恒等式の問題を解くときの解法は主に2つあります。
- 数値代入法
- 係数比較法
ただ,数値代入法で解く場合,十分性を確かめる必要があります。そのため,ほとんどの人は係数比較法で連立方程式を解いて,係数を求めているでしょう。
しかし,同じ係数比較法による解法でも,工夫することによって,計算量が減らすことができて,楽に速く解くことができます。数学が得意な人は,計算が速いだけで解くスピードが速いのではありません。そもそも考え方や計算方法が異なるから速く解くことができるのです。
「面倒だなぁ」と感じるような恒等式の未定係数を求める問題も,これからは楽に解けるようにしましょう。数学が得意な人が行っている工夫の仕方・考え方・計算方法を学びましょう。
では,今日扱う問題はこちら。
問題次の等式が $x$ の恒等式となるように,定数 $a,~b,~c,~d$ の値を定めよ。
\begin{align*}
a(x+1)^3+b(x+1)^2+c(x+1)+d=3x^3+4x^2-2x-1
\end{align*}
a(x+1)^3+b(x+1)^2+c(x+1)+d=3x^3+4x^2-2x-1
\end{align*}
ヒロ
まずはこの問題を解いてみよう!
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Contents
どうせ解くなら楽な方法で解こう
先生,問題解いたんですけどこれで合ってますか?
\begin{align*}
(左辺)&=a(x+1)^3+b(x+1)^2+c(x+1)+d \\[4pt]
&=ax^3+(3a+b)x^2+(3a+2b+c)x+a+b+c+d
\end{align*}
これが任意の $x$ に対して $3x^3+4x^2-2x-1$ と等しくなるための条件を考えて(左辺)&=a(x+1)^3+b(x+1)^2+c(x+1)+d \\[4pt]
&=ax^3+(3a+b)x^2+(3a+2b+c)x+a+b+c+d
\end{align*}
\begin{align*}
\begin{cases}
a=3 \\[4pt]
3a+b=4 \\[4pt]
3a+2b+c=-2 \\[4pt]
a+b+c+d=-1
\end{cases}
\end{align*}
これを解いて,$a=3,\ b=-5,\ c=-1,\ d=2$\begin{cases}
a=3 \\[4pt]
3a+b=4 \\[4pt]
3a+2b+c=-2 \\[4pt]
a+b+c+d=-1
\end{cases}
\end{align*}
ヒロ
合ってるよ!いいね!
良かった!
ヒロ
この展開はどうやってやったの?
「展開するときは項と係数を考える」っていうのを意識しました。次数ごとに係数を求めるようにして暗算しました!
ヒロ
すごいね!$x^2$ の項なら,$a(x+1)^3$ と $b(x+1)^2$ の項から出てくるから,$x^2$ の項だけを考えて,係数が $3a+b$ になることを考えたんだよね?
そうです!これくらいの展開は暗算でできるようになりました!
ヒロ
じゃあ,今日は更にパワーアップしてもらうことにしよう。
これ以上に楽に解けるんですか?
ヒロ
楽になるよ。それもかなり!
それは楽しみです!