三平方の定理は中3のときに学習するため,多くの高校生にとって,知っていて当然とも言える定理の1つです。
三平方の定理は別名ピタゴラスの定理とも呼ばれ,$a^2+b^2=c^2$ を満たす自然数の組 $(a,~b,~c)$ はピタゴラス数と呼ばれます。
ピタゴラス数に関する問題は大学入試では頻出問題となっています。
整数問題が苦手な人は対策しておきましょう。
2018年 群馬大・医
ヒロ
それでは次の問題を解いてみよう。
2018年 群馬大・医$a^2+b^2=c^2$ を満たす3つの自然数 $a,~b,~c$ の組 $(a,~b,~c)$ を考える。以下の問いに答えよ。
(1) $a$ と $b$ の差は1であり,$b$ と $c$ の差が1であるとき $(a,~b,~c)$ の組をすべて求めよ。
(2) $b$ は2の累乗であり,$b$ と $c$ の差が1であるとき $(a,~b,~c)$ の組をすべて求めよ。
(1) $a$ と $b$ の差は1であり,$b$ と $c$ の差が1であるとき $(a,~b,~c)$ の組をすべて求めよ。
(2) $b$ は2の累乗であり,$b$ と $c$ の差が1であるとき $(a,~b,~c)$ の組をすべて求めよ。
(1)の考え方と解答
ヒロ
問題文の条件を数式で表すことから始めよう。
【問題文の条件の整理】
「$a$ と $b$ の差は1」から
\begin{align*}
a=b+1~または~a=b-1
\end{align*}
であることが分かる。a=b+1~または~a=b-1
\end{align*}
また,「$b$ と $c$ の差が1」から
\begin{align*}
b=c+1~または~b=c-1
\end{align*}
であることが分かる。b=c+1~または~b=c-1
\end{align*}
ヒロ
全パターンを調べるとなると4通り調べる必要があって面倒だね。
ヒロ
$a^2+b^2=c^2$ が成り立つことから,大小関係を考えよう。
ヒロ
三平方の定理は図形で考えると直角三角形の3辺に対して成り立つ定理であり,斜辺が最大辺であることを知っているから,$c$ が最大になることが分かるね。
ヒロ
これを説明すれば2パターンになるから大分楽になる。
【(1)の解答】
$a^2\geqq1$ より,$c^2=a^2+b^2>b^2$ だから,$c>b$ である。
よって,$b$ と $c$ の差が1であるとき,$c=b+1$ と表すことができる。
$a$ と $b$ の差は1だから,$a=b-1$ または $a=b+1$ であり,$a=b+1$ のとき,$a=c$ となるから,$a^2+b^2=c^2$ は成り立たない。
よって,$a=b-1$ である。このとき
このとき,$a=3,~c=5$
以上より,$(a,~b,~c)=(3,~4,~5)$
$a^2\geqq1$ より,$c^2=a^2+b^2>b^2$ だから,$c>b$ である。
よって,$b$ と $c$ の差が1であるとき,$c=b+1$ と表すことができる。
$a$ と $b$ の差は1だから,$a=b-1$ または $a=b+1$ であり,$a=b+1$ のとき,$a=c$ となるから,$a^2+b^2=c^2$ は成り立たない。
よって,$a=b-1$ である。このとき
\begin{align*}
&(b-1)^2+b^2=(b+1)^2 \\[4pt]
&b^2-4b=0 \\[4pt]
&b(b-4)=0
\end{align*}
$b$ は自然数だから,$b=4$&(b-1)^2+b^2=(b+1)^2 \\[4pt]
&b^2-4b=0 \\[4pt]
&b(b-4)=0
\end{align*}
このとき,$a=3,~c=5$
以上より,$(a,~b,~c)=(3,~4,~5)$
(2)の考え方と解答
(2) $b$ は2の累乗であり,$b$ と $c$ の差が1であるとき $(a,~b,~c)$ の組をすべて求めよ。
ヒロ
「$b$ と $c$ の差が1」の部分は(1)と同じだから $c=b+1$ と表すことができて,1文字減らすことができる。
【(1)の解答】
(2) (1)と同様に,$c=b+1$ と表すことができる。
(2) (1)と同様に,$c=b+1$ と表すことができる。
\begin{align*}
&a^2+b^2=(b+1)^2 \\[4pt]
&a^2=2b+1 \\[4pt]
&(a+1)(a-1)=2b
\end{align*}
&a^2+b^2=(b+1)^2 \\[4pt]
&a^2=2b+1 \\[4pt]
&(a+1)(a-1)=2b
\end{align*}
ヒロ
ここからは $b$ が2の累乗であることを数式で表していこう。
ヒロ
$2b$ も2の累乗になって,$a+1$ と $a-1$ の積が $2b$ だから,$a+1$ と $a-1$ の両方とも2の累乗で表すことができるはずだね。
【(1)の解答の続き】
$b$ が2の累乗だから,$a+1=2^m,~a-1=2^n~(m>n\geqq0)$ と表すことができる。
$n\geqq1$のとき
$n\geqq2$ のとき,$2^{n-1}+1$ は奇数であり,左辺 $2^{m-1}$ は偶数であるから,等式は成り立たない。
以上より,
$b$ が2の累乗だから,$a+1=2^m,~a-1=2^n~(m>n\geqq0)$ と表すことができる。
\begin{align*}
&2^m-1=2^n+1 \\[4pt]
&2^m=2^n+2
\end{align*}
$n=0$ のとき,$2^m=3$ となり,これを満たす自然数 $m$ は存在しない。&2^m-1=2^n+1 \\[4pt]
&2^m=2^n+2
\end{align*}
$n\geqq1$のとき
\begin{align*}
2^{m-1}=2^{n-1}+1
\end{align*}
$n=1$ のとき,$2^{m-1}=2$ より,$m=2$2^{m-1}=2^{n-1}+1
\end{align*}
$n\geqq2$ のとき,$2^{n-1}+1$ は奇数であり,左辺 $2^{m-1}$ は偶数であるから,等式は成り立たない。
以上より,
\begin{align*}
&a=2^m-1=2^2-1=3,~b=2^{m+n-1}=2^2=4,~c=b+1=5 \\[4pt]
&(a,~b,~c)=(3,~4,~5)
\end{align*}
&a=2^m-1=2^2-1=3,~b=2^{m+n-1}=2^2=4,~c=b+1=5 \\[4pt]
&(a,~b,~c)=(3,~4,~5)
\end{align*}