ここでは2次方程式の実数解の個数を判別する方法について説明します。
与えられた2次方程式の係数が定数であれば,その方程式を解くことで実数解の個数を求めることができます。
したがって,係数が定数の2次方程式の実数解の個数を問う問題は大学入試ではほとんど出題されません。
係数が文字で表されている場合は,その文字の値によって,実数解の個数が変化します。
文字の値によって正しく場合分けをして実数解の個数を求めることができるようにしましょう。
Contents
2次方程式の判別式

ヒロ
まずは2次方程式の実数解の個数の判別方法を知ろう。
【2次方程式の判別式】
$x$ の2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解の公式は
細かく言うと,$b^2-4ac>0$ のとき,解は
$b^2-4ac=0$ のとき,解は $x=-\dfrac{b}{2a}$ であり,これはただ1つの実数解である。2つの解が重なったものと考えて重解という。
$b^2-4ac<0$ のとき,実数でなくなるため,実数解をもたない。
$x$ の2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解の公式は
\begin{align*}
x=\dfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
\end{align*}
であるが,これは根号内の $b^2-4ac$ が0以上のときの話である。x=\dfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
\end{align*}
細かく言うと,$b^2-4ac>0$ のとき,解は
\begin{align*}
x=\dfrac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a},~\dfrac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
\end{align*}
となり,これらは異なる2つの実数解である。x=\dfrac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a},~\dfrac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
\end{align*}
$b^2-4ac=0$ のとき,解は $x=-\dfrac{b}{2a}$ であり,これはただ1つの実数解である。2つの解が重なったものと考えて重解という。
$b^2-4ac<0$ のとき,実数でなくなるため,実数解をもたない。

ヒロ
$b^2-4ac$ の符号によって,2次方程式の実数解の個数を判別できるため,$b^2-4ac$ を判別式といい,discriminantの頭文字をとって $D$ で表すことが多い。

ヒロ
これをまとめると次のようになる。
$ax^2+bx+c=0$ の実数解の個数
- $D>0$ のとき,異なる2つの実数解をもつ
- $D=0$ のとき,ただ1つの実数解(重解)をもつ
- $D<0$ のとき,実数解をもたない。
ただし,$D=b^2-4ac$ とする。

ヒロ
$x$ の係数が偶数のときは次のようにしよう。
【$x$ の係数が偶数のときの判別式】
解の公式の根号の中身が判別式だから,$x$ の係数が偶数のときは,$ax^2+2bx+c=0$ の判別式を $D$ とすると
解の公式の根号の中身が判別式だから,$x$ の係数が偶数のときは,$ax^2+2bx+c=0$ の判別式を $D$ とすると
\begin{align*} D=4b^2-4ac \end{align*}
となる。両辺を4で割ると \begin{align*} \dfrac{D}{4}=b^2-ac \end{align*}
となる。 これを使うメリットは値が $\dfrac{1}{4}$ に小さくなることである。 あとは多くの参考書や問題集で $\dfrac{D}{4}$ が使われているため,$\dfrac{D}{4}$ に慣れておいた方が読みやすく理解しやすくなるだろう。2次方程式の実数解の個数に関する問題

ヒロ
それでは2次方程式の実数解の個数に関する問題を解いて慣れよう。
問題次の条件を満たすように,それぞれ定数 $m$ の値の範囲を定めよ。
(1) 2次方程式 $x^2-3x+m=0$ が異なる2つの実数解をもつ。
(2) 2次方程式 $x^2+4x-m=0$ が実数解をもたない。
(3) 2次方程式 $3x^2-6x+2m-1=0$ が実数解をもつ。
(1) 2次方程式 $x^2-3x+m=0$ が異なる2つの実数解をもつ。
(2) 2次方程式 $x^2+4x-m=0$ が実数解をもたない。
(3) 2次方程式 $3x^2-6x+2m-1=0$ が実数解をもつ。

ヒロ
判別式を利用して解こう。
【(1)の考え方と解答】
判別式を $D$ とすると,
判別式を $D$ とすると,
\begin{align*}
D=(-3)^2-4m=9-4m
\end{align*}
条件を満たすのは $D>0$ のときであるからD=(-3)^2-4m=9-4m
\end{align*}
\begin{align*}
&9-4m>0 \\[4pt]
&m<\dfrac{9}{4} \end{align*}
&9-4m>0 \\[4pt]
&m<\dfrac{9}{4} \end{align*}
(2) 2次方程式 $x^2+4x-m=0$ が実数解をもたない。
【(2)の考え方と解答】
判別式を $D$ とすると,
判別式を $D$ とすると,
\begin{align*} \dfrac{D}{4}=2^2+m=m+4 \end{align*}
条件を満たすのは $D<0$ のときであるから \begin{align*} &m+4<0 \\[4pt] &m<-4 \end{align*}
(3) 2次方程式 $3x^2-6x+2m-1=0$ が実数解をもつ。
【(3)の考え方と解答】
判別式を $D$ とすると,
判別式を $D$ とすると,
\begin{align*} \dfrac{D}{4}&=(-3)^2-3(2m-1) \\[4pt] &=-6m+12 \end{align*}
条件を満たすのは $D\geqq0$ であるから \begin{align*} &-6m+12\geqq0 \\[4pt] &m\leqq2 \end{align*}