倍数の個数に関する問題は得意でも,数学の問題にはあまり見られないような文章で書かれた問題だと戸惑う人もいます。
最低限の国語力が必要になりますが,文章で書かれた問題も解けるようにしておきましょう。
集合の要素の個数に関する文章題
ヒロ
それでは実際に定期テストで出題された問題を解いてみよう。
問題海外旅行者100人に,フランスとドイツに旅行したことがあるかアンケート調査を行った。その結果,フランスに旅行したことのある者が41人,ドイツに旅行したことのある者が29人,どちらにも旅行したことのない者が40人であった。
(1) フランスとドイツの両方に旅行したことのある者は何人か。
(2) フランスに旅行したことはあるが,ドイツに旅行したことがない者は何人か。
(1) フランスとドイツの両方に旅行したことのある者は何人か。
(2) フランスに旅行したことはあるが,ドイツに旅行したことがない者は何人か。
ヒロ
集合を設定して考えよう。
【考え方と解答】
海外旅行者100人を全体集合 $U$ とする。
その100人のうち,フランスに旅行したことがある人の集合を $A$,ドイツに旅行したことがある人の集合を $B$ とする。問題文より
$n(\overline{A}\cap\overline{B})=40$ より
(2) フランスに旅行したことはあるが,ドイツに旅行したことがない者を表す集合は $A\cap\overline{B}$ であるから
海外旅行者100人を全体集合 $U$ とする。
その100人のうち,フランスに旅行したことがある人の集合を $A$,ドイツに旅行したことがある人の集合を $B$ とする。問題文より
\begin{align*}
&n(U)=100,~n(A)=41,~n(B)=29 \\[4pt]
&n(\overline{A}\cap\overline{B})=40
\end{align*}
(1) フランスとドイツの両方に旅行したことのある者を表す集合は $A\cap B$ である。&n(U)=100,~n(A)=41,~n(B)=29 \\[4pt]
&n(\overline{A}\cap\overline{B})=40
\end{align*}
$n(\overline{A}\cap\overline{B})=40$ より
\begin{align*}
&n(\overline{A\cup B})=40 \\[4pt]
&n(U)-n(A\cup B)=40 \\[4pt]
&100-n(A\cup B)=40 \\[4pt]
&n(A\cup B)=60
\end{align*}
ここで&n(\overline{A\cup B})=40 \\[4pt]
&n(U)-n(A\cup B)=40 \\[4pt]
&100-n(A\cup B)=40 \\[4pt]
&n(A\cup B)=60
\end{align*}
\begin{align*}
n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)
\end{align*}
であるからn(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)
\end{align*}
\begin{align*}
n(A\cap B)&=n(A)+n(B)-n(A\cup B) \\[4pt]
&=41+29-60 \\[4pt]
&=10
\end{align*}
よって,求める人数は10人である。n(A\cap B)&=n(A)+n(B)-n(A\cup B) \\[4pt]
&=41+29-60 \\[4pt]
&=10
\end{align*}
(2) フランスに旅行したことはあるが,ドイツに旅行したことがない者を表す集合は $A\cap\overline{B}$ であるから
\begin{align*}
n(A\cap\overline{B})&=n(A\cup B)-n(B) \\[4pt]
&=60-29 \\[4pt]
&=31
\end{align*}
よって,求める人数は31人である。n(A\cap\overline{B})&=n(A\cup B)-n(B) \\[4pt]
&=60-29 \\[4pt]
&=31
\end{align*}
集合の要素の個数に関する文章題2
ヒロ
次も定期テストで出題された問題。
問題60人の生徒に数学と英語の試験を行った。数学の合格者は50人,英語の合格者は30人,2科目ともに不合格であった者は8人であった。
(1) 2科目とも合格した者は何人か。
(2) 数学だけ合格した者は何人か。
(1) 2科目とも合格した者は何人か。
(2) 数学だけ合格した者は何人か。
ヒロ
試験の合否を扱う問題は良く出題される。
ヒロ
読み間違えないようにしっかり読んで答えよう。
【考え方と解答】
60人の生徒を全体集合 $U$ として,その部分集合として数学の合格者の集合を $A$,英語の合格者の集合を $B$ とする。問題文の条件より
$n(\overline{A}\cap\overline{B})=8$ より
(2) 数学だけ合格した者を表す集合は $A\cap\overline{B}$ であるから
60人の生徒を全体集合 $U$ として,その部分集合として数学の合格者の集合を $A$,英語の合格者の集合を $B$ とする。問題文の条件より
\begin{align*}
&n(U)=60,~n(A)=50,~n(B)=30 \\[4pt]
&n(\overline{A}\cap\overline{B})=8
\end{align*}
(1) 2科目とも合格した者を表す集合は $A\cap B$ である。&n(U)=60,~n(A)=50,~n(B)=30 \\[4pt]
&n(\overline{A}\cap\overline{B})=8
\end{align*}
$n(\overline{A}\cap\overline{B})=8$ より
\begin{align*}
&n(\overline{A\cup B})=8 \\[4pt]
&n(U)-n(A\cup B)=8 \\[4pt]
&60-n(A\cup B)=8 \\[4pt]
&n(A\cup B)=52
\end{align*}
ここで&n(\overline{A\cup B})=8 \\[4pt]
&n(U)-n(A\cup B)=8 \\[4pt]
&60-n(A\cup B)=8 \\[4pt]
&n(A\cup B)=52
\end{align*}
\begin{align*}
n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)
\end{align*}
であるからn(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)
\end{align*}
\begin{align*}
n(A\cap B)&=n(A)+n(B)-n(A\cup B) \\[4pt]
&=50+30-52 \\[4pt]
&=28
\end{align*}
よって,求める人数は28人である。n(A\cap B)&=n(A)+n(B)-n(A\cup B) \\[4pt]
&=50+30-52 \\[4pt]
&=28
\end{align*}
(2) 数学だけ合格した者を表す集合は $A\cap\overline{B}$ であるから
\begin{align*}
n(A\cap\overline{B})&=n(A\cup B)-n(B) \\[4pt]
&=52-30 \\[4pt]
&=22
\end{align*}
よって,求める人数は22人である。n(A\cap\overline{B})&=n(A\cup B)-n(B) \\[4pt]
&=52-30 \\[4pt]
&=22
\end{align*}
ヒロ
問題文で集合名が定められていないため,自分で定める必要がある。
ヒロ
自分で決めたはずの $A,~B$ が何を表す集合か分かるようにちゃんと書いておくことが重要である。
ヒロ
あとは問題文をしっかり読んで,考えるのが難しく感じる場合にはベン図を描くなどの工夫をすることで楽に解けるようになるだろう。