図形の性質の考え方・解き方の第五弾です。第四弾に引き続き,三角比の値が与えられたときの描画について説明します。
三角比の値が与えられたときの図を描く方法を身に付けることで,出題者が最初に描いた図を描くことができる場合があります。
センター試験の数学IAの図形問題の考え方を説明します。
マーク模試 数学IA 過去問三角形ABCにおいて
BC=7, ∠BAC=60°, sin∠BCA=4√37
とする。
三角形ABCの外接円の半径を
R とすると
\begin{align*} R=\dfrac{\myBox{ア}}{\myBox{イ}}\sqrt{\myBox{ウ}} \end{align*}
であり
\begin{align*} \mathrm{AB}=\myBox{エ} \end{align*}
である。
また,
\mathrm{AC}=x とおくと
\begin{align*} \mathrm{BC}^2=x^2-8x+\myBox{オカ} \end{align*}
を満たすから
\begin{align*} x=\myBox{キ}~~または~x=\myBox{ク} \end{align*}
である。ただし,
\mybox{キ}<\mybox{ク} とする。
以下,
\mathrm{AC}=\mybox{ク} とする。
三角形ABCの面積を
S,
\kaku{BAC} の二等分線と辺BCとの交点をDとすると
\begin{align*} S=\myBox{ケコ}\sqrt{\myBox{サ}},~\mathrm{AD}=\dfrac{\myBox{シス}}{\myBox{セソ}}\sqrt{\myBox{タ}} \end{align*}
である。
三角形ABCの内接円の中心をI,半径を
r とすると
\begin{align*} r=\sqrt{\myBox{チ}} \end{align*}
であり,この内接円と辺ABとの接点をHとすると
\begin{align*} \mathrm{AH}=\myBox{ツ} \end{align*}
であるから
\begin{align*} \mathrm{BI}=\myBox{テ}\sqrt{\myBox{ト}} \end{align*}
である。
正弦の値を利用して図を描く方法
ヒロ
今回は \sin C が与えられているので,その値を利用して図を描こう。\sin の値のときは \cos の値が与えられているときと違って,2種類存在することに注意しよう。
ヒロ
\sin C=\dfrac{4\sqrt{3}}{7} だから,斜辺が7,高さが 4\sqrt{3} の直角三角形を描く。\kaku{ACB} が鋭角のときと鈍角のときの両方を描いておこう。

ヒロ
\mathrm{BC}=7 が与えられていて,斜辺の比の \fbox{7} と一致しているから斜辺をBCとしよう。さらに三平方の定理から \mathrm{CH}=1 と分かる。

ヒロ
次に \kaku{BAC} が 60\Deg となるように点Aをとる。この際に \mathrm{AH}=4 であることを考えて適切な位置にとる。

ヒロ
\sankaku{ABH} は 1:2:\sqrt{3} の直角三角形だから,\mathrm{AB}=8 となることも分かるから,これも書き込もう。

前半の解答【外接円の半径と名古屋三角形】
ヒロ
\sankaku{ABC} において正弦定理を適用すると
\begin{align*} R&=\dfrac{\mathrm{BC}}{2\sin A} \\[4pt] &=\dfrac{7}{2\sin60\Deg} \\[4pt] &=\dfrac{7}{\sqrt{3}}=\dfrac{7}{3}\sqrt{3} \end{align*}
ヒロ
次はABの長さを求める問題だけど,もう \mathrm{AB}=8 と分かっている。
ヒロ
次はACの長さを求める問題。2次方程式を立てる誘導になっている。このように2次方程式を立てる場合,余弦定理を使おう。
ヒロ
ただ,今回の問題では,\myBox{オカ} が分からなくても,\myBox{キ} と \myBox{ク} は分かるね。
図を見れば名古屋三角形と悩み三角形と分かるから,ACは3か5ですね。

ヒロ
ただ,これくらいの問題なら余弦定理だなと気付いて欲しい。
\sankaku{ABC} において,余弦定理を適用すると
\begin{align*} \mathrm{BC}^2&=x^2+8^2-2\Cdota8x\cos60\Deg \\[4pt] &=x^2-8x+64 \end{align*}
ヒロ
これで \myBox{オカ} が求まった。これを解けば x を求められる。
\mathrm{BC}=7 より
\begin{align*} &7^2=x^2-8x+64 \\[4pt] &x^2-8x+15=0 \\[4pt] &(x-3)(x-5)=0 \\[4pt] &x=3,~5 \end{align*}
ヒロ
【マーク模試 過去問(後半)】
以下,\mathrm{AC}=\mybox{ク} とする。
三角形ABCの面積を S,\kaku{BAC} の二等分線と辺BCとの交点をDとすると
\begin{align*} S=\myBox{ケコ}\sqrt{\myBox{サ}},~\mathrm{AD}=\dfrac{\myBox{シス}}{\myBox{セソ}}\sqrt{\myBox{タ}} \end{align*}
である。
三角形ABCの内接円の中心をI,半径を r とすると
\begin{align*} r=\sqrt{\myBox{チ}} \end{align*}
であり,この内接円と辺ABとの接点をHとすると
\begin{align*} \mathrm{AH}=\myBox{ツ} \end{align*}
であるから
\begin{align*} \mathrm{BI}=\myBox{テ}\sqrt{\myBox{ト}} \end{align*}
である。
後半の解答【角の二等分線の長さと内接円の半径】
ヒロ
問題文に「\mathrm{AC}=8 とする」とあるから,名古屋三角形で考える。三角形ABCの面積は底辺も高さも分かっているから簡単だね。

\sankaku{ABC} の面積
S は
\begin{align*} S&=\dfrac{1}{2}\Cdota5\Cdota4\sqrt{3} \\[4pt] &=10\sqrt{3} \end{align*}
ヒロ
次は角の二等分線の長さADを求める問題。\kaku{BAC}=60\Deg だから 30\Deg ずつになる。

ヒロ
角の二等分線の長さを求める1つの方法として,三角形の面積を利用する方法がある。
角の二等分線の長さ

\sankaku{ABD}+\sankaku{ACD}=\sankaku{ABC} より
\begin{align*} &\dfrac{1}{2}a\Cdota\mathrm{AD}\sin\theta+\dfrac{1}{2}b\Cdota\mathrm{AD}\sin\theta=\dfrac{1}{2}ab\sin2\theta \\[4pt] &(a+b)\mathrm{AD}\sin\theta=2ab\sin\theta\cos\theta \end{align*}
a+b\neq0,~\sin\theta\neq0 であるから
\begin{align*} \mathrm{AD}=\dfrac{2ab\cos\theta}{a+b} \end{align*}
ヒロ
\sankaku{ABD}+\sankaku{ACD}=\sankaku{ABC} より
\begin{align*} &\dfrac{1}{2}\Cdota8\Cdota\mathrm{AD}\sin30\Deg+\dfrac{1}{2}\Cdota5\Cdota\mathrm{AD}\sin30\Deg=\dfrac{1}{2}\Cdota8\Cdota5\sin60\Deg \\[4pt] &13\mathrm{AD}=40\sqrt{3} \\[4pt] &\mathrm{AD}=\dfrac{40}{13}\sqrt{3} \end{align*}

ヒロ
次は内接円の半径を求める問題。これも三角形の面積を利用しよう。
三角形の面積と内接円の半径

\sankaku{ABC} の面積を S とし,\sankaku{ABC} の内接円の半径を r とするとき,
\begin{align*} &{\color{blue}\sankaku{IBC}}+{\color{green}\sankaku{ICA}}+{\color{red}\sankaku{IAB}}=\sankaku{ABC} \\[4pt] &\dfrac{1}{2}ar+\dfrac{1}{2}br+\dfrac{1}{2}cr=S \\[4pt] &\dfrac{1}{2}(a+b+c)r=S \\[4pt] &r=\dfrac{2S}{a+b+c} \end{align*}
ヒロ
S=10\sqrt{3} より
\begin{align*} &\dfrac{1}{2}(5+7+8)r=10\sqrt{3} \\[4pt] &r=\sqrt{3} \end{align*}

ヒロ
次はAHの長さを求めよう。直前にIHの長さも求めているから,\sankaku{AHI} に着目しよう。今回は \kaku{IAB}=30\Deg と分かっているから,すぐ求められるね。
\sankaku{AHI} は
1:2:\sqrt{3} の直角三角形だから
\begin{align*} \mathrm{AH}=\sqrt{3}\,\mathrm{IH}=3 \end{align*}

ヒロ
内接円と接線の長さ
\sankaku{ABC} の内接円と3辺AB, BC, CAとの接点をそれぞれP, Q, Rとする。

ここで,\mathrm{AP=AR},~\mathrm{BP=BQ},~\mathrm{CQ=CR} であるから
\begin{align*} &\mathrm{AP=AR}=\dfrac{b+c-a}{2} \\ &\mathrm{BP=BQ}=\dfrac{c+a-b}{2} \\ &\mathrm{CQ=CR}=\dfrac{a+b-c}{2} \end{align*}
ヒロ
僕はこれをもう覚えてしまっているけど,導出できるなら別に覚えなくても良い。
【AHのもう1つの求め方】
AHは
\kaku{BAC} をはさむ接線の長さだから
\begin{align*} \mathrm{AH}=\dfrac{5+8-7}{2}=3 \end{align*}
ヒロ
最後のBIの長さを求めよう。IHの長さが分かっているから \sankaku{BHI} に着目しよう。
\mathrm{BH}=\mathrm{AB}-\mathrm{AH} より
\begin{align*} \mathrm{BH}=8-3=5 \end{align*}
\sankaku{BHI} において,三平方の定理より
\begin{align*} \mathrm{BI}&=\sqrt{(\sqrt{3})^2+5^2} \\[4pt] &=\sqrt{28} \\[4pt] &=2\sqrt{7} \end{align*}

まとめ
ヒロ
\sin の値を利用して図を描くときは,鋭角と鈍角の2種類あることに注意しよう。ほとんどの場合,追加条件によって一方に定まるか,一方を指定されて問題が出題されるかである。