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条件式がある等式の証明問題2
2007年 関西大$\dfrac{a+b}{b-c}=\dfrac{b+c}{c-a}=\dfrac{c+a}{a-b}$ が成り立つとき,次の問いに答えよ。
(1) $a+b+c=0$ を示せ。
(2) $a\left(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{c}+\dfrac{1}{a}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}\right)$ の値を求めよ。
(1) $a+b+c=0$ を示せ。
(2) $a\left(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{c}+\dfrac{1}{a}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}\right)$ の値を求めよ。
ヒロ
与えられている条件式は「比例式」である。
ヒロ
次の記事で,比例式の扱い方について説明しているので,知らない人は読んでおこう。
【(1)の考え方と解答】
与えられた比例式を $k$ とおくと
与えられた比例式を $k$ とおくと
\begin{align*}
&a+b=k(b-c)~\cdots\cdots① \\[4pt]
&b+c=k(c-a)~\cdots\cdots② \\[4pt]
&c+a=k(a-b)~\cdots\cdots③
\end{align*}
$①+②+③$ より&a+b=k(b-c)~\cdots\cdots① \\[4pt]
&b+c=k(c-a)~\cdots\cdots② \\[4pt]
&c+a=k(a-b)~\cdots\cdots③
\end{align*}
\begin{align*}
&2(a+b+c)=0 \\[4pt]
&a+b+c=0
\end{align*}
&2(a+b+c)=0 \\[4pt]
&a+b+c=0
\end{align*}
(2) $a\left(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{c}+\dfrac{1}{a}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}\right)$ の値を求めよ。
【(2)の考え方と解答】
$a+b+c=0$ の使い方がポイントとなる。$c=-a-b$ と変形すると $c$ を使わず $a,~b$ の2文字で表すことができる。これが「1文字消去」と言われる使い方である。また,$a+b=-c$ と変形すると $a+b$ という多項式を $-c$ という単項式に変形することができる。色々な使い方を知っておくことが重要である。
$a+b+c=0$ の使い方がポイントとなる。$c=-a-b$ と変形すると $c$ を使わず $a,~b$ の2文字で表すことができる。これが「1文字消去」と言われる使い方である。また,$a+b=-c$ と変形すると $a+b$ という多項式を $-c$ という単項式に変形することができる。色々な使い方を知っておくことが重要である。
\begin{align*}
&a\left(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{c}+\dfrac{1}{a}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}\right) \\[4pt]
&=a\Cdota\dfrac{b+c}{bc}+b\Cdota\dfrac{c+a}{ca}+c\Cdota\dfrac{a+b}{ab} \\[4pt]
&=-\dfrac{a^2}{bc}-\dfrac{b^2}{ca}-\dfrac{c^2}{ab} \\[4pt]
&=-\dfrac{a^3+b^3+c^3}{abc} \\[4pt]
&=-\dfrac{(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)+3abc}{abc} \\[4pt]
&=-3
\end{align*}
&a\left(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{c}+\dfrac{1}{a}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}\right) \\[4pt]
&=a\Cdota\dfrac{b+c}{bc}+b\Cdota\dfrac{c+a}{ca}+c\Cdota\dfrac{a+b}{ab} \\[4pt]
&=-\dfrac{a^2}{bc}-\dfrac{b^2}{ca}-\dfrac{c^2}{ab} \\[4pt]
&=-\dfrac{a^3+b^3+c^3}{abc} \\[4pt]
&=-\dfrac{(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)+3abc}{abc} \\[4pt]
&=-3
\end{align*}
ヒロ
$a^3+b^3+c^3$ が出てきた時点で,ほとんどの場合は因数分解公式を使えばうまくいくことを知っておこう。
ヒロ
$a+b+c=0$ をうまく利用する別の方法も紹介しておこう。
【別の考え方と解答】
与えられた式の括弧の中身が異なることに「嫌だなぁ」と感じているだろうから,括弧の中身を一致させることを考える。つまり括弧の中身がすべて $x$ になっていれば $ax+bx+cx=(a+b+c)x$ と変形できて,これは0である。しかし,ただ一致させるだけだと元の式と異なるため,元の式と等しくなるように調整する。
与えられた式の括弧の中身が異なることに「嫌だなぁ」と感じているだろうから,括弧の中身を一致させることを考える。つまり括弧の中身がすべて $x$ になっていれば $ax+bx+cx=(a+b+c)x$ と変形できて,これは0である。しかし,ただ一致させるだけだと元の式と異なるため,元の式と等しくなるように調整する。
\begin{align*}
&a\left(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{c}+\dfrac{1}{a}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}\right) \\[4pt]
&=a\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)-3 \\[4pt]
&=(a+b+c)\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)-3 \\[4pt]
&=-3
\end{align*}
&a\left(\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{c}+\dfrac{1}{a}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}\right) \\[4pt]
&=a\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+b\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)+c\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)-3 \\[4pt]
&=(a+b+c)\left(\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}+\dfrac{1}{c}\right)-3 \\[4pt]
&=-3
\end{align*}