予習をする必要はないと考えています。数学の勉強においては,予習より復習することの方がかなり重要です。そう断言する根拠について説明していきます。
予習とは?
まず「予習」の定義を確認しておきましょう。
予習とは「まだ教えられていないところを,予め勉強すること」です。
数学の予習をしている人ってどれくらいいるんでしょうか?ほとんどいないのが実情ではないでしょうか?予備校のサイトなどでは,予習・復習が重要だと書かれています。ただ,予備校の授業は学校の授業と少し性質が違います。
予備校などの受験生・浪人生を対象とした授業では,一度習ったということを前提とした授業が行われます。そして,次の授業で学習する範囲や予め解いておく問題などが決められています。そのような問題を解く行為を予習と呼ぶのなら,勝手にそう呼べば良いのですが,個人的には,それはただの課題だと思っています。
一度教えられたことを,授業の前に勉強して,ある程度の知識を取り戻すことは予習ではなく,復習と呼ぶべきです。
予習をする意味とは?
それでは次に,(教えられていないことを予め勉強する)予習をする意味を考えましょう。
- 授業を理解しやすくなる
- 理解できない箇所が分かる
- 理解できる箇所が分かる
確かに,理解できる箇所とできない箇所を把握することによって,その後に受ける授業を理解しやすくなるような気がします。
でも,こういうことが実際にできる人って,かなり数学が得意な人です。したがって,数学が苦手な人が予習をする意味なんてほとんどないので辞めましょう。
そもそも数学は理解すること自体が難しい科目です。数学が苦手な人にとって,教科書を読んで知らない知識を自分で得ていくという作業はかなり苦痛です。他人に教えてもらっても,理解できない場合もあります。
教科書を読んで理解したつもりになったとしても,それが間違った解釈だった場合,致命的なことにもなりかねません。一度間違った解釈をしてしまうと,正しい解釈に戻すのには,相当な労力が必要となります。
つまり,数学の勉強においては,予習する必要はなく,しっかり復習することが大切です。
復習をする意味とは?
復習とは,一度習ったことを繰り返して勉強することです。
一度習っただけで,ずっと覚えている人はほとんどいないので,忘れないために復習する必要があります。ここで,重要なのは忘れる前に復習することです。
数学の成績が悪い生徒のほとんどは,完全に忘れるまで復習をしません。忘れる前に復習するのと,忘れた後で復習するのでは,元の状態に戻るのにかかる時間がかなり違います。学習効率を高めるためにも,忘れる前に復習するようにしましょう。
日々の復習としては,前回の定期テストに出題された単元の次の単元を復習して下さい。次の定期テストの勉強にもなり,定期テストの点数が上がれば,復習の効果を実感することができます。
また,復習する過程で,自分で考えても分からない箇所については,学校の先生や友人など,身近な人に聞いて,なるべく早く解決するようにして下さい。
数学の問題を解くことは料理を作るのと似ている
数学の問題を解くことは,料理を作るのと似ています。初めて作る料理だと,レシピを見ないと必要な材料やその分量が分からなかったりします。また,手順もあやふやで1つの料理が完成するまでに時間がかかります。
でも同じ料理を何回も作っているうちに,レシピを見なくても,必要な材料やその分量が分かるようになって,手順も覚えているので,その料理が完成するまでの時間を短縮することができます。
数学も料理と同じです。何度も解いているうちに,パターン化され,1つの問題に対して,使うべき公式が分かり,手際よく解けるようになります。
そして一度作れるようになった料理は,たまに作るだけでずっと作れる料理として記憶されるのと同じで,数学も理解して解けるようになった問題は,そう簡単には忘れなくなります。
数学では復習が重要
数学のように理解を伴う暗記をしなければならない科目では,原則として予習は必要ない。教えられたことを,しっかり復習して自分のものにしよう。また,完全に忘れてしまう前に復習することを心がけよう。