2018年センター試験 数学ⅠA 第1問 命題の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
2018年 センターⅠA 第1問 命題(1) 全体集合 $U$ を $U=\{x\,|\,x\,は\,20\,以下の自然数\}$ とし,次の部分集合 $A,~B,~C$ を考える。
次の$\mybox{キ}$ に当てはまるものを,下の⓪~③のうちから一つ選べ。
集合の関係
(a) $A\subset C$
(b) $A\cap B=\varnothing$
の正誤の組合せとして正しいものは $\myBox{キ}$ である。
集合の関係
(c) $(A\cup C)\cap B=\{6,~12,~18\}$
(d) $(\overline{A}\cap C)\cup B=\overline{A}\cap (B\cup C)$
の正誤の組合せとして正しいものは $\myBox{ク}$ である。
$q$ または $r$ であることは,$p$ であるための $\myBox{ケ}$。また,$s$ は $r$ であるための $\myBox{コ}$。
⓪ 必要条件であるが,十分条件ではない
① 十分条件であるが,必要条件ではない
② 必要十分条件である
③ 必要条件でも十分条件でもない
\begin{align*}
&A=\{x\,|\,x\in Uかつ\,x\,は\,20\,の約数\} \\[4pt]
&B=\{x\,|\,x\in Uかつ\,x\,は\,3\,の倍数\} \\[4pt]
&C=\{x\,|\,x\in Uかつ\,x\,は偶数\}
\end{align*}
集合 $A$ の補集合を $\overline{A}$ と表し,空集合を $\varnothing$ と表す。&A=\{x\,|\,x\in Uかつ\,x\,は\,20\,の約数\} \\[4pt]
&B=\{x\,|\,x\in Uかつ\,x\,は\,3\,の倍数\} \\[4pt]
&C=\{x\,|\,x\in Uかつ\,x\,は偶数\}
\end{align*}
次の$\mybox{キ}$ に当てはまるものを,下の⓪~③のうちから一つ選べ。
集合の関係
(a) $A\subset C$
(b) $A\cap B=\varnothing$
の正誤の組合せとして正しいものは $\myBox{キ}$ である。
\begin{align*}
\begin{array}{|c|c|c|c|c|}\hline
& ⓪ & ① & ② & ③ \\\hline
(\mathrm{a}) & 正 & 正 & 誤 & 誤 \\\hline
(\mathrm{b}) & 正 & 誤 & 正 & 誤 \\\hline
\end{array}
\end{align*}
次の $\mybox{ク}$ に当てはまるものを,下の⓪~③のうちから一つ選べ。\begin{array}{|c|c|c|c|c|}\hline
& ⓪ & ① & ② & ③ \\\hline
(\mathrm{a}) & 正 & 正 & 誤 & 誤 \\\hline
(\mathrm{b}) & 正 & 誤 & 正 & 誤 \\\hline
\end{array}
\end{align*}
集合の関係
(c) $(A\cup C)\cap B=\{6,~12,~18\}$
(d) $(\overline{A}\cap C)\cup B=\overline{A}\cap (B\cup C)$
の正誤の組合せとして正しいものは $\myBox{ク}$ である。
\begin{align*}
\begin{array}{|c|c|c|c|c|}\hline
& ⓪ & ① & ② & ③ \\\hline
(\mathrm{c}) & 正 & 正 & 誤 & 誤 \\\hline
(\mathrm{d}) & 正 & 誤 & 正 & 誤 \\\hline
\end{array}
\end{align*}
(2) 実数 $x$ に関する次の条件 $p,~q,~r,~s$ を考える。\begin{array}{|c|c|c|c|c|}\hline
& ⓪ & ① & ② & ③ \\\hline
(\mathrm{c}) & 正 & 正 & 誤 & 誤 \\\hline
(\mathrm{d}) & 正 & 誤 & 正 & 誤 \\\hline
\end{array}
\end{align*}
\begin{align*}
p:\abs{x-2}>2,~~q:x<0,~~r:x>4,~~s:\sqrt{x^2}>4
\end{align*}
次の $\mybox{ケ}$, $\mybox{コ}$ に当てはまるものを,下の⓪~③のうちからそれぞれ一つ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。p:\abs{x-2}>2,~~q:x<0,~~r:x>4,~~s:\sqrt{x^2}>4
\end{align*}
$q$ または $r$ であることは,$p$ であるための $\myBox{ケ}$。また,$s$ は $r$ であるための $\myBox{コ}$。
⓪ 必要条件であるが,十分条件ではない
① 十分条件であるが,必要条件ではない
② 必要十分条件である
③ 必要条件でも十分条件でもない
(1)の解答
ヒロ
条件を満たしているかどうかを判定する問題。丁寧に考えていこう。
【キの解答】
条件(a)の正誤を考える。集合の包含関係だから,要素を考えよう。
次に条件(b)の正誤を考える。
したがって,$\myBox{キ}=②$
条件(a)の正誤を考える。集合の包含関係だから,要素を考えよう。
\begin{align*}
&A=\{1,~2,~4,~5,~10,~20\} \\[4pt]
&C=\{2,~4,~6,~8,~10,~12,~14,~16,~18,~20\}
\end{align*}
集合 $A$ には1と5が含まれるが,集合 $C$ には1と5が含まれないため,$A\subset C$ とは言えない。したがって,(a)は誤り。&A=\{1,~2,~4,~5,~10,~20\} \\[4pt]
&C=\{2,~4,~6,~8,~10,~12,~14,~16,~18,~20\}
\end{align*}
次に条件(b)の正誤を考える。
\begin{align*}
B=\{3,~6,~9,~12,~15,~18\}
\end{align*}
よって,$A\cap B=\varnothing$ となるから,(b)は正しい。B=\{3,~6,~9,~12,~15,~18\}
\end{align*}
したがって,$\myBox{キ}=②$
ヒロ
次の問題も,和集合や共通部分を丁寧に考えて,正誤を判定しよう。
【クの解答】
条件(c)の正誤を考える。
次に条件(d)の正誤を考える。
左辺の集合から考える。$\overline{A}\cap C$ は20以下の自然数で,偶数だけど20の約数でない数であるから
したがって,$\myBox{ク}=⓪$
条件(c)の正誤を考える。
\begin{align*}
A\cup C=\{1,~2,~4,~5,~6,~8,~10,~12,~14,~16,~18,~20\}
\end{align*}
であるからA\cup C=\{1,~2,~4,~5,~6,~8,~10,~12,~14,~16,~18,~20\}
\end{align*}
\begin{align*}
(A\cup C)\cap B=\{6,~12,~18\}
\end{align*}
となる。よって,(c)は正しい。(A\cup C)\cap B=\{6,~12,~18\}
\end{align*}
次に条件(d)の正誤を考える。
左辺の集合から考える。$\overline{A}\cap C$ は20以下の自然数で,偶数だけど20の約数でない数であるから
\begin{align*}
\overline{A}\cap C=\{6,~8,~12,~14,~16,~18\}
\end{align*}
となる。これと集合 $B$ との和集合を考えて\overline{A}\cap C=\{6,~8,~12,~14,~16,~18\}
\end{align*}
\begin{align*}
(\overline{A}\cap C)\cup B=\{3,~6,~8,~9,~12,~14,~15,~16,~18\}
\end{align*}
右辺の集合を考える。(\overline{A}\cap C)\cup B=\{3,~6,~8,~9,~12,~14,~15,~16,~18\}
\end{align*}
\begin{align*}
B\cup C=\{2,~3,~4,~6,~8,~9,~10,~12,~14,~15,~16,~18,~20\}
\end{align*}
これと $\overline{A}$ との共通部分は,$B\cup C$ のうち20の約数でない数であるからB\cup C=\{2,~3,~4,~6,~8,~9,~10,~12,~14,~15,~16,~18,~20\}
\end{align*}
\begin{align*}
\overline{A}\cap(B\cup C)=\{3,~6,~8,~9,~12,~14,~15,~16,~18\}
\end{align*}
となる。よって,(d)は正しい。\overline{A}\cap(B\cup C)=\{3,~6,~8,~9,~12,~14,~15,~16,~18\}
\end{align*}
したがって,$\myBox{ク}=⓪$
ヒロ
ちなみにベン図で考えると次のようになる。
【クの別解】
$A\nsubseteq C$ であることと $A\cap B=\varnothing$ であることが分かっていて,$B\cap C\neq\varnothing$ であることは明らかであるから,ベン図は次のようになる。
ベン図より,$(A\cup C)\cap B=B\cap C$ となる。$B\cap C$ の要素は20以下の自然数のうち,3の倍数で偶数,すなわち20以下の自然数で6の倍数である。よって,
よって,$(\overline{A}\cap C)\cup B$ は次の斜線部分となる。
右辺の集合を考える。$B\cup C$ は次の斜線部分を表す。
よって,$\overline{A}\cap(B\cup C)$ は次の斜線部分となる。
$A\nsubseteq C$ であることと $A\cap B=\varnothing$ であることが分かっていて,$B\cap C\neq\varnothing$ であることは明らかであるから,ベン図は次のようになる。
ベン図より,$(A\cup C)\cap B=B\cap C$ となる。$B\cap C$ の要素は20以下の自然数のうち,3の倍数で偶数,すなわち20以下の自然数で6の倍数である。よって,
\begin{align*}
(A\cup C)\cap B=B\cap C=\{6,~12,~18\}
\end{align*}
となる。また,$\overline{A}\cap C$ は次の斜線部分となる。(A\cup C)\cap B=B\cap C=\{6,~12,~18\}
\end{align*}
よって,$(\overline{A}\cap C)\cup B$ は次の斜線部分となる。
右辺の集合を考える。$B\cup C$ は次の斜線部分を表す。
よって,$\overline{A}\cap(B\cup C)$ は次の斜線部分となる。
(2)の解答
(2) 実数 $x$ に関する次の条件 $p,~q,~r,~s$ を考える。
\begin{align*}次の $\mybox{ケ}$, $\mybox{コ}$ に当てはまるものを,下の⓪~③のうちからそれぞれ一つ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
p:\abs{x-2}>2,~~q:x<0,~~r:x>4,~~s:\sqrt{x^2}>4
\end{align*}
$q$ または $r$ であることは,$p$ であるための $\myBox{ケ}$。また,$s$ は $r$ であるための $\myBox{コ}$。
⓪ 必要条件であるが,十分条件ではない
① 十分条件であるが,必要条件ではない
② 必要十分条件である
③ 必要条件でも十分条件でもない
ヒロ
1つずつ条件を整理して考えよう。
【ケの解答】
条件 $p$ は数直線上で,点2からの距離が2より大きい点の集合を表すが,式で表すと次のようになる。
\begin{align*}
&\abs{x-2}>2 \\[4pt]
&x-2<-2,~2<x-2 \\[4pt]
&x<0,~4<x \end{align*}
よって,$q$ または $r$ は $p$ と同値であると分かる。$\myBox{ケ}=②$&\abs{x-2}>2 \\[4pt]
&x-2<-2,~2<x-2 \\[4pt]
&x<0,~4<x \end{align*}
ヒロ
次は $s$ と $r$ の関係を考えよう。
【コの解答】
条件 $s$ を根号がついていない式で表すと次のようになる。
よって,$s$ は $r$ であるための必要条件であるが,十分条件でない。$\myBox{コ}=⓪$
\begin{align*}
&\sqrt{x^2}>4 \\[4pt]
&\abs{x}>4 \\[4pt]
&x<-2,~2<x
\end{align*}
よって,次の数直線を見れば分かるように,条件 $r$ が表す集合は条件 $s$ が表す集合に含まれる。&\sqrt{x^2}>4 \\[4pt]
&\abs{x}>4 \\[4pt]
&x<-2,~2<x
\end{align*}
よって,$s$ は $r$ であるための必要条件であるが,十分条件でない。$\myBox{コ}=⓪$
2018年 センター数学ⅠA 命題を解いた感想
ヒロ
(1)については,楽にしようと書かずに考えるより,要素を書き並べた方が速く求められるかもしれない。
ヒロ
(2)の必要十分条件の問題では,包含関係からすぐに条件を言えるようにしておきたい。
ヒロ
例えば,ペットボトルに入っているジュースを想像して欲しい。中身がジュースで外側がペットボトル。
ヒロ
中身のジュースは十分入っていて欲しい。外側のペットボトルは絶対に必要だね。ということで,内側が十分条件で,外側が必要条件。