Contents
シグマ計算を式変形することで楽にしよう

まずは和を表す記号シグマ($\sum$)について復習しよう。

基本は大丈夫だと思います。

では,ウォーミングアップから。$S$を
$S=1^2+2^2+3^2+\cdots+10^2$
とするとき,$S$ を $\sum$ を使って表してみて?

それは流石にできます。こうですね。
$\displaystyle S=\sum_{k=1}^{10}k^2$

OK!じゃあ次の $\myhako$ に当てはまる数式を考えてみて?
$\displaystyle S=\sum_{k=3}^{12}\myhako$

$k$ の値が2つずれているだけですね。
$\displaystyle S=\sum_{k=3}^{12}(k-2)^2$

いいね!では次はどうなる?
$\displaystyle S=\sum_{k=0}^{10}\myhako$

最後の $k$ が 10 だから・・・$\displaystyle \sum_{k=0}^{10}k^2$ とすると・・・最初の $k=0$ のときは $0^2=0$ ・・・なるほど!

こうですね!
$\displaystyle S=\sum_{k=0}^{10}k^2$
$k=0$ のときは $0^2=0$ だから足しても足さなくても同じだから,これでいいんですね!

そうだね!

でもこの変形って意味ありますか?

シグマを用いた式変形にはかなり意味があるよ。とりあえず次行ってみよう。

え?まだやるんですか?

次で最後だから。というかここからが重要なんだよ。
加える順番を変えても和は変わらないよね?だから $S$ は
$\displaystyle S=10^2+9^2+8^2+\cdots+1^2$
と書き直すことができる。これを $\sum$ を使って表すとどうなる?

$k$ は 1 ずつ増えるのに,加える値を減らす変形なんてどうすればいいんですか?

中学校で習った「規則性」の問題を思い出そう。まずは変化している部分だけに着目しよう。$k$ の値は 1,2,3,・・・と1ずつ増えている。これに対して,加える値の2乗の中身は,10,9,8,・・・と1ずつ減っている。

変化する2数の和を考えると,最初は $1+10=11$,次も $2+9=11$,3番目も $3+8=11$ となっていることから2数の和は 11 で一定なのかな?と予想できるよね。

実際に,一方($k$ の値)が1増えて,もう一方(2乗の中身)が1減ってるんだから,その2数の和は一定になるのは当然だよね。今回の問題ではその2数の和が11ってことになるね。

なるほど!

このことから,1番目の2乗の中身は $11-1$ と書くことができるね。2番目の2乗の中身は $11-2$ となるね。じゃあ $k$ 番目の2乗の中身はどうなるかな?

$11-k$ ですか?

そうだね。だから,
$\displaystyle S=\sum_{k=1}^{10}(11-k)^2$
と表すことができる。

ふ~・・・やっと基本が終わったか・・・

たった1つの式
$S=1^2+2^2+3^2+\cdots+10^2$
でも色々な表し方があることが分かったね。
&S=\sum_{k=1}^{10}k^2\ (素直な表し方)\\
&=\sum_{k=3}^{12}(k-2)^2\ (2\,だけずらした) \\
&=\sum_{k=0}^{10}k^2\ (最初の項が\,0) \\
&=\sum_{k=1}^{10}(11-k)^2\ (加える順番を逆にした)
\end{align*}