Contents
常用対数と桁数の関係
ヒロ
大きい数の桁数を調べるためには,常用対数を利用するのが良い。
ヒロ
どのように利用するのか理解しよう。
【桁数を求めるために常用対数を利用する】
例えば $N$ を3桁の整数とすると,$100\leqq N<999$ となる。これは $100\leqq N<1000$ と表すこともできる。さらに変形すると
\begin{align*} 10^2\leqq N<10^3 \end{align*}
となり,指数が1違いの10の累乗数で挟むことができる。ここから $N$ の桁数は右側の10の指数と一致することが分かる。指数に着目し,直接扱うことができるようにするためには,対数をとるのが都合が良い。辺々の常用対数をとると
\begin{align*} &\log_{10}10^2\leqq\log_{10}N<\log_{10}10^3 \\[4pt] &2\leqq\log_{10}N<3 \end{align*}
となり,右辺の3が $N$ の桁数を表していることが分かる。 このことが常にいえるか,桁数を文字でおいて確かめよう。$N$ を $m$ 桁の整数とする。$m$ 桁の整数のうち,最小のものは先頭が1で0が $m-1$ 個続く数であるから $10^{m-1}$ と表すことができる。したがって,$N$ は \begin{align*} 10^{m-1}\leqq N<10^m \end{align*}
を満たす。辺々の常用対数をとると \begin{align*} m-1\leqq\log_{10}N<m \end{align*}
となり,右辺の $m$ が $N$ の桁数と一致することが確認できる。$N$ が整数でなくても整数部分が $m$ 桁の小数(有限小数でも無限小数でも構わない)でも \begin{align*} 10^{m-1}\leqq N<10^m \end{align*}
が成り立つから,$N$ の整数部分の桁数は常用対数 $\log_{10}N$ を1違いの整数で挟んだときの大きい数となる。ヒロ
上の話をまとめると次のようになる。
大きい数の桁数$N$ の整数部分の桁数を調べたいときは,$\log_{10}N$ の近似値を求めて,
\begin{align*} m-1\leqq\log_{10}N<m \end{align*}
となる整数 $m$ を求めよう。\begin{align*} 10^{m-1}\leqq N<10^m \end{align*}
となるから,$m$ が $N$ の整数部分の桁数である。常用対数の近似値
ヒロ
大学入試問題で常用対数の近似値を求める場合,その多くが $\log_{10}2$,$\log_{10}3$,$\log_{10}7$ の近似値が与えられていることが多い。
ヒロ
それらの値を用いて,常用対数の近似値をある程度,求められるようにしておこう。
【常用対数の近似値】
$a,~b,~c$ を
\begin{align*}
a=\log_{10}2,~b=\log_{10}3,~c=\log_{10}7
\end{align*}
とすると,様々な数の常用対数を $a,~b,~c$ を用いて表すことができる。a=\log_{10}2,~b=\log_{10}3,~c=\log_{10}7
\end{align*}
\begin{align*}
&\log_{10}4=2\log_{10}2=2a \\[4pt]
&\log_{10}5=\log_{10}\dfrac{10}{2}=1-a \\[4pt]
&\log_{10}6=\log_{10}(2\Cdota3)=a+b \\[4pt]
&\log_{10}8=3\log_{10}2=3a \\[4pt]
&\log_{10}9=2\log_{10}3=2b \\[4pt]
&\log_{10}12=\log_{10}(2^2\Cdota3)=2a+b \\[4pt]
&\log_{10}14=\log_{10}(2\Cdota7)=a+c
\end{align*}
様々な数を2,3,7,10を用いて積または商の形で表せるようにしておくと良いだろう。&\log_{10}4=2\log_{10}2=2a \\[4pt]
&\log_{10}5=\log_{10}\dfrac{10}{2}=1-a \\[4pt]
&\log_{10}6=\log_{10}(2\Cdota3)=a+b \\[4pt]
&\log_{10}8=3\log_{10}2=3a \\[4pt]
&\log_{10}9=2\log_{10}3=2b \\[4pt]
&\log_{10}12=\log_{10}(2^2\Cdota3)=2a+b \\[4pt]
&\log_{10}14=\log_{10}(2\Cdota7)=a+c
\end{align*}
特に $\log_{10}2=0.3010$,$\log_{10}3=0.4771$,$\log_{10}7=0.8451$ と与えられることが多いが,覚えるようにしよう。また,これらの値からすぐに
\begin{align*}
&\log_{10}4=0.6020 \\[4pt]
&\log_{10}5=0.6990 \\[4pt]
&\log_{10}6=0.7781 \\[4pt]
&\log_{10}8=0.9030 \\[4pt]
&\log_{10}9=0.7542
\end{align*}
と計算できるようにしておこう。&\log_{10}4=0.6020 \\[4pt]
&\log_{10}5=0.6990 \\[4pt]
&\log_{10}6=0.7781 \\[4pt]
&\log_{10}8=0.9030 \\[4pt]
&\log_{10}9=0.7542
\end{align*}
2020年 北里大
2020年 北里大$\log_{10}5\fallingdotseq0.6990$ を用いて計算すると,$5^{20}$ は $\myhako$ 桁の数である。
プリントを次のリンクからダウンロードできます。
【考え方と解答】
この問題では $\log_{10}2$ ではなく,$\log_{10}5$ の近似値が始めから与えられているため,少しだけ楽ができる。
この問題では $\log_{10}2$ ではなく,$\log_{10}5$ の近似値が始めから与えられているため,少しだけ楽ができる。
\begin{align*}
\log_{10}5^{20}&=20\log_{10}5 \\[4pt]
&=20\times0.6990 \\[4pt]
&=13.98
\end{align*}
よって,\log_{10}5^{20}&=20\log_{10}5 \\[4pt]
&=20\times0.6990 \\[4pt]
&=13.98
\end{align*}
\begin{align*}
&13<\log_{10}5^{20}<14 \\[4pt] &10^{13}<5^{20}<10^{14} \end{align*}
となるから $5^{20}$ は14桁の数である。&13<\log_{10}5^{20}<14 \\[4pt] &10^{13}<5^{20}<10^{14} \end{align*}