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ニュートン・メルカトル級数と関連した入試問題

メルカトル級数と関連した入試問題数学III
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メルカトル級数とは,自然数の逆数を交互に足したり引いたりすることで log2 に収束するものです。しかし,多くの受験生はその名前を知りませんし,知る必要もないでしょう。ただ,この級数を見た時点で,「確か log2 に収束したような気がする」という感覚をもてるくらいになると良いかもしれません。

ここではメルカトル級数に関連した具体的な入試問題として2015年の山形大で行われた問題の解説をします。入試問題を通じて,メルカトル級数がどのような形で出題されているのかを知り,問題の考え方と解法を学びましょう。

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2015年 山形大

2015年 山形大数列 $\{a_n\},~\{b_n\}$ を
\begin{align*}
&a_n=(-1)^n\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx~(n=1,~2,~3,~\cdots) \\[4pt]
&b_n=a_{n+1}-a_n
\end{align*}
と定めるとき,次の問いに答えよ。ただし,対数は自然対数である。
(1) $a_1=\log2-1$ を示せ。
(2) $b_n=\dfrac{(-1)^{n+1}}{n+1}$ を示せ。
(3) $a_n=\log2-\Sum{k=1}{n}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k}$ $(n=2,~3,~4,~\cdots)$ を示せ。
(4) $x\geqq0$ のとき $\dfrac{1}{1+x}\leqq1$ であることを用いて,$\abs{a_n}\leqq\dfrac{1}{n+1}$ を示せ。
(5) $\Sum{k=1}{\infty}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k}$ を求めよ。

(1)の考え方と解答

(1)は単なる定積分の問題だから簡単に示せますね。

【(1)の解答】
\begin{align*}
a_1&=-\dint{0}{1}\dfrac{x}{1+x}\;dx \\[4pt]
&=\dint{0}{1}\left(\dfrac{1}{1+x}-1\right)\;dx \\[4pt]
&=\tint{\log\abs{1+x}-x}{0}{1} \\[4pt]
&=\log2-1
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

分数式では「分子の低次化」が重要だね。

(2)の考え方と解答

ヒロ
ヒロ

では(2)に進もう!

これはとりあえず代入するんですかね・・・

【(2)の解答】
$a_n=(-1)^n\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx$ より
\begin{align*}
b_n&=(-1)^{n+1}\dint{0}{1}\dfrac{x^{n+1}}{1+x}\;dx-(-1)^n\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx \\[4pt]
&=(-1)^{n+1}\dint{0}{1}\dfrac{x^{n+1}+x^n}{1+x}\;dx \\[4pt]
&=(-1)^{n+1}\dint{0}{1}x^n\;dx \\[4pt]
&=(-1)^{n+1}\Tint{\dfrac{x^{n+1}}{n+1}}{0}{1} \\[4pt]
&=\dfrac{(-1)^{n+1}}{n+1}
\end{align*}

出来てしまいました。

ヒロ
ヒロ

いいね。その調子で(3)へ進もう。

(3)の考え方と解答

 

シグマの中身が $b_k$ と似ているので,(2)を利用すれば解けそうです。

【(3)の解答】
(2)の結果より,$n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
\Sum{k=1}{n-1}b_k&=\Sum{k=1}{n-1}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k+1} \\[4pt]
&=-\Sum{k=1}{n-1}\dfrac{(-1)^{k+2}}{k+1} \\[4pt]
&=-\Sum{k=2}{n}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k} \\[4pt]
&=1-\Sum{k=1}{n}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k}
\end{align*}
よって,$n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
a_n&=a_1+\Sum{k=1}{n-1}b_k \\[4pt]
&=\log2-1+1-\Sum{k=1}{n}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k} \\[4pt]
&=\log2-\Sum{k=1}{n}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k}
\end{align*}

(4)の考え方と解答

ヒロ
ヒロ

次の(4)は定積分を含む不等式の証明だね。

とりあえず,誘導があるから,それを利用して被積分関数を作っていきます。

【(4)の解答】
$x\geqq0$ のとき,$\dfrac{1}{1+x}\leqq1$ であるから,両辺に $x^n~(\geqq0)$ をかけると
\begin{align*}
\dfrac{x^n}{1+x}\leqq x^n
\end{align*}
となる。等号は常には成り立たないから
\begin{align*}
&\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx\leqq\dint{0}{1}x^n\;dx \\[4pt]
&\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx\leqq\dfrac{1}{n+1}~\cdots\cdots①
\end{align*}

あとは $\abs{a_n}\leqq\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx$ を証明すれば終わりですね!

【(4)の解答の続き】
\begin{align*}
\abs{a_n}&=\abs{(-1)^n\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx} \\[4pt]
&=\abs{\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx} \\[4pt]
&=\dint{0}{1}\dfrac{x^n}{1+x}\;dx~\cdots\cdots②
\end{align*}
①,②より
\begin{align*}
\abs{a_n}\leqq\dfrac{1}{n+1}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

絶対値を含む定積分については,次のことを知っておこう。

定積分と絶対値一般に,次の不等式が成り立つ。
\begin{align*}
\abs{\dint{a}{b}f(x)\;dx}\leqq\dint{a}{b}\abs{f(x)}\;dx
\end{align*}
等号が成り立つのは,$a\leqq x\leqq b$ において,$f(x)$ の符号が変わらないとき。
さらに,$a\leqq x\leqq b$ において $f(x)\geqq0$ であるとき
\begin{align*}
\abs{\dint{a}{b}f(x)\;dx}=\dint{a}{b}f(x)\;dx
\end{align*}
が成り立つ。

(5)の考え方と解答

ヒロ
ヒロ

(5)は極限の問題だけど,その前に(4)で不等式の証明をしてるってことは・・・

はさみうちの原理ですね!

【(5)の解答】
(4)の結果より
\begin{align*}
0\leqq\abs{a_n}\leqq\dfrac{1}{n+1}
\end{align*}
であり,$\dlim{n\to\infty}\dfrac{1}{n+1}=0$ であるから,はさみうちの原理より
\begin{align*}
&\dlim{n\to\infty}\abs{a_n}=0 \\[4pt]
&\dlim{n\to\infty}a_n=0
\end{align*}
$n\to\infty$ の極限を考えるから,$n\geqq2$ のときを考えれば良く,(3)の結果より
\begin{align*}
\Sum{k=1}{n}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k}=\log2-a_n
\end{align*}
ここで
\begin{align*}
\dlim{n\to\infty}(\log2-a_n)=\log2
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
\Sum{k=1}{\infty}\dfrac{(-1)^{k+1}}{k}=\log2
\end{align*}
この問題の結果から,自然数の逆数を交互に足したり引いたりすることで $\log2$ に収束することが分かった。有理数を無限に足し引きしていくと,無理数になるというのは面白い。

まとめ

ヒロ
ヒロ

メルカトル級数という名前はともかく,大学入試としては頻出問題のため,出題された場合は確実に得点を稼ぎたい。

メルカトル級数
\begin{align*}
1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\cdots=\log2
\end{align*}
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