ここでは対称式に関連する三角比の問題を解説します。
「そもそも対称式って何?」ってなる場合は次の記事で基本知識を吸収しておこう。
三角比の相互関係と対称式に関連した問題
問題$\sin\theta+\cos\theta=\dfrac{1}{4}$ のとき,次の値を求めよ。
(1) $\sin\theta\cos\theta$
(2) $\sin^3\theta+\cos^3\theta$
(1) $\sin\theta\cos\theta$
(2) $\sin^3\theta+\cos^3\theta$
ヒロ
三角比に関する情報が与えられたときには,隠れた1つの等式の存在「$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$」に常に注意しよう。
【(1)の考え方と解答】
「$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$」を利用するために与えられた等式の両辺を2乗しよう。
と言われても「こうすればできるよね」といった教え方が気に入らない人もいるだろう。
1つの視点として「次数に着目する」視点をもつと良い。与えられている等式は1次($\sin\theta$ や $\cos\theta$ を1次と見ている)であり,値を求めるべき式は2次である。「次数を揃える」のは基本であるから,両辺を2乗するというのも基本的考えに沿ったものであり,ひらめきなどではない。
$\sin\theta+\cos\theta=\dfrac{1}{4}$ の両辺を2乗すると
「$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$」を利用するために与えられた等式の両辺を2乗しよう。
と言われても「こうすればできるよね」といった教え方が気に入らない人もいるだろう。
1つの視点として「次数に着目する」視点をもつと良い。与えられている等式は1次($\sin\theta$ や $\cos\theta$ を1次と見ている)であり,値を求めるべき式は2次である。「次数を揃える」のは基本であるから,両辺を2乗するというのも基本的考えに沿ったものであり,ひらめきなどではない。
$\sin\theta+\cos\theta=\dfrac{1}{4}$ の両辺を2乗すると
\begin{align*}
&(\sin\theta+\cos\theta)^2=\dfrac{1}{16} \\[4pt]
&\sin^2\theta+2\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta=\dfrac{1}{16} \\[4pt]
&1+2\sin\theta\cos\theta=\dfrac{1}{16} \\[4pt]
&\sin\theta\cos\theta=-\dfrac{15}{32}
\end{align*}
&(\sin\theta+\cos\theta)^2=\dfrac{1}{16} \\[4pt]
&\sin^2\theta+2\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta=\dfrac{1}{16} \\[4pt]
&1+2\sin\theta\cos\theta=\dfrac{1}{16} \\[4pt]
&\sin\theta\cos\theta=-\dfrac{15}{32}
\end{align*}
【対称式の利用】
$x^2+y^2=(x+y)^2-2xy$ を変形して得られる $xy=\dfrac{(x+y)^2-(x^2+y^2)}{2}$ において $x=\sin\theta,~y=\cos\theta$ とすると
\begin{align*}
\sin\theta\cos\theta&=\dfrac{(\sin\theta+\cos\theta)^2-(\sin^2\theta+\cos^2\theta)}{2} \\[4pt]
&=\dfrac{(\sin\theta+\cos\theta)^2-1}{2}
\end{align*}
となる。この式を直接書けるようにしておくのも良いだろう。\sin\theta\cos\theta&=\dfrac{(\sin\theta+\cos\theta)^2-(\sin^2\theta+\cos^2\theta)}{2} \\[4pt]
&=\dfrac{(\sin\theta+\cos\theta)^2-1}{2}
\end{align*}
(2) $\sin^3\theta+\cos^3\theta$
【(2)の考え方と解答】
$x^3+y^3$ を $x+y$ と $xy$ で表す方法を利用しよう。①対称式の変形の利用と②因数分解の2通りが考えられる。
① $x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)$
② $x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)$
三角比の問題においては,②の因数分解をした式を利用するのが良いだろう。理由は,$x$ と $y$ がそれぞれ $\sin\theta,~\cos\theta$ のとき,$x^2+y^2=1$ となり,
$x^3+y^3$ を $x+y$ と $xy$ で表す方法を利用しよう。①対称式の変形の利用と②因数分解の2通りが考えられる。
① $x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)$
② $x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)$
三角比の問題においては,②の因数分解をした式を利用するのが良いだろう。理由は,$x$ と $y$ がそれぞれ $\sin\theta,~\cos\theta$ のとき,$x^2+y^2=1$ となり,
\begin{align*}
x^3+y^3=(x+y)(1-xy)
\end{align*}
となるからである。実際に計算すると次のようになる。x^3+y^3=(x+y)(1-xy)
\end{align*}
\begin{align*}
\sin^3\theta+\cos^3\theta&=(\sin\theta+\cos\theta)(1-\sin\theta\cos\theta) \\[4pt]
&=\dfrac{1}{4}\left\{1-\left(-\dfrac{15}{32}\right)\right\} \\[4pt]
&=\dfrac{47}{128}
\end{align*}
\sin^3\theta+\cos^3\theta&=(\sin\theta+\cos\theta)(1-\sin\theta\cos\theta) \\[4pt]
&=\dfrac{1}{4}\left\{1-\left(-\dfrac{15}{32}\right)\right\} \\[4pt]
&=\dfrac{47}{128}
\end{align*}
三角比の相互関係に関連した問題
問題$0\Deg\leqq\theta\leqq180\Deg$ とする。$\sin\theta-\cos\theta=\dfrac{1}{2}$ のとき,$\sin\theta\cos\theta$ の値を求めよ。
【考え方と解答】
$\sin\theta-\cos\theta=\dfrac{1}{2}$ の両辺を2乗すると
$\sin\theta-\cos\theta=\dfrac{1}{2}$ の両辺を2乗すると
\begin{align*}
&(\sin\theta-\cos\theta)^2=\dfrac{1}{4} \\[4pt]
&1-2\sin\theta\cos\theta=\dfrac{1}{4} \\[4pt]
&\sin\theta\cos\theta=\dfrac{3}{8}
\end{align*}
&(\sin\theta-\cos\theta)^2=\dfrac{1}{4} \\[4pt]
&1-2\sin\theta\cos\theta=\dfrac{1}{4} \\[4pt]
&\sin\theta\cos\theta=\dfrac{3}{8}
\end{align*}