ここでは,チェビシェフ多項式に関する入試問題を紹介します。
「チェビシェフ多項式」を聞いたとき,一部の受験生にとっては「チェビシェフ多項式?何それ?」となっているでしょう。また,そういう受験生に対して,一部の受験生は「チェビシェフ多項式も知らないの?」となる人もいるでしょう。
重要なのは,入試問題を解くことができるかどうかです。チェビシェフ多項式という名前を知っているかどうかは重要ではありません。この記事を読むことで,チェビシェフ多項式とはどういうものか,ざっくり知ることができます。また,チェビシェフ多項式に関する入試問題には,どのようなものがあるのか知ることができます。
Contents
チェビシェフ多項式の定義
ヒロ
まずはチェビシェフ多項式の定義を知ろう。
第一種チェビシェフ多項式余弦の加法定理を用いると,$\cos n\theta$($n$ は自然数)を $\cos\theta$ で表すことができる。例えば $n=2,~3$ のときは,2倍角の公式・3倍角の公式を用いると,$\cos2\theta$ と $\cos3\theta$ はそれぞれ次のように $\cos\theta$ で表すことができる。
\begin{align*}
&\cos2\theta=2\cos^2\theta-1 \\[4pt]
&\cos3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta
\end{align*}
$\cos\theta=x$ とおくと,$\cos n\theta$ を $x$ の多項式で表すことができる。この多項式を第一種チェビシェフ多項式といい,$T_n(x)$ と表す。具体的に $n=1,~2,~3$ のときの第一種チェビシェフ多項式は,それぞれ次のようになる。&\cos2\theta=2\cos^2\theta-1 \\[4pt]
&\cos3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta
\end{align*}
\begin{align*}
&T_1(x)=x \\[4pt]
&T_2(x)=2x^2-1 \\[4pt]
&T_3(x)=4x^3-3x
\end{align*}
となる。&T_1(x)=x \\[4pt]
&T_2(x)=2x^2-1 \\[4pt]
&T_3(x)=4x^3-3x
\end{align*}
ヒロ
チェビシェフ多項式には,いま説明した第一種ともう1つ,第二種がある。
第二種チェビシェフ多項式正弦の加法定理を用いると,$\sin n\theta$($n$ は自然数)を $(\cos\theta~の多項式)\times\sin\theta$ の形に表すことができる。つまり,$\dfrac{\sin n\theta}{\sin\theta}$ を $\cos\theta$ で表すことができる。例えば $n=2,~3$ のときは,余弦のときと同様に倍角公式を用いると,それぞれ次のようになる。
\begin{align*}
\dfrac{\sin2\theta}{\sin\theta}&=\dfrac{2\cos\theta\sin\theta}{\sin\theta} \\[4pt]
&=2\cos\theta \\[4pt]
\dfrac{\sin3\theta}{\sin\theta}&=\dfrac{\sin2\theta\cos\theta+\cos2\theta\sin\theta}{\sin\theta} \\[4pt]
&=\dfrac{2\sin\theta\cos^2\theta+(2\cos^2\theta-1)\sin\theta}{\sin\theta} \\[4pt]
&=4\cos^2\theta-1
\end{align*}
$\cos\theta=x$ とおくと,$\dfrac{\sin n\theta}{\sin\theta}$ を $x$ の多項式で表すことができる。この多項式を第二種チェビシェフ多項式といい,$U_n(x)$ と表す。具体的に $n=1,~2,~3$ のときの第二種チェビシェフ多項式は,それぞれ次のようになる。\dfrac{\sin2\theta}{\sin\theta}&=\dfrac{2\cos\theta\sin\theta}{\sin\theta} \\[4pt]
&=2\cos\theta \\[4pt]
\dfrac{\sin3\theta}{\sin\theta}&=\dfrac{\sin2\theta\cos\theta+\cos2\theta\sin\theta}{\sin\theta} \\[4pt]
&=\dfrac{2\sin\theta\cos^2\theta+(2\cos^2\theta-1)\sin\theta}{\sin\theta} \\[4pt]
&=4\cos^2\theta-1
\end{align*}
\begin{align*}
&U_1(x)=1 \\[4pt]
&U_2(x)=2x \\[4pt]
&U_3(x)=4x^2-1
\end{align*}
&U_1(x)=1 \\[4pt]
&U_2(x)=2x \\[4pt]
&U_3(x)=4x^2-1
\end{align*}
ヒロ
このチェビシェフ多項式がどのような形で入試問題として出題されるのかを,実際に出題された入試問題を見て,知っておこう。