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【ウォリス積分】定積分と漸化式

定積分と漸化式 ウォリス積分数学III
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前回のベータ関数では2変数の漸化式のような関係式が現れたけど,入試問題の中には,様々な関数の定積分について漸化式を導出させるものがある。

実際に出題されたときに戸惑わないように,代表的なものを知っておこう。

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問題

問題次の定積分について,漸化式を作れ。ただし,$n$ は自然数とする。
(1) $I_n=\dint{0}{1}x^ne^x\;dx$
(2) $I_n=\dint{1}{e}(\log x)^n\;dx$
(3) $I_n=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx$
(4) $I_n=\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\tan^nx\;dx$
ヒロ
ヒロ

部分積分を利用して漸化式を作ろう。

【(1)の解答】
\begin{align*}
I_n&=\tint{x^ne^x}{0}{1}-\dint{0}{1}nx^{n-1}e^x\;dx \\[4pt]
&=e-n\dint{0}{1}x^{n-1}e^x\;dx \\[4pt]
&=e-nI_{n-1}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

$\log$ は常に微分側として部分積分をしよう。

【(2)の解答】
\begin{align*}
I_n&=\tint{x(\log x)^n}{1}{e}
-\dint{1}{e}x\Cdota n(\log x)^{n-1}\Cdota\dfrac{1}{x}\;dx \\
&=e-n\dint{1}{e}(\log x)^{n-1}\;dx \\
&=e-nI_{n-1}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(1)と結果が同じになって,戸惑ったかもしれない。

$\log x=t$ とおくと,$x=e^t$, $dx=e^tdt$
$x=1$ のとき,$t=0$ となり,$x=e$ のとき,$t=1$ となるから
\begin{align*}
I_n&=\dint{0}{1}t^ne^t\;dt
\end{align*}
積分変数が $x$ から $t$ になっただけだから,(1)と同じだと分かる。
ヒロ
ヒロ

$\sin^nx=\sin^{n-1}x\Cdot\sin x$ として部分積分をしよう。

【(3)の解答】
\begin{align*}
I_n&=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-1}x\Cdota\sin x\;dx \\[4pt]
&=\tint{\sin^{n-1}x\Cdota(-\cos x)}{0}{\frac{\pi}{2}}
-\dint{0}{\frac{\pi}{2}}(n-1)\sin^{n-2}x\cos x\Cdota(-\cos x)\;dx \\[4pt]
&=(n-1)\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-2}x(1-\sin^2x)\;dx \\[4pt]
&=(n-1)\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-2}x\;dx
-(n-1)\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx
\end{align*}
ヒロ
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ここで,左辺 $I_n$ と同じ形の定積分 $\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx$ が現れていることに気付こう。

【(3)の解答の続き】
よって
\begin{align*}
&I_n=(n-1)I_{n-2}-(n-1)I_n \\[4pt]
&I_n+(n-1)I_n=(n-1)I_{n-2} \\[4pt]
&I_n=\dfrac{n-1}{n}I_{n-2}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(3)までは部分積分を利用したけど,(4)だけは特殊なので,最初の変形を覚えよう。

【(4)の解答】
\begin{align*}
I_n&=\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\tan^{n-2}x\Cdota\tan^2x\;dx \\[4pt]
&=\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\tan^{n-2}x\left(\dfrac{1}{\cos^2x}-1\right)\;dx \\[4pt]
&=\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\tan^{n-2}x\Cdota\dfrac{1}{\cos^2x}\;dx
-\dint{0}{\frac{\pi}{4}}\tan^{n-2}x\;dx \\[4pt]
&=\Tint{\dfrac{1}{n-1}\tan^{n-1}x}{0}{\frac{\pi}{4}}-I_{n-2} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{n-1}-I_{n-2}
\end{align*}

$I_n=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx$ について

ヒロ
ヒロ

導いた漸化式 $I_n=\dfrac{n-1}{n}I_{n-2}$ から $I_n$ を $n$ で表してみよう。

ヒロ
ヒロ

添字が2ずつ減っていくから,$n$ が偶数のときと奇数のときで最後の添字が異なる。場合分けして考えよう。

【$n$ が偶数のとき】
\begin{align*}
I_n&=\dfrac{n-1}{n}I_{n-2} \\[4pt]&=\dfrac{n-1}{n}\Cdota\dfrac{n-3}{n-2}I_{n-4} \\[4pt]&=\cdots \\[4pt]&=\dfrac{n-1}{n}\Cdota\dfrac{n-3}{n-2}\cdots\dfrac{1}{2}I_0
\end{align*}
ここで
\begin{align*}
I_0&=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}dx \\[4pt]&=\tint{x}{0}{\frac{\pi}{2}} \\[4pt]&=\dfrac{\pi}{2}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

次は $n$ が奇数の場合を考えよう。

【$n$ が奇数のとき】
$n$ が偶数のときと同様にして
\begin{align*}
I_n=\dfrac{n-1}{n}\Cdota\dfrac{n-3}{n-2}\cdots\dfrac{1}{2}I_1
\end{align*}
ここで
\begin{align*}
I_1&=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin x\;dx \\[4pt]&=\tint{-\cos x}{0}{\frac{\pi}{2}} \\[4pt]&=1
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

実はこの積分はウォリス積分とよばれるもので,まとめると次のようになる。

ウォリス積分

ウォリス積分 $I_n$ ($n$ は0以上の整数)は

\begin{align*}
I_n=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\cos^nx\;dx
\end{align*}
で定義される。
\begin{align*}
I_n =
\begin{cases}
\dfrac{n-1}{n}\Cdot\dfrac{n-3}{n-2}\cdots\dfrac{1}{2}\Cdot\dfrac{\pi}{2}\quad &(n が偶数のとき)\\[6pt]\dfrac{n-1}{n}\Cdot\dfrac{n-3}{n-2}\cdots\dfrac{2}{3}\Cdot1\quad &(n が奇数のとき)
\end{cases}
\end{align*}
また
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\cos^nx\;dx
\end{align*}
が成り立つことは,次のようにして証明できる。
【証明】
$\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx$ において,$\dfrac{\pi}{2}-x=t$とおくと,
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx
&=\dint{\frac{\pi}{2}}{0}\sin^n\left(\dfrac{\pi}{2}-t\right)\;(-dt) \\[4pt]&=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\cos^nt\;dt
\end{align*}
よって
\begin{align*}
\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\cos^nx\;dx
\end{align*}

ウォリスの公式

ヒロ
ヒロ

ウォリス積分に関連するウォリスの公式を知っておこう。

ウォリスの公式

\begin{align*}
\dlim{n\to\infty}\sqrt{n}\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx=\sqrt{\dfrac{\pi}{2}}
\end{align*}

ヒロ
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このウォリスの公式を証明させる問題が2002年名古屋市立大で出題されている。

2002年 名古屋市立大・医次の式
\begin{align*}
x_n=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\cos^n\theta\;d\theta~(n=0,~1,~2,~\cdots)
\end{align*}
によって定義される数列$\{x_n\}$について,
次の問いに答えよ。
(1) 漸化式$x_n=\dfrac{n-1}{n}x_{n-2}~(n=2,~3,~4,~\cdots)$を示せ。
(2) $x_n\Cdot x_{n-1}$の値を求めよ。
(3) 不等式$x_n>x_{n+1}~(n=0,~1,~2,~\cdots)$が成り立つことを示せ。
(4) $\dlim{n\to\infty}n{x_n}^2$を求めよ。
ヒロ
ヒロ

(1)は最初の問題の(3)の $I_n$ とほとんど同じだから省略する。

ヒロ
ヒロ

(2)は数列の問題の基本を思い出そう。

「$a_n$ を求めよ。」とあれば,「数列 $\{a_n\}$ に関する漸化式を立てて,それを解くことによって $a_n$ を求めよ。」と問題文を変えて読むようにしよう。
ヒロ
ヒロ

今回の場合は,$x_{n+1}x_n$ と $x_nx_{n-1}$ の関係を考えよう。

【(2)の解答】
$x_n=\dfrac{n-1}{n}x_{n-2}$より,
\begin{align*}
&x_nx_{n-1}=\dfrac{n-1}{n}x_{n-1}x_{n-2} \\[4pt]&nx_nx_{n-1}=(n-1)x_{n-1}x_{n-2}
\end{align*}
数列 $\{nx_nx_{n-1}\}$ は定数数列となるから,
\begin{align*}
nx_nx_{n-1}=x_1x_0
\end{align*}
ここで,
\begin{align*}
x_0&=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\;d\theta=\dfrac{\pi}{2} \\[4pt]x_1&=\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\cos\theta\;d\theta \\[4pt]&=\tint{\sin\theta}{0}{\frac{\pi}{2}} \\[4pt]&=1
\end{align*}
であるから,
\begin{align*}
&nx_nx_{n-1}=\dfrac{\pi}{2} \\[4pt]&x_nx_{n-1}=\dfrac{\pi}{2n}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

$f(x)>g(x)$ が成り立つときに,$\dint{a}{b}f(x)\;dx>\dint{a}{b}g(x)\;dx$ が成り立つことを利用しよう。

【(3)の解答】
$0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$において,$0<\cos\theta<1$だから,
\begin{align*}
&\cos^n\theta>\cos^{n+1}\theta \\[4pt]&\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\cos^n\theta\;d\theta>\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\cos^{n+1}\theta\;d\theta \\[4pt]&x_n>x_{n+1}
\end{align*}
ヒロ
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小問が複数ある入試問題では,前の小問を利用することを覚えておこう。また,不等式の証明のあとに極限を求める問題を解く場合は,はさみうちの原理を利用することを考えよう。

ヒロ
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今回の場合は,(2)の結果や(3)で示した不等式を利用して,$n{x_n}^2$ をうまくはさめる2つの式を導こう。

【(4)の解答】
(2),(3)より
\begin{align*}
n{x_n}^2>nx_nx_{n+1}=\dfrac{n\pi}{2(n+1)}
\end{align*}
また,同様にして
\begin{align*}
&n{x_n}^2<nx_nx_{n-1}=\dfrac{n\pi}{2n}=\dfrac{\pi}{2} \\[4pt]&\dfrac{n\pi}{2(n+1)}<n{x_n}^2<\dfrac{\pi}{2}
\end{align*}
ここで
\begin{align*}
\dlim{n\to\infty}\dfrac{n\pi}{2(n+1)}&=\dlim{n\to\infty}\dfrac{\pi}{2\left(1+\dfrac{1}{n}\right)} =\dfrac{\pi}{2}
\end{align*}
であるから,はさみうちの原理より
\begin{align*}
\dlim{n\to\infty}n{x_n}^2=\dfrac{\pi}{2}
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

(4)の結果から,ウォリスの公式を簡単に導けるね。

まとめ

ヒロ
ヒロ

$\tan^nx$ 以外は部分積分で漸化式を作ることができる。$\tan^nx$ だけは $\tan^{n-2}x\Cdot\tan^2x$ と変形して積分しよう。

ヒロ
ヒロ

$\dint{0}{\frac{\pi}{2}}\sin^nx\;dx$ はウォリス積分として有名だから,実際に手を動かして,最初にやったような積分結果を得られることを確かめよう。

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