小学校や中学校では具体的事象に関する文章題は馴染みのある問題ですが,高校になると,りんごや椅子が出てくる文章題は不等式に関する問題くらいです。
昔は不等式自体が中学校で学習する内容であったため中学生が解いていた問題が,そのまま高校にシフトして高校生が解くようになっただけです。
落ち着いて考えることができれば,それほど難しい内容ではありません。
文章の意味を捉えて正確に不等式を立式できるようにしましょう。
Contents
定期テストに出題された問題1
それでは次の問題を考えてみよう。
文章で表された数を式で表して不等式を立てよう。
$x$ を8倍しても100以下であるが,20倍すると200を超えるから
\begin{cases}
8x\leqq100 ~&\cdots\cdots① \\[4pt]
20x>200 ~&\cdots\cdots②
\end{cases}
\end{align*}
②より $x>10$
よって,$10<x\leqq\dfrac{25}{2}$ である。
定期テストに出題された問題2
「四捨五入」がポイントだね。
例えば小数第1位を四捨五入して10になる数を考えてみよう。
小数第1位を四捨五入して10になる数を $x$ とする。
小数第1位が4以下なら切り捨てられるから,$x$ の整数部分は10でなければならないと分かる。
また小数第1位が5以上なら繰り上がるから,$x$ の整数部分は9でなければならないと分かる。
ここで,$9.5\leqq x\leqq10.4$ としてはいけない。
10.4より大きい10.42も小数第1位を四捨五入すると10になるから。つまり
9.5\leqq x<10.5
\end{align*}
10-\dfrac{1}{2}\leqq x<10+\dfrac{1}{2}
\end{align*}
これで四捨五入した結果が,どのような数になっても式で表すことができるね。
ある数を $x$ とすると $3(x+30)$ の小数第1位を四捨五入すると元の数の5倍になるから,
&5x-\dfrac{1}{2}\leqq 3(x+30)<5x+\dfrac{1}{2}
\end{align*}
$5x-\dfrac{1}{2}\leqq 3(x+30)$ より
&10x-1\leqq6(x+30) \\[4pt]
&4x\leqq181 \\[4pt]
&x\leqq\dfrac{181}{4}
\end{align*}
定期テストに出題された問題3
何を未知数 $x$ にするかを考えよう。
求めるものは,子供の人数とリンゴの数の2つあるから,2通りの解法が考えられる。
子供の人数を $x$ 人とする解法
リンゴの総数を $x$ で表すことから始めよう。
リンゴを1人4個ずつ配ると19個余るから,リンゴは
4x+19~個
\end{align*}
1\leqq(最後の子供のリンゴの個数)\leqq6
\end{align*}
で $4x+19$ 個あるから,最後の子供が貰えるリンゴの個数は
&(最後の子供が貰えるリンゴの個数) \\[4pt]
&=(リンゴの総数)-(最後の子供以外が貰うリンゴの個数) \\[4pt]
&=(4x+19)-7(x-1) \\[4pt]
&=-3x+26
\end{align*}
&1\leqq-3x+26\leqq6 \\[4pt]
&-25\leqq-3x\leqq-20 \\[4pt]
&\dfrac{20}{3}\leqq x\leqq\dfrac{25}{3}
\end{align*}
x=7,~8
\end{align*}
4\times7+19=47~個
\end{align*}
4\times8+19=51~個
\end{align*}
子供7人,リンゴ47個 または 子供8人,リンゴ51個
リンゴの数を $x$ 個とする解法
子供の人数を $x$ で表すことから始めよう。
リンゴを1人4個ずつ配ると19個余るから,19個を除いた $x-19$ 個を1人4個ずつ配ると,$x$ 人の子供全員に4個ずつリンゴを配ることができる。よって,子供の人数は
\dfrac{x-19}{4}~人
\end{align*}
&(最後の子供が貰えるリンゴの個数) \\[4pt]
&=(リンゴの総数)-(最後の子供以外が貰うリンゴの個数) \\[4pt]
&=x-7\left(\dfrac{x-19}{4}-1\right) \\[4pt]
&=x-\dfrac{7(x-23)}{4} \\[4pt]
&=\dfrac{-3x+161}{4}
\end{align*}
&1\leqq\dfrac{-3x+161}{4}\leqq6 \\[4pt]
&4\leqq-3x+161\leqq24 \\[4pt]
&-157\leqq-3x\leqq-137 \\[4pt]
&\dfrac{137}{3}\leqq x\leqq\dfrac{157}{3}
\end{align*}
x=46,~47,~48,~49,~50,~51
\end{align*}
\begin{array}{c|cccccc}
x & 46 & 47 & 48 & 49 & 50 & 51 \\[4pt]\hline
x-19 & 27 & 28 & 29 & 30 & 31 & 32
\end{array}
\end{align*}
したがって,子供7人,リンゴ47個 または 子供8人,リンゴ51個
この解法だと大変だね。
文章中にある2つのうち,どちらを $x$ とおくかは次のように考えよう。
- 卵と箱・・・箱が $x$ 個あるとおく。
- 生徒と長いす・・・長いすが $x$ 脚あるとおく。
- 子供とリンゴ・・・子供が $x$ 人いるとおく。
モノやヒトで $x$ とおくものを決めているわけでないことに注意しよう。
定期テストに出題された問題4
これは生徒の人数を $x$ 人とおけば良いんですね!
そうだね。それで解いてみよう。
生徒の人数を $x$ 人とすると,冊子は全部で
5x+12~(冊)
\end{align*}
&1\leqq(5x+12)-8(x-1)\leqq7 \\[4pt]
&1\leqq-3x+20\leqq7 \\[4pt]
&-19\leqq-3x\leqq-13 \\[4pt]
&\dfrac{13}{3}\leqq x\leqq\dfrac{19}{3}
\end{align*}
よって,冊子は42冊,生徒は6人。
定期テストに出題された問題5
「何個以上買えば・・・」となっていても「$x$ 個買う」として考えよう。
「$x$ 個以上買う」とすると何個買うのか分からないので考えられない。
買う個数を決めた上で,別のものに対して不等式を立てて解く。
今回の場合は「入会しないで買うより安くなる」を不等式で表すことを考えよう。
入会しない場合は,入会金が不要なので
(購入代金)=800x~\cdots\cdots①
\end{align*}
(購入代金)=800x\left(1-\dfrac{6}{100}\right)+500~\cdots\cdots②
\end{align*}
あとは不等式を立てて解くだけだね。
品物を $x$ 個買うとき,入会しないで買うより安くなるとすると,
&800x>800x\left(1-\dfrac{6}{100}\right)+500 \\[4pt]
&0>-48x+500 \\[4pt]
&48x>500 \\[4pt]
&x>\dfrac{125}{12}\fallingdotseq10.2\cdots
\end{align*}
問題文を読んで,大小関係を表す部分について不等式を正しく立てることが大切だね。