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漸化式パターン6:$a_{n+2}=pa_{n+1}+qa_n$ 型の解法

漸化式パターン6 数学IAIIB

漸化式の基本形からパターン5までは,隣り合う二項間の漸化式でした。このパターン6は隣り合う三項間の漸化式です。三項間漸化式の解法は,二項間漸化式に帰着させることです。誘導があればその誘導に従うことで,二項間漸化式に帰着させることができます。しかし「仕組み」を知っておくと,誘導に乗って変形した結果が正しいかどうかを判断することができます。また,誘導がなかった場合でも,解くことができます。

具体例として,次の問題を扱います。

2018年 芝浦工大数列 $\{a_n\}$ は次の条件で定められたものとする。
\begin{align*}
a_1=1,~a_2=2,~a_{n+2}-4a_{n+1}+3a_n=0~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
漸化式 $a_{n+2}-4a_{n+1}+3a_n=0$ を $a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n)$ と変形すると,$(\alpha,~\beta)=\myhako$ である。ただし,$\alpha\leqq\beta$ とする。一般項 $a_n$ は $\myhako$ である。
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問題の解説

ヒロ
ヒロ

まずは変形後の漸化式を変形前と同じ形にしよう。

$a_{n+2}+\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n)$ より,
\begin{align*}
a_{n+2}-(\alpha+\beta)a_{n+1}+\alpha\beta a_n=0
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

これが元の漸化式と一致する条件を考えよう。

$a_{n+2}-4a_{n+1}+3a_n=0$ と係数を比較して
\begin{align*}
\alpha+\beta=4,~\alpha\beta=3
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

あとは,この2式を満たす $\alpha,~\beta$ を求めれば良いね。ここで,次のポイントを覚えておこう。

和と積から2数を求める

和と積を見たら,解と係数の関係を利用することを考えよう。
$\alpha+\beta=s,~\alpha\beta=t$ のとき,$\alpha,~\beta$ は

\begin{align*}
x^2-sx+t=0
\end{align*}
の2解である。
$\alpha,~\beta$ は $x^2-4x+3=0$ の2解で,これを解くと
\begin{align*}
&(x-1)(x-3)=0 \\[4pt]&x=1,3
\end{align*}
$\alpha\leqq\beta$ より,$(\alpha,\beta)=(1,3)$
ヒロ
ヒロ

これで最初の空欄が埋まったね。次は一般項を求めよう。

$\alpha=1,~\beta=3$ より
\begin{align*}
a_{n+2}-a_{n+1}=3(a_{n+1}-a_n)
\end{align*}
数列 $\{a_{n+1}-a_n\}$ は初項 $a_2-a_1=2-1=1$,公比3の等比数列であるから
\begin{align*}
a_{n+1}-a_n=3^{n-1}~\cdots\cdots ①
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

これでパターン3の漸化式になったね。

数列 $\{a_n\}$ の階差数列の一般項が $3^{n-1}$ だから,$n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
a_n&=a_1+\Sum{k=1}{n-1}3^{k-1} \\[4pt]&=1+\dfrac{3^{n-1}-1}{3-1} \\[4pt]&=\dfrac{3^{n-1}+1}{2}
\end{align*}
これは $n=1$ のときも成り立つ。
ヒロ
ヒロ

これで2つとも空欄が埋まったね。

特性方程式

ヒロ
ヒロ

ここで,隣接三項間漸化式を隣接二項間漸化式に変形する際に求めた $\alpha,~\beta$ に着目しよう。一般的な隣接三項間漸化式 $a_{n+2}-pa_{n+1}+qa_n=0$ を考えよう。

$a_{n+2}-pa_{n+1}+qa_n=0$ が
\begin{align*}
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n)
\end{align*}
に変形できたとする。これを展開・整理すると
\begin{align*}
a_{n+2}-(\alpha+\beta)a_{n+1}+\alpha\beta a_n=0
\end{align*}
係数比較すると
\begin{align*}
\alpha+\beta=p,~\alpha\beta=q
\end{align*}
となるから,$\alpha,~\beta$ は
\begin{align*}
x^2-px+q=0
\end{align*}
の2解である。
ヒロ
ヒロ

この方程式と元の漸化式を見比べると,$a_{n+2}$ を $x^2$ に,$a_{n+1}$ を $x$ に,$a_n$ を 1 にしたものになってるね。

なるほど。じゃあ,これを利用すれば漸化式からすぐに方程式を立てることができるってことですね。

ヒロ
ヒロ

そういうことだね。そして,この方程式は特別な性質をもつから特性方程式と呼ばれているよ。

隣接三項間漸化式は特性方程式の2解を利用することで,隣接二項間漸化式の等比型に変形できる。
ヒロ
ヒロ

等比型に変形するための $\alpha,~\beta$ は特性方程式の解だから,問題では,$\alpha\leqq\beta$ と大小関係が定められていたけど,実際は大小に関係なく変形できるということ。

$\alpha=1,~\beta=3$ とすると
\begin{align*}
a_{n+2}-3a_{n+1}=a_{n+1}-3a_n
\end{align*}
となる。
ヒロ
ヒロ

実際に,これを整理すると,元の漸化式に戻ることが簡単に確認できるね。ということは,ここから解答を進める方法もあることになるね。

数列 $\{a_{n+1}-3a_n\}$ は定数列であり,$a_2-3a_1=2-3=-1$ であるから
\begin{align*}
a_{n+1}-3a_n=-1~\cdots\cdots ②
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

これは偶然定数列になったから,パターン2になって,さっきより簡単に解ける。でも,漸化式①を利用することで,②を解くより速く $a_n$ を求めることができるよ。

$\dfrac{①-②}{2}$ より,$a_n=\dfrac{3^{n-1}+1}{2}$

なるほど。①と②の2本の漸化式を $a_{n+1}$ と $a_n$ の連立方程式と見れば良いんですね。

ヒロ
ヒロ

頑張って漸化式を解くのもいいけど,こんな風に漸化式を見ることができるようにもなろう。

ヒロ
ヒロ

ただし,特性方程式が重解をもつときは,1通りにしか変形できないので,その1本の漸化式を頑張って解くしかないけどね。

$a_{n+2}=pa_{n+1}+qa_n$ 型の漸化式の解法

ヒロ
ヒロ

それでは解法をまとめておこう。

ヒロ
ヒロ

特性方程式の解に着目すると,漸化式パターン6のうち,95%は異なる2解をもち,残り5%だけが重解をもつ。

ヒロ
ヒロ

特性方程式 $x^2=px+q$ の2解を $\alpha,~\beta$ とすると,漸化式パターン6の隣接三項間漸化式は解法は次のようになる。

$\alpha\neq\beta$ のときの解法
  1. 特性方程式の2解を利用して漸化式を変形する。
  2. $\displaystyle \begin{cases}
    a_{n+2}+\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n) \\[4pt]a_{n+2}+\beta a_{n+1}=\alpha(a_{n+1}-\beta a_n)
    \end{cases}$
    となる。
  3. 数列 $\{a_{n+1}-\alpha a_n\},~$$\{a_{n+1}-\beta a_n\}$ が等比数列となるから,それぞれの一般項を求める。
  4. $\displaystyle \begin{cases}
    a_{n+1}-\alpha a_n=(a_2-\alpha a_1)\beta^{n-1} &~\cdots\cdots ① \\[4pt]a_{n+1}-\beta a_n=(a_2-\beta a_1)\alpha^{n-1} &~\cdots\cdots ②
    \end{cases}$
    となる。
  5. $\dfrac{②-①}{\alpha-\beta}$ を計算して $a_n$ を求める。
$\alpha=\beta$ のときの解法
  1. 特性方程式の重解を利用して漸化式を変形する。
  2. $a_{n+2}+\alpha a_{n+1}=\alpha(a_{n+1}-\alpha a_n)$ となる。
  3. 数列 $\{a_{n+1}-\alpha a_n\}$ が等比数列となることから一般項を求める。
  4. $a_{n+1}-\alpha a_n=(a_2-\alpha a_1)\alpha^{n-1}$ となる。
  5. パターン3になるから,その解法を思い出して,一般項 $a_n$ を求める。

練習問題

ヒロ
ヒロ

以上の解法を踏まえて練習しておこう。

2008年 室蘭工業大数列 $\{a_n\}$ が次の条件を満たすとする。
\begin{align*}
a_1=1,~a_2=6,~a_{n+2}=6a_{n+1}-9a_n~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
(1) $b_n=a_{n+1}-3a_n$ とおくとき,数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。
(2) 数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
ヒロ
ヒロ

それでは解説していくよ。

ヒロ
ヒロ

基本的に「数列の一般項を求めよ。」とあれば,「その数列に関する漸化式を立てて,それを解くことによって数列の一般項を求めよ。」と言葉を補って読むようにしよう。

ヒロ
ヒロ

つまり,(1)では,数列 $\{b_n\}$ に関する漸化式を立てることを考えよう。

ヒロ
ヒロ

新しく立てる漸化式は元の漸化式より簡単な漸化式じゃないと意味がない。このような当たり前の考えからも,数列 $\{b_n\}$ がみたす漸化式の形がある程度分かる。

ヒロ
ヒロ

しかし,隣接三項間漸化式の解法をある程度知っていれば,隣接二項間漸化式に帰着させることは,問題を見た瞬間に気付くはず。色々言ったけど,数列 $b_{n+1}=rb_n$ という形になるんだろうなぁと思えるようにしよう。

ヒロ
ヒロ

もう少し詳しく言うと,問題を見た瞬間,特性方程式の解の1つは3で,$b_{n+1}=rb_n$ の $r$ はもう1つの解だなと思えるようになるとカンペキだね。

ヒロ
ヒロ

とりあえずは「$b_{n+1}$ を計算して $b_n$ で表す」のが方針となるね。

【(1)の解答】
$b_n=a_{n+1}-3a_n$ とおくとき,
\begin{align*}
b_{n+1}&=a_{n+2}-3a_{n+1} \\[4pt]
&=(6a_{n+1}-9a_n)-3a_{n+1} \\[4pt]
&=3a_{n+1}-9a_n \\[4pt]
&=3(a_{n+1}-3a_n) \\[4pt]
&=3b_n
\end{align*}
数列 $\{b_n\}$ は公比3の等比数列であり,
\begin{align*}
b_1=a_2-3a_1=6-3=3
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
b_n=3^n
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

この(1)の結果から,特性方程式は重解 $x=3$ をもつことが分かる。

ヒロ
ヒロ

(2)に進む前に,特性方程式の解を求めて,それを確認しておこう。

この漸化式の特性方程式は $x^2=6x-9$ となるから
\begin{align*}
&x^2-6x+9=0 \\[4pt]
&(x-3)^2=0 \\[4pt]
&x=3
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

これで特性方程式が重解をもつことが確認できたから,(1)の1本の漸化式から $a_n$ を求めることになるね。

【(2)の解答】
(1)の結果より,$a_{n+1}-3a_n=3^n$
両辺を $3^{n+1}$ でわると
\begin{align*}
&\dfrac{a_{n+1}}{3^{n+1}}-\dfrac{a_n}{3^n}=\dfrac{1}{3}
\end{align*}
数列 $\left\{\dfrac{a_n}{3^n}\right\}$ は公差 $\dfrac{1}{3}$ の等差数列で,$b_1=\dfrac{a_1}{3}=\dfrac{1}{3}$ であるから,$b_n=\dfrac{1}{3}n$
$a_n=3^nb_n$ より,$a_n=n\Cdot3^{n-1}$

練習問題2

ヒロ
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もう1問やってみよう。

2017年 室蘭工業大数列 $\{a_n\}$ は
\begin{align*}
&a_1=0,~a_2=2, \\[4pt]
&a_{n+2}=8(n+2)a_{n+1}-7(n^2+3n+2)a_n~(n=1,2,3,\cdots)
\end{align*}
を満たすとする。
(1) $b_n=\dfrac{1}{n!}a_n$ とおくとき,$b_{n+2}$ を $b_{n+1}$ と $b_n$ を用いて表せ。
(2) $c_n=b_{n+1}-b_n$ とおくとき,数列 $\{c_n\}$ の一般項を求めよ。
(3) 数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
ヒロ
ヒロ

(1)は誘導通りに進めてみよう。

【(1)の解答】
\begin{align*}
a_{n+2}=8(n+2)a_{n+1}-7(n^2+3n+2)a_n
\end{align*}
の両辺を $(n+2)!$ で割ると
\begin{align*}
&\dfrac{a_{n+2}}{(n+2)!}=\dfrac{8(n+2)a_{n+1}}{(n+2)!}-\dfrac{7(n+1)(n+2)a_n}{(n+2)!} \\[4pt]
&\dfrac{a_{n+2}}{(n+2)!}=8\Cdota\dfrac{a_{n+1}}{(n+1)!}-7\Cdota\dfrac{a_n}{n!}
\end{align*}
$b_n=\dfrac{1}{n!}a_n$ とおくと,
\begin{align*}
b_{n+2}=8b_{n+1}-7b_n
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

これでパターン6になったね。

【(2)の解答】
$c_n=b_{n+1}-b_n$ とおくと
\begin{align*}
c_{n+1}&=b_{n+2}-b_{n+1} \\[4pt]
&=(8b_{n+1}-7b_n)-b_{n+1} \\[4pt]
&=7(b_{n+1}-b_n) \\[4pt]
&=7c_n
\end{align*}
数列 $\{c_n\}$ は公比7の等比数列となり,
\begin{align*}
c_1&=b_2-b_1 \\[4pt]
&=\dfrac{a_2}{2!}-\dfrac{a_1}{1!} \\[4pt]
&=1-0=1
\end{align*}
であるから
\begin{align*}
c_n=7^{n-1}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(2)の漸化式から $b_n$ を求めて $a_n$ を求めよう。

【(3)の解答】
数列 $\{b_n\}$ の階差数列の一般項が $c_n$ だから $n\geqq2$ のとき
\begin{align*}
b_n&=b_1+\Sum{k=1}{n-1}c_k \\[4pt]
&=\Sum{k=1}{n-1}7^{k-1} \\[4pt]
&=\dfrac{7^{n-1}-1}{6}
\end{align*}
$a_n=n!b_n$ より,$a_n=\dfrac{n!}{6}(7^{n-1}-1)$

まとめ

ヒロ
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特性方程式が異なる2解をもつ場合は,2通りに変形して,2本の漸化式を利用することで楽に一般項を求めよう。

ヒロ
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特性方程式が重解をもつ場合は,1通りにしか変形できないため,少し面倒だけど,頑張って計算して一般項を求めよう。

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