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漸化式パターン9:数列の一般項の積・累乗・累乗根を含む漸化式の解法

漸化式パターン9数学IAIIB
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漸化式パターン9は数列の一般項の積・累乗・累乗根を含む漸化式であり,誘導がつく問題が多いです。そのため,最初から何をすれば良いか分からないということはないかもしれません。しかし,誘導がある問題が多いだけで常に誘導があるとは限りません。誘導がなくても解けるようにしておくことで,誘導がなかった場合に他の受験生より有利になります。

それでは,最初の問題はこちらです。

2010年 立命館大・薬$a_1=3,~a_{n+1}=3\sqrt{a_n}$ で定められる数列 $\{a_n\}$ の第 $n$ 項は $a_n=\myhako$ である。
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平方根を含む漸化式

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この漸化式が難しく感じる点は平方根の部分だろう。平方根は $\dfrac{1}{2}$ 乗と捉えることができ,指数部分を係数にできれば,この漸化式の困難はなくなる。これを可能にするのが対数をとること。

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また,対数をとるときには真数になるものが正であることを示しておく必要がある。つまり,今回の場合,$a_n$ が正であることを示しておく必要がある。

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漸化式を利用してすべての自然数に対して成り立つことを証明する場合は,数学的帰納法を利用すれば良い。

【解答】
$a_1=3>0$ であり,$a_n>0$ のとき
\begin{align*}
a_{n+1}=3\sqrt{a_n}~\cdots\cdots①
\end{align*}
より,$a_{n+1}>0$ となるから,常に $a_n>0$ である。
①の両辺の底を3とする対数をとると
\begin{align*}
&\log_3a_{n+1}=\log_33\sqrt{a_n} \\[4pt]
&\log_3a_{n+1}=\dfrac{1}{2}\log_3a_n+1
\end{align*}
$\log_3a_n=b_n$ とおくと
\begin{align*}
b_{n+1}=\dfrac{1}{2}b_n+1
\end{align*}
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これでパターン2になった。特性方程式を利用して漸化式を解こう。

特性方程式 $x=\dfrac{1}{2}x+1$ を解いて,$x=2$
【解答の続き】
変形すると
\begin{align*}
&b_{n+1}-2=\dfrac{1}{2}(b_n-2)
\end{align*}
数列 $\{b_n-2\}$ は公比 $\dfrac{1}{2}$ の等比数列であるから
\begin{align*}
&b_n-2=(b_1-2)\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}
\end{align*}
$a_1=3$ より
\begin{align*}
b_1=\log_3a_1=1
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
&b_n=-\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}+2
\end{align*}
$a_n=3^{b_n}$ より,$a_n=3^{-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}+2}$

積を和で表すことを考える

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次の問題を解いてみよう。

2019年 東北大数列 $\{a_n\}$ を次の漸化式によって定める。
\begin{align*}
a_1=1,~a_2=3,~a_{n+2}a_n=2{a_{n+1}}^2~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
(1) すべての正の整数 $n$ について,$a_n$ は正であることを示せ。
(2) 一般項 $a_n$ を求めよ。
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(1)は数学的帰納法で証明しよう。

【(1)の解答】
すべての正の整数 $n$ に対して $a_n>0$ が成り立つことを数学的帰納法で証明する。
(i) $a_1=1>0,~a_2=3>0$ より,$n=1,~2$ のとき,$a_n>0$ は成り立つ。
(ii) $a_k>0,~a_{k+1}>0$ であると仮定すると,$a_{k+2}a_k=2{a_{k+1}}^2$ より
\begin{align*}
a_{k+2}=\dfrac{2{a_{k+1}}^2}{a_k}>0
\end{align*}
となるから,$n=k+2$ のときも $a_n>0$ は成り立つ。
(i),(ii)より,すべての正の整数 $n$ について,$a_n$ は正である。
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与えられた漸化式は隣り合う三項の間で成り立つ漸化式だけど,パターン6のように $a_{n+2}$ が $a_{n+1}$ と $a_n$ の定数倍の和では表されていない。

【(2)の解答】
(1)の結果より,与えられた漸化式の両辺は正である。よって,両辺の底を2とする対数をとると
\begin{align*}
&\log_2a_{n+2}a_n=\log_22{a_{n+1}}^2 \\[4pt]
&\log_2a_{n+2}+\log_2a_n=1+2\log_2a_{n+1}~\cdots\cdots①
\end{align*}
$\log_2a_n=b_n$ とおくと,①より
\begin{align*}
b_{n+2}+b_n=2b_{n+1}+1
\end{align*}
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これでパターン6になったね。特性方程式を利用して一般項を求めよう。

特性方程式 $x^2+1=2x$ を解くと
\begin{align*}
&x^2-2x+1=0 \\[4pt]
&(x-1)^2=0 \\[4pt]
&x=1
\end{align*}
【(2)の解答の続き】
\begin{align*}
b_{n+2}-b_{n+1}=(b_{n+1}-b_n)+1
\end{align*}
数列 $\{b_{n+1}-b_n\}$ は公差1の等差数列となり,
\begin{align*}
&b_1=\log_2a_1=0 \\[4pt]
&b_2=\log_2a_2=\log_23
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
b_{n+1}-b_n=n+\log_23-1
\end{align*}
$n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
b_n&=b_1+\Sum{k=1}{n-1}(k-1+\log_23) \\[4pt]
&=\dfrac{1}{2}(n-2)(n-1)+(n-1)\log_23 \\[4pt]
&=\dfrac{1}{2}(n-2)(n-1)+\log_23^{n-1}
\end{align*}
$a_n=2^{b_n}$ より,
\begin{align*}
&a_n=2^{\frac{1}{2}(n-2)(n-1)+\log_23^{n-1}} \\[4pt]
&a_n=2^{\frac{1}{2}(n-2)(n-1)}\Cdota3^{n-1}
\end{align*}
これは $n=1$ のときも成り立つ。

うまく誘導に乗ろう

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次の問題を解いてみよう。

2013年 岩手大数列 $\{a_n\}$ は,$a_1=1,~$$a_n>0~(n=2,3,\cdots)$ であり,$S_n=\Sum{i=1}{n}a_i$ とするとき
\begin{align*}
\dfrac{S_{n+1}}{S_n}=10^n
\end{align*}
を満たすものとする。また,数列 $\{b_n\}$ を $b_n=\log_{10}S_n$ と定義する。このとき,次の問いに答えよ。
(1) 数列 $\{b_n\}$ の漸化式を導け。
(2) 設問(1)の漸化式を用いて $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。
(3) 数列 $\{a_n\}$ の $n\geqq2$ での一般項を求めよ。
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$S_n$ があるため,パターン8と思うかもしれないが,漸化式の形としては,パターン7の $a_{n+1}=f(n)a_n$ 型の漸化式である。$10^n$ があり,$n$ を指数から係数にするために,対数をとるように誘導されているんだなと気付けるようにしよう。

【(1)の解答】
$a_n>0$ より,$S_n>0$ であるから,$\dfrac{S_{n+1}}{S_n}=10^n$ の両辺の底を10とする対数をとると
\begin{align*}
&\log_{10}\dfrac{S_{n+1}}{S_n}=\log_{10}10^n \\[4pt]
&\log_{10}S_{n+1}-\log_{10}S_n=n \\[4pt]
&b_{n+1}-b_n=n \\[4pt]
&b_{n+1}=b_n+n
\end{align*}
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これで階差型になったから $b_n$ を求めることができる。

【(2)の解答】
$a_1=1$ より,$b_1=\log_{10}a_1=0$
$n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
&b_n=b_1+\Sum{k=1}{n-1}k \\[4pt]
&b_n=\dfrac{1}{2}(n-1)n
\end{align*}
これは $n=1$ のときも成り立つ。
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$b_n$ が求まったことによって,$S_n$ が分かり,$a_n$ も分かるという仕組みだね。

【(3)の解答】
$b_n=\log_{10}S_n$ より,
\begin{align*}
&S_n=10^{b_n} \\[4pt]
&S_n=10^{\frac{1}{2}(n-1)n}
\end{align*}
$n\geqq2$ のとき $a_n=S_n-S_{n-1}$ であるから,
\begin{align*}
a_n=10^{\frac{1}{2}(n-1)n}-10^{\frac{1}{2}(n-2)(n-1)}
\end{align*}

うまく変形しよう

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次はこの問題を解いてみよう。

2019年 兵庫県立大次の条件によって定められる数列 $\{a_n\}$ を考える。
\begin{align*}
a_1=3,~a_{n+1}={a_n}^2-2a_n+2~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
(1) $a_3$ を求めよ。
(2) 一般項 $a_n$ を $n$ の式で表せ。
(3) $a_{n+2}-2$ は $a_n$ の倍数であることを示せ。
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個人的に思うことだけど,兵庫県立大は中々難しい問題を出題する。「こんなのどうするんだ?」と思うような問題が出題されたり,当たり前に成り立つようなことを証明させたり,解答の書き方が難しい問題が多いような気がする。受験する人は過去問を解いてしっかり対策しておこう。

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さて,与えられた漸化式に $n=1,2$ を代入して $a_3$ を求めよう。

【(1)の解答】
$a_{n+1}={a_n}^2-2a_n+2~\cdots\cdots①$ において $n=1$ とすると
\begin{align*}
a_2&={a_1}^2-2a_1+2 \\[4pt]&=3^2-2\Cdota3+2 \\[4pt]&=5
\end{align*}
①に $n=2$ を代入すると
\begin{align*}
a_3&={a_2}^2-2a_2+2 \\[4pt]&=5^2-2\Cdota5+2 \\[4pt]&=17
\end{align*}
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(2)はこのままではどうにもならないね。右辺の $a_n$ を1か所にまとめることを考えよう。2次式で変数を1か所にまとめる方法として,平方完成がある。

①より,$a_{n+1}=(a_n-1)^2+1$
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この時点で解ける気がしてくればいい感じ。パターン7のときにも説明した「同じ形」を作ることを意識しよう。右辺の1を左辺に移項すれば同じ形が作れるね。

【(2)の解答】
①より
\begin{align*}
a_{n+1}-1=(a_n-1)^2~\cdots\cdots②
\end{align*}
ここで $a_1=3>1$ であり,$a_n>1$ のとき $(a_n-1)^2>0$ であるから $a_{n+1}>1$ となる。したがって,常に $a_n>1$ である。よって,②の両辺の底を2とする対数をとると
\begin{align*}
&\log_{2}(a_{n+1}-1)=2\log_{2}(a_n-1)
\end{align*}
$\log_{2}(a_n-1)=b_n$ とおくと,数列 $\{b_n\}$ は公比2の等比数列であり
\begin{align*}
b_1=\log_{2}(a_1-1)=\log_{2}2=1
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
b_n&=b_1\Cdota2^{n-1}=2^{n-1}
\end{align*}
$a_n=2^{b_n}+1$ より
\begin{align*}
&a_n=2^{2^{n-1}}+1
\end{align*}
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(3)は省いても良かったけど解説しておくよ。まず気になるのは $a_{n+2}-2$ の $-2$ の部分。何故2を引いてるのか・・・それを調べるためにも $a_{n+2}$ がどういうものなのかを考えてみよう。

①より
\begin{align*}
a_{n+2}={a_{n+1}}^2-2a_{n+1}+2
\end{align*}
となるから
\begin{align*}
a_{n+2}-2&={a_{n+1}}^2-2a_{n+1} \\[4pt]&=a_{n+1}(a_{n+1}-2)
\end{align*}
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これで $a_{n+2}-2$ が $a_{n+1}$ と $a_{n+1}-2$ の倍数であることが分かったね。そして,この時点で「なるほど~」と思って欲しい。

${\color{red}a_{n+2}-2}=a_{n+1}({\color{red}a_{n+1}-2})$ において,
赤い部分が同じ形になっている。ということは
\begin{align*}
a_{n+1}-2=a_n(a_n-2)
\end{align*}
も成り立つということ。漸化式においては「同じ形」の式が見えるかどうかで,感じる難易度がかなり変わるため,式を見る目を養うことが重要である。
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では解答に進もう。

【(3)の解答】
①より
\begin{align*}
a_{n+2}-2&={a_{n+1}}^2-2a_{n+1} \\[4pt]&=a_{n+1}(a_{n+1}-2) \\[4pt]&=a_{n+1}a_n(a_n-2)
\end{align*}
(2)の結果より,常に $a_n$ は整数であるから,$a_{n+2}-2$ は $a_n$ の倍数である。
 
(2)の結果から一般項が分かっているからといって
\begin{align*}
a_{n+2}-2&=2^{2^{n+1}}-1
\end{align*}
としてしまうと大変なので,漸化式をうまく利用することを考えよう。

積・累乗・累乗根を含む漸化式の解法

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漸化式パターン9の解法をまとめておこう。

積・累乗・累乗根を含む漸化式の解法
  1. 基本的に対数をとることで対処できる。その際には真数が正であることを示しておく。
  2. パターン8以外になるので,対応したパターンの解法を思い出して解く。
  3. 最初の置き換えを利用して,一般項を求める。

練習問題

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それでは練習しておこう。

2015年 防衛医科大$a_1=1,~a_2=e,~$$a_{n+2}={a_n}^{-2}{a_{n+1}}^3$$~(n=1,2,3,\cdots)$ という条件で決まる数列 $\{a_n\}$ の第 $n$ 項を求めよ。ただし,$e$ は自然対数の底とする。
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しっかり理解できていれば解けるだろう。

【解答】
$a_1>0,~a_2>0$ であり,$a_n>0,~a_{n+1}>0$ のとき,漸化式
\begin{align*}
a_{n+2}={a_n}^{-2}{a_{n+1}}^3~\cdots\cdots①
\end{align*}
より $a_{n+2}>0$ となるから,常に $a_n>0$ である。よって,①の両辺の自然対数をとると
\begin{align*}
&\log a_{n+2}=-2\log a_n+3\log a_{n+1}
\end{align*}
$\log a_n=b_n$ とおくと
\begin{align*}
&b_{n+2}=3b_{n+1}-2b_n \\[4pt]
&\begin{cases}
b_{n+2}-b_{n+1}=2(b_{n+1}-b_n) \\[4pt]
b_{n+2}-2b_{n+1}=b_{n+1}-2b_n
\end{cases}
\end{align*}
数列 $\{b_{n+1}-b_n\}$ は公比2の等比数列であり,数列 $\{b_{n+1}-2b_n\}$ は定数列であるから
\begin{align*}
\begin{cases}
b_{n+1}-b_n=(b_2-b_1)\Cdot2^{n-1} \\[4pt]
b_{n+1}-2b_n=b_2-2b_1
\end{cases}
\end{align*}
ここで $a_1=1,~a_2=e$ より
\begin{align*}
&b_1=\log a_1=0 \\[4pt]
&b_2=\log a_2=1
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
\begin{cases}
b_{n+1}-b_n=2^{n-1} &~\cdots\cdots② \\[4pt]
b_{n+1}-2b_n=1 &~\cdots\cdots③
\end{cases}
\end{align*}
$②-③$より
\begin{align*}
b_n=2^{n-1}-1
\end{align*}
$a_n=e^{b_n}$ より,$a_n=e^{2^{n-1}-1}$
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上と同じ解答だろうか?違う人は,漸化式を見る目を鍛えているのだろう。

$a_n>0$ を示すところまでは同じ。
【別解】
$a_{n+2}={a_n}^{-2}{a_{n+1}}^3$ の両辺を ${a_{n+1}}^2$ で割ると
\begin{align*}
&\dfrac{a_{n+2}}{{a_{n+1}}^2}=\dfrac{a_{n+1}}{{a_n}^2}
\end{align*}
数列 $\left\{\dfrac{a_{n+1}}{{a_n}^2}\right\}$ は定数列となるから
\begin{align*}
&\dfrac{a_{n+1}}{{a_n}^2}=\dfrac{a_2}{{a_1}^2} \\[4pt]
&a_{n+1}=e{a_n}^2
\end{align*}
両辺の自然対数をとると
\begin{align*}
&\log a_{n+1}=2\log a_n+1 \\[4pt]
&\log a_{n+1}+1=2(\log a_n+1)
\end{align*}
数列 $\{\log a_n+1\}$ は公比2の等比数列であるから
\begin{align*}
&\log a_n+1=(\log a_1+1)\Cdota2^{n-1} \\[4pt]
&\log a_n=2^{n-1}-1 \\[4pt]
&a_n=e^{2^{n-1}-1}
\end{align*}

まとめ

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積や累乗・累乗根を含む漸化式(パターン9)では,基本的に対数をとることで他のパターンに帰着することができる。問題によっては,うまく変形することで,最初に対数をとるより楽に解ける場合がある。

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