2019年センター試験 数学ⅠA 第1問 命題の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
2019年 センターⅠA 第1問 命題 二つの自然数 $m,~n$ に関する三つの条件 $p,~q,~r$ を次のように定める。
$p:m$ と $n$ はともに奇数である
$q:3mn$ は奇数である
$r:m+5n$ は偶数である
また,条件 $p$ の否定を $\overline{p}$ で表す。
(1) 次の $\mybox{シ}$, $\mybox{ス}$ に当てはまるものを,下の⓪~②のうちからー
つずつ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
二つの自然数 $m,n$ が条件 $p$ を満たすとする。このとき $m$ が奇数な
らば $n$ は $\myBox{シ}$。また,$m$ が偶数ならば $n$ は $\myBox{ス}$。
⓪ 偶数である
① 奇数である
② 偶数でも奇数でもよい
(2) 次の $\mybox{セ}$, $\mybox{ソ}$, $\mybox{タ}$ に当てはまるものを,下の⓪~③の
うちから一つずつ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
$p$ は $q$ であるための $\myBox{セ}$。
$p$ は $r$ であるための $\myBox{ソ}$。
$\overline{p}$ は $r$ であるための $\myBox{タ}$。
⓪ 必要十分条件である
① 必要条件であるが,十分条件ではない
② 十分条件であるが,必要条件ではない
③ 必要条件でも十分条件でもない
$p:m$ と $n$ はともに奇数である
$q:3mn$ は奇数である
$r:m+5n$ は偶数である
また,条件 $p$ の否定を $\overline{p}$ で表す。
(1) 次の $\mybox{シ}$, $\mybox{ス}$ に当てはまるものを,下の⓪~②のうちからー
つずつ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
二つの自然数 $m,n$ が条件 $p$ を満たすとする。このとき $m$ が奇数な
らば $n$ は $\myBox{シ}$。また,$m$ が偶数ならば $n$ は $\myBox{ス}$。
⓪ 偶数である
① 奇数である
② 偶数でも奇数でもよい
(2) 次の $\mybox{セ}$, $\mybox{ソ}$, $\mybox{タ}$ に当てはまるものを,下の⓪~③の
うちから一つずつ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
$p$ は $q$ であるための $\myBox{セ}$。
$p$ は $r$ であるための $\myBox{ソ}$。
$\overline{p}$ は $r$ であるための $\myBox{タ}$。
⓪ 必要十分条件である
① 必要条件であるが,十分条件ではない
② 十分条件であるが,必要条件ではない
③ 必要条件でも十分条件でもない
(1)の解答
ヒロ
条件を正しく理解しているかチェックする問題。
ド・モルガンの法則2つの集合 $A,~B$ について
\begin{align*}
\overline{A\cap B}=\overline{A}\cup\overline{B} \\[4pt]
\overline{A\cup B}=\overline{A}\cap\overline{B}
\end{align*}
が成り立つ。\overline{A\cap B}=\overline{A}\cup\overline{B} \\[4pt]
\overline{A\cup B}=\overline{A}\cap\overline{B}
\end{align*}
【条件 $\overline{p}$ について】
条件 $p$「$m$ と $n$ はともに奇数である」の否定を考える場合,条件 $p$ を言い換えることから始めよう。
「$m$ は奇数である」かつ「$n$ は奇数である」
この否定は
「$m$ は奇数でない」または「$n$ は奇数でない」
となる。さらに言い換えると
「$m$ は偶数である」または「$n$ は偶数である」
となる。つまり,
「$m$ と $n$ の少なくとも一方は偶数である」
となる。
【シスの解答】
条件 $\overline{p}$ を満たすから,$m$ と $n$ の少なくとも一方は偶数である。
$m$ が奇数のとき
また,$m$ が偶数のとき
条件 $\overline{p}$ を満たすから,$m$ と $n$ の少なくとも一方は偶数である。
$m$ が奇数のとき
\begin{align*}
(奇数)+n=(奇数)
\end{align*}
となる。よって,$n$ は偶数である。$\myBox{シ}=⓪$(奇数)+n=(奇数)
\end{align*}
また,$m$ が偶数のとき
\begin{align*}
(偶数)+n=(奇数)
\end{align*}
となるから,$n$ は奇数である。$\myBox{ス}=①$(偶数)+n=(奇数)
\end{align*}
(2)の解答
(2) 次の $\mybox{セ}$, $\mybox{ソ}$, $\mybox{タ}$ に当てはまるものを,下の⓪~③の
うちから一つずつ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
$p$ は $q$ であるための $\myBox{セ}$。
$p$ は $r$ であるための $\myBox{ソ}$。
$\overline{p}$ は $r$ であるための $\myBox{タ}$。
⓪ 必要十分条件である
① 必要条件であるが,十分条件ではない
② 十分条件であるが,必要条件ではない
③ 必要条件でも十分条件でもない
ヒロ
どの方向に成り立つかを丁寧に考えていこう。
【セの解答】
$p\to q$ の真偽を調べる。
$m$ と $n$ がともに奇数のとき,$3mn$ は奇数となるから,真である。
次に逆 $q\to p$ の真偽を調べる。
$3mn$ が奇数のとき,$m$ と $n$ は奇数であるから,真である。
よって,必要十分条件である。$\myBox{セ}=⓪$
$p\to q$ の真偽を調べる。
$m$ と $n$ がともに奇数のとき,$3mn$ は奇数となるから,真である。
次に逆 $q\to p$ の真偽を調べる。
$3mn$ が奇数のとき,$m$ と $n$ は奇数であるから,真である。
よって,必要十分条件である。$\myBox{セ}=⓪$
ヒロ
同じようにして考えよう。
【ソの解答】
$p\to r$ の真偽を調べる。
$m$ と $n$ がともに奇数のとき,$m$ と $5n$ はともに奇数となる。よって,$m+5n$ は偶数であるから,真である。
次に逆 $r\to p$ の真偽を調べる。
$m+5n$ が偶数のとき,$m$ と $5n$ の偶奇が一致する。つまり,$m$ と $n$ がともに偶数の場合もあるから,偽である。
よって,十分条件であるが,必要条件ではない。$\myBox{ソ}=②$
$p\to r$ の真偽を調べる。
$m$ と $n$ がともに奇数のとき,$m$ と $5n$ はともに奇数となる。よって,$m+5n$ は偶数であるから,真である。
次に逆 $r\to p$ の真偽を調べる。
$m+5n$ が偶数のとき,$m$ と $5n$ の偶奇が一致する。つまり,$m$ と $n$ がともに偶数の場合もあるから,偽である。
よって,十分条件であるが,必要条件ではない。$\myBox{ソ}=②$
ヒロ
次は $\overline{p}$ が考えにくいため,対偶で考えよう。
【タの解答】
$\overline{p}\to r$ の真偽は $r\to p$ の真偽と一致する。これはさっき考えたから偽である。
$r\to\overline{p}$ の真偽は $\overline{p}\to r$ の真偽と一致する。
(1)の結果より,$\overline{p}$ を満たすとき,$m$ と $n$ の偶奇は一致しない。また,$5n$ と $n$ の偶奇は一致するから,$m$ と $5n$ の偶奇は一致せず,$m+5n$ は奇数である。よって,$\overline{p}\to r$ は偽である。
したがって,必要条件でも十分条件でもない。$\myBox{タ}=③$
$\overline{p}\to r$ の真偽は $r\to p$ の真偽と一致する。これはさっき考えたから偽である。
$r\to\overline{p}$ の真偽は $\overline{p}\to r$ の真偽と一致する。
(1)の結果より,$\overline{p}$ を満たすとき,$m$ と $n$ の偶奇は一致しない。また,$5n$ と $n$ の偶奇は一致するから,$m$ と $5n$ の偶奇は一致せず,$m+5n$ は奇数である。よって,$\overline{p}\to r$ は偽である。
したがって,必要条件でも十分条件でもない。$\myBox{タ}=③$
2019年 センター数学ⅠA 命題を解いた感想
ヒロ
ド・モルガンの法則を理解していなければ,短時間で解くのは難しいだろう。
ヒロ
全体的には,偶数と奇数に関する問題のため,中学生でも問題の意味は分かるはず。
ヒロ
短時間で効率よく解けるようにしておきたい。