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方程式の整数解 -不定方程式-【昭和女子大・立命館大】

方程式の整数解【1次不定方程式】 数学IAIIB
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不定方程式の問題【昭和女子大】

2020年 昭和女子大方程式 $7x-5y=3~\cdots\cdots(*)$ の自然数の解 $(x,~y)$ を考える。
(1) $(*)$ を変形して
\begin{align*}
7\left(x-\myhako\right)=5\left(y-\myhako\right)
\end{align*}
ここで,7と5は互いに素であるから,解 $(x,~y)$ は0以上の整数 $m$ を用いて,
\begin{align*}
\begin{cases}
x=\myhako m+\myhako \\[4pt]y=\myhako m+\myhako
\end{cases}(m=0,~1,~2,~\cdots)
\end{align*}
と表すことができる。
(2) $x,~y$ の最大公約数が3のとき,$x=3X,~y=3Y$ とおくと,
\begin{align*}
7X-5Y=1
\end{align*}
が成り立つから,解 $(X,~Y)$ は0以上の整数 $n$ を用いて,
\begin{align*}
\begin{cases}
X=\myhako n+\myhako \\[4pt]Y=\myhako n+\myhako
\end{cases}(n=0,~1,~2,~\cdots)
\end{align*}
となる。
さらに $x,~y$ の最小公倍数が264であるとき,
\begin{align*}
XY=\myhako
\end{align*}
であるから,$(x,~y)=\left(\myhako,~\myhako\right)$ である。

プリントを次のリンクからダウンロードできます。
【(1)の考え方と解答】
 $7x-5y=3$ を $7\left(x-\myhako\right)=5\left(y-\myhako\right)$ の形にしよう。
この空欄の意味を考えるために,文字を使って $7(x-a)=5(y-b)$ と書くと,$x=a,~y=b$ のときに「$0=0$」となり,方程式は成り立つから,$x=a,~y=b$ は $7x-5y=3$ の整数解の1つであることが分かる。適当に整数を代入しても,それほど時間がかからず見つけることができるだろう。
 $-5y$ は5の倍数であるから,右辺の3を考えると「$-7+10=3$」という等式を考えることができれば,$x=-1,~y=-2$ が1つの整数解であることが分かる。ただ,今回は空欄の前がマイナスになっているため,他の解を見つけよう。
 「$28-25=3$」という等式を考えることで,別の整数解 $x=4,~y=5$ を見つけることができる。これで $7x-5y=3$ は $7(x-4)=5(y-5)$ と変形できることが分かる。
最初に与えられた方程式 $7x-5y=3$ と変形後の $7(x-4)=5(y-5)$ の形が大きく変わっていて,意味だけを考えると変形方法が見えないから嫌だと感じる人は,次のようにしよう。
$7x-5y=3$ の1つの整数解が $x=4,~y=5$ だと分かっているから,代入しよう。
\begin{align*}
&7x-5y=3~\cdots\cdots① \\[4pt]&7\Cdota4-5\Cdota5=3~\cdots\cdots②
\end{align*}
①が元の方程式で,②が①に解を代入した式。$①-②$ を項ごとに計算すると
\begin{align*}
7(x-4)-5(y-5)=0
\end{align*}
となる。このように,項ごとに計算する方法は重要なので,身に付けておこう。$5(y-5)$ を右辺に移項することで
\begin{align*}
7(x-4)=5(y-5)
\end{align*}
と変形することができる。
それでは整数解 $x,~y$ を求めよう。7と5が互いに素であるから,$x-4$ は5の倍数で,$y-5$ は7の倍数である。今回は整数を表す文字として $m$ を使えといわれているので
\begin{align*}
&\begin{cases}
x-4=5m \\[4pt]y-5=7m
\end{cases} \\[4pt]&\begin{cases}
x=5m+4 \\[4pt]y=7m+5
\end{cases}
\end{align*}

(2) $x,~y$ の最大公約数が3のとき,$x=3X,~y=3Y$ とおくと,

\begin{align*}
7X-5Y=1
\end{align*}
が成り立つから,解 $(X,~Y)$ は0以上の整数 $n$ を用いて,
\begin{align*}
\begin{cases}
X=\myhako n+\myhako \\[4pt]Y=\myhako n+\myhako
\end{cases}(n=0,~1,~2,~\cdots)
\end{align*}
となる。
さらに $x,~y$ の最小公倍数が264であるとき,
\begin{align*}
XY=\myhako
\end{align*}
であるから,$(x,~y)=\left(\myhako,~\myhako\right)$ である。
【(2)の考え方と解答】
誘導にしたがって,解き進めていこう。
$x,~y$ の最大公約数が3のとき,$x=3X,~y=3Y$ とおけて $(*)$ より
\begin{align*}
&7\Cdota3X-5\Cdota3Y=3 \\[4pt]&7X-5Y=1
\end{align*}
となる。(1)と同じようにして,この方程式の整数解を1つ見つけよう。$X,~Y$ を表す空欄の形から判断すると,正の解を見つけないといけないことが分かる。
 $21-20=1$ を考えて,整数解の1つ $X=3,~Y=4$ を見つけることができたから,方程式を
\begin{align*}
7(X-3)=5(Y-4)
\end{align*}
に変形することができる。7と5が互いに素であるから
\begin{align*}
&\begin{cases}
X-3=5n \\[4pt]Y-4=7n
\end{cases}\\[4pt]&\begin{cases}
X=5n+3 \\[4pt]Y=7n+4
\end{cases}(n=0,~1,~2,\cdots)~\cdots\cdots③
\end{align*}
さらに「$x,~y$ の最小公倍数が264」という条件が与えられたから,$x$ と $y$ の積は最大公約数と最小公倍数の積に等しいことを利用しよう。
\begin{align*}
&xy=3\times264 \\[4pt]&3X\Cdota3Y=3\times264 \\[4pt]&XY=88
\end{align*}
$x,~y$ の最大公約数が3で,$x=3X,~y=3Y$ とおいているから,$X$ と $Y$ は互いに素である。88を素因数分解すると
\begin{align*}
88=2^3\Cdota11
\end{align*}
であるから $X$ と $Y$ の組は,1と $2^3\Cdot11$,$2^3$ と11のどちらかである。このうち,③を満たすのは,$X=5n+3=8$, $Y=7n+4=11$ であり,$n=1$ となる。このとき,
\begin{align*}
x=3X=24,~y=3Y=33
\end{align*}
したがって,$(x,~y)=(24,~33)$
ヒロ
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係数が大きい数になると,不定方程式の整数解の1つを見つけるのが難しくなる。

ヒロ
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そんな場合はユークリッドの互除法を利用することになるが,次の記事で扱うことにする。

ヒロ
ヒロ

互除法についての知識があやふやな人は復習しておこう。

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