ここでは,3直線が三角形を作らない条件について説明します。
平面上に特に何も考えずに直線を3本描くと,その3直線によって三角形が作られることが多いです。
逆にいえば,3直線が三角形を作らないためには何かを考えて描く必要がある,つまり何らかの条件があるはずです。
その条件を正しく知っておきましょう。
3直線が三角形を作らない条件
ヒロ
まず,2直線の位置関係を復習しておこう。
2直線の位置関係
- 交わらない(平行)
- 一致する
- 1点で交わる
ヒロ
それでは3直線が三角形を作らない条件を考えよう。
ヒロ
三角形の3つの辺はどれも平行でないことに注意しよう。
ヒロ
つまり,3つの直線の中で平行になるものや一致するものがあると三角形は作られない。
ヒロ
また,平行でない2直線は1点で交わるが,残った直線がその点を通るときは,3直線が1点で交わってしまうため三角形は作られない。
ヒロ
まとめると次のようになる。
3直線が三角形を作らない条件
- 3直線のうち,少なくとも2本が平行(一致を含む)である。
- 3直線が1点で交わる。
3直線が1点で交わる条件に関する問題【立教大】
2020年 立教大 座標平面上の3直線
\begin{align*}
3x+y=1,~kx-5y=-3,~x+2y=7
\end{align*}
が1点で交わるとき,定数 $k$ の値は $\myhako$ である。3x+y=1,~kx-5y=-3,~x+2y=7
\end{align*}
【考え方と解答】
$3x+y=1~\cdots\cdots①$, $kx-5y=-3~\cdots\cdots②$, $x+2y=7~\cdots\cdots③$ とする。与えられた3直線のうち,2直線①,③は動かない直線であり,平行でないから1点で交わる。つまり,係数に $k$ を含む直線②がその交点を通るときに,3直線が1点で交わる。まずは①と③の交点を求めよう。
$①\times2-③$ より
よって,与えられた3直線が1点で交わるのは,直線②が点$(-1,~4)$ を通るときである。②に $x=-1,~y=4$ を代入すると
$3x+y=1~\cdots\cdots①$, $kx-5y=-3~\cdots\cdots②$, $x+2y=7~\cdots\cdots③$ とする。与えられた3直線のうち,2直線①,③は動かない直線であり,平行でないから1点で交わる。つまり,係数に $k$ を含む直線②がその交点を通るときに,3直線が1点で交わる。まずは①と③の交点を求めよう。
$①\times2-③$ より
\begin{align*}
&5x=-5 \\[4pt]
&x=-1
\end{align*}
①より,$y=4$&5x=-5 \\[4pt]
&x=-1
\end{align*}
よって,与えられた3直線が1点で交わるのは,直線②が点$(-1,~4)$ を通るときである。②に $x=-1,~y=4$ を代入すると
\begin{align*}
&-k-20=-3 \\[4pt]
&k=-17
\end{align*}
&-k-20=-3 \\[4pt]
&k=-17
\end{align*}
3直線が三角形を作らない条件に関する問題【東京薬科大】
2009年 東京薬科大 3直線 $y=\dfrac{1}{2}x-\dfrac{1}{2}$,$y=-x+4$,$y=ax$ が三角形を作らないとき,定数 $a$ の値は全部で $\myhako$ 個あり,そのうち絶対値が最も小さいものは $\myhako$ である。
【考え方と解答】
$y=\dfrac{1}{2}x-\dfrac{1}{2}~\cdots\cdots①$,$y=-x+4~\cdots\cdots②$,$y=ax~\cdots\cdots③$ とする。
(i) 2直線が平行のとき
①と③が平行になるのは,$a=\dfrac{1}{2}$ のときである。
②と③が平行になるのは,$a=-1$ のときである。
(ii) 3直線が1点で交わるとき
①と②の交点を求める。①,②より $y$ を消去すると
条件をみたすのは直線③が点$(3,~1)$ を通るときであるから
$y=\dfrac{1}{2}x-\dfrac{1}{2}~\cdots\cdots①$,$y=-x+4~\cdots\cdots②$,$y=ax~\cdots\cdots③$ とする。
(i) 2直線が平行のとき
①と③が平行になるのは,$a=\dfrac{1}{2}$ のときである。
②と③が平行になるのは,$a=-1$ のときである。
(ii) 3直線が1点で交わるとき
①と②の交点を求める。①,②より $y$ を消去すると
\begin{align*}
&\dfrac{1}{2}x-\dfrac{1}{2}=-x+4 \\[4pt]
&3x=9 \\[4pt]
&x=3
\end{align*}
②より,$y=1$&\dfrac{1}{2}x-\dfrac{1}{2}=-x+4 \\[4pt]
&3x=9 \\[4pt]
&x=3
\end{align*}
条件をみたすのは直線③が点$(3,~1)$ を通るときであるから
\begin{align*}
&1=3a \\[4pt]
&a=\dfrac{1}{3}
\end{align*}
以上より,定数 $a$ の値は全部で3個あり,そのうち絶対値が最も小さいものは $\dfrac{1}{3}$ である。&1=3a \\[4pt]
&a=\dfrac{1}{3}
\end{align*}