2020年センター試験 数学ⅡB 第3問 数列の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
a_{n+1}=\dfrac{n+3}{n+1}\{3a_n+3^{n+1}-(n+1)(n+2)\}~\cdots\cdots①
\end{align*}
(2) $b_n=\dfrac{a_n}{3^n(n+1)(n+2)}$ とおき,数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよう。
$\{b_n\}$ の初項 $b_1$ は $\myBox{イ}$ である。①の両辺を $3^{n+1}(n+2)(n+3)$ で割ると
b_{n+1}=b_n+\dfrac{\myBox{ウ}}{\left(n+\myBox{エ}\right)
\left(n+\myBox{オ}\right)}-\left(\dfrac{1}{\myBox{カ}}\right)^{n+1}
\end{align*}
したがって
$n$ を2以上の自然数とするとき
(3) (2)により,$\{a_n\}$ の一般項は
このことから,すべての自然数 $n$ について,$a_n$ は整数となることがわかる。
(4) $k$ を自然数とする。$a_{3k}$, $a_{3k+1}$, $a_{3k+2}$ を3で割った余りは それぞれ $\myBox{ネ}$, $\myBox{ノ}$, $\myBox{ハ}$ である。 また,$\{a_n\}$ の初項から第2020項までの和を3で割った余りは $\myBox{ヒ}$ である。
(1)の考え方と解答

第2項を求める問題。$n=1$ を代入して求めよう。
①に $n=1$ を代入して
a_2&=\dfrac{4}{2}\{3a_1+3^2-2\Cdota3\} \\[4pt]
&=2(9-6) \\[4pt]
&=6
\end{align*}
(2)の考え方と解答
(2) $b_n=\dfrac{a_n}{3^n(n+1)(n+2)}$ とおき,数列 $\{b_n\}$ の一般項を求めよう。
$\{b_n\}$ の初項 $b_1$ は $\myBox{イ}$ である。①の両辺を $3^{n+1}(n+2)(n+3)$ で割ると\begin{align*}を得る。ただし,$\mybox{エ}<\mybox{オ}$ とする。
b_{n+1}=b_n+\dfrac{\myBox{ウ}}{\left(n+\myBox{エ}\right)
\left(n+\myBox{オ}\right)}-\left(\dfrac{1}{\myBox{カ}}\right)^{n+1}
\end{align*}
したがって\begin{align*} b_{n+1}-b_n=\left(\dfrac{\myBox{キ}}{n+\mybox{エ}} -\dfrac{\mybox{キ}}{n+\mybox{オ}}\right)-\left(\dfrac{1}{\mybox{カ}}\right)^{n+1} \end{align*}である。

まずは $b_1$ を求めよう。
$b_n=\dfrac{a_n}{3^n(n+1)(n+2)}$ より

誘導通りに解いていこう。
①の両辺を $3^{n+1}(n+2)(n+3)$ で割ると

次は部分分数分解する問題。といっても差に直すだけの問題。
$\dfrac{1}{(n+1)(n+2)}$ を差で表すだけなのでこの部分だけ書く。
$n$ を2以上の自然数とするとき
\begin{align*} &\Sum{k=1}{n-1}\left(\dfrac{\myBox{キ}}{n+\mybox{エ}} -\dfrac{\mybox{キ}}{n+\mybox{オ}}\right)=\dfrac{1}{\myBox{ク}} \left(\dfrac{n-\myBox{ケ}}{n+\myBox{コ}}\right) \\[4pt] &\Sum{k=1}{n-1}\left(\dfrac{1}{\mybox{カ}}\right)^{k+1} =\dfrac{\myBox{サ}}{\myBox{シ}}-\dfrac{\myBox{ス}}{\myBox{セ}} \left(\dfrac{1}{\mybox{カ}}\right)^{n} \end{align*}が成り立つことを利用すると\begin{align*} b_n=\dfrac{n-\myBox{ソ}}{\myBox{タ}\left(n+\myBox{チ}\right)} +\dfrac{\mybox{ス}}{\mybox{セ}} \left(\dfrac{1}{\mybox{カ}}\right)^{n} \end{align*}が得られる。これは $n=1$ のときも成り立つ。

差で表された数列の和と等比数列の和を求める問題。

これで $b_n$ を求めることができるね。
$\Sum{k=1}{n-1}(b_{k+1}-b_k)=b_n-b_1=b_n$ であるから
(3)の考え方と解答
(3) (2)により,$\{a_n\}$ の一般項は
\begin{align*}で与えられる。ただし,$\mybox{ナ}<\mybox{ニ}$ とする。
a_n=\myBox{ツ}^{~n-\myBox{テ}}\left(n^2-\myBox{ト}\right)
+\dfrac{\left(n+\myBox{ナ}\right)\left(n+\myBox{ニ}\right)}{\myBox{ヌ}}
\end{align*}
このことから,すべての自然数 $n$ について,$a_n$ は整数となることがわかる。

(2)から $a_n$ を求めよう。
$a_n=3^n(n+1)(n+2)b_n$ より

$(n+1)(n+2)$ は連続する2つの整数の積だから常に偶数になるため,$a_n$ は常に整数となる。

しかし「すべての自然数 $n$ について,$a_n$ は整数となることがわかる」の意味が分からなくても 「そうなんだな」と思って次へ進もう。
(4)の考え方と解答
(4) $k$ を自然数とする。$a_{3k}$, $a_{3k+1}$, $a_{3k+2}$ を3で割った余りはそれぞれ $\myBox{ネ}$, $\myBox{ノ}$, $\myBox{ハ}$ である。また,$\{a_n\}$ の初項から第2020項までの和を3で割った余りは $\myBox{ヒ}$ である。

$a_n$ の第1項は3で割り切れるから第2項について考えよう。
$n$ が2以上のときは $3^{n-1}(n+1)(n+2)$ は3で割り切れるから,$a_n$ を3で割った余りは $\dfrac{(n+1)(n+2)}{2}$ を3で割った余りに等しい。
また,$n$ が2以上の3の倍数でない数であるとき,$(n+1)(n+2)$ は3の倍数,かつ2の倍数,すなわち6の倍数になるから $\dfrac{(n+1)(n+2)}{2}$ は3で割り切れる。
$n$ が3の倍数のとき,$m$ を自然数として $n=3m$ と表せるから
\dfrac{(n+1)(n+2)}{2}&=\dfrac{(3m+1)(3m+2)}{2} \\[4pt]
&=\dfrac{9}{2}m^2+\dfrac{9}{2}m+1 \\[4pt]
&=9\Cdota\dfrac{m(m+1)}{2}+1
\end{align*}
したがって,$a_{3k}$, $a_{3k+1}$, $a_{3k+2}$ を3で割った余りはそれぞれ $1,~0,~0$ である。

余りを並べてできる数列は循環数列となることを知っておこう。

$a_1,~a_2$ を3で割った余りを考えるのを忘れないようにしよう。
$a_1=0,~a_2=6$ より $a_1,~a_2$ を3で割った余りはともに0である。
$\{a_n\}$ の初項から第2020項までの和を3で割った余りは,$a_n$ を3で割った余りを $r_n$ とすると,$\Sum{k=1}{2020}r_k$ を3で割った余りに等しい。ここで
\Sum{k=1}{2020}r_k&=r_1+r_2+\overbrace{(r_3+r_4+r_5)+\cdots
+(r_{2016}+r_{2017}+r_{2018})}^{括弧が672個}+r_{2019}+r_{2020} \\[4pt]
&=0+0+1\times672+1+0 \\[4pt]
&=673 \\[4pt]
&=3\times224+1
\end{align*}
2020年 センター数学ⅡB 数列を解いた感想

丁寧な誘導があるため,誘導通りに進めていくことで一般項を求めることができる。

求めていく途中で,差で表された数列の和や等比数列の和などの基本的な数列の知識を
理解しているかどうかが問われている。

最後は定番ともいえる余りに関する問題で,整数が極端に苦手であれば苦労するだろう。