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3次方程式の解に関する問題【立教大】
2020年 立教大$a,~b$ を実数とする。3次方程式 $x^3+ax^2+8x+b=0$ が $1+i$ を解に持つとすると,$a=\myhako$, $b=\myhako$ である。ただし,$i$ を虚数単位とする。
ヒロ
この問題を4つ(細かく分けると5つ)の方法で解いていく。
ヒロ
1つは解を代入する方法。2つ目は解と係数の関係を利用する方法。
ヒロ
3つ目は恒等式を利用する方法。
ヒロ
そして最後の1つは考え方が簡単で,記述量もそれほど多くない方法。
解を代入する方法
ヒロ
「方程式の解」とは,方程式の変数に代入したときに,その方程式を成り立たせる値のことだから,$1+i$ を代入しよう。
【考え方と解答】
与えられた方程式に $1+i$ を代入すると
与えられた方程式に $1+i$ を代入すると
\begin{align*}
&(1+i)^3+a(1+i)^2+8(1+i)+b=0 \\[4pt]
&b+6+(2a+10)i=0
\end{align*}
$a,~b$ は実数であるから&(1+i)^3+a(1+i)^2+8(1+i)+b=0 \\[4pt]
&b+6+(2a+10)i=0
\end{align*}
\begin{align*}
&b+6=0,~2a+10=0 \\[4pt]
&a=-5,~b=-6
\end{align*}
&b+6=0,~2a+10=0 \\[4pt]
&a=-5,~b=-6
\end{align*}
解と係数の関係を利用する方法
ヒロ
3次方程式の解は3つあるが,そのうちの1つが与えられている。
ヒロ
ただ,3次方程式の係数が実数であるから,1つの複素数が解であると言われた時点で,共役な複素数も解となることを利用すれば,3つの解のうち2つが分かっていることになる。
【考え方と解答】
$x^3+ax^2+8x+b=0$ は係数が実数の3次方程式であるから,$1+i$ が解のとき $1-i$ も解である。他の解を $\gamma$ とおくと,解と係数の関係より
$x^3+ax^2+8x+b=0$ は係数が実数の3次方程式であるから,$1+i$ が解のとき $1-i$ も解である。他の解を $\gamma$ とおくと,解と係数の関係より
\begin{align*}
&(1+i)+(1-i)+\gamma=-a~\cdots\cdots① \\[4pt]
&(1+i)(1-i)+(1-i)\gamma+(1+i)\gamma=8~\cdots\cdots② \\[4pt]
&(1+i)(1-i)\gamma=-b~\cdots\cdots③
\end{align*}
②より&(1+i)+(1-i)+\gamma=-a~\cdots\cdots① \\[4pt]
&(1+i)(1-i)+(1-i)\gamma+(1+i)\gamma=8~\cdots\cdots② \\[4pt]
&(1+i)(1-i)\gamma=-b~\cdots\cdots③
\end{align*}
\begin{align*}
&2+2\gamma=8 \\[4pt]
&\gamma=3
\end{align*}
①より&2+2\gamma=8 \\[4pt]
&\gamma=3
\end{align*}
\begin{align*}
&2+\gamma=-a \\[4pt]
&a=-5
\end{align*}
③より&2+\gamma=-a \\[4pt]
&a=-5
\end{align*}
\begin{align*}
&2\gamma=-b \\[4pt]
&b=-6
\end{align*}
&2\gamma=-b \\[4pt]
&b=-6
\end{align*}
恒等式を利用する方法
ヒロ
恒等式を利用して解こう。
【考え方と解答】
$x=1+i$ より,$x-1=i$
両辺を2乗すると
$x=1+i$ より,$x-1=i$
両辺を2乗すると
\begin{align*}
&(x-1)^2=-1 \\[4pt]
&x^2-2x+2=0
\end{align*}
よって,$x^3+ax^2+8x+b$ は $x^2-2x+2$ を因数にもつから,$x^3$ の係数が1であることに注意すると&(x-1)^2=-1 \\[4pt]
&x^2-2x+2=0
\end{align*}
\begin{align*}
x^3+ax^2+8x+b=(x^2-2x+2)(x+c)
\end{align*}
とおける。$x^2,~x$ の係数と定数項に着目するとx^3+ax^2+8x+b=(x^2-2x+2)(x+c)
\end{align*}
\begin{align*}
a=c-2,~8=-2c+2,~b=2c
\end{align*}
これを解いて,$a=-5,~b=-6,~c=-3$a=c-2,~8=-2c+2,~b=2c
\end{align*}
ヒロ
ちなみに,実際に割り算をして,余りが0になることを利用しても良い。
【別解(途中から)】
$(x^3+ax^2+8x+b)\div(x^2-2x+2)$ を計算(筆算・暗算・組立除法・・・好きな方法でどうぞ)しよう。
$(x^3+ax^2+8x+b)\div(x^2-2x+2)$ を計算(筆算・暗算・組立除法・・・好きな方法でどうぞ)しよう。
\begin{align*}
x^3+ax^2+8x+b=(x^2-2x+2)(x+a+2)+(2a+10)x-2a+b-4
\end{align*}
余りは0であるからx^3+ax^2+8x+b=(x^2-2x+2)(x+a+2)+(2a+10)x-2a+b-4
\end{align*}
\begin{align*}
2a+10=0,~-2a+b-4=0
\end{align*}
これを解いて $a=-5,~b=-6$2a+10=0,~-2a+b-4=0
\end{align*}
解を代入する方法(改良版)
ヒロ
最初に説明した「解を代入する方法」で計算が少し楽になるようにした方法を説明する。
【考え方と解答】
$x=1+i$ は $x^3+ax^2+8x+b=0$ の解であるから
両辺を $1+i$ で割ると
$x=1+i$ は $x^3+ax^2+8x+b=0$ の解であるから
\begin{align*}
(1+i)^3+a(1+i)^2+8(1+i)+b=0
\end{align*}
ここで多くの人が面倒だと感じるのは,3乗の項の計算だろう。したがって,3乗の展開をしないで済むように工夫する。(1+i)^3+a(1+i)^2+8(1+i)+b=0
\end{align*}
両辺を $1+i$ で割ると
\begin{align*}
(1+i)^2+a(1+i)+8+\dfrac{b}{1+i}=0
\end{align*}
これで複素数の3乗の展開が分母の実数化に置き換えられることになる。(1+i)^2+a(1+i)+8+\dfrac{b}{1+i}=0
\end{align*}
\begin{align*}
&2i+a+ai+8+\dfrac{b(1-i)}{2}=0 \\[4pt]
&a+\dfrac{b}{2}+8+\left(a-\dfrac{b}{2}+2\right)i=0
\end{align*}
$a,~b$ は実数であるから&2i+a+ai+8+\dfrac{b(1-i)}{2}=0 \\[4pt]
&a+\dfrac{b}{2}+8+\left(a-\dfrac{b}{2}+2\right)i=0
\end{align*}
\begin{align*}
a+\dfrac{b}{2}+8=0,~a-\dfrac{b}{2}+2=0
\end{align*}
これを解いて $a=-5,~b=-6$a+\dfrac{b}{2}+8=0,~a-\dfrac{b}{2}+2=0
\end{align*}