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5次と6次の相反方程式の解法
ヒロ
ところで,この方程式にはある特徴があるんだけど分かるかな?
うーん・・・
ヒロ
係数に着目しよう。
あっ!係数が左右対称になってるんですね。
ヒロ
そう!だから,この方程式は相反方程式と呼ばれているんだ。
ヒロ
そして,相反方程式は解法が確立されているので,それを知っていれば誘導がなくても解けるようになるよ。
誘導なしで解けるようにすることは重要ですね!
ヒロ
5次と6次の相反方程式を例に挙げて説明しておくよ。
【5次の相反方程式の例】
【6次の相反方程式の例】
\begin{align*}
ax^5+bx^4+cx^3+cx^2+bx+a=0
\end{align*}
左辺を $f(x)$ とおくと,ax^5+bx^4+cx^3+cx^2+bx+a=0
\end{align*}
\begin{align*}
f(-1)=-a+b-c+c-b+a=0
\end{align*}
となるから,$f(x)$ は $x+1$ を因数にもち,f(-1)=-a+b-c+c-b+a=0
\end{align*}
\begin{align*}
(x+1)\{ax^4+(-a+b)x^3+(a-b+c)x^2+(-a+b)x+a\}=0
\end{align*}
と因数分解できる。(x+1)\{ax^4+(-a+b)x^3+(a-b+c)x^2+(-a+b)x+a\}=0
\end{align*}
\begin{align*}
ax^4+(-a+b)x^3+(a-b+c)x^2+(-a+b)x+a=0
\end{align*}
これは4次の相反方程式になっている。$\displaystyle x+\frac{1}{x}=t$ とおくことで,$t$ の2次方程式に帰着できる。ax^4+(-a+b)x^3+(a-b+c)x^2+(-a+b)x+a=0
\end{align*}
【6次の相反方程式の例】
\begin{align*}
ax^6+bx^5+cx^4+dx^3+cx^2+bx+a=0
\end{align*}
両辺を $x^3(\neq0)$ で割るとax^6+bx^5+cx^4+dx^3+cx^2+bx+a=0
\end{align*}
\begin{align*}
&ax^3+bx^2+cx+d+\frac{c}{x}+\frac{b}{x^2}+\frac{a}{x^3}=0 \\[4pt]
&a\left(x^3+\frac{1}{x^3}\right)+b\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)+c\left(x+\frac{1}{x}\right)=0
\end{align*}
$\displaystyle x+\frac{1}{x}=t$ とおくと,&ax^3+bx^2+cx+d+\frac{c}{x}+\frac{b}{x^2}+\frac{a}{x^3}=0 \\[4pt]
&a\left(x^3+\frac{1}{x^3}\right)+b\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)+c\left(x+\frac{1}{x}\right)=0
\end{align*}
\begin{align*}
&a(t^3-3t)+b(t^2-2)+ct=0 \\[4pt]
&at^3+bt^2+(-3a+c)t-2b=0
\end{align*}
これ以降は,この3次方程式を解けるかどうかが問題となる。&a(t^3-3t)+b(t^2-2)+ct=0 \\[4pt]
&at^3+bt^2+(-3a+c)t-2b=0
\end{align*}
相反方程式に関する入試問題【2018年 慶應義塾大】
ヒロ
それでは,練習のためにもう1問解いてもらおう。
2018年 慶應義塾大・理工複素数 $x$ が $x^4-2x^3+3x^2-2x+1=0$ を満たすとする。
$\displaystyle y=x+\frac{1}{x}$ とおくと $y$ の満たす2次方程式は $\myBox{(ア)}=0$ である。したがって元の方程式の解を複素数の範囲ですべて求めると$\myBox{(イ)}$ となる。
$\displaystyle y=x+\frac{1}{x}$ とおくと $y$ の満たす2次方程式は $\myBox{(ア)}=0$ である。したがって元の方程式の解を複素数の範囲ですべて求めると$\myBox{(イ)}$ となる。
やってみます。
$x=0$ は与方程式の解でないから,与方程式の両辺を $x^2$ で割ると
\begin{align*}
&x^2-2x+3-\frac{2}{x}+\frac{1}{x^2}=0 \\[4pt]
&\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)-2\left(x+\frac{1}{x}\right)+3=0
\end{align*}
$\displaystyle y=x+\frac{1}{x}$ とおくとき&x^2-2x+3-\frac{2}{x}+\frac{1}{x^2}=0 \\[4pt]
&\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)-2\left(x+\frac{1}{x}\right)+3=0
\end{align*}
\begin{align*}
&(y^2-2)-2y+3=0 \\[4pt]
&y^2-2y+1=0 \\[4pt]
&(y-1)^2=0 \\[4pt]
&y=1
\end{align*}
このとき&(y^2-2)-2y+3=0 \\[4pt]
&y^2-2y+1=0 \\[4pt]
&(y-1)^2=0 \\[4pt]
&y=1
\end{align*}
\begin{align*}
&x+\frac{1}{x}=1 \\[4pt]
&x^2-x+1=0 \\[4pt]
&x=\frac{1\pm\sqrt{3}i}{2}
\end{align*}
よって,&x+\frac{1}{x}=1 \\[4pt]
&x^2-x+1=0 \\[4pt]
&x=\frac{1\pm\sqrt{3}i}{2}
\end{align*}
\begin{align*}
(ア)\ y^2-2y+1,\quad (イ)\ x=\frac{1\pm\sqrt{3}i}{2}
\end{align*}
(ア)\ y^2-2y+1,\quad (イ)\ x=\frac{1\pm\sqrt{3}i}{2}
\end{align*}
ヒロ
完璧だね!
相反方程式の解法まとめ
ヒロ
相反方程式の解法をしっかり覚えておいて,出題されたときは確実に得点できるようにしておこう!
相反方程式の解法
-
偶数 ( $2n$ ) 次のとき
両辺を $x^n$で割って,$\displaystyle x+\frac{1}{x}=t$とおく。 - 奇数 ( $2n+1$ ) 次のとき
$x=-1$ を解にもつから,$x+1$ をくくり出すことで,1つ次数が低い偶数 ( $2n$ ) 次の相反方程式に帰着できる。