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恒等式に関する入試問題2
2010年 九州大0でない2つの整式 $f(x),~g(x)$ が以下の恒等式を満たすとする。
(1) $f(x)$ の次数と $g(x)$ の次数はともに2以下であることを示せ。
(2) $f(x)$ と $g(x)$ を求めよ。
\begin{align*}
&f(x^2)=(x^2+2)g(x)+7 \\[4pt]
&g(x^3)=x^4f(x)-3x^2g(x)-6x^2-2
\end{align*}
以下の問いに答えよ。&f(x^2)=(x^2+2)g(x)+7 \\[4pt]
&g(x^3)=x^4f(x)-3x^2g(x)-6x^2-2
\end{align*}
(1) $f(x)$ の次数と $g(x)$ の次数はともに2以下であることを示せ。
(2) $f(x)$ と $g(x)$ を求めよ。
【(1)の考え方と解答】
2つの整式 $f(x),~g(x)$ の次数のどちらかが3以上だと矛盾が起こることを示そう。
$f(x),~g(x)$ の次数をそれぞれ $m,~n$($m,~n$ は自然数)とし,
$m\geqq3$ のとき
このとき
2つの整式 $f(x),~g(x)$ の次数のどちらかが3以上だと矛盾が起こることを示そう。
$f(x),~g(x)$ の次数をそれぞれ $m,~n$($m,~n$ は自然数)とし,
\begin{align*}
&f(x^2)=(x^2+2)g(x)+7~\cdots\cdots① \\[4pt]
&g(x^3)=x^4f(x)-3x^2g(x)-6x^2-2~\cdots\cdots②
\end{align*}
とする。①において,左辺の次数は $2m$ で,右辺の次数は $n+2$ であるから&f(x^2)=(x^2+2)g(x)+7~\cdots\cdots① \\[4pt]
&g(x^3)=x^4f(x)-3x^2g(x)-6x^2-2~\cdots\cdots②
\end{align*}
\begin{align*}
&2m=n+2 \\[4pt]
&n=2m-2
\end{align*}
また,②の左辺の次数は $3n=6m-6$ であり,$x^4f(x)$ の次数は $m+4$, $-3x^2g(x)$ の次数は $n+2=2m$ であるから,右辺の次数は $m+4$ と $2m$ の小さくない方以下である。&2m=n+2 \\[4pt]
&n=2m-2
\end{align*}
$m\geqq3$ のとき
\begin{align*}
&(6m-6)-(m+4)=5m-10>0 \\[4pt]
&(6m-6)-2m=4m-6>0
\end{align*}
となり,両辺の次数が一致しないから $m\leqq2$ である。&(6m-6)-(m+4)=5m-10>0 \\[4pt]
&(6m-6)-2m=4m-6>0
\end{align*}
このとき
\begin{align*}
n=2m-2\leqq2
\end{align*}
となるから,$f(x)$ の次数と $g(x)$ の次数はともに2以下である。n=2m-2\leqq2
\end{align*}
(2) $f(x)$ と $g(x)$ を求めよ。
【(2)の考え方と解答】
(1)の結果より
⑤より,$r=-2a+b$
⑥より,$c=2r+7=-4a+2b+7$
よって,
したがって,$f(x)=x^2+3,~g(x)=x^2-2$
(1)の結果より
\begin{align*}
&f(x)=ax^2+bx+c \\[4pt]
&g(x)=px^2+qx+r
\end{align*}
と表せる。①より&f(x)=ax^2+bx+c \\[4pt]
&g(x)=px^2+qx+r
\end{align*}
\begin{align*}
&ax^4+bx^2+c=(x^2+2)(px^2+qx+r)+7 \\[4pt]
&(a-p)x^4-qx^3+(b-2p-r)x^2-2qx+(c-2r-7)=0
\end{align*}
これがすべての $x$ に対して成り立つから&ax^4+bx^2+c=(x^2+2)(px^2+qx+r)+7 \\[4pt]
&(a-p)x^4-qx^3+(b-2p-r)x^2-2qx+(c-2r-7)=0
\end{align*}
\begin{align*}
&a-p=0~\cdots\cdots③ \\[4pt]
&q=0~\cdots\cdots④ \\[4pt]
&b-2p-r=0~\cdots\cdots⑤ \\[4pt]
&c-2r-7=0~\cdots\cdots⑥
\end{align*}
③より,$p=a$&a-p=0~\cdots\cdots③ \\[4pt]
&q=0~\cdots\cdots④ \\[4pt]
&b-2p-r=0~\cdots\cdots⑤ \\[4pt]
&c-2r-7=0~\cdots\cdots⑥
\end{align*}
⑤より,$r=-2a+b$
⑥より,$c=2r+7=-4a+2b+7$
よって,
\begin{align*}
&f(x)=ax^2+bx-4a+2b+7 \\[4pt]
&g(x)=ax^2-2a+b
\end{align*}
となる。これを②に代入して&f(x)=ax^2+bx-4a+2b+7 \\[4pt]
&g(x)=ax^2-2a+b
\end{align*}
\begin{align*}
&ax^6-2a+b=x^4(ax^2+bx-4a+2b+7)-3x^2(ax^2-2a+b)-6x^2-2 \\[4pt]
&bx^5+(-7a+2b+7)x^4+(6a-3b-6)x^2-b-2=0
\end{align*}
これがすべての $x$ に対して成り立つから&ax^6-2a+b=x^4(ax^2+bx-4a+2b+7)-3x^2(ax^2-2a+b)-6x^2-2 \\[4pt]
&bx^5+(-7a+2b+7)x^4+(6a-3b-6)x^2-b-2=0
\end{align*}
\begin{align*}
&b=0 \\[4pt]
&-7a+2b+7=0 \\[4pt]
&6a-3b-6=0 \\[4pt]
&-2a+b+2=0
\end{align*}
よって,$a=1,~b=0$&b=0 \\[4pt]
&-7a+2b+7=0 \\[4pt]
&6a-3b-6=0 \\[4pt]
&-2a+b+2=0
\end{align*}
したがって,$f(x)=x^2+3,~g(x)=x^2-2$
多項式の次数で注意するべきこと
ヒロ
多項式の次数を安易に考えない方が良い。
【多項式の次数について】
例えば「$f(x)$ と $g(x)$ の次数がともに2のとき,$2f(x)+3g(x)$ は何次式か?」と聞かれたとき,すぐに「2次式だ」と答えるのは良くない。2次式になることもあれば,1次式や定数になることもある。
$f(x)=3x^2-6x+1$, $g(x)=-2x^2+x-3$ のとき
例えば「$f(x)$ と $g(x)$ の次数がともに2のとき,$2f(x)+3g(x)$ は何次式か?」と聞かれたとき,すぐに「2次式だ」と答えるのは良くない。2次式になることもあれば,1次式や定数になることもある。
$f(x)=3x^2-6x+1$, $g(x)=-2x^2+x-3$ のとき
\begin{align*}
2f(x)+3g(x)&=2(3x^2-6x+1)+3(-2x^2+x-3) \\[4pt]
&=-9x-7
\end{align*}
この場合,$x^2$ の係数が消えて1次式になる。したがって,2つの多項式の次数がともに $n$ のとき,$af(x)+bg(x)$ の次数は $n$ 以下である。ただし,$a,~b$ は定数とする。2f(x)+3g(x)&=2(3x^2-6x+1)+3(-2x^2+x-3) \\[4pt]
&=-9x-7
\end{align*}