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2019年 センター試験 数学ⅡB 第3問 数列

2019年 センター数学ⅡB 数列 数学IAIIB

2019年センター試験 数学ⅡB 第3問数列の解説をします。

まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。

2019年 センターⅡB 数列初項が3,公比が4の等比数列の初項から第 $n$ 項までの和を $S_n$ とする。また,数列 $\{T_n\}$ は,初項が $-1$ であり,$\{T_n\}$ の階差数列が数列 $\{S_n\}$ であるような数列とする。
(1) $S_2=\myBox{アイ}$, $T_2=\myBox{ウ}$ である。
(2) $\{S_n\}$ と $\{T_n\}$ の一般項は,それぞれ
\begin{align*}
&S_n=\myBox{エ}^{~\myBox{オ}}-\myBox{カ} \\[4pt]
&T_n=\dfrac{\myBox{キ}^{~\myBox{ク}}}{\myBox{ケ}}-n-\dfrac{\myBox{コ}}{\myBox{サ}}
\end{align*}
である。ただし,$\myBox{オ}$ と $\myBox{ク}$ については,当てはまるものを,次の⓪~④のうちから一つずつ選べ。同じものを選んでもよい。
⓪ $n-1$ ① $n$ ② $n+1$ ③ $n+2$ ④ $n+3$
(3) 数列 $\{a_n\}$ は,初項が $-3$ であり,漸化式
\begin{align*}
na_{n+1}=4(n+1)a_n+8T_n~(n=1,~2,~3,~\cdots)
\end{align*}
を満たすとする。$\{a_n\}$ の一般項を求めよう。
そのために,$b_n=\dfrac{a_n+2T_n}{n}$ により定められる数列 $\{b_n\}$ を考える。$\{b_n\}$ の初項は $\myBox{シス}$ である。
$\{T_n\}$ は漸化式
\begin{align*}
T_{n+1}=\myBox{セ}~T_n+\myBox{ソ}~n+\myBox{タ}~(n=1,~2,~3,~\cdots)
\end{align*}
を満たすから,$\{b_n\}$ は漸化式
\begin{align*}
b_{n+1}=\myBox{チ}~b_n+\myBox{ツ}~(n=1,~2,~3,~\cdots)
\end{align*}
を満たすことがわかる。よって,$\{b_n\}$ の一般項は
\begin{align*}
b_n=\myBox{テト}\Cdota\mybox{チ}^{~\myBox{ナ}}-\myBox{ニ}
\end{align*}
である。ただし,$\myBox{ナ}$ については,当てはまるものを,次の⓪~④のうちから一つずつ選べ。
⓪ $n-1$ ① $n$ ② $n+1$ ③ $n+2$ ④ $n+3$
したがって,$\{T_n\}$, $\{b_n\}$ の一般項から $\{a_n\}$ の一般項を求めると
\begin{align*}
a_n=\dfrac{\myBox{ヌ}\left(\myBox{ネ}~n+\myBox{ノ}\right)\mybox{チ}^{~\mybox{ナ}}+\myBox{ハ}}{\myBox{ヒ}}
\end{align*}
である。
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(1)の解答

ヒロ
ヒロ

それでは(1)から解いていこう。

ヒロ
ヒロ

$S_2$ と $T_2$ を求める問題だね。

ヒロ
ヒロ

大切なのは $S_2$ や $T_2$ が何を表しているかをしっかり把握すること。

【ア~ウの解答】
$S_2$ は数列 $\{S_n\}$ の初項と第2項の和を表す。元となる数列は初項3,公比4の等比数列だから,
\begin{align*}
S_2&=3+3\Cdota4 \\[4pt]
&=15
\end{align*}
また,$T_2$ は数列 $\{T_n\}$ の第2項を表す。数列 $\{T_n\}$ の階差数列が数列 $\{S_n\}$ だから,
\begin{align*}
T_2&=T_1+S_1 \\[4pt]
&=-1+3 \\[4pt]
&=2
\end{align*}

(2)の解答

(2) $\{S_n\}$ と $\{T_n\}$ の一般項は,それぞれ

\begin{align*}
&S_n=\myBox{エ}^{~\myBox{オ}}-\myBox{カ} \\[4pt]
&T_n=\dfrac{\myBox{キ}^{~\myBox{ク}}}{\myBox{ケ}}-n-\dfrac{\myBox{コ}}{\myBox{サ}}
\end{align*}
である。ただし,$\myBox{オ}$ と $\myBox{ク}$ については,当てはまるものを,次の⓪~④のうちから一つずつ選べ。同じものを選んでもよい。
⓪ $n-1$ ① $n$ ② $n+1$ ③ $n+2$ ④ $n+3$

ヒロ
ヒロ

次は(2)を解いていこう。

ヒロ
ヒロ

(1)で考えたことを一般化して,一般項を求めよう。

【エ~サの解答】
$S_n$ は初項3,公比4の等比数列の初項から第 $n$ 項までの和だから
\begin{align*}
S_n&=\dfrac{3(4^n-1)}{4-1} \\[4pt]
&=4^n-1
\end{align*}
また,$T_n$ の階差数列が数列 $\{S_n\}$ だから,$n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
T_n&=T_1+\Sum{k=1}{n-1}S_k \\[4pt]
&=-1+\Sum{k=1}{n-1}(4^k-1) \\[4pt]
&=-1+\dfrac{4(4^{n-1}-1)}{4-1}-(n-1) \\[4pt]
&=-1+\dfrac{4^n}{3}-\dfrac{4}{3}-n+1 \\[4pt]
&=\dfrac{4^n}{3}-n-\dfrac{4}{3}
\end{align*}
これは $n=1$ のときも成り立つ。

(3)の解答

(3) 数列 $\{a_n\}$ は,初項が $-3$ であり,漸化式

\begin{align*}
na_{n+1}=4(n+1)a_n+8T_n~(n=1,~2,~3,~\cdots)
\end{align*}
を満たすとする。$\{a_n\}$ の一般項を求めよう。
そのために,$b_n=\dfrac{a_n+2T_n}{n}$ により定められる数列 $\{b_n\}$ を考える。$\{b_n\}$ の初項は $\myBox{シス}$ である。
$\{T_n\}$ は漸化式
\begin{align*}
T_{n+1}=\myBox{セ}~T_n+\myBox{ソ}~n+\myBox{タ}~(n=1,~2,~3,~\cdots)
\end{align*}
を満たすから,$\{b_n\}$ は漸化式
\begin{align*}
b_{n+1}=\myBox{チ}~b_n+\myBox{ツ}~(n=1,~2,~3,~\cdots)
\end{align*}
を満たすことがわかる。よって,$\{b_n\}$ の一般項は
\begin{align*}
b_n=\myBox{テト}\Cdota\mybox{チ}^{~\myBox{ナ}}-\myBox{ニ}
\end{align*}
である。ただし,$\myBox{ナ}$ については,当てはまるものを,次の⓪~④のうちから一つずつ選べ。
⓪ $n-1$ ① $n$ ② $n+1$ ③ $n+2$ ④ $n+3$
したがって,$\{T_n\}$, $\{b_n\}$ の一般項から $\{a_n\}$ の一般項を求めると
\begin{align*}
a_n=\dfrac{\myBox{ヌ}\left(\myBox{ネ}~n+\myBox{ノ}\right)\mybox{チ}^{~\mybox{ナ}}+\myBox{ハ}}{\myBox{ヒ}}
\end{align*}
である。

ヒロ
ヒロ

後半は時間がかかることが多いから,時間に余裕をもって(3)に進みたい。

ヒロ
ヒロ

(3)の最初は $\{b_n\}$ の初項を求める問題。$b_n$ の定義をしっかり確認して,$n$ に1を代入しよう。

【シスの解答】
$b_n=\dfrac{a_n+2T_n}{n}$ より
\begin{align*}
b_1&=a_1+2T_1 \\[4pt]
&=-3+2\Cdota(-1) \\[4pt]
&=-5
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

次の $\{T_n\}$ の漸化式を求める問題は,既に分かっている $\{T_n\}$ の一般項を利用しよう。

【セ~タの解答】
$T_n=\dfrac{4^n}{3}-n-\dfrac{4}{3}$ より
\begin{align*}
T_{n+1}=\dfrac{4^{n+1}}{3}-(n+1)-\dfrac{4}{3}
\end{align*}

この後の変形がかなり重要。$T_{n+1}$ を $T_n$ で表さないといけないから,$T_n$ との関係を考える。
そのために,まず $T_{n+1}$ に含まれる $\dfrac{4^{n+1}}{3}$ と $T_n$ に含まれる $\dfrac{4^n}{3}$ に着目すると,$\dfrac{4^{n+1}}{3}$ は $\dfrac{4^n}{3}$ の4倍であることが分かる。
したがって,$T_{n+1}=4T_n+\cdots$ と変形して,等号が成り立つように,着目しなかった項を調整すると,次のように変形できる。
\begin{align*}
T_{n+1}&=4\left(\dfrac{4^n}{3}-n-\dfrac{4}{3}\right)+3n+3 \\[4pt]
&=4T_n+3n+3
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

$b_n,~T_n$ の関係と $a_n,~T_n$ の関係を利用して $\{b_n\}$ の漸化式を求めよう。

ヒロ
ヒロ

ただ,$b_n=\dfrac{a_n+2T_n}{n}$ を利用して,$b_{n+1}$ を計算していくと大変なことになりそうだね。

ヒロ
ヒロ

何が大変そうかというと,$a_n$ と $a_{n+1}$ が現れるため,これを消さないといけない。

ヒロ
ヒロ

また,問題文から $\{T_n\}$ の漸化式が分かることによって,$\{b_n\}$ の漸化式も分かると読み取れる。

ヒロ
ヒロ

つまり,まずは $a_n,~T_n$ の関係式を利用して $b_n$ と $b_{n+1}$ を作ることから進めてみよう。

ヒロ
ヒロ

ここで,漸化式パターン7の考え方が役に立つ。

【チツの解答】
$na_{n+1}=4(n+1)a_n+8T_n$ の両辺を $n(n+1)$ で割ると
\begin{align*}
&\dfrac{a_{n+1}}{n+1}=\dfrac{4a_n}{n}+\dfrac{8T_n}{n(n+1)} \\[4pt]
&\dfrac{a_{n+1}}{n+1}=\dfrac{4a_n}{n}+\dfrac{8T_n}{n}-\dfrac{8T_n}{n+1}
\end{align*}
ここで,左辺に $\dfrac{2T_{n+1}}{n+1}$ があれば $b_{n+1}$ になるから,両辺にそれを加えよう。
\begin{align*}
&\dfrac{a_{n+1}}{n+1}+\dfrac{2T_{n+1}}{n+1}=\dfrac{4a_n}{n}+\dfrac{8T_n}{n}-\dfrac{8T_n}{n+1}+\dfrac{2T_{n+1}}{n+1} \\[4pt]
&\dfrac{a_{n+1}+2T_{n+1}}{n+1}=4\Cdot\dfrac{a_n+2T_n}{n}+\dfrac{2(T_{n+1}-4T_n)}{n+1}
\end{align*}
これで左辺は $b_{n+1}$ になる。また,右辺の $a_n$ もカタマリで $b_n$ となって消える。残った部分に対して $\{T_n\}$ の漸化式を利用すれば良いはず。ちょうどうまく利用できる形になっているから,おそらく合っているだろうという気持ちにもなれる。
\begin{align*}
&b_{n+1}=4b_n+\dfrac{2(3n+3)}{n+1} \\[4pt]
&b_{n+1}=4b_n+6
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

最後に,分母の $n+1$ が約分できて消えたから一安心だね。

ヒロ
ヒロ

それでは漸化式から $b_n$ を求めよう。パターン2の解法を思い出そう。

【テ~ニの解答】
$x=4x+6$ を解くと,$x=-2$ となるから,$b_{n+1}=4b_n+6$ より
\begin{align*}
&b_{n+1}+2=4(b_n+2)
\end{align*}
数列 $\{b_n+2\}$ は公比4の等比数列であり,$b_1+2=-3$ であるから
\begin{align*}
&b_n+2=-3\Cdota4^{n-1} \\[4pt]
&b_n=-3\Cdota4^{n-1}-2
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

最後の $a_n$ を求めよう。

【ヌ~ヒの解答】
$b_n=\dfrac{a_n+2T_n}{n}$ より
\begin{align*}
a_n=nb_n-2T_n
\end{align*}
であり,これに
\begin{align*}
&T_n=\dfrac{4^n}{3}-n-\dfrac{4}{3} \\[4pt]
&b_n=-3\Cdota4^{n-1}-2
\end{align*}
を代入すると
\begin{align*}
a_n&=n(-3\Cdota4^{n-1}-2)-2\left(\dfrac{4^n}{3}-n-\dfrac{4}{3}\right) \\[4pt]
&=-3n\Cdota4^{n-1}+\dfrac{-2\Cdot4^n+8}{3} \\[4pt]
&=\dfrac{-9n\Cdot4^{n-1}-8\Cdot4^{n-1}+8}{3} \\[4pt]
&=\dfrac{-(9n+8)\Cdot4^{n-1}+8}{3}
\end{align*}

(3)のチ以降を裏技で解く

ヒロ
ヒロ

(3)の後半の $\myBox{チ}$ 以降が比較的難しく感じるだろう。

ヒロ
ヒロ

上で書いたような解答を説明されても「こんな変形できない!」という人のために,裏技解法でも解いておく。

ヒロ
ヒロ

ここで紹介する方法なら,最低限の知識と計算力があれば,中学生でも答えを求めることができる。

【裏技解法】
空欄部分は定数と分かるから,$b_{n+1}=xb_n+y$ と置いてしまおう。$x,~y$ の2文字が未知数だから,独立した2本の方程式を用意しよう。まず,$n=1$ のときを考える。$b_1=-5$ となることは既に求めているから,あとは $b_2$ を求めれば良い。そのために $a_2$ を求めないといけない。
$na_{n+1}=4(n+1)a_n+8T_n$ に $n=1$ を代入すると
\begin{align*}
a_2&=8a_1+8T_1 \\[4pt]
&=8\Cdota(-3)+8\Cdota(-1) \\[4pt]
&=-32
\end{align*}
$T_2$ は(1)で求めた値を再利用すればよいから,$b_2$ を求めよう。
\begin{align*}
b_2&=\dfrac{a_2+2T_2}{2} \\[4pt]
&=\dfrac{-32+2\Cdot2}{2} \\[4pt]
&=-14
\end{align*}
したがって,$b_2=xb_1+y$ より
\begin{align*}
-14=-5x+y
\end{align*}
これで1本の方程式が得られた。ここで,今回の場合,空欄の形から $x\neq1$ であることが分かるから,数字が入るなら2から9までの整数。あと考えられるのはマイナスの符号。
仮にマイナスの符号が入るとすると,
\begin{align*}
-14=5+y
\end{align*}
となるから,$y=-19$ となる。しかし,これは空欄に当てはまらないから間違いだと分かる。これで $x$ は2から9の整数であることが確定する。
空欄の形から $y$ は9以下の自然数であることが分かるから
\begin{align*}
&1\leqq5x-14\leqq9 \\[4pt]
&15\leqq5x\leqq23 \\[4pt]
&x=3,~4
\end{align*}
$x=3$ のとき,$y=1$であり,$x=4$ のとき,$y=6$ である。今回の問題では,1つに絞れなかったため,確実に得点するためには,もう1本の方程式を求めないといけない。ただ,時間がないなら,どちらか1組を選んでマークしよう。50% の確率で得点できることになる。これは適当にマークするよりはるかに高い確率であることは言うまでもない。
一応,真面目にもう1本を求めておこう。そのために $b_3$ の値を求めないといけない。つまり,$a_3$ や $T_3$ の値も必要。
\begin{align*}
2a_3&=12a_2+8T_2 \\[4pt]
a_3&=6a_2+4T_2 \\[4pt]
&=6\Cdota(-32)+4\Cdota2 \\[4pt]
&=-192+8 \\[4pt]
&=-184
\end{align*}
次に $T_3$ を求める。
\begin{align*}
T_3&=\dfrac{4^3}{3}-3-\dfrac{4}{3} \\[4pt]
&=17
\end{align*}
よって,$b_3$ は次のようになる。
\begin{align*}
b_3&=\dfrac{a_3+2T_3}{3} \\[4pt]
&=\dfrac{-184+2\Cdot17}{3} \\[4pt]
&=-50
\end{align*}
$b_3=xb_2+y$ より
\begin{align*}
-50=-14x+y
\end{align*}
これで2本の方程式が得られた。
\begin{align*}
\begin{cases}
-14=-5x+y &~\cdots\cdots① \\[4pt]
-50=-14x+y &~\cdots\cdots②
\end{cases}
\end{align*}
① ,②より
\begin{align*}
x=4,~y=6
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

このようにすれば,連立方程式を解くことによって正解が得られる。

2019年 センター数学ⅡB 数列を解いた感想

ヒロ
ヒロ

等比数列の和が与えられて,それを階差数列の一般項とする数列が与えられているため,公式を丸暗記している人にとっては難しい問題かもしれない。

ヒロ
ヒロ

ちゃんと理解している人にとっては(2)までは簡単に解けると思う。

ヒロ
ヒロ

(3)については,変形が少し難しいので解けない人が一定数いる気がする。

ヒロ
ヒロ

センター試験は巨大な整数問題のようなものと考えることもできる。空欄部分を文字で置いて,うまく連立方程式を立てることができれば,空欄部分を求めることができる場合もある。

ヒロ
ヒロ

そんなことができるためには,そもそも実力が必要だと言われることもあるが,$n=1,~2$ のような具体的な数値であれば理解できる人は多いため,そういう解法もあるんだと知ることも重要。

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