ここでは2次方程式を解く方法について説明します。
2次方程式の解法は大きく分けると次の2つの方法があります。
- 因数分解
- 解の公式
2次方程式を速く解くためには,与えられた方程式を見たときに,すぐに因数分解できるかどうかを素早く判断できるかどうかが重要になります。
たすきがけが必要な因数分解であれば,たすきがけのコツを知っていると高速化につながります。
たすきがけのコツについては次の記事が参考になります。
2次方程式の解き方
まずは因数分解できる2次方程式の解法を知ろう。
$x$ の2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ が有理数 $\alpha,~\beta$ を用いて $a(x-\alpha)(x-\beta)=0$ と因数分解できるとき,$a\neq0$ であるから,等式が成り立つのは
x-\alpha=0~~または~~x-\beta=0
\end{align*}
通常はカンマに「または」の意味をもたせて $x=\alpha,~\beta$ と書く。
また,$\alpha=\beta$ のときは「重解(じゅうかい)」となり,解が実質1つになる。
次に解の公式による解法を知ろう。
$x$ の2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ が有理数 $\alpha,~\beta$ を用いて $a(x-\alpha)(x-\beta)=0$ と因数分解できないときは「解の公式」を利用して解く。
x=\dfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
\end{align*}
解の公式を導出できるようにしておこう。
$ax^2+bx+c=0$ の左辺を平方完成すると
&a\left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2-\dfrac{b^2}{4a}+c=0 \\[4pt]
&a\left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2-\dfrac{b^2-4ac}{4a}=0 \\[4pt]
&\left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2=\dfrac{b^2-4ac}{4a^2} \\[4pt]
&x+\dfrac{b}{2a}=\pm\dfrac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \\[4pt]
&x=-\dfrac{b}{2a}\pm\dfrac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
\end{align*}
$x$ の係数が偶数の場合,すなわち $ax^2+2bx+c=0$ となっている場合も説明しておく。
$x$ の係数が偶数のときの公式を覚えなくても良いという人もいるが,個人的には「解けるなら速くて楽な方が良い」という考え方が基本にあるため,$x$ が偶数のときの解の公式も是非覚えて欲しい。
2次方程式の練習問題
色々な2次方程式を解いて慣れよう。
(1) $x^2-4x+3=0$
(2) $2x^2+5x+2=0$
(3) $x^2-3x-2=0$
まず,因数分解できるかどうかを考える。この問題では,足して $-4$,掛けて3になる2つの数を探すと $-1$ と $-3$ が見つかるから因数分解できると分かる。
&x^2-4x+3=0 \\[4pt]
&(x-1)(x-3)=0 \\[4pt]
&x=1,~3
\end{align*}
(2) $2x^2+5x+2=0$
(1)と同様,因数分解できるかどうかを考える。たすきがけを考えると,2の隣には2がこないことを考えると
(x+2)(2x+1)=0
\end{align*}
(3) $x^2-3x-2=0$
因数分解できるかどうかを考える。和が $-3$,積が $-2$ になる2つの数を探しても見つからないから,解の公式を利用する。
x=\dfrac{3\pm\sqrt{17}}{2}
\end{align*}
2次方程式の練習問題2
方程式の係数が分数や無理数になることもある。
(1) $-2x^2+11x-5=0$
(2) $3x^2-15\sqrt{3}x+54=0$
(3) $0.2x^2-0.5x-1.2=0$
(4) $\dfrac{1}{6}x^2+\dfrac{1}{4}x-\dfrac{3}{4}=0$
$x^2$ の係数が負の場合は,両辺に $-1$ をかけて正にするのが基本である。
&2x^2-11x+5=0 \\[4pt]
&(2x-1)(x-5)=0 \\[4pt]
&x=\dfrac{1}{2},~5
\end{align*}
(2) $3x^2-15\sqrt{3}x+54=0$
係数を見ると両辺を3で割った方がスッキリすることが分かる。
x^2-5\sqrt{3}x+18=0
\end{align*}
$a\sqrt{3}$ と $b\sqrt{3}$ の2数を考えると,$a+b=-5,~ab=6$ となる $a,~b$ を見つけることができれば因数分解できる。
実際に $a=2,~b=3$ が見つかるから
&(x-2\sqrt{3})(x-3\sqrt{3})=0 \\[4pt]
&x=2\sqrt{3},~3\sqrt{3}
\end{align*}
(3) $0.2x^2-0.5x-1.2=0$
係数が小数の場合は両辺を何倍かして整数にするのが基本。今回の場合は10倍しよう。
2x^2-5x-12=0
\end{align*}
(x-4)(2x+3)=0
\end{align*}
(4) $\dfrac{1}{6}x^2+\dfrac{1}{4}x-\dfrac{3}{4}=0$
係数が分数の場合は,分母の最小公倍数を両辺にかけて整数にするのが基本。今回の場合は12倍しよう。
&2x^2+3x-9=0 \\[4pt]
&(x+3)(2x-3)=0 \\[4pt]
&x=-3,~\dfrac{3}{2}
\end{align*}
2次方程式の練習問題3
解くべき2次方程式はいつも一般形で書かれているとは限らない。
様々な形がある。また,絶対値を含むものもある。
どんな形で表されていても動揺することがないようにしよう。
(1) $(x+2)(x+3)=2$
(2) $2(x+1)^2=5$
(3) $x^2+2\abs{x}-3=0$
これは展開して一般形に変形してから解こう。
&x^2+5x+4=0 \\[4pt]
&(x+1)(x+4)=0 \\[4pt]
&x=-1,~-4
\end{align*}
$x+2$ と $x+3$ が1違いの数($x+3$ の方が大きい)で,その2数の積が2だから,
&(x+2,~x+3)=(1,~2),~(-2,~-1) \\[4pt]
&x=1,~-4
\end{align*}
(2) $2(x+1)^2=5$
これを展開して一般形に戻す人がかなり多い。これはすでに平方完成されている形だから,絶対に展開してはいけない。$x+1$ を1つのカタマリと見れば簡単に解ける。分かりにくければ $x+1=t$ と置くと
2t^2=5
\end{align*}
&(x+1)^2=\dfrac{5}{2} \\[4pt]
&x+1=\pm\dfrac{\sqrt{5}}{\sqrt{2}} \\[4pt]
&x=-1\pm\dfrac{\sqrt{10}}{2}
\end{align*}
2x^2+4x-3=0
\end{align*}
そもそも解の公式は平方完成することで導いているわけで,与えられた2次方程式が平方完成されているなら,そのまま進んだ方が速く,展開して元に戻すのは遠回りである。
(3) $x^2+2\abs{x}-3=0$
みんなの大好きな,いや大嫌いな絶対値記号がある。
一般的には $x$ が0以上と0未満で場合分けをして解くのだろう。ここではそんな面倒な方法ではないスッキリした解法を紹介しておく。
$\abs{x}^2=x^2$ であることを利用して,$\abs{x}$ の2次方程式にして考えよう。
&\abs{x}^2+2\abs{x}-3=0 \\[4pt]
&(\abs{x}+3)(\abs{x}-1)=0
\end{align*}
&\abs{x}=1 \\[4pt]
&x=\pm1
\end{align*}
2次方程式の練習問題4
最後は係数に文字を含むタイプの練習をしておこう。
(1) $a^2x+1=a(x+1)$
(2) $ax^2+(a^2-1)x-a=0$
係数に文字がある方程式を解く問題では,ほとんど因数分解できると考えてよい。
展開して一般形に変形して因数分解を考えよう。
&(a^2-a)x+1-a=0 \\[4pt]
&a(a-1)x-(a-1)=0 \\[4pt]
&(a-1)(ax-1)=0 \\[4pt]
&a=1~~または~ax=1
\end{align*}
1x^2+1=1(x+1)
\end{align*}
次に $a\neq1$ のときを考える。すなわち $ax=1$ となるときを考える。両辺を $a$ で割れば $x=$ の形にできるが,$a$ で割るためには $a$ が0以外の値でなければならない。したがって,$a$ が0か0でないかで場合分けをしよう。
$a\neq0$ のとき,$ax=1$ より $x=\dfrac{1}{a}$
$a=0$ のとき,$0x=1$ となり,これを満たす $x$ は存在しない。
以上より,
\begin{cases}
a=0~のとき,解なし \\[4pt]
a=1~のとき,すべての実数 \\[4pt]
a\neq0,~1~のとき,x=\dfrac{1}{a}
\end{cases}
\end{align*}
(2) $ax^2+(a^2-1)x-a=0$
与えられた方程式の左辺を因数分解すると次のようになる。
&(x+a)(ax-1)=0 \\[4pt]
&x+a=0~~または~ax-1=0
\end{align*}
これは $a$ の値にかかわらず,与えられた方程式が常に $x=-a$ を1つの解としてもつということである。
次に $ax-1=0$ のときを考える。(1)と同じように $a$ が0か0でないかで場合分けをしよう。
$a\neq0$ のとき,$x=\dfrac{1}{a}$
$a=0$ のとき,$0x-1=0$ となり,これを満たす $x$ は存在しない。
したがって,方程式の解は次のようになる。
\begin{cases}
a\neq0~のとき,x=-a,~\dfrac{1}{a} \\[4pt]
a=0~のとき,x=0
\end{cases}
\end{align*}