2017年センター試験 数学ⅠA 第4問 整数の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
$37a$ が4で割り切れるのは
a=\myBox{ア},~\myBox{イ}
\end{align*}
(2) 千の位の数が7,百の位の数が $b$ ,十の位の数が5,一の位の数が $c$ である4桁の自然数を$7b5c$ と表記する。
$7b5c$ が4でも9でも割り切れる $b,~c$ の組は,全部で $\myBox{ウ}$ 個ある。これらのうち,$7b5c$ の値が最小になるのは $b=\myBox{エ}$, $c=\myBox{オ}$ のときで,$7b5c$ の値が最大になるのは $b=\myBox{カ}$, $c=\myBox{キ}$ のときである。
また,$7b5c=(6\times n)^2$ となる $b,~c$ と自然数 $n$ は
b=\myBox{ク},~c=\myBox{ケ},~n=\myBox{コサ}
\end{align*}
(3) 1188の正の約数は全部で $\myBox{シス}$ 個ある。これらのうち,2の倍数は $\myBox{セソ}$ 個,4の倍数は $\myBox{タ}$ 個ある。
1188のすべての正の約数の積を2進法で表すと,末尾には0が連続して $\myBox{チツ}$ 個並ぶ。
(1)の解答
4の倍数の判定法を覚えておこう。
これは $100=25\times4$ を考えると,100が4の倍数だと分かる(水泳経験者なら常識であるが)から,下2桁が4の倍数であれば,その数が4の倍数ということになるね。
$37a$ が4で割り切れるのは,$7a$ が4で割り切れるときだから,
a=2,~6
\end{align*}
ちなみに72が4の倍数だと分かった時点で,一の位に4を加えて,76も4の倍数であることが分かる。
72という数字を見て「72時間」という映画のタイトルを思い出すなど,72が馴染みのある数字になっている人にとっては4の倍数であることは常識になっているだろう。
(2)の解答
(2) 千の位の数が7,百の位の数が $b$ ,十の位の数が5,一の位の数が $c$ である4桁の自然数を$7b5c$ と表記する。
$7b5c$ が4でも9でも割り切れる $b,~c$ の組は,全部で $\myBox{ウ}$ 個ある。これらのうち,$7b5c$ の値が最小になるのは $b=\myBox{エ}$, $c=\myBox{オ}$ のときで,$7b5c$ の値が最大になるのは $b=\myBox{カ}$, $c=\myBox{キ}$ のときである。
また,$7b5c=(6\times n)^2$ となる $b,~c$ と自然数 $n$ は\begin{align*}である。
b=\myBox{ク},~c=\myBox{ケ},~n=\myBox{コサ}
\end{align*}
次は9の倍数の判定問題。
まず $7b5c$ が4で割り切れるのは,$5c$ が4で割り切れるときだから
c=2,~6
\end{align*}
7+b+5+c=b+14
\end{align*}
また,$c=6$ のとき,各位の数の和は
7+b+5+c=b+18
\end{align*}
よって,求める $b,~c$ の組は3個ある。$\myBox{ウ}=3$
いま求めた3組のうち,$7b5c$ が最小になるものと最大になるものを求めよう。
最小になるものは $b$ が最小になるものを考えて $b=0,~c=6$ のとき。
最大になるものは $b$ が最大になるものを考えて $b=9,~c=6$ のときである。
次は $7b5c$ が平方数になる $b,~c$ の値を考えよう。
$7b5c=(6\times n)^2$ となるとき,$7b5c=4\times9\times n^2$ となるから,$7b5c$ は4でも9でも割り切れる。よって,$b,~c$ の組は
(b,~c)=(0,~6),~(4,~2),~(9,~6)
\end{align*}
(b,~c)=(0,~6),~(9,~6)
\end{align*}
7056&=36\times196 \\[4pt]
&=(6\times14)^2
\end{align*}
センター試験でなければ,もう一方もチェックする必要がある。$7956=36\times221$ となり,7956は平方数にならない。
ちなみに7056から調べたのは,順番に調べているだけで,特に意味はない。最初に調べたものが条件を満たしたのは偶然である。どちらから調べようか悩むことは時間の無駄なので,速く解くためにも,とにかく手を動かそう。
(3)の解答
(3) 1188の正の約数は全部で $\myBox{シス}$ 個ある。これらのうち,2の倍数は $\myBox{セソ}$ 個,4の倍数は $\myBox{タ}$ 個ある。
1188のすべての正の約数の積を2進法で表すと,末尾には0が連続して $\myBox{チツ}$ 個並ぶ。
約数の個数を求める問題。素因数分解して素早く処理していこう。
1188&=4\times297 \\[4pt]
&=4\times11\times27 \\[4pt]
&=2^2\times3^3\times11
\end{align*}
3\times4\times2=24~個
\end{align*}
素因数分解するときに,中学生のときに習った「小さい素数で順番に割っていく方法」はオススメではない。
高校生なら,見た瞬間に気付く約数でどんどん割っていこう。
今回の場合は,下3桁が8の倍数ではなく,下2桁が4の倍数だから,最初に4で割った。
次に297を見て,$11\times27$ と分かる。最後に $4=2^2$, $27=3-3$ として素因数分解終了という感じ。
また,1188を見て最初に11の倍数であることも分かるため,$1188=11\times108$ とするのもアリ。
$\div2$, $\div2$ と1つずつ割っていくのだけは辞めよう。
297が11の倍数だと一瞬で分かるのは,2桁の数と11の掛け算を速くする方法を知ってるから。
$a+b<9$ のとき,$a+b=c$ とすると
ab\times11=acb
\end{align*}
ab\times11=a’cb
\end{align*}
【具体例】
27\times11=297,~37\times11=407
\end{align*}
今回は297を見て,$2+7=9$ が思い浮かんだから,即座に11の倍数と判別できた。
ちなみに,自然数 $n$ の下3桁が8の倍数なら,$n$ は8の倍数であることも知っておこう。
次は2の倍数の個数を求める問題。
$1188=2^2\times3^3\times11$ の約数のうち,2の倍数であるものは素因数2を少なくとも1つ含む。よって, 素因数2の取り方が2通り,素因数3の取り方が4通り,素因数11の取り方が2通りあるから,全部で
2\times4\times2=16~個
\end{align*}
同じようにして4の倍数の個数を求めよう。
$1188=2^2\times3^3\times11$ の約数のうち,4の倍数であるものは素因数2を少なくとも2つ含む。よって, 素因数2の取り方が1通り,素因数3の取り方が4通り,素因数11の取り方が2通りあるから,全部で
1\times4\times2=8~個
\end{align*}
最後は1188のすべての正の約数の積を2進法で表したときの末尾の0の個数を求める問題。 まず,末尾の0の個数の求め方について理解しておこう。
10進法で表された自然数 $n$ の末尾に続く0の個数が2だと言われた場合,$n=100$ や $n=200$ など色々あるが,すべて
n=N\times10^2
\end{align*}
n=N\times10^m
\end{align*}
このことが理解できれば2進法になっても同じだね。
2進法で表された自然数の末尾に続く0の個数が $m$ のとき, その自然数を10進法で表した数を $n$ とすると
n=N\times2^m
\end{align*}
このことを考えて最後の問題を解こう。
1188の正の約数の中で,2の倍数が16個,4の倍数が8個り,8の倍数はないから, 1188の正の約数の積を素因数分解すると
2^{16+8}\times(奇数の素数の積)=2^{24}\times(奇数の素数の積)
\end{align*}
2017年 センター数学ⅠA 整数を解いた感想
速く解くためには,自然数がどの数の倍数であるかの判定を素早く行えることが重要である。
また,2進法で表した数の末尾に続く0の個数を求める問題に「こんなの知らない」となった人が多いかもしれない。
10進法で表した数の末尾に続く0の個数について,しっかりと理解していれば対応できるはず。