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分数式を部分分数分解して積分しよう
小学校のときに仮分数を帯分数にする練習をしたよね?
あ~~懐かしいですね。帯分数とかありましたね。
でも分数式を扱うときには,その変形を常にする感覚だね。分子の次数を下げること以外に明確な意図がなければ,この原則に従って変形するんだって覚えておこう。
あと,この変形をした後にすぐに部分分数分解を考えるんじゃないよ?
え?そうなんですか?
分数式の不定積分をするときに考えることをまとめておくよ。
- $(分子の次数)<(分母の次数)$ となるように変形する。
- $\displaystyle\frac{f'(x)}{f(x)}$ の形に変形する。
- 分母が因数分解できるときは部分分数分解をする。
- 置換積分をする。
じゃあ,(1) は分子の次数が分母の次数より小さくなるように変形することから始めるんですね。
そうだね。
やってみます!
x^2+1=(x^2+3x)\cdot1-3x+1
\end{align*}
\frac{x^2+1}{x^2+3x}=1+\frac{-3x+1}{x^2+3x}
\end{align*}
次は $\displaystyle\frac{-3x+1}{x^2+3x}$ を $\displaystyle\frac{f'(x)}{f(x)}$ の形にできるかどうかを確認しよう。
はい。分母を微分して確かめてみます。$(x^2+3x)’=2x+3$ となって,$-3x+1$ は $2x+3$ の定数倍じゃないので, $\displaystyle\frac{f'(x)}{f(x)}$ の形にはできません。
そうだね。もし,最初の式が $\displaystyle\frac{x^2-x-6}{x^2+3x}$ だと次のようになるから注意しよう。
&\frac{x^2-x-6}{x^2+3x}=1+\frac{-4x-6}{x^2+3x} \\[4pt]
&=1-2\cdot\frac{2x+3}{x^2+3x} \\[4pt]
&=1-2\cdot\frac{(x^2+3x)’}{x^2+3x}
\end{align*}
&\int\frac{x^2-x-6}{x^2+3x}\;dx=\int\left\{1-2\cdot\frac{(x^2+3x)’}{x^2+3x}\right\}dx \\[4pt]
&=x-2\log|x^2+3x|+C
\end{align*}
分母が因数分解できるからって,すぐに部分分数分解を考えるのは遠回りになりますね。
毎回「$C$ は積分定数」って書くのも面倒なので,次からは省略するよ。
次に $\displaystyle\frac{-3x+1}{x^2+3x}$ の分母に着目すると,因数分解できるから部分分数分解をしよう。
まず,$\displaystyle\frac{-3x+1}{x^2+3x}=\frac{-3x+1}{x(x+3)}$ と分母を因数分解します。
\frac{-3x+1}{x(x+3)}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x+3}
\end{align*}
&-3x+1=a(x+3)+bx \\[4pt]
&-3x+1=(a+b)x+3a
\end{align*}
\begin{cases}
a+b=-3 \\[4pt]
3a=1
\end{cases}
\end{align*}
よって,
&\int\frac{x^2+1}{x^2+3x}\;dx=\int\left(1+\frac{\frac{1}{3}}{x}-\frac{\frac{10}{3}}{x+3}\right)dx \\[4pt]
&=x+\frac{1}{3}\log|x|-\frac{10}{3}\log|x+3|+C
\end{align*}
完璧だね。
部分分数分解を暗算でやってる人がいるんですけど,あれってどうやってるんですか?