対数の近似値を求める問題について説明します。
対数の定義を理解していれば,不等式をうまく利用することで,対数の近似値を求めることができるようになります。
対数を小数で表したときに,小数第2位以下の数字を答える問題も出題されるため,求め方のコツを掴んでおくと良いでしょう。
Contents
- ページ1
- 1 対数の近似値を求める方法
- ページ2
- 1 2011年 関西大
- ページ3
- 1 2011年 成蹊大
- 2 2011年 広島大
対数の近似値を求める方法
ヒロ
常用対数の近似値を利用する問題を多く解いていると,その近似値もある程度は覚えるようになるだろう。
ヒロ
例えば $\log_{10}3$ の近似値は0.4771と与えられることが多いが,小数第2位まで求める方法を考えよう。
【$\log_{10}3$ の近似値】
$\log_{10}2=0.3010$,$\log_{10}7=0.8451$ を用いて $\log_{10}3$ の近似値を小数第2位まで求めよう。3の累乗数を2,5,7の積・商で挟むことを考える。例えば $2^3=8$,$3^2=9$ であることから
\begin{align*}
2^3<3^2<10 \end{align*}
が成り立つ。辺々の常用対数をとると 2^3<3^2<10 \end{align*}
\begin{align*} &\log_{10}2^3<\log_{10}3^2<\log_{10}10 \\[4pt] &3\log_{10}2<2\log_{10}3<1 \\[4pt] &\dfrac{3}{2}\times0.3010<\log_{10}3<\dfrac{1}{2} \\[4pt] &0.4515<\log_{10}3<0.5 \end{align*}
この計算では,$\log_{10}3$ の小数第1位が4であることは分かるが,小数第2位の数字は分からない。それは作った不等式の精度が低いためである。もっと精度を上げることで小数第2位の数字を求めることができる。$2^3\times10=80$,$3^4=81$ より
\begin{align*} &2^3\times10<3^4 \\[4pt] &3\log_{10}2+1<4\log_{10}3 \\[4pt] &\dfrac{3\times0.3010+1}{4}<\log_{10}3 \\[4pt] &0.47575<\log_{10}3~\cdots\cdots① \end{align*}
また,$3^5=243$,$7^2\times10\div2=245$ より \begin{align*} &3^5<\dfrac{7^2\times10}{2} \\[4pt] &5\log_{10}3<2\log_{10}7+1-\log_{10}2 \\[4pt] &\log_{10}3<\dfrac{2\times0.8451+1-0.3010}{5} \\[4pt] &\log_{10}3<0.47784~\cdots\cdots② \end{align*}
①,②より \begin{align*} 0.47575<\log_{10}3<0.47784 \end{align*}
となるから,$\log_{10}3$ を小数第2位まで求めると0.47であることが分かる。この計算は近似値を用いた簡易法であるから,実際には近似値を用いずに不等式で絞る方法で求めるべきである。