等式の証明において,条件として等式が与えられた場合,その等式の扱い方にはコツがあります。
よく言われる「1本の等式が与えられたら1文字消去」というのは考え方の基本です。しかし,常に基本通りに考えるのは遠回りな場合があります。
この記事を読むことで,条件として与えられた等式の様々な扱い方を学ぶことができます。
今日扱う問題はこちら。
問題$a+b+c=0$ のとき,次の等式が成り立つことを証明せよ。
\begin{align*}
&(1)\ a^2-2bc=b^2+c^2 \\[4pt]
&(2)\ (a+b)(b+c)(c+a)+abc=0 \\[4pt]
&(3)\ a^2(b+c)+b^2(c+a)+c^2(a+b)+3abc=0
\end{align*}
&(1)\ a^2-2bc=b^2+c^2 \\[4pt]
&(2)\ (a+b)(b+c)(c+a)+abc=0 \\[4pt]
&(3)\ a^2(b+c)+b^2(c+a)+c^2(a+b)+3abc=0
\end{align*}
ヒロ
とりあえず,解いてみよう!
この記事に対応するプリントを作成しました。下のリンクからダウンロードできます。
Contents
1次式の等式があれば1つの文字を消去できる
ヒロ
まずは(1)からだ。$a+b+c=0$ から1つの文字を消去できるけど,どれを消去する?
$c$ を消去します!
ヒロ
その理由は?
こういう場合は,$c=-a-b$ として,$a,\ b$ で表すと良いんじゃないですか?
ヒロ
確かにどの文字を消去しても,証明できるのには変わらないけど・・・どうせなら楽になるようにしよう!
ヒロ
例えば $c$ を消す場合は,$c=-a-b$ を $c$ に代入することになるよね?今,証明する等式に $c$ は何か所ある?
両辺合わせて2か所です。
ヒロ
そうだね。$c$ を消すということはその2か所に代入しないといけないことになるね。
そうですね!
ヒロ
どうせ1文字を消して代入するなら,代入する箇所が少ない方が楽だと思わない?
なるほど!ということは $a$ を消去するってことですか?
ヒロ
そうなるね。$a$ は1か所しかないからね。
左辺を変形して右辺になることを示せば良いってことですね!
$a+b+c=0$ より,$a=-b-c$
\begin{align*}
(左辺)&=(-b-c)^2-2bc \\[4pt]
&=b^2+2bc+c^2-2bc \\[4pt]
&=b^2+c^2 \\[4pt]
&=(右辺)
\end{align*}
よって,$a^2-2bc=b^2+c^2$(左辺)&=(-b-c)^2-2bc \\[4pt]
&=b^2+2bc+c^2-2bc \\[4pt]
&=b^2+c^2 \\[4pt]
&=(右辺)
\end{align*}
ヒロ
その勢いで(2)に進もう!