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【3次関数】面積を求める12分の1公式の証明とその使い方 part2

3次関数の12分の1公式 数学IAIIB

3次関数とその接線で囲まれた部分の面積を求める公式も12分の1公式と呼ばれています。

他の公式と同様に「12分の1公式は使えない」などと言う人がいますが,そんな声には耳を傾けず,12分の1公式の証明を理解して,その使い方をマスターしましょう。

今回は2019年に立命館大学で出題された入試問題を扱って説明します。

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3次関数とその接線で囲まれる図形の面積を求める入試問題【2019年 立命館大】

2019年 立命館大・文系関数 $f(x)=x^3+ax^2+bx$ が $x=-4$ と $x=2$ で極値をとるとき,$a=\myBox{ア}$, $b=\myBox{イ}$ である。$y=f(x)$ のグラフにおいて,点 $(1,~f(1))$ における接線を $l$ とする。この接線 $l$ の方程式を求めると,$y=-\myBox{ウ}\;x-\myBox{エ}$ になる。$y=f(x)$ のグラフと接線 $l$ で囲まれた面積は $\myBox{オ}$ である。
ヒロ
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まずは $a,~b$ の値を求めよう。

$x=-4$ と $x=2$ で極値をとるから,$f'(x)=0$ が2解 $x=-4,~2$ をもつ。
$f(x)=x^3+ax^2+bx$ より
\begin{align*}
f'(x)=3x^2+2ax+b
\end{align*}
となるから,解と係数の関係より
\begin{align*}
&\begin{cases}
-\dfrac{2a}{3}=-4+2 \\[4pt]
\dfrac{b}{3}=-4\Cdot2
\end{cases} \\[4pt]
&a=3,~b=-24
\end{align*}
ヒロ
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次は接線 $l$ の方程式を求めよう。

$f(x)=x^3+3x^2-24x$, $f'(x)=3x^2+6x-24$ となるから,
\begin{align*}
f(1)=1+3-24=-20,~f'(1)=3+6-24=-15
\end{align*}
接線 $l$ の方程式は
\begin{align*}
&y=-15(x-1)-20 \\[4pt]
&y=-15x-5
\end{align*}
ヒロ
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最後の面積を求めよう。

3次関数のグラフの等間隔性を利用して,もう1つの共有点の $x$ 座標を求める。
$y=f(x)$ の変曲点の $x$ 座標は $-\dfrac{a}{3}=-1$ で接点の $x$ 座標が1だから,$y=f(x)$ と接線 $l$ の接点以外の共有点の $x$ 座標は
\begin{align*}
3\Cdota(-1)-2\Cdota1=-5
\end{align*}

3次関数の変曲点と接点ともう1つの共有点
よって,$y=f(x)$ のグラフと接線 $l$ で囲まれた部分は下図の斜線部分である。
3次関数のグラフと接線で囲まれた図形の面積
したがって,求める面積を $S$ とすると
\begin{align*}
S&=\dint{-5}{1}\{(x^3+3x^2-24x)-(-15x-5)\}\;dx \\[4pt]
&=\dint{-5}{1}(x-1)^2(x+5)\;dx \\[4pt]
&=\dint{-5}{1}(x-1)^2(x-1+6)\;dx \\[4pt]
&=\dint{-5}{1}\{(x-1)^3+6(x-1)^2\}\;dx \\[4pt]
&=\Tint{\dfrac{1}{4}(x-1)^4+2(x-1)^3}{-5}{1} \\[4pt]
&=-\dfrac{1}{4}(-6)^4-2(-6)^3 \\[4pt]
&=108
\end{align*}
ヒロ
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全部バラバラにして積分するのではなく,カタマリを作って積分しよう。数学IIIを学習している人は部分積分で処理しても良い。

【部分積分で計算する場合】
\begin{align*}
S&=\dint{-5}{1}(x-1)^2(x+5)\;dx \\[4pt]
&=\Tint{\dfrac{1}{3}(x-1)^3(x+5)}{-5}{1}-\dint{-5}{1}\dfrac{1}{3}(x-1)^3\;dx \\[4pt]
&=-\Tint{\dfrac{1}{12}(x-1)^4}{-5}{1} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{12}(-6)^4 \\[4pt]
&=108
\end{align*}
ヒロ
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また,割り算を利用して $C$ と $l$ の共有点を求めても良い。

$(x^3+3x^2-24x)\div(x-1)^2$ を計算して商と余りを求めることで,接線の方程式ともう1つの共有点の $x$ 座標を求めることができる。
ヒロ
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余りが出る割り算も暗算で出来るとカンペキだね。

【(2)の別解】
\begin{align*}
x^3+3x^2-24x=(x-1)^2(x+5)-15x-5
\end{align*}
であるから,点 $(1,~f(1))$ における接線 $l$ の方程式は
\begin{align*}
y=-15x-5
\end{align*}
であり,もう1つの共有点の $x$ 座標が $-5$ である。
ヒロ
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割り算を行うだけで,接線の方程式ともう1つの共有点の $x$ 座標が求められるのは,このようなマーク式試験において,時間を短縮するのに効果的だね。

ヒロ
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この後,面積を求める12分の1公式を忘れていて,積分することになったとしても,被積分関数が $(x-1)^2(x+5)$ となることがすぐに分かる。

3次関数とその接線で囲まれる図形の面積を求める12分の1公式

ヒロ
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それでは12分の1公式の証明をしていこう。

例題$f(x)=ax^3+bx^2+cx+d~(a>0)$ とする。$C:y=f(x)$ 上の点 $\mathrm{P}(\alpha,~f(\alpha))$ における接線 $\ell$ と $C$ の共有点のうち,P以外の点を $\mathrm{Q}(\beta,~f(\beta))$ とするとき,$C$ と $\ell$ で囲まれた図形の面積 $S$ を求めよ。
接線 $\ell$ の方程式を $y=g(x)$ とすると,$x^3$ の係数が $a$ であることを考えると
\begin{align*}
f(x)-g(x)=a(x-\alpha)^2(x-\beta)
\end{align*}
と因数分解できる。
3次関数の12分の1公式
よって,
\begin{align*}
S&=\dint{\beta}{\alpha}a(x-\alpha)^2(x-\beta)\;dx \\[4pt]
&=\dint{\beta}{\alpha}a(x-\alpha)^2\{(x-\alpha)+(\alpha-\beta)\}\;dx \\[4pt]
&=\dint{\beta}{\alpha}a\{(x-\alpha)^3+(\alpha-\beta)(x-\alpha)^2\}\;dx \\[4pt]
&=a\Tint{\dfrac{1}{4}(x-\alpha)^4+\dfrac{\alpha-\beta}{3}(x-\alpha)^3}{\beta}{\alpha} \\[4pt]
&=a\left\{-\dfrac{1}{4}(\beta-\alpha)^4+\dfrac{1}{3}(\beta-\alpha)^4\right\} \\[4pt]
&=\dfrac{a}{12}(\beta-\alpha)^4
\end{align*}
12分の1公式II

3次関数 $C:y=f(x)$ 上の点Pにおける接線を $\ell$ とし,$\ell$ が $C$ と再び交わる点をQとする。このとき $\ell$ と $C$ で囲まれた図形の面積を $S$ とすると,

\begin{align*}
S=\dfrac{\abs{a}}{12}d^4
\end{align*}
と表される。ただし,$[\quad]$内の文字は3次関数の$x^3$の係数とする。
3次関数の12分の1公式

2019年 立命館大の別解

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最初に説明した2019年立命館大の別解を解説していこう。

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最初に定積分で求めた面積も,12分の1公式を使うことで,面積を次のように求めることができる。

3次関数のグラフと接線で囲まれた図形の面積
$x^3$ の係数が1で,幅が $d=1-(-5)=6$ であるから
\begin{align*}
S&=\dfrac{1}{12}\Cdota6^4=108
\end{align*}

3次関数に関する12分の1公式を利用した面積比

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3次関数に関する12分の1公式を利用することで簡単に面積を求めることができる。

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これによって,もう1つの有名な面積比についても理解して使えるようにしよう。

12分の1公式IIの応用

3次関数 $C:y=f(x)$ 上の点Pにおける接線を $\ell$ とし,$\ell$ が $C$ と再び交わる点をQとする。さらに点Qにおける接線を $m$ とし,$m$ が $C$ と再び交わる点をRとする。このとき $\ell,~m$ と $C$ で囲まれた図形の面積をそれぞれ $S_1,~S_2$ とする。
3次関数の12分の1公式の応用
図において,$①=d$ とおくと,

\begin{align*}
S_1=\dfrac{\abs{a}}{12}(3d)^4,~S_2=\dfrac{\abs{a}}{12}(6d)^4
\end{align*}
となるから,
\begin{align*}
&S_1:S_2=3^4:6^4=1:16
\end{align*}
ただし,$[\quad]$内の文字は3次関数の$x^3$の係数とする。

3次関数の12分の1公式に関連する入試問題【2018年 昭和女子大】

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もう1問やっておこう。

2018年 昭和女子大曲線 $C:f(x)=x^3+\dfrac{3}{2}x^2-6x-3$ について
(1) $f(x)$ は $x=\myBox{アイ}$ で極大値 $\myBox{ウ}$ をとり,$x=\myBox{エ}$ で極小値 $\dfrac{\myBox{オカキ}}{\myBox{ク}}$ をとる。
(2) $C$ 上の点 $\mathrm{A}\left(-1,~\dfrac{7}{2}\right)$ における接線を $l$ とすると,$l$ の方程式は $y=\myBox{ケコ}\,x-\dfrac{\myBox{サ}}{\myBox{シ}}$ である。
曲線 $C$ と直線 $l$ の共有点のうち,Aと異なる点をBとする。このとき,Bの $x$ 座標は $\dfrac{\myBox{ス}}{\myBox{セ}}$ である。したがって,曲線 $C$ と直線 $l$ で囲まれた図形の面積を $S$ とすると,$S=\dfrac{\myBox{ソタ}}{\myBox{チツ}}$ である。
(3) 点 $\mathrm{A}\left(-1,~\dfrac{7}{2}\right)$ から曲線 $C$ に引いた接線のうち,$l$ と異なるものを $m$ とすると,$m$ の方程式は
\begin{align*}
y=\dfrac{\myBox{テトナニ}}{\myBox{ヌネ}}\,x-\dfrac{\myBox{ノハ}}{\myBox{ヒフ}}
\end{align*}
である。
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サクサク求めていこう。

【(1)の解答】
$f(x)=x^3+\dfrac{3}{2}x^2-6x-3$ より
\begin{align*}
f'(x)&=3x^2+3x-6 \\[4pt]
&=3(x+2)(x-1)
\end{align*}
$f'(x)=0$ とすると,$x=-2,~1$
$x^3$ の係数が正だから,グラフは下図のようになる。
3次関数の極値
$x=-2,~1$ のとき
\begin{align*}
&f(-2)=-8+6+12-3=7 \\[4pt]
&f(1)=1+\dfrac{3}{2}-6-3=-\dfrac{13}{2}
\end{align*}
よって,$f(x)$ は $x=-2$ で極大値7をとり,$x=1$ で極小値 $\dfrac{-13}{2}$ をとる。
ヒロ
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3次関数のグラフの等間隔性と12分の1公式を利用しよう。

【(2)の解答】
$f'(-1)=3-3-6=-6$ より,$l$ の方程式は
\begin{align*}
&y=-6(x+1)+\dfrac{7}{2} \\[4pt]
&y=-6x-\dfrac{5}{2}
\end{align*}
$C$ の変曲点の $x$ 座標が $-\dfrac{1}{2}$ であるから,点Bの $x$ 座標は $\dfrac{1}{2}$ となる。
3次関数の変曲点と接点ともう1つの共有点
$C$ と $l$ で囲まれた図形は下図の赤色部分になる。
3次関数のグラフと接線で囲まれた図形の面積
ヒロ
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最初の問題でもやったように,割り算を利用して解いても良い。

$\left(x^3+\dfrac{3}{2}x^2-6x-3\right)\div(x+1)^2$ を計算して商と余りを求めることで,接線の方程式ともう1つの共有点の $x$ 座標を求めることができる。
【(2)の別解】
\begin{align*}
x^3+\dfrac{3}{2}x^2-6x-3=(x+1)^2\left(x-\dfrac{1}{2}\right)-6x-\dfrac{5}{2}
\end{align*}
であるから,点 $(-1,~f(-1))$ における接線 $l$ の方程式は
\begin{align*}
y=-6x-\dfrac{5}{2}
\end{align*}
であり,もう1つの共有点Bの $x$ 座標が $\dfrac{1}{2}$ である。
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では,次の(3)に進もう。

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3次関数のグラフの等間隔性を利用して,接点の $x$ 座標を求めよう。

【(3)の解答】
点Aから $C$ に $l$ と異なる接線 $m$ を引いたとき,接点をCとすると下図のようになる。
3次関数の変曲点と接点ともう1つの共有点
点Cの $x$ 座標を $c$ とすると
\begin{align*}
c=\dfrac{3\times\left(-\dfrac{1}{2}\right)-1\Cdot(-1)}{3-1}=-\dfrac{1}{4}
\end{align*}
よって,$m$ の傾きは
\begin{align*}
f’\left(-\dfrac{1}{4}\right)=3\Cdota\dfrac{7}{4}\left(-\dfrac{5}{4}\right)=-\dfrac{105}{16}
\end{align*}
したがって,$m$ の方程式は
\begin{align*}
&y=-\dfrac{105}{16}(x+1)+\dfrac{7}{2} \\[4pt]
&y=-\dfrac{105}{16}x-\dfrac{49}{16}
\end{align*}
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最後の接点Cの $x$ 座標を求める部分は「12分の1公式の応用」の $2:1:3$ の法則を利用して求めても良い。

この問題では細かすぎて見難いけど下図のようになる。
3次関数の変曲点と接点ともう1つの共有点
点Cの $x$ 座標は2点A, Bの中点の $x$ 座標に等しいから
\begin{align*}
c=\dfrac{-1+\dfrac{1}{2}}{2}=-\dfrac{1}{4}
\end{align*}
となる。

3次関数のグラフと接する放物線で囲まれた図形の面積

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最後にもう1問。3次関数とそれに接する放物線で囲まれた図形の面積に関する問題を解いてみよう。

問題3$f(x)=ax^3+bx^2+cx+d~(a>0)$, $g(x)=px^2+qx+r~(p>0)$ とする。2曲線 $C:y=f(x)$ と $D:y=g(x)$ が図のように点Pで接していて,点Qで交わっているとする。P, Qの $x$ 座標をそれぞれ $\alpha,~\beta$ とするとき,$C$ と $D$ で囲まれた図形の面積 $S$ を求めよ。
3次関数のグラフと接する放物線で囲まれた図形の面積
グラフより
\begin{align*}
S&=\dint{\alpha}{\beta}\{px^2+qx+r-(ax^3+bx^2+cx+d)\}\;dx \\[4pt]
&=-\dint{\alpha}{\beta}a(x-\alpha)^2(x-\beta)\;dx \\[4pt]
&=\dint{\beta}{\alpha}a(x-\alpha)^2(x-\beta)\;dx\\[4pt]
&=\dfrac{a}{12}(\beta-\alpha)^4
\end{align*}
ヒロ
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単にグラフの見た目だけで公式を覚えるのではなく,「接する」「交わる」といった言葉から被積分関数がどのようになるかを考えることで,12分の1公式が使えるかどうかを判断できるようにしよう。

まとめ

ヒロ
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3次関数のグラフとその接線で囲まれた図形の面積は12分の1公式で求められることを覚えておこう。

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また,3次関数のグラフとそれに接する放物線で囲まれた図形の面積も同様に12分の1公式になることも当たり前だと思えるようにしよう。

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2次関数のグラフに関する12分の1公式やその他の時短テクニックについては,次の記事で学習しよう。

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