ここでは円外の点から円に引いた接線について説明します。
「定点を通る直線の方程式」と「円と直線の位置関係」について分かっていることが前提となるため,記事を読んでいて良く分からなくなった場合は,次の記事を参考にすると解決するかもしれません。
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Contents
円外の点から円に引いた接線
ヒロ
円外の点から円に引いた接線を求める方法を説明する。
円外の点Aから円 $C$ に引いた接線を求める上で,重要なのは接点の座標である。円周上にある接点Pの座標を簡単に求めることができれば良いが,それは中々難しい。
したがって,通過することが決まっている点Aを通る直線を先に考えて,それが円 $C$ に接する条件を考える。
例えば,点C$(a,~b)$ を中心とする半径 $r$ の円を $C$ とし,$C$ 上にない点A$(p,~q)$ から $C$ に引いた接線を考える。ただし,$a+r\neq p$ とする。$a+r=p$ のときは,直線 $x=p$ が接線の1つになる。
このような接線は簡単に求められるため,接線が $y$ 軸と平行でない場合を考えることにする。このとき,求める接線の方程式は
\begin{align*}
&y=m(x-p)+q \\[4pt]
&mx-y-mp+q=0
\end{align*}
と表せる。条件をみたす接線は下図のように $l_1$ と $l_2$ の2本あることが分かる。&y=m(x-p)+q \\[4pt]
&mx-y-mp+q=0
\end{align*}
2接線 $l_1,~l_2$ と円 $C$ との接点をそれぞれP,Qとする。このとき,CP$\perp l_1$,CQ$\perp l_2$ であり,
\begin{align*}
\text{CP}=\text{CQ}=r
\end{align*}
である。\text{CP}=\text{CQ}=r
\end{align*}
直線 $mx-y-mp+q=0$ と点C$(a,~b)$ との距離が $r$ であることから,$m$ を求める。点と直線の距離の公式を利用すると
\begin{align*}
&\dfrac{\abs{ma-b-mp+q}}{\sqrt{m^2+1}}=r
\end{align*}
となり,これを解くことで傾き $m$ が得られる。&\dfrac{\abs{ma-b-mp+q}}{\sqrt{m^2+1}}=r
\end{align*}
2つの解を $m_1,~m_2$ とすると,求める接線の方程式は
\begin{align*}
y=m_1(x-p)+q,~y=m_2(x-p)+q
\end{align*}
となる。$l_1$ と $l_2$ の区別は $m_1$ と $m_2$ の大小関係で判断できる。y=m_1(x-p)+q,~y=m_2(x-p)+q
\end{align*}