ここでは「順列」について説明します。
順列とは,いくつかあるものを順序をつけて1列に並べる配列のことです。
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意味を考えて順列を求める
例えば次の問題を考えてみよう。
「何番目に誰が走るか」というように人を並べるように考えよう。
第一走者はA, B, C, Dの4通りある。そのそれぞれに対して,第二走者の決め方が第一走者以外の3通りある。
同じように続けて考えると,そのそれぞれに対して,第三走者の決め方が,第一走者と第二走者以外の2通りある。
最後に残った1人が第四走者になるから,第四走者の決め方は1通りである。
したがって,積の法則より
4\times3\times2\times1=24~通り
\end{align*}
このことから,5人を1列に並べるとき,その並べ方は $5\times4\times3\times2\times1=120$ 通りあることになる。
並べるものの人数・個数が多くなると掛け算の式を書くのが大変になるね。
そこで新たな記号を使って書くことになった。
n!=n(n-1)(n-2)\cdots3\Cdota2\Cdota1
\end{align*}
所謂「びっくりマーク」が使われているのは,数字が大きくなると,その階乗が一気に大きくなる様子に数学者がびっくりしたからというのが由来らしい。
- $1!=1$
- $2!=2$
- $3!=6$
- $4!=24$
- $5!=120$
- $6!=720$
- $7!=5040$
- $8!=40320$
- $9!=362880$
- $10!=3628800$
$7!=5040$ は使う機会が多く,覚えやすいため,覚えておくと良い。
順列の記号
それでは次の問題を考えてみよう。
1番目の人を決める方法は5通りある。そのそれぞれに対して2番目の人の決め方が4通りある。また,そのそれぞれに対して3番目の人の決め方が3通りある。よって
5\times4\times3=60~通り
\end{align*}
結局,5から1ずつ数字を小さくして3つの数字の積を求めれば良いことになるね。
このことを記号を使って表すと $\nPk{5}{3}$ と表す。
順列(permutation)の頭文字のPをとって記号を作ったんだね。
順列について公式化しておくと次のようになる。
\nPk{n}{r}=\underbrace{n(n-1)(n-2)\cdots(n-r+1)}_{r~個の数の積}
\end{align*}
\nPk{n}{r}&=n(n-1)(n-2)\cdots(n-r+1)\times\dfrac{(n-r)!}{(n-r)!} \\[4pt]
&=\dfrac{n!}{(n-r)!}
\end{align*}
\nPk{n}{n}=n!
\end{align*}
ただ,個人的には $\nPk{n}{k}$ の記号は基本的には不要だと思っている。
例えばさっきの問題で5人から3人を選んで1列に並べる問題では,意味を考えれば場合の数は
5\times4\times3
\end{align*}
\nPk{5}{3}=5\times4\times3
\end{align*}
順列に関する問題
それでは実際に学校の定期テストで出題された問題を解いてみよう。
(1) 整数
(2) 奇数
(3) 3の倍数
無理に順列の記号 $\nPk{n}{r}$ を使わなくても良い。
しっかりと考えて解くようにしよう。
「0以外」という条件がある百の位から考えよう。つまり,百の位→十の位→一の位の順に考えれば良い。
百の位の数字は1, 2, 3のどれかを使うから3通りある。そのそれぞれに対して,十の位は百の位以外の3通りある。
さらにそのそれぞれの決め方に対して,一の位の数字の決め方が2通りある。
よって,求める個数は
3\times3\times2=18~個
\end{align*}
$\nPk{n}{r}$ を使いたい人は次のようにすれば良い。
次は(2)を考えよう。
【(2)の考え方と解答】
まず,奇数であるためには,一の位が1または3であることが必要だね。次に,どの位の数字から決めるのかを考えよう。
「百の位は0以外」という条件がある百の位と「一の位は1または3」という条件がある一の位のどちらの位から考えるのかが問題となる。片方を決めたときに,もう一方に影響があるかどうかで判断しよう。
例えば,百の位に1を使うと,一の位は3しか使えなくなるから,百の位の数字を決めることが一の位に影響を与えることになる。
逆に一の位から決めた場合,百の位には何の影響も与えない。つまり,今回の問題では一の位から考えた方が楽ということになる。
一の位→百の位→十の位の順番で考えると,一の位は1または3の2通り。そのそれぞれに対して,百の位は一の位と0を除く2つの数字から選ぶから2通り。最後の十の位は残った2つの数字から選ぶから2通り。
よって,求める個数は
2\times2\times2=8~個
\end{align*}
【(3)の考え方と解答】
まず「3の倍数になるのは,各位の数字の和が3の倍数になるとき」ということを知っておこう。つまり,組み合わせが限られてくる。3つの数の和が3の倍数になる組み合わせは
\{0,~1,~2\},~\{1,~2,~3\}
\end{align*}
(i) 3つの数字0, 1, 2を使うとき
百の位は1または2の2通り。そのそれぞれに対して,百の位の数字以外の2つを十の位と一の位に並べる方法が $2!$ 通り。よって
2\times2!=4~個
\end{align*}
3つの数字を並べる方法の総数が作れる整数の個数と等しいから
3!=6~個
\end{align*}
4+6=10~個
\end{align*}
順列の記号 $\nPk{n}{r}$ を使うかどうかは人それぞれで構わないと思うが,意味を考えることをせず「『並べる』ときたら $\nPk{n}{k}$ を使う」などと覚えているとしたら解けない問題に遭遇することになるだろう。
そんなことにならないためにも,しっかりと意味を理解して問題を解くようにしよう。