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正射影ベクトル
さっきの図において,$\Vec{OH}$ を $\vec{a},~\vec{b}$ で表したい場合は次のようにしよう。
\Bigl|\Vec{OH}\Bigr|=\dfrac{\abs{\vec{a}\Cdot\vec{b}}}{\abs{\vec{a}}}
\end{align*}
\Vec{OH}&=\dfrac{\vec{a}\Cdot\vec{b}}{\abs{\vec{a}}}\cdot\dfrac{\vec{a}}{\abs{\vec{a}}} \\[4pt]
&=\dfrac{\vec{a}\Cdot\vec{b}}{\abs{\vec{a}}^2}\vec{a}
\end{align*}
\Vec{BH}&=\Vec{OH}-\Vec{OB} \\[4pt]
&=\dfrac{\vec{a}\Cdot\vec{b}}{\abs{\vec{a}}^2}\vec{a}-\vec{b}
\end{align*}
点と直線の距離の公式の証明
それでは,ベクトルの内積の図形的意味を考えることで,点と直線の距離の公式の証明をしていくよ。
はい,お願いします!
直線 $\ell$ の単位法線ベクトルを $\vec{n}$ とする。$|\vec{n}|=1$ であるから,$\overrightarrow{\mathrm{AP}}$ と $\vec{n}$ の内積の図形的意味を考えると,$d=\left|\vec{n}\Cdot\overrightarrow{\mathrm{AP}}\right|$ となる。
光をどう当ててるのか分かりません。
照明を用意したよ。
$\vec{n}$ をスクリーンとして,スクリーンに垂直な光を当てると,スクリーンからはみ出るけど,AP の影が AH$’$ となる。よって,$\left|\vec{n}\Cdot\overrightarrow{\mathrm{AP}}\right|
=|\vec{n}|\times\mathrm{AH}’$
$\mathrm{AH}’=\mathrm{HP}=d,|\vec{n}|=1$ より,$d=\left|\vec{n}\Cdot\overrightarrow{\mathrm{AP}}\right|$
なるほど!分かりました。
では,具体的に $d$ を求めていくよ。
d&=\left|\frac{1}{\sqrt{a^2+b^2}}(a,b)\Cdota(x_0-p,y_0-q)\right| \\[4pt]
&=\frac{|a(x_0-p)+b(y_0-q)|}{\sqrt{a^2+b^2}} \\[4pt]
&=\frac{|ax_0+by_0-(ap+bq)|}{\sqrt{a^2+b^2}}
\end{align*}
d=\frac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}
\end{align*}
ベクトルで考えると計算が楽になりますね!
内積の図形的意味は色々な問題で利用できるから,使いこなせるようにしよう!
ベクトルを使わない「点と直線の距離の公式の証明」を,次の記事で説明している。
ベクトルの内積の図形的意味についてのまとめ
今回は平面上にある点と直線の距離の問題を扱ったけど,内積自体は空間でも同様に考えることができるため,点と平面の距離を知りたいときなどにも応用できるよ。