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漸化式パターン8:数列 $\{a_n\}$ の項に関する和を含む漸化式の解法 part3

漸化式パターン8 part3数学IAIIB
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和を含む漸化式パターン8の第三弾です。$S_n$ だけで表されている場合もあります。数列 {$S_n$} の漸化式として解けるなら,そのまま解いてしまっても構いません。

また,一般項を求める方法として,今まで色々なパターンに対応した解法を紹介してきました。しかし,一般項はこうなるだろうなぁと推測できる場合には,一旦推測してしまってから,それが正しいことを証明しても構いません。

ここでは,そんな問題を扱います。それでは,最初の問題はこちらです。

2013年 宇都宮大数列 $\{a_n\}$ は $a_n>0$ かつ $a_1=3$ であるとする。初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ について
\begin{align*}
S_{n+1}+S_n=\dfrac{1}{3}(S_{n+1}-S_n)^2
\end{align*}
が成り立つとき,次の問いに答えよ。
(1) $S_2$ と $S_3$ を求めよ。
(2) 数列 $\{a_n\}$ のみたす漸化式を求めよ。
(3) 数列 $\{S_n\}$ の一般項を求めよ。
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数列 $\{S_n\}$ の漸化式

ヒロ
ヒロ

最初の(1)は $S_1=a_1$ であることが分かっていれば,$n$ に1や2を代入すれば解けるはずだね。

【(1)の解答】
\begin{align*}
S_{n+1}+S_n=\dfrac{1}{3}(S_{n+1}-S_n)^2~\cdots\cdots ①
\end{align*}
とする。$S_1=a_1$ より,$S_1=3$ であるから,①において,$n=1$ を代入すると
\begin{align*}
&S_2+S_1=\dfrac{1}{3}(S_2-S_1)^2 \\[4pt]
&3(S_2+3)=(S_2-3)^2 \\[4pt]
&{S_2}^2-9S_2=0 \\[4pt]
&S_2(S_2-9)=0 \\[4pt]
&S_2=0,~9
\end{align*}
$a_n>0$ より,$S_n>0$ であるから,$S_2=9$
①において $n=2$ とすると
\begin{align*}
&S_3+S_2=\dfrac{1}{3}(S_3-S_2)^2 \\[4pt]
&3(S_3+9)=(S_3-9)^2 \\[4pt]
&{S_3}^2-21S_3+54=0 \\[4pt]
&(S_3-3)(S_3-18)=0 \\[4pt]
&S_3=3,~18
\end{align*}
$a_n>0$ より,$S_{n+1}>S_n$ であるから,$S_3=18$
ヒロ
ヒロ

では(2)に進もう。

ヒロ
ヒロ

見た目に驚くかもしれないが,$S_n$ は数列 $\{a_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和だから,$S_{n+1}-S_n=a_{n+1}$ が成り立つことを利用して,数列 $\{a_n\}$ のみたす漸化式を求めよう。

【(2)の解答】
$S_{n+1}-S_n=a_{n+1}$ が成り立つから,①より
\begin{align*}
S_{n+1}+S_n=\dfrac{1}{3}{a_{n+1}}^2~\cdots\cdots ②
\end{align*}
よって,
\begin{align*}
S_{n+2}+S_{n+1}=\dfrac{1}{3}{a_{n+2}}^2~\cdots\cdots ③
\end{align*}
も成り立つ。$③-②$ より
\begin{align*}
&(S_{n+2}-S_{n+1})+(S_{n+1}-S_n)=\dfrac{1}{3}({a_{n+2}}^2-{a_{n+1}}^2) \\[4pt]
&a_{n+2}+a_{n+1}=\dfrac{1}{3}(a_{n+2}+a_{n+1})(a_{n+2}-a_{n+1})
\end{align*}
ここで $a_{n+2}+a_{n+1}>0$ であるから,両辺をこれで割って
\begin{align*}
&1=\dfrac{1}{3}(a_{n+2}-a_{n+1}) \\[4pt]
&a_{n+2}-a_{n+1}=3
\end{align*}
よって,$n\geqq2$ のとき,
\begin{align*}
a_{n+1}-a_n=3~\cdots\cdots ④
\end{align*}
が成り立つ。ここで $a_2=S_2-S_1=9-3=6$ より,$a_2-a_1=6-3=3$ であるから,④は $n=1$ のときも成り立つ。
よって,$\{a_n\}$ のみたす漸化式は,$a_{n+1}-a_n=3$
ヒロ
ヒロ

最後の(3)を解説していくよ。$a_n$ を求めてから,$S_n$ を求めれば良いね。

【(3)の解答】
(2)の結果より,数列 $\{a_n\}$ は初項3,公差3の等差数列であるから,$a_n=3n$
よって,数列 $\{S_n\}$ の一般項は
\begin{align*}
S_n=\Sum{k=1}{n}3k=\dfrac{3}{2}n(n+1)
\end{align*}

$S_n$ の分数式で表された漸化式

ヒロ
ヒロ

次は一般項 $a_n$ ではなく,$S_n$ を求める問題。

2007年 芝浦工大数列 $\{a_n\}$ は $a_1=1,~$$a_n=\dfrac{2{S_n}^2}{2S_n+1}$$~(n=2,3,4,\cdots)$ を満たす。ただし,$S_n=a_1+a_2+a_3+\cdots+a_n$ である。
(1) $a_2$ を求めよ。
(2) $S_n$ を $S_{n-1}$ を用いて表せ。
(3) $S_n$ を求めよ。
ヒロ
ヒロ

まずは漸化式に $n=2$ を代入して $a_2$ を求めよう。

【(1)の解答】
$a_n=\dfrac{2{S_n}^2}{2S_n+1}~\cdots\cdots ①$ に $n=2$ を代入すると
\begin{align*}
&a_2=\dfrac{2{S_2}^2}{2S_2+1} \\[4pt]
&a_2\{2(a_1+a_2)+1\}=2(a_1+a_2)^2 \\[4pt]
&a_2(2a_2+3)=2(a_2+1)^2 \\[4pt]
&3a_2=4a_2+2 \\[4pt]
&a_2=-2
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(2)は今までとは違って $a_n$ を消去することを考えよう。$S_{n-1}$ を使って良いんだから,まずは $a_n$ を $S_n$ と $S_{n-1}$ で表してみよう。

【(2)の解答】
$n\geqq2$ のとき,$a_n=S_n-S_{n-1}$ が成り立つから①より
\begin{align*}
&S_n-S_{n-1}=\dfrac{2{S_n}^2}{2S_n+1}~\cdots\cdots ② \\[4pt]
&(2S_n+1)(S_n-S_{n-1})=2{S_n}^2 \\[4pt]
&-2S_nS_{n-1}+S_n-S_{n-1}=0 \\[4pt]
&(1-2S_{n-1})S_n=S_{n-1}
\end{align*}
ここで $S_{n-1}=\dfrac{1}{2}$ は上式を満たさないから,$S_{n-1}\neq\dfrac{1}{2}$ である。
よって,
\begin{align*}
S_n=\dfrac{S_{n-1}}{1-2S_{n-1}}~\cdots\cdots ③
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

最後の(3)は(2)の漸化式を解けば良いね。パターン4の解法を思い出そう。

【(3)の解答】
②において $S_n=0$ とすると,
\begin{align*}
&-S_{n-1}=0\quad \therefore S_{n-1}=0
\end{align*}
これを繰り返し用いることで $S_2=0$ となるが,これは
\begin{align*}
S_2&=a_1+a_2 \\[4pt]
&=1+(-2)=-1\neq0
\end{align*}
であることに矛盾する。よって,$S_n\neq0$ となるから,③の両辺の逆数をとると
\begin{align*}
&\dfrac{1}{S_n}=\dfrac{1-2S_{n-1}}{S_{n-1}} \\[4pt]
&\dfrac{1}{S_n}=\dfrac{1}{S_{n-1}}-2
\end{align*}
数列 $\left\{\dfrac{1}{S_n}\right\}$ は公差 $-2$ の等差数列であり,$\dfrac{1}{S_1}=\dfrac{1}{a_1}=1$ であるから
\begin{align*}
&\dfrac{1}{S_n}=1-2(n-1) \\[4pt]
&\dfrac{1}{S_n}=-2n+3 \\[4pt]
&S_n=\dfrac{1}{-2n+3}
\end{align*}

解法が複数ある漸化式

2008年 宮崎大数列 $\{a_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和を $S_n$ とする。
\begin{align*}
a_1=1,~S_{n-1}-a_n=-4~(n=2,3,4,\cdots)
\end{align*}
が成り立つとき,次の各問に答えよ。
(1) $a_2,~a_3,~a_4,~a_5$ の値をそれぞれ求めよ。
(2) 一般項 $a_n$ を求めよ。
ヒロ
ヒロ

(1)は漸化式の $n$ に2から順に代入して求めよう。

【(1)の解答】
$S_{n-1}-a_n=-4~\cdots\cdots ①$
①に $n=2$ を代入すると
\begin{align*}
&S_1-a_2=-4 \\[4pt]&a_1-a_2=-4 \\[4pt]&1-a_2=-4 \\[4pt]&a_2=5
\end{align*}
①に $n=3$ を代入すると
\begin{align*}
&S_2-a_3=-4 \\[4pt]&(a_1+a_2)-a_3=-4 \\[4pt]&1+5-a_3=-4 \\[4pt]&a_3=10
\end{align*}
①に $n=4$ を代入すると
\begin{align*}
&S_3-a_4=-4 \\[4pt]&(a_1+a_2+a_3)-a_4=-4 \\[4pt]&1+5+10-a_4=-4 \\[4pt]&a_4=20
\end{align*}
①に $n=5$ を代入すると
\begin{align*}
&S_4-a_5=-4 \\[4pt]&(a_1+a_2+a_3+a_4)-a_5=-4 \\[4pt]&1+5+10+20-a_5=-4 \\[4pt]&a_5=40
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

次の一般項を求める方法は色々考えられる。(1)の結果を見てどう思う?

2倍ずつになってます。

ヒロ
ヒロ

そうだね。ということは $n\geqq2$ のときは $a_n=5\Cdot2^{n-2}$ だろうと推測ができてしまう。

(1)で第5項まで求めさせてるのは,そういう意図があるんですか?

ヒロ
ヒロ

ただ単に漸化式について理解出来ているかどうかを調べたいなら,第3項までで十分でしょ。推測させる意図がなくて,第5項まで求めさせるのは,ただの嫌がらせだと思う。

そうなると,やっぱり「推測せよ」と言われてるようにしか思えないですね。

ヒロ
ヒロ

ってことで,推測した一般項が正しいことを数学的帰納法で証明しよう。

【(2)の解答】
(1)の結果より,$n\geqq2$ のとき $a_n=5\Cdot2^{n-2}$ と推測できる。これを数学的帰納法で証明する。
$n=2$ のとき,$a_2=5$ となり,成り立つ。
$n=2,3,\cdots,k$ のとき $a_k=5\Cdot2^{k-2}$ が成り立つと仮定すると
\begin{align*}
a_{k+1}&=S_k+4 \\[4pt]&=a_1+\Sum{m=2}{k}a_m+4 \\[4pt]&=a_1+\Sum{m=2}{k}5\Cdot2^{k-2}+4 \\[4pt]&=1+\dfrac{5(2^{k-1}-1)}{2-1}+4 \\[4pt]&=5\Cdota2^{k-1}
\end{align*}
となり,$n=k+1$ のときも成り立つ。
以上より,
\begin{align*}
a_1=1,~a_n=5\Cdota2^{n-2}~(n\geqq2)
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

通常の数学的帰納法とは違って,前を全部仮定して次を導く証明方法になることに注意しよう。

このタイプは珍しいですね。

ヒロ
ヒロ

一般項を求める方法には,推測してそれを証明する方法もあることを覚えておこう。

ヒロ
ヒロ

通常通り $\{a_n\}$ の漸化式に変形して解く場合は次のようになる。

【(2)の別解I】
$S_{n-1}-a_n=-4~\cdots\cdots ①$ より,$n\geqq3$ のとき
\begin{align*}
S_n-a_{n+1}=-4~\cdots\cdots ②
\end{align*}
が成り立つ。$②-①$ より
\begin{align*}
&S_n-S_{n-1}-(a_{n+1}-a_n)=0 \\[4pt]&a_n-a_{n+1}+a_n=0 \\[4pt]&a_{n+1}=2a_n
\end{align*}
$n\geqq2$ のとき,数列 $\{a_n\}$ は公比2の等比数列となるから
\begin{align*}
&a_n=a_2\Cdota2^{n-2} \\[4pt]&a_n=5\Cdota2^{n-2}
\end{align*}
以上より,
\begin{align*}
a_1=1,~a_n=5\Cdota2^{n-2}~(n\geqq2)
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

もう1つの解法として,数列 $\{S_n\}$ の漸化式に変形する方法がある。

【(2)の別解II】
$n\geqq2$ のとき $a_n=S_n-S_{n-1}$ が成り立つから,①より
\begin{align*}
&S_{n-1}-(S_n-S_{n-1})=-4 \\[4pt]&S_n=2S_{n-1}+4 \\[4pt]&S_n+4=2(S_{n-1}+4)
\end{align*}
数列 $\{S_n+4\}$ は公比2の等比数列となるから
\begin{align*}
&S_n+4=(S_1+4)\Cdota2^{n-1} \\[4pt]&S_n=5\Cdota2^{n-1}-4
\end{align*}
よって $n\geqq2$ のとき,
\begin{align*}
a_n&=S_n-S_{n-1} \\[4pt]&=5(2^{n-1}-2^{n-2}) \\[4pt]&=5\Cdota2^{n-2}
\end{align*}

まとめ

ヒロ
ヒロ

数列 $\{a_n\}$ の項に関する和を含む漸化式パターン8には,様々なタイプが存在する。しかし,見た目に惑わされず基本の考え方にしたがって,落ち着いて変形することで,他のパターンに帰着できる。

ヒロ
ヒロ

より簡単なパターンの漸化式に帰着したはずなのに,それが解けないなんてことにならないように,他のパターンについても勉強しておこう。

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